終焉の聖騎士伝説~オメガモンとなった青年の物語~   作:LAST ALLIANCE

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どうも。皆さんこんにちは。
『鉄血のオルフェンズ』で好きなガンダムはバルバトスとバエルなLAST ALLIANCEです。
今回は第1クール修了、第1章の折り返しという事で新キャラを登場させた座談会っぽい何かをお送りします。
書くネタがないんじゃないです。第14話から展開が加速するので、燃料を補給しているだけなんです。それだけです。次は設定集を投稿します。


第13話 戦士達の交流会

 “電脳現象調査保安局”の本部の何処か。そこにはとあるお寿司屋がある。仕事が終わる頃に開店し、局員達の憩いの場所となっている。

 店主は工藤優衣ことアルファモン。親戚の寿司職人の下で働きながら腕を磨き、その成果をこのお寿司屋で披露している。そのお店の名前は“寿司処 王竜剣”。

 “寿司処 王竜剣”はいつも“電脳現象調査保安局”の局員達で大盛り上がり。その中に彼らがいた。八神一真とアルトリウス。“電脳現象調査保安局”が誇る最強戦力であり、人間界の希望となっている聖騎士だ。

 来ているのは2人だけではない。彼ら以外にカウンターに座っている者がいる。鏡花ことリリスモン。薩摩とクダモン。ウィザーモン。テイルモン。彼らの共通点は“電脳現象調査保安局”の中心となっているメンバーばかりだ。

 

「リリスモン久し振り~!」

 

「あら、ベルフェモンじゃない。久し振り!」

 

 そこに現れたのはリリスモンと同じ『七大魔王』。可愛らしいぬいぐるみのような姿をした魔王。『怠惰』を司るベルフェモン・スリープモード。

 強大すぎる力を持つ為、デジタルワールドのシステムによって、データをスリープ状態にしながら、ダークエリアの最深部に封印されていた。

 

「初めまして、僕はベルフェモン。昼寝王ネルガメッシュとは僕の事だよ?」

 

 ベルフェモン、もとい昼寝王ネルガメッシュ。パラティヌモン以外の面々は彼とは一度会っており、そのキャラの濃さを嫌と言う程心に刻まれた。

 これでこの日の予約は全員来た。リリスモンが全員の集合を確認して優衣にアイコンタクトをすると、優衣は目の前に折り詰め寿司を出す。その豪華な内容に誰もが目を輝かせるが、一番はアルトリウス。彼女は“寿司処 王竜剣”の熱狂的なファンだ。

 今回の企画の趣旨は“電脳現象調査保安局”の交流会。普段言えないような事を気軽に喋ったり、愚痴をこぼしたりしてはめを外し、明日からまた頑張るエネルギーとする為だ。

 

「この中で新入りはアルトリウスさんだな。どう? 今の生活は」

 

「おかげ様で慣れて来ました。皆さんは親切なので……」

 

「それは良かった」

 

 律儀で丁寧でとことん真面目で、負けず嫌いな委員長キャラ。それがアルトリウス。彼女はかつてはアーサー王だったが、今では“電脳現象調査保安局”の局員。

 立場や仕事が変わった事で戸惑う事が今でもあるが、十二分にやれている。盟友の一真と薩摩には話していたが、アルトリウスは自分の事を誰にも話していない。この機会に全て話してしまおう。そう思い、リリスモン達に全てを話し始める。

 

 

 

 全てはデジタルワールドの創世記から始まった。イグドラシルの統治が原因で勃発した厄災大戦。その大戦を終わらせる為にイグドラシルによって造られた聖騎士。全ての聖騎士型デジモンの原型となったデジモン。

 その素体となった人間はアーサー王。アヴァロンに向かう途中でデジタルワールドに来てしまい、厄災大戦に心を痛めて協力を申し出た。彼女を素体に人間界に伝わる神話や伝説のデータを練り固めて誕生したのがパラティヌモン。

 厄災大戦を終結させた英雄だったが、その強大なる力を脅威に感じたイグドラシルは封印した。人間を素体にしてデジモンを造ったという事実を隠蔽する為に、パラティヌモンは二度とデジタルワールドに出て来る事はない筈だった。

