・・・・・・・・ここは?どこだ?
見渡すと様々な色の炎が漂う不思議な場所にいた。
あれ?俺ってば・・・死んだ・・・よね?
そう、あれは確かに体感的には5分前のこと。
今日も良い天気だと思い、町を歩いていた。
「いや~今回のガンプラも最高の出来ですなぁエンジ氏。」
「ですなぁキヨヒコ氏。俺氏も中々に神ってる出来だと思ってますわぁ。」
自分で作ったガンプラを持ち寄り、友人と話をする俺氏こと綱島エンジ。
そう、俺はオタクである。オタクといっても本当のオタクの皆さんには申し訳ない程度のオタクである。というのも俺氏がオタクの世界に脚を突っ込んだのは最近であり、まだガンダムと友人に紹介された近年のアニメしか見ていないのだ。
ちなみにド嵌まりした原因は昨今のガンダムである『漢気溢れまくるガンダム』な作品である。
「そう言えば、どうでしたかな?この前貸し出した作品は?」
「ゲートですな?かなり見ごたえありましたよ。あのようなファンタジーに現代兵器を合わせるとは恐れ入りました。楽しかったですよ。」
「それは良かった。あれは所謂『異世界もの』の部類に入るのですが、それが流行る原因となったとされる作品がありましてな・・名前はゼr・・と言って・・・アニメ版では主人公は秋葉・・・」
「なるほど。わからん。ツンデレの神?武器が喋る?」
キヨヒコ氏は、どんどん話をするものの話が頭に入ってこない。分からない言葉が飛んできすぎる。
という話をしていると、ビルの屋上に人影を見つけた。
「っ?!ちょっと、待ってキヨヒコ氏。あれって・・・」
「おい!君!止めたまえ!」
「来ないで!じゃないとっ!今すぐ飛びまっ?!」
突然の強風に身体を揺らし、落ちる人影。
・・・・何故だろうか。ほっとけば良いものの、身体は勝手に動いてしまい・・・結果、俺氏受け止めるも、ほぼ下敷き状態。せめて受け止めた人影だったものが結構な美少女だったのが救いだったかも知れない。
「エンジ氏!エンジ氏!!き、救急車を早く誰か呼んでくだされ!!」
キヨヒコ氏の声が聞こえる。でも・・・ああ・・めちゃくちゃ痛いんだ。死にそうなくらい痛いんだ・・・意識も遠くなっていく。
・・・・そうだ・・・これを言ってみたかったんだ・・・・
「俺は……止まんねぇからよ……だからよ、止まるんじゃねぇぞ………」
「ちょっ?!それ色々と省略しすぎ!それに完全に死ぬ時に言うセリフですぞ!死ぬ気で生きてくだされ!エンジ氏!!エンジ氏ーー!!」
・・・死ぬ気で生きろとか・・・無理を言わんでください・・・キヨヒコ氏・・・
ということがあったのだが・・・あれ~?
『レディース!エンド!ジェントルマン!』
うおぅ?!
突然、声が頭に響いた。
『私は神である!数多く存在する神の一人である。』
・・・ああ、はい。日本の神は八百万いますもんね。
『皆は死んだ!ここは魂の一時預り場所である!本来、魂は必ず罪の一つは犯しており必ず地獄は通るものである!しかしながら諸君らは一考の余地があるとされたものである!何故なら諸君らは自己犠牲がもとで死んだものだからである!自己犠牲とは人の世で最も気高いと我らの世界ではなっている。しかし!天国に行くまでに聖人ではなかった!従って一考となったのだ!』
はあ、なるほど。
『そこで!そなたらに!もう一度人生を与える!』
・・・マジでか?!
周りを見れば、漂う炎も一瞬驚いたような反応を示したように見える。
『ただし!人の世に返すことは出来ぬ!』
え?
『魂とは!天国で!地獄で!行いを!清算する!つまり記憶を消す!しかし一考のために天国も地獄も行かぬ!記憶はそのままである!そのような状態で人の世に出しては混乱を招くであろう!』
まあ、そうか???
