知らない原作で人生を   作:とろろ~

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3話 この世界で初めてメイドさんに会う。

・・・・・目を開けるとピンクの髪の美少女が目の前で無防備に寝ていた。

 

 

「やっぱ夢じゃなかったか。」

 

 

俺氏こと綱島エンジの朝は早い。身体を毎日鍛えるために朝のロードワークをするからである。

 

何故かって?だって何かしらの作品の中に住んでるんですよ。どうせなら関わりたいじゃないですか。その為の準備です。

特に鬼に出した要望なら『ゲート』という作品になる可能性が高かったはずなのだ・・・というか『ガンダム』以外に『ゲート』しか知らないのだが。

 

凄く簡単にゲートという作品を紹介しよう。

秋葉原で異世界に繋がる門が出て、自衛隊が色々する話である。(省略しすぎ)

 

主人公は自衛隊隊員だからね。関わるために身体を今の内に鍛えといた訳ですよ。自衛隊に入ったら楽が出きるように。

まあ、それは無駄だったみたいですけどね。

そもそも酷くない?神様さあ

 

『主人公に会えると思ったら大間違いである!』

 

って言ってたよね。昨日の事が夢じゃなかったのだ。おそらく原作は始まっている。だって普通に暮らしてて異世界に召喚されるとか無いから。

しかも要望として事が起こるのは秋葉原って言ってるからね俺ってば。

ということは秋葉原から召喚された彼、平賀才人が多分主人公だろう。

 

平賀才人・・・ヒラガサイト・・・うん、知らん。ただまあ、きっと彼を中心に事が起きるだろう。注意しながら行動しよう。

 

さて、考え事をしてたが今何時だろうか?

 

部屋を見渡すも時計らしき物がない。

 

うーん、しょうがない。えっと、多分体内時間的には5時くらいだろう。そろそろ起きようか。

 

身体を起こしてベッドから起きようとすると手が何かに引っ張られる。確認すると俺の手をルイズが両手で包むように握って寝ていた。

 

・・・・おっふ!やだ可愛い!

 

頭を働かせ、考える。

目の前に美少女を起こしてはならないだろう。

 

しかしこんな可愛い美少女をどうする?

・・・答え、美少女堪能夢日記。

では早速、頭の香りから嗅がせて頂こう。

 

「・・・いただきます。」

 

「何が美少女堪能夢日記だ。」

 

声に反応して、そちらに目を向けると昨日一緒に異世界に来てしまった少年である平賀才人がいた。仁王立ちである。

 

「・・・あ、起きてたの?」

 

「昨日は寒くて眠りが浅かったみたいでな。エンジがぶつぶつと独り言を言ってたから聞いてみれば・・・何が『今この目の前の美少女をどうする?・・・答え、美少女堪能夢日記。』だよ。ただのセクハラしようってだけだろ!と思ってな。止めるために完全に起きたんだ。」

 

昨日のワラでは本当に眠りにくかったのだろう。かなり不機嫌で目も据わってらっしゃる。

 

「今すぐベッドから降りろ。そして大人しくしておけ。」

 

「り、了解。」

 

その後、お説教をされました。

 

 

 

 

「ふう。じゃあ俺はまだ寝るからな。大人しくしとけよ。」

 

「わかった。了解。あ~でも俺、外に少し出てくるわ。」

 

「は?まだ外は日が出てないぞ。」

 

「そうなんだけどさ。朝から走るのが日課なんだ。」

 

「そうかよ。あんま遠くに行くなよ。」

 

「はいはい。んじゃな~。」

 

「はいは一回だ!」なんて声を聞きながら俺は扉を開けて部屋の外に出た。

 

 

さて、とりあえず部屋の配置を覚えてから階段を降りて外に出る。すると何と気持ちの良いことか。空気が澄んでいるのが分かる。

 

これはちょっと興奮する。

 

俺は気分を高揚させたまま走り出した。

 

うわーナニコレー楽しいー!!身体が軽い!何処までも走れそうだ!

 

それから小一時間全力疾走し続けた。

 

いつもなら30分の全力疾走で疲れるものの今日は倍も走れて嬉しかった。

しかし走り終わって気がついたのだが

 

・・・風呂は何処だ。

 

テンションに任せて行動すると禄なことがない。

汗だくな状態で、どうしたものかと考えていると後ろから声をかけられた。

 

「あの、大丈夫ですか?」

 

振り向くとそこにはメイド服を来た黒髪の美少女が立っていた。

 

「あの、お困りでしょうか?」

 

「あ~いや、はい。困ってます。風呂場ってないですか?」

 

「お風呂場ですか?お風呂場でしたら貴族様専用のがありますからご案内致します。」

 

「ありがとう。じゃあ、そこにって・・・貴族様専用?」

 

「はい。」

 

「あのごめん。俺って貴族様じゃないんだけど。」

 

「えっ?!失礼しました。お召し物が立派でしたのだ貴族様だとばかり。」

 

あー修学旅行中だったからなぁ。ブレザーは部屋に置いて来たけど、ワイシャツ姿だからな。間違えるのも無理ないか。

 

「それですと困りました。お風呂場は平民には解放されておりませんので。」

 

「そうなんだ。えっと、君は普段どうしてるの?」

 