 しかし、ホメオスタシスが彼女を封印から解き放った。その恩を返す為に、そして盟友となったオメガモンの為に、オメガモンが守る世界を守護する為にパラティヌモンは戦う事を決め、戦いの日々を送っている。

 

「素敵な生き方ね……その気持ちは分からなくもないわ」

 

「そうだね。僕らも自分の信じる生き方をしているし……」

 

「流石は騎士王、アーサー王。格が違うな……」

 

 アルトリウスの決意を聞いて微笑むテイルモンと、頷くウィザーモン。クダモンは感嘆したように呟く中、一真以外の誰もがアルトリウスの思いと決意を受け止めた。

 騎士王から聖騎士王となったアルトリウス、もといパラティヌモン。今でもなお放つ王のオーラ。『七大魔王』のリリスモンとベルフェモンですら圧倒されている。

 

「そう言えば前に一真さんから“デジモン化”について話を聞きましたが、私なりの仮説を立てました」

 

 アルトリウスが話し始めたのは“デジモン化”について。一真は『Omega-Gain-Force(オメガ・イン・フォース)』を初めて使った時に髪が染まったが、それ以降能力を使っても何の変化も見られなくなった。

 その事を不思議に思った一真はアルトリウスに相談した。過去の戦闘データを見たアルトリウスは、この場所で答えを言おうとしている。

 

「思うに“デジモン化”は限界を超えた時に進行すると思われます。普段はリミッターがかかっているのですが、それを解除した時とか……」

 

 一真の場合、『Omega-Gain-Force(オメガ・イン・フォース)』に適応する為に“デジモン化”が起きた。常に脳に直接伝達される予測結果が与える負担は大きく、人間たる一真には耐えられない。

 そこで“デジモン化”を促す事で、特殊能力を使用していても適用出来る状態にしたのではないか。そのようにアルトリウスは考えるが、同時に危惧している事もある。

 それは一真ことオメガモンの力が上昇していく事。そうなると新たなる奥義や特殊能力を会得するだろう。それらを制御する為に“デジモン化”が進行したり、リミッターを解除すると、“デジモン化”の進行は自然と行われる事となる。

 

「避けては通れぬ道か……“デジモン化”は」

 

「だから私は優衣さんに警告しているんだ。あまりアルファモンの力を使わないようにと」

 

 一真だけでなく、優衣も“デジモン化”する可能性もある。しかし、彼女は一真が来てから戦場に立つ機会が一気に減った。それでも異世界で修行しているが。

 彼女が異世界で修行し、魔法剣士としての戦い方をしている理由。それは『Alpha-Gain-Force(アルファ・イン・フォース)』の使用による、“デジモン化”の進行を抑える為。

 “デジモン化”を抑える薬は開発されていない。その為、今は出来るだけ特殊能力の使用を抑える事で落ち着いている。

 

 

 

「次は私が行こうかしら」

 

 アルトリウスの次は工藤優衣の番。彼女はお寿司を握る手を一度休め、自分の事を話そうとしている。

 工藤優衣。“創世の聖騎士”アルファモン。普段は仕事をしているが、異世界に修行しに行ったり、お寿司のネタを仕入れに行ったりと、かなりフリーダムな女帝。

 しかし、それが許されているのはきちんとした理由がある。彼女の生い立ちや過ごして来た日々に関係している。

 物心つく前に両親を失い、天涯孤独の身となった優衣。当時親戚もいなかった彼女は、児童福祉施設で生活するしかなかった。そこで様々な事情を抱えた子供達や憧れる職員と出会い、児童福祉系の仕事に就くという夢を抱いていた。

 ある日、ダークドラモンの襲撃を受けてアルファモンとなった事で、“電脳現象調査保安局”の局員として働いている。優衣がデジモンになった背景は誰もが想像しているより重く、歩んできた人生も壮絶だった。

 

「私と一真君は望んでデジモンになったんじゃない。デジモンになるしかなかった。でないと今こうして生きていられない。私は弱い」

 

