終焉の聖騎士伝説~オメガモンとなった青年の物語~   作:LAST ALLIANCE

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今年も残り数日で終わると思うと、何だか寂しくなってきました。
来週に投稿出来るにしても2話か3話が限界なので、今年中に第1章の完結は無理です。
来年の1月には完結できるかと思います。
今回は『デジモンクロスウォーズ 時を駆ける少年ハンターたち』からゲストが出演します。お楽しみに!


第16話 時を駆ける出会いと戦い

 “デジクオーツ”で大&アグモンと熱いバトルを繰り広げたオメガモン。彼らはその後、“電脳現象調査保安局”の何処かにある“寿司処 王竜剣”で夕食を取っている。

 カウンター席と座敷で構成されているシンプルな造りとなっている普通の寿司屋。冷蔵庫とショーウィンドウを兼ねたカウンターのガラスケースの中には、様々な寿司種が並べられている。

 カウンター席に座っているオメガモン、パラティヌモン、大、アグモン。彼らの目の前で優衣は寿司を握る。魚を包丁で捌き、シャリを握ってネタを上に乗せる。一見単純作業に見えるが、実際はとても繊細な作業。優衣の表情は真剣その物。

 オメガモン達は息を呑みながら、優衣の寿司を握る工程を見守る。職人服に身を包んだ彼女の手際は良く、熟練されている。つけ台と呼ばれる木製のカウンターに何個か寿司を置いていくと、順番にオメガモン達の目の前に置いていく。

 

「はい。お決まりの並です。大君とアグモンはこちらね」

 

『おお~!』

 

 目の前に置かれたお寿司を見て感嘆に満ちた声を上げるオメガモン達。彼らはセットメニューの“お決まり”の並盛りを注文した。

 何気にお寿司を食べるのは初めてのオメガモンとパラティヌモン。彼らは初めて目にする食べ物に目をキラキラ輝かせている。デジタルワールドでは決して食べる事のない食べ物だからだ。

 そんな2体の聖騎士に構う事なく、大とアグモンはお持ち帰り用の寿司桶に入っているお寿司を食べている。ちなみに4人前。普段から優衣の握るお寿司を食べている彼らだが、格別に美味しいらしく、何度食べても飽きないと絶賛している。

 

「頂きます……」

 

 恐る恐る右手で箸を取り、お寿司を挟んでワサビ醤油に付け、口に運ぶオメガモン。何回か咀嚼して飲み込んだ瞬間、世界が停止した。オメガモンの身体に衝撃が走ったからだ。

 半分残ったお寿司を口の中に入れ、ゆっくり咀嚼してから飲み込む。動作はとても単純。言葉にすればシンプル。しかし、オメガモンの中を“何か”が満たしていく。

 気が付けばオメガモンは泣いていた。知らない間に、頬を一筋の涙が伝っていた。オメガモン本人が戸惑う中、優衣は優しく答える。

 

「あれ、おかしいな……悲しくもないのにどうして泣いているんだろう?」

 

「美味しい物を食べれたから涙が出たと思うわ」

 

 思えば、生前はお寿司のような美味しい食べ物を口にした事がない。そもそも、食事をした事があるのかさえも怪しい所だ。

 人間となった事で、オメガモンは食べる喜びを知った。それは嬉しい事。楽しい事。命に感謝する事。“食”を通じてオメガモンはまた1つ勉強賢くなった。

 

「美味しいです、このお寿司は……」

 

「だろう? 優衣姉さんの握る寿司は天下一品だぜ!」

 

 アーサー王ことパラティヌモン。彼女もまた初めて食べるお寿司の美味しさに涙を浮かべていた。わさびの辛さは関係ない。彼女が生きた時代にはお寿司がなく、仮にあったとしても食べる事が出来なかった。

 大が満面な笑みを浮かべながら言い切る程、優衣が握るお寿司は美味しい。食べた皆を幸せにすると謳われている為、異世界からの注文がひっきりなしに来ている。

 なので優衣は嬉しい悲鳴を上げながらお寿司を握っている。とは言えど、アルファモンたる彼女はこの程度でへこたれない逞しい女性なのだが。

 

「魚を生のまま食べるという発想、お酢を効かせたご飯の上にのせる斬新な食べ方。わさびというスパイス……う~む、お寿司とは奥深いです」

 

「なぁ、パラティヌモン。俺は優衣姉さんから話は聞いていたけど、何か色々大変だったみたいだな……」

 

 大は優衣からパラティヌモンの事を一通り聞いていた。厄災大戦を終わらせる為に、アーサー王という人間からパラティヌモンというデジモンになった事。厄災大戦終了後、イグドラシルによって封印された事。

 彼女の過去に思う事があったのだろう。大はしんみりしたような表情をしている。パラティヌモンは言葉に頷きながら、ゆっくり答え始める。

 

「はい。今になって思い出すと、イグドラシルに振り回されたなと思います」

 