『従って!そなたらには作品の中で人生を送ってもらう。』
はあ。なるほど。・・・え?
疑問に思うと同時に周りが光だした。そして光が収まりとそこには大量の本棚が現れた。
『人とは面白いものだ。数々の話を生み出す。それは人が生まれてから生み出した作品が並んでおる。』
見れば部屋というより空間全体に本棚がびっしりと並んでいた。
『これより!ある程度の願いは聞き入れる!日本の作品を選びたければ日本と言えば良い!事の始まりがアメリカならアメリカと言えば良い!その旨を伝えよ!ただし!作品の指定は出来ぬ!伝えられた旨を聞き、近い世界観から選び、そこからは我らが無作為に選択する!そして作品一つに入れる魂は一つのみ!』
っ?! じゃあ早いもん勝ちか?!
『しかし早い者勝ちと思い、急いても意味は無いぞ。人の世に作品は億以上。似かよる物など当然ある。そして何より!狙った世界に行ったとて!その世界の主人公に必ず会えると思ったら大間違いである!』
はい?
『作品に送りとて、作品の中では一つの世界が成り立っておる!主人公とて一人の人間!行動が作品に沿うとて、そなたらが必ず関われるもので無し!しかも赤子から始めてもらうゆえ、さらに会える可能性は少ないぞ!世界は広いからな!一応、サービスで年齢は主人公と同じ年齢になっておる!』
つまり・・・主人公には主人公の人生があり、俺には俺の人生が・・・暮らしがあるってことか。
つまり作品にはいるけど、人生の選択次第でモブになるのか。
『というわけだ。さて、我は質問は受け付けぬ!では、今より其々に担当の鬼を付ける!そやつらに旨を伝えよ!では、皆のもの!良い人生を送れよ!』
・・・えぇ、マジかぁ。
神の声が消えると、同時に目の前に突然スーツを着ている鬼が現れた。
うぉぅ、ビックリしたぁ。
「では、どうぞ。条件を言ってくださいませ。」
わお。何て事務の似合う鬼。えっと、質問がありますが良いですか?
「何でしょう?」
あ、鬼さんは答えてくれるんだ。良かった。
木星とか火星とかで始まるのでも良いですか?
「可能ですよ。」
やった!じゃあ2000年代の作品で火星とかで始まる感じの
「本当によろしいのですか?」
・・・はい?
「作品によっては他星間で始まるものとしては危険な事柄が多く、生まれて直ぐに即死亡となるケースも有りますが、それでも良いですか?」
・・・ですね。しまったどうしよう。もし仮に狙い通りに漢気溢れる世界観で悪魔なんて呼ばれる『ガンダム』が活躍する作品に行けたとて、赤ちゃんから生きて、原作が始まるまでに生き残れる自信がない。
・・・・え?あれ?どうしよう。
「あ、時間が」
えっ?時間制限あるの?
「はい。ありますよ。そろそろです。」
ちょっ!早く言ってよ!
「はい。だから今言いました。」
ムッかぁ!どうしてくれよう。この鬼!
「早めにお願いします。」
くっ!思い出した作品は・・・ゲートのみ!あれならモブでもサブでも死なないはず!
じゃあ、日本の作品で!事が起こるのは秋葉原で!あと、作品年代は2000年代!銃火器の使用有り!エルフとか出るやつ!
「わかりました。では、選びます。・・・・出ました。こちらですね。」
本は小さく、ラノベによくあるサイズのように見えるが・・・表紙は全体が黒く汚れており作品名が分からない。
えっと、作品名は?
「教えて知っていた場合・・・どうです?面白く生きれます?」
・・・生きれるよ!せめて危険は避けきれるよ!
鬼の言い分に少し切れてしまい、本に手をバンバンと叩きつけた。
「――あ」
え?
鬼の言葉に疑問を持った時には遅く、俺は本に手から吸い込まれた。
「いってらっしゃいませ~。」
あの魂の一時預り場所で最後に思ったのは・・・
あの鬼、次あったら絶対に泣かす!!
である。