 一真と優衣はお互いに凄まじい力を秘めているが、彼らはデジモンになる事で今を生きられる共通点がある。

 デジモンの襲撃を受けてなったとは言えど、優衣は自分の事を“弱い”と言った。デジモンとなる事でしか生きられない、デジモンの力を振るう事でしか存在意義を示せない自分の事を嘲笑うかのように。

 

「“デジモン化”は私や一真君のような不安定な存在を、安定にする為のやり方なのかもしれない。人間は生身。これ以上強くなりたいならデジモンになれ。そう言っている気がするわ」

 

 優衣の話になった途端、全員が押し黙った。特に一真。アルトリウスのように人間の身体を素体にし、デジモンとして再構成された訳ではない。心臓が『電脳核(デジコア)』なだけの不安定な存在。それが優衣と一真。

 テイマーとデジモンの関係の薩摩とクダモン。テイルモン達デジモン。イグドラシルによって完全なデジモンとなったアルトリウス。誰もが優衣と一真の抱える苦悩を思い知り、静かになった。

 

「一真君。優衣ちゃんを支えてあげて。あの子……普段はお姉さんらしく振る舞っているけど、本当は自分という存在を誰よりも理解しているからナイーブなの」

 

 リリスモンは優衣の姉貴・母親的存在。時々バグラモンの家に招く事もあり、いつか彼女を養子入りさせようか真剣に考えている。

 そう考える程、優衣は危うい所もある。戦いから遠ざけているのがその証拠だ。普通の女性として暮らして欲しいと思っているのだが、そう上手く行かないのが現実だ。

 

「分かりました。僕に何が出来るかは分かりませんが、やれる事はやります」

 

「……ありがとう、一真君」

 

(何でしょうかこの胸を刺すような痛みは……優衣さんを見ていると、どうして一真さんの事を想うのでしょうか?)

 

 一真はリリスモンの頼みを了承した。自分に出来る事をやる。シンプルにそう話した一真の思いを受け、優衣は嬉しくなったのか、涙目になりながら頭を下げる。

 リリスモン達が微笑ましく見守る中、アルトリウスは何かを感じた。今まで抱いた事のない感情。それが一体何なのか戸惑いを感じていた。

 

「でもここに来てお仕事したり、お寿司握ったり、修行したり……色んな事をしている中で分かった事がある。世の中私みたいに悩んだり、苦しんでいる人が沢山いる事に。だから私も負けていられない。前に進まないと……」

 

「僕もオメガモンとなって戦って、ここで働いていく中で色々な事を学びました。いつかは“デジモン化”して人間でなくなるかもしれませんが、その時まで、いやそれからも自分の生き方を貫いていきたいです」

 

 高卒で社会に出た優衣。彼女は生きる事とは自分自身を作っていく事だと考えている。自分の意志があるから、辛い過去を背負って明るい未来に向かって歩いていけるから。

 自分の確固たる意志さえあれば、誰だって生き方は自分で決める事が出来る。その生き方が自分自身となる。

 答えは全て自分の中にあった。生きていく事に意味や理由など必要ない。何故なら生きるという事に意味があるのだから。

 

「この話はここまでにしましょう?」

 

「あぁ、こういう雰囲気はあんまり好きじゃないからな」

 

 優衣の話はここまで。しんみりとした雰囲気になった為、一度仕切り直しとなった。全員お寿司を食べてから再開する事にした。

 アルトリウス、優衣の次は薩摩とクダモン。彼らの話はこの場所にいる全員が知っている為、特に言う事は無かった。一真はクダモンに今だから言えるあの話を求める以外は。

 そこで明らかになったクダモンが人間界にスパイとして選ばれた理由。最初はデュークモンが選ばれていたが、ギルモンに退化するとエンゲル係数が鰻登りになる為、スレイプモンに変更になった。その理由を聞いた誰もが大笑いするしかなかった。

 その後はテイルモン&ウィザーモン、一真が続いた。一真はオメガモンになる前の話で全員を盛り上げた。

 

 

「次は私ね。まぁ知っている人はいると思うけど、詳しくは話していなかったわね……」

 