「イグドラシルが悪いとは言わねぇけど、俺の所でもちょっとあったしな……」

 

 パラティヌモンの言葉に頷きながら、大は複雑そうな表情を浮かべた。イグドラシルを殴り飛ばした彼だが、その経緯を辿れば悪いのは元々自分達人間。それでもデジモンとの絆を最後まで信じて神に勝利した。

 そのような経緯がある為、イグドラシルに振り回されたパラティヌモンにある種の感情を抱いた。同じイグドラシルに振り回された仲間として。

 

「確かにイグドラシルは行き場の無かった私を助け、デジモンにしてくれた恩があります。ですが、世界を滅ぼす厄災になるのなら、私は排除するだけです」

 

「そうか。つまりアーサー王としての生き方を貫き続けるつもりか……俺は良いと思うぜ? そういう生き方には憧れる」

 

 パラティヌモンは生前のアーサー王としての生き方を選んだ。善なる者を救い、悪しき者を倒す。それが誰であっても、彼女は考え方を曲げるつもりはない。例え相手が自分を救い、自分を造った神であっても。

 大は一度決めた生き方を貫かんとするパラティヌモンの強さを認めた。彼もまた一度決めた生き方を貫き通しているからだ。その後も“寿司処 王竜剣”では大達による雑談と談笑が続いていた。

 

 

 

 それから数日後。“電脳現象調査保安局”には2人のお客が来ていた。彼らは皆異世界からの来訪者。この世界の出身ではなく、別の人間界からやって来た。

 2人の人間に会っているのはオメガモンとパラティヌモン。普通であれば一真とアルトリウスの人間の姿で会っているが、今回は特別な事情でデジモンの姿となっている。

 と言うのも、今回来ている2人の人間はヒーロー。かつて人間界とデジタルワールドを襲った危機や戦乱を解決した英雄。しかし、彼らはまだ中学生。この時期は勉強やスポーツに打ち込んでいる。

 それでも世界を越えてやって来た。これには理由があった。それは彼らの沈鬱そうな表情を見れば少しずつ変わって来るだろう。

 

「俺、明石タギルって言います」

 

「ガムドラモンだ! よろしくな!」

 

 全体は茶色だが、前髪が赤い独特の髪色をし、額にゴーグルを掛けている少年。彼の名前は明石タギル。デジモンハントに勤しんでいるが、クオーツモンをハントした経験持ちの実力者。

 そんなタギルのパートナーデジモンはガムドラモン。額にX字の傷跡が刻まれ、上半身に赤い服を着て、背中に2枚の小さな翼を生やし、尻尾がハンマーの形をした紫色の小竜型デジモン。デジモン界のスーパースター、もとい王者を目指す、熱い心の持ち主。タギルとの仲は極めて良好。

 

「工藤タイキです。初めまして」

 

「聞きてぇか? 聞かせてやるぜ……デジモンキングの俺の名を! 俺の名はシャウトモン! てめえらのハートに刻んどきな!」

 

 茶色の髪をし、額にゴーグルを掛けている少年は工藤タイキ。デジタルワールドと人間界を救った英雄。クロスローダーを使い、デジモン達をデジクロスさせる事が出来る司令官(=ジェネラル)。デジモン達の間では伝説の存在として語られている。

 冷静かつ礼儀正しく挨拶をしたタイキとは対照的に、相手を威圧するように挨拶をしたのはタイキのパートナーデジモン。その名はシャウトモン。赤い小さな竜の姿をしているが、全身が傷だらけで、胸に装甲を纏い、腰にベルトを巻き、黄色いスカーフを首に巻いた“キング”の風格を漂わせている。

 

「私はオメガモンだ。よろしく」

 

「パラティヌモンと言います」

 

 オメガモンとパラティヌモンはビジネス的に簡単な自己紹介をする。そもそも、タイキ達と会って話を聞く事は彼らの仕事。

 実はタイキ達をこの世界に連れて来たのは優衣のおかげ。彼女は“デジクオーツ”に関する事や、何故“デジクオーツ”がこの次元でも出来たのかを知るヒントを得る為、タイキとタギルを人間界に連れて来た。彼女はと言うと、オメガモンとパラティヌモンの後ろに控えている。

 2体の聖騎士型デジモンが無意識に流している威圧感とオーラ。それを削減するように見守る優衣のおかげで、タイキ達は平静さを維持出来ている。

 

「遠い所をわざわざ来てくれてありがとう。してその用件は?」

 

「優衣さんから聞きました。この世界でも“デジクオーツ”があると。その原因は俺達にあるんです。だから俺達も協力したいと思って来ました」

 

 ―――やはりそうか。タイキ達がいるという事実と彼らの目的を重ね合わせたオメガモンは、内心予測通りだったと言わんばかりに目を細める。

 オメガモンは知っている。“デジクオーツ”を発生させている原因となっているクオーツモン。彼はデジタマとなってシャウトモンがデジタルワールドで保管していた。

 しかし、何者かによって奪取され、その時の戦いでシャウトモン達は敗北した。その事実は知っていたが、詳細までは知らない。今回はその詳しい部分を知るチャンス。そう確信し、質問をしてみる。