「はい。井戸の近くで衝立を立てて、お水で洗ってますよ。」

 

「そ、そうなんだ。じゃあ俺もそうするよ。申し訳ないんだけど、井戸に案内してくれるのとタオルを貸してくれない?」

 

「わかりました。では、こちらへ。タオルはお体を洗って頂いてる間に持ってきますね。」

 

「すまんね。ありがとう。」

 

 

 

 

 

ないわー。俺ないわー。何で気がつかないかなー。

 

「だ、大丈夫ですか?」

 

「うん。大丈夫。本当にありがとうね。」

 

「いえ、こちらこそ申し訳ありませんでした。」

 

何があったか説明しよう。

 

体を井戸の水で洗いながら汗を流す俺。

この間にタオルを持ってきてくれたメイドさん。

メイドさんは「服を洗いましょうか?」と聞いてくれたのでお願いしちゃった俺。

この場で洗濯(手洗い)を始めてくれたメイドさん。

その間にこの世界の常識を教えて頂きました。

貴族なんだ、平民なんだ、ここはトリステイン魔法学院だとかね。

 

洗い終わったようで、替わりのお召し物はどの部屋から持ってくればよろしいですか?と聞いてくれたメイドさん。

 

「・・・え?」ってなった俺。

「・・・え?」ってなったメイドさん。

 

現在、焚き火をして服を乾かし中。以上。

 

 

・・・・あれだね。外でタオルだけを巻いてる状態って興奮するね!!

 

 

「本当に申し訳ありませんでした。」

 

「いやいや、俺が悪いって。事情とか話してなかったもんな。」

 

「・・・あの、本当に使い魔さん、何ですか?」

 

「そだよ~。しかも異世界からね。」

 

「はあ、異世界ですか。何だかピンと来ませんね。」

 

「まあ、此処は向こうの田舎と変わらないけど、空気が段違いに綺麗でさ、思わず走っちゃたんだよね。」

 

「それであんな笑顔で走ってたんですか。」

 

「いや~見られてたか。お恥ずかしい。」

 

「ふふ、おかしな人ですね。」

 

「・・・笑顔が素敵だ。」

 

「そ、そんなことありませんよ。」

 

しまった。ポロっと本音が出てしまった。いや、でもこの子は人を惹き付ける何かがあるんだよな~。・・・あれ?まさかこの子がヒロインとか?

どうしよう。原作に支障をきたすかも・・・・まいっか。どっちにしても作品のストーリーを知らないからな。まあ要注意人物程度に認識しておこう。

 

「そういえば名前って言ってなかったよね。俺の名前は綱島エンジ。エンジって読んでくれ。」

 

「エンジさんですか。私は学院でメイドとして働かせて頂いております。シエスタと申します。何かあったら何でも言って下さいね。」

 

「そっか、ありがとう。早速聞きたいんだけどいい?」

 

「はい。何ですか?」

 

「主人であるルイズ様に朝の紅茶でも用意したいんだけど、食堂って何処かな?」

 

「食堂ですか。わかりました。こちらです。」

 

「ありがとう。序でに美味しい紅茶の入れ方を教えてくれない?」

 

「ふふ、わかりました。」

 

「ありがと、シエスタ。」

 

 

 

 

 

いや~良い子に会ったなぁ。やっぱ早起きは良いね~。それに異世界っつうか作品の世界は良いね。可愛い子ばっかり。

 

お盆に紅茶を載せて階段を登りきり、ルイズの部屋の前まで行くと中から二人の声がしている。どうやら二人は起きているようだ。

俺は意気揚々と部屋に入った。

 

 

「たっだいま~。ルイズ様~、朝の紅茶をお持ちしま・・・し・・・・た・・・・・」

 

驚愕である。部屋に入ったらどんな状況だったと思う?

 

「やっと帰ったかエンジ。お前遅いぞ!お前が来ないから俺が・・・ってどうした?」

 

 

部屋に入ると、パンツのみの半裸美少女にワイシャツを着せらているのか、はたまた脱がされているのか、とにかくアレな状況だった。

 

 

「おいコラ、サイトさんや。どんな状況だこれ?脱がしてんのか?ああおい?俺には説教したくせに脱がしてんのかコノヤローが。」

 

「ちょ?!ちげーし!着替えをさせてんだよ。さっきなんてパンツまで履かせろって言ってきてたんだぞ!冗談じゃねぇよ!」

 

「パン・・ツ・・・だ・・と?そんなの・・ご・・ほ・・・び・・・」

 

「え?」

 

「ご褒美じゃねえかコラーーー!!!一発殴らせろーーー!!!」

 

「な、なんでだーー??!!」

 

直ぐに机にお盆を載せて紅茶の安全を確保し、サイトに殴りかかる。

 

サイトは本気で危険だと感じたのか部屋の中とはいえマジ逃げし、ルイズは、部屋の中で追いかける俺と追いかけられるサイトを見ながら紅茶を飲み始めた。

 

「はあ。騒がしい朝ねぇ。あ、紅茶美味しい。」

 

「一発だ!一発だけでいいからヤラせてくれ!」

 

「おい!そのセリフは字ずらにするとエライことになるからな!!」

 

こうして異世界生活二日目が始まったのだった。




眠い。夜中に書いちゃ駄目だね。
お休みなさい。

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