 リリスモンは自分の過去について話し出す。これまで大雑把に話して来た事はあるが、詳しく話すのは意外にもこれが初めて。

 『七大魔王』の一角であり、“色欲”を司るリリスモン。“巡り会いの戦い(クロスウォーズ)”が起きたデジタルワールドの出身であり、オメガモンとは敵同士だった。

 快楽主義だが、相手を分析する冷静さを併せ持つリリスモン。直接的な戦闘能力は『七大魔王』の中でも下位クラス。得意としているのは頭を使う事だから。

 それでも怒った時に発揮するパワーは凄まじく、また怖い為、ある意味『七大魔王』最強と呼ばれている。やはり女性は怒らせると怖い。

 淫乱と暴虐。それがリリスモンの本質。背徳の化身で邪悪な存在である為、触れる事も近づく事も傅く事さえも許されず、かつては高尚で神聖な存在であるバグラモンに支配され、弄ばれる事に背徳的の感情を抱き、酔いしれて喜んだという側面もある。

 バグラモンに恋をしたが、前世では彼の死によって失恋。転生した後は『七大魔王』としてダークエリアで暮らしていたが、来たるべき大戦に備えて人間界に逃れた時にバグラモンに再会し、今では夫婦同然の関係。それからは“電脳現象調査保安局”を立ち上げ、主任をしている。

 

「最初からバグラモンと一緒じゃなかったんですね……」

 

「ごめんね。これはちゃんと伝えてなかったわ。『七大魔王』なんだけど、バグラ軍の幹部なの今の私は」

 

 一真はリリスモンの事を誤解していた。転生した時からバグラモンと一緒だったと勘違いしていた。その勘違いがようやく直った。

 本当は『七大魔王』としてダークエリアで暮らしていたが、人間界に来た時にバグラモン達と再会した。バグラ軍は幹部こそ全員集合したが、肝心の要となる兵隊が誰もいない状況となっている。

 

「という事はバグラ軍再結成も時間の問題だな……バグラモンとは何度か話しているが、面白い事になりそうだ」

 

「ですね……『聖騎士団(ロイヤルナイツ)』と『七大魔王』がいる時点で前世よりも強力になってますし……」

 

 実は対イグドラシルを見据えて、薩摩はバグラモンと何度も話をして新生バグラ軍の創設を計画し、実現に向けて始動している。

 もし現実となった場合は凄い事になりそうだ。数は少ないが、質が凄い。『聖騎士団(ロイヤルナイツ)』と『七大魔王』。彼らに準じる実力者もいるし、厄災大戦を終わらせた英雄もいる。勝てない相手はいない。そう言い切っても何一つおかしい事はない。

 

「バグラモンがリーダーで、副リーダーは薩摩さん。総隊長はアルトリウスさんで、戦闘隊長は一真君と優衣さん……という所まで決まっているよ?」

 

「随分と決まっていますね!?」

 

「いつ何が起きるか分からないからね……」

 

「まだメンバーが増えるから今の所はこんな感じだな……」

 

 具体的な所まで決まっているのに驚く一真だが、テイルモンは冷静だった。デジクオーツで何が起きるか分からない上に、イグドラシルが何かを仕掛けてくるかが分からない。

 それを見据え、今の内に有事に対して備える必要がある。その判断から新生バグラ軍の創設に向けて動き出している。

 

 

 

「さて最後は僕か。まさか大トリを飾るとは……」

 

「よりによって一番キャラが濃い奴が残ったか……」

 

「私はベルフェモンとは初対面なのですが、何か関係があるんですか?」

 

「それがあるんだよ……じゃあ話していくね?」

 

 実はベルフェモンも転生組に含まれているが、彼の場合は少し事情が異なっている。何故なら彼はある意味では被害者なのだから。

 彼は『デジモンセイバーズ』の舞台となったデジタルワールドの出身。とある遺跡にあった箱の中でデジタマの状態のまま封印されていたが、倉田明宏に本編開始の7年前に発見された。野望の実現の為に人間界に持ち帰って研究され、デジモンの生体エネルギーを注入されて復活し、倉田に利用される事となった。

 深い眠りに付いている為、意識を持っていない。つまり自分の意志とは関係なく、倉田に完全に利用されていたと言う事になる。最初はデジモン制御装置でコントロールされていたが、それが破壊された事で行動不能となった。しかし、倉田自身が融合した事で本来の姿に覚醒した。

 意志は最初こそ倉田だったが、一時的にベルフェモンが取り戻したが、倉田が執念で意志を支配し、時空振動爆弾を取り込む事で時空を斬り裂く力を得たが、最終的にはシャイングレイモン・バーストモードと大の前に敗れ去った。

 

『……』

 

 事情を知っている薩摩&クダモンと一真もそうだが、それ以外の面々もベルフェモンに同情したくなった。彼は確かに人間界を破壊したが、それは倉田に操られていた為。自分の意志で何かをしていない。

 『七大魔王』という事から忘れがちだが、彼もまた倉田の被害者。薩摩&クダモンと一真ですら冷静に考えてみたら、確かに被害者だったと思うしかなかったから。

 

「ちなみに大門大を恨んでいたりする?」

 

「恨む? いや彼は恨んでいないよ。最初から僕を倒す為に戦いを挑んできたから。恨むとしたら倉田かな? 僕を利用するだけ利用して意志を支配するなんて……おかげで全力を出せなかったじゃないか」

 

「全力を出していたら勝てたと?」

 

「う~ん……どうかな? 勝てたと思うけど、実際の所は分からないな」

 

 ベルフェモン曰く、“倒された時は全力ではない”との事。無理もない。意志を無理やり倉田に支配されたのだから、信頼も何もあった物ではない。

 もし全力を出していたらどうなっていたか。想像したくはない。でもベルフェモンは大門大を恨んでいない。自分を利用し、意志を乗っ取った倉田を恨んでいると言ったから。

 

「この世界では一体何を?」

 

「それはね……」

 

 転生後はスリープモードでダークエリアの最深部に封印されていたが、リリスモンによって封印を解除されて人間界に連れて来られた。

 生きていく術を知らないベルフェモンは最初こそ物凄く苦労したが、ある日天職に巡り合えた。それは通販番組のメインキャスター。商品の使用法を実演しながら、利点・価格などの情報を提示し、商品の紹介を行う。その直後、申し込み先・問い合わせ先を紹介するお仕事だ。ベルフェモンはその中でもベッドや枕等の寝具を専門としている。

 他にもコメンテーターやリポーター等、マスメディアで活躍しているベルフェモン。メインは通販番組だが、寝具との出会いがきっかけだった。

 

「僕は最初リリスモンの所にお世話になっていたけど、寝る時に使っていたベッドや枕の感触に虜になってね……それで目覚めたんだ。人間やデジモンも睡眠が重要。睡眠失くして一日は成り立たないと。それに仕事中に昼寝できる時間があって、その時に昼寝をしたらその後の仕事がスムーズに終わって、昼寝の大事さを学んだんだ。決意したんだ。僕は昼寝王になると」

 

 色々とツッコミどころは満載だが、ベルフェモンは真っ当な仕事をしている。通販番組に携わる傍ら、寝具を取り扱う会社を立ち上げ、その社長をしている。

 設計から全て自分が立ち会い、お客様目線に立った商品開発をしている為、年々業績が上がっている。しかも週休二日制で残業は少ない。給料も良いし、賞与もある。社長が魔王である事以外、優良企業としか言いようがない。

 

「僕はベルフェモンだけど、昼寝王ネルガメッシュでもある。そこを忘れないでね?」

 

「あぁ……あの時はボコボコにやられたよ」

 

 一真が思い出すのはパラティヌモンとの戦いの次の日。その時に初めてベルフェモンに出会ってバトルを挑んだのだが、その実力の高さに敗れた。

 パラティヌモンとのバトルが良かったと思えるくらい、ベルフェモンが使う戦術がオメガモンにとって予想外で、対応する事が出来なかった。

 

 

 

「オメガモン。君が挑むのは昼寝王ネルガメッシュ。寝具を極めた者。恐れずかかってこい! 」

 

「望む所だ。昼寝王の力、見せてもらおうか!」

 

 “デジクオーツ”の中で戦闘を始めたオメガモンとベルフェモン。先に仕掛けたのはオメガモンの方からだった。

 『聖突』の構えを取り、目にも止まらぬ速度で突進を開始する。直線的な動きだが、傍から見れば純白の流星であり、視認出来る速度ではない。仮に出来たとしても、それは残像にしか過ぎない。

 オメガモンが突進しているにも関わらず、ベルフェモンは不動のままだ。勝負を捨てているように思われても仕方ない。だが実際は違う。眠っているように見える目は、しっかりとオメガモンを捕捉している。ベルフェモンは動かないのではない。動けない訳でもない。そもそも動く必要がないだけの話。

 

「『聖突・壱式』!!!」

 

 オメガモンがグレイソードを突き出した次の瞬間、“ボフン”という間の抜けた音が“デジクオーツ”内に響き渡る。

 グレイソードはベルフェモンが何処かから取り出した枕によって受け止められた。必殺の剣技たる『聖突』を受け止めたという事は、ベルフェモンの武器であろう枕もまた凄まじい性能を秘めている。オメガモンの攻撃を受けたにも関わらず、ビクともしないのだから。

 

「馬鹿な……枕で『聖突』を受け止めただと!?」

 

「ただの枕ではない! この枕は高反発だけど柔らかめで、首をしっかり支えて安定した眠りをお届けする。戦いの時は相手の攻撃を受け止め、その威力と衝撃を跳ね返す!」

 

「何だと!? グアアァァッ!!!」

 

 枕が反発したと同時に、オメガモンの左腕に『聖突』を放った時に生じた衝撃と力が跳ね返され、左腕に凄まじい苦痛を感じたオメガモンは後退する。

 そこに追い打ちをかけるベルフェモン。自分の近くを浮遊している枕をオメガモンに向けて飛ばして来た。“枕投げ”ならぬ“枕飛ばし”。それを顔面に受けたオメガモンは吹き飛ばされる。

 立ち上がったオメガモンの目が闘志に燃える。相手がふざけているのではない。エキセントリックな戦い方を魅せ、圧倒的としか言えない強さを見せつけている。相手が強ければ強い程、オメガモンの闘志は昂っていく。

 

(これならどうだ……!)

 

 オメガモンはグレイソードを下段に構え、ガルルキャノンの砲口を相手に向ける構えを取った。相手を牽制する構えだ。

 警戒するように目を細めるベルフェモンの目の前に、オメガモンが現れた。一瞬で間合いを詰め、グレイソードを下から振り上げる。

 それに対し、ベルフェモンは体に巻きついた鎖を解き放って迎え撃つ。身体から放たれた鎖が聖剣の軌道を捻じ曲げた。

 そこから始まったのは聖剣と鎖による乱舞。お互いが繰り出す攻撃を防御しつつ、攻撃を繰り出していく。

 これは純粋な技術の戦い。これでお互いの“必殺技無しでの技量”はある程度見せた。ここからが“必殺奥義を含めた全て”の戦いとなる。

 

「“万象一切灰塵と為せ”!」

 

 グレイソードの刀身から発せられる太陽の火炎。オメガモンが聖剣を振るう度にベルフェモンに襲い掛かるが、ベルフェモンは背中に羽織っているマント、もとい毛布で太陽の火炎を消し去った。

 驚愕するオメガモンの目の前で、ベルフェモンは毛布を薙ぎ払う。すると、毛布から太陽の火炎が放たれ、瞬く間にオメガモンを呑み込んでいく。

 ベルフェモンの毛布は飛行と防御を両立させるアイテム。手に持って使用すれば、攻防一体の武器として使う事が出来る優れものとなる。

 

「チィ!!」

 

 太陽の火炎で焼き払われ、純白に輝く聖鎧の至る所に傷が刻まれているオメガモン。追い打ちをかけるように、ベルフェモンは自分の周囲に無数の枕を出現させ、一斉射出を行ってオメガモンを沈めた。

 これがオメガモンとベルフェモンの戦いで起きた全て。ベルフェモンの前にオメガモンは敗北を喫した。特殊能力を使わせる事なく、純粋な実力でオメガモンを下したベルフェモンの実力。恐るべしとしか言う事が出来ない。

 

 

 

「……」

 

 アルトリウスはベルフェモンの実力の高さに言葉を失った。昼寝道に目覚める前では、『七大魔王』の中でも中堅クラスだが、昼寝道に目覚めてからは『七大魔王』のトップクラスの実力者となった。

 しかも初めての対戦とは言えど、オメガモンを下した。自分の盟友をほぼ完封したと言って良い実力。アルトリウスも無言になるしかなかった。

 

「私もベルフェモンと戦ったけど、何も出来なかったな~」

 

「誰もが通る道よね……」

 

 ベルフェモンに完封されたのはオメガモンだけではない。アルファモンやタクティモン、ブラストモンにホーリーナイトモン。人間界に来た誰もが必ずは経験している。

 果たしてアルトリウスことパラティヌモンはどうなるのか。誰もがそう思う中、ベルフェモンが話題を切り出した。

 

「取り敢えず皆の事は分かったから、今後の事を考えよう。“デジクオーツ”の事もあるし、イグドラシルの事もある。僕達には出来る事があるし、やりたい事だってある。先ずはこれからの事を考えよう」

 

 人間界に来てから一番変わったのはベルフェモン。今まではダークエリアで封印されて1000年に1度の周期で永き眠りから覚め、本来の姿を取り戻して暴れ回る。力が尽きたら封印されての繰り返し。その在り方を内心では嫌がっていた。

 今では昼寝道に目覚め、人間界で伸び伸びと生活をしている。ある意味一番馴染んでいると言えるだろう。

 

「私は仕事をしながら有事に備え、新生バグラ軍の創設を進めるよ」

 

「この中で皇帝陛下と話せるのは私と薩摩本部長。新生バグラ軍の件は私達で進めるわ」

 

 薩摩&クダモン。リリスモン。彼らは“電脳現象調査保安局”の幹部であり、バグラモンと共に新生バグラ軍の創設に向けて動き出している。

 彼は“電脳現象調査保安局”の仕事をこなしつつ、デジタルワールドの情勢の緊迫化に伴い、有事に備えている。

 

「私はお寿司を握ったり、異世界を渡って情報を仕入れたりするわ」

 

 優衣はお寿司のネタを異世界から仕入れているが、これには理由がある。異世界での情勢や情報を仕入れ、幅広い見分を得る為。

 仕入れたネタをお寿司に使い、仕入れた情報を様々な部分で使う。何気に異世界に渡る能力は貴重なので、普段から積極的に使っている。

 

「僕とテイルモンは仕事に打ち込むしかないね。調査や研究に」

 

「これから何が起きるか分からないし……」

 

「それは私もですね。悪さをするデジモンを退治する。それが私に出来る事です」

 

「僕とアルトリウスさんが実働部隊だからしっかりしないとだな……」

 

「僕は……昼寝道を究めるだけだ」

 

「それじゃあ今日はここで解散だな」

 

 ウィザーモンとテイルモンは“電脳現象調査保安局”の調査・研究担当。様々な事を調査・研究している。いわば後方担当。しかし、どちらも究極体デジモンに究極進化出来る為、いざという時に戦う事も出来る。

 一真とアルトリウスは実働部隊。デジモンの事件を調査したり、“デジクオーツ”に入って戦闘を繰り広げている。

 “電脳現象調査保安局”の一員ではないベルフェモン。彼はマイペースに行きながらも、有事の時には協力すると言っている。

 交流会はここで一度解散となり、後は座談会に突入した。全員お寿司を食べながら弾けまくり、憂さを晴らしたと言われている。

 




LAST ALLIANCEです。最新話投稿しました。

今回の目玉は昼寝王ネルガメッシュことベルフェモン。
『デジモンセイバーズ』で登場した個体が転生したという設定ですが、昼寝道に目覚めた事で作中最強クラスの実力者になりました。
そして新生バグラ軍は第1章の終盤、最終決戦で実現します。

皆さん、よろしければ感想・評価の方よろしくお願いします。
あたたかい感想とか前向きなコメントや応援メッセージ、高評価を頂くと、作者のやる気が超進化します。

では次回をお楽しみに。LAST ALLIANCEでした!

次回予告

カオスデュークモンは対オメガモン用に1体のデジモンを造った。
そのデジモンがオメガモンに牙を剥く!
果たしてその正体は!?

第14話 混沌の騎士 カオスモン襲来
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