 

「話はこちらも知っている。クオーツモンのデジタマを奪われ、戦いにも負けた。だがこちらは詳しい事を知らない。詳しい事を話してもらえないか?」

 

「それは俺の口から話すぜ。そもそも俺がしっかりしていれば、こんな事にならなかった筈だ」

 

 シャウトモンはゆっくりと話し出す。クオーツモンのデジタマが奪われた経緯を。その内容にオメガモン達は真剣な表情をしながら聞いていく。

 切っ掛けはとある1体のデジモンがデジタルワールドに姿を現した事。彼はクオーツモンのデジタマが保管されている場所に侵入し、クオーツモンのデジタマを奪取する事に成功した。

 そこに駆け付けたのは『クロスハート』と『ブルーフレア』の連合軍。彼らがデジクロスをしようとした瞬間、彼らは異次元に幽閉されてしまった。その後に異次元が解除され、そのデジモンの姿がなかった。

 

「シャウトモン。貴方は何も悪くありません。あの時は相手に何もかも先手を取られました。そういう時もあります。割り切って前に進むしかありません。それに諦めてはいけません。貴方達はどんな時も諦めず、前に進み続けて来た。このまま立ち止まっていて良いのですか?」

 

「ヘッ、そうだなパラティヌモン。俺はデジタルワールドの“キング”だ。王様がしょげていたら、皆もしょげてしまう。前に進まねぇとだな!」

 

 シャウトモンがデジタルワールドの“キング”なら、パラティヌモンは聖騎士を統べる“聖騎士王”。同じ王様として思う事があったのか、彼女なりにシャウトモンを励ますと、シャウトモンは笑顔を初めて見せた。

 確かに同じ王様だが、シャウトモンよりパラティヌモンの方が風格がある。何しろ元々はかの有名なアーサー王だったのだから。

 

「タイキ殿、タギル殿。君達が戦ったデジモンはどういうデジモンだった?」

 

「え~と、四本の腕に背中には巨大なキャノン砲があって、その上にオーラみたいな物を纏っていたような……」

 

「確かミレニアモンと名乗ってましたね……」

 

「ミレニアモンだと!?」

 

 タギルの言葉から予感を感じてはいたが、タイキの言葉でその予感が現実の物となり、オメガモンは驚くしかなかった。

 “巡り会いの戦い(クロスウォーズ)”が起きたデジタルワールドでは、ミレニアモンの事は“古のデジタルワールドを暴虐のもとに支配した千年魔獣”として伝えられているが、同時に狡猾な知恵者だった事も合わせて伝えられている。

 ―――とんでもないデジモンが黒幕だったとは。全ての黒幕の正体が明かされ、ミレニアモンに危機感を抱いたオメガモン。表情を険しくさせていると、シャウトモンがある頼み事をして来た。

 

「オメガモン。俺から頼みがある。俺と手合わせしてくれ。俺達はミレニアモンに負けたけど、お前達なら勝てると信じている。俺は“キング”としてそれを確かめなければならない」

 

「おれっちからも頼むぜ! このまま負けたままじゃあ終われねぇ!」

 

 シャウトモンとガムドラモンの頼み。それはオメガモンとパラティヌモンと手合わせする事。しかし、2体のデジモンはそれぞれ違う意図でお互いに提案して来た。

 デジタルワールドの“キング”たるシャウトモン。彼はオメガモン達ならばミレニアモンを倒せると確信し、彼らを信じた上で試そうとしている。流石は王様と言ったところか。言葉には説得力がある。

 一方のガムドラモンはデジタルワールドのスーパースターを目指すと言う生き方から、今よりももっと強くなろうと努力している。彼らの願いは意図こそ違えど、純粋で否定されるような物ではない。

 

「分かった。ならば“デジクオーツ”で勝負しよう」

 

 シャウトモンとガムドラモンの思い。それを汲み取ったオメガモンは彼らと戦う事を決めると共に、“デジクオーツ”に場所を移す事を提案した。

 パラティヌモンが頷くと共に、シャウトモン達もまた頷いた。満場一致の可決となり、一行は“デジクオーツ”へと向かっていく。

 

 

 

 “デジクオーツ”。タイキ達曰く、“自分達の時と同じ”な異世界。そこに来たオメガモン達は早速模擬戦を始めようとしている。

 最初の対戦カードはタギル&ガムドラモンとパラティヌモン。口論の末に最初にバトルに挑むタギル&ガムドラモンと、オメガモンから譲られたパラティヌモン。戦いを始める前から早速対照的な両者だ。

 目の前の聖騎士を相手に闘志を燃やすタギル&ガムドラモンに対し、パラティヌモンの方は冷静沈着を貫いている。しかし、その内心では人間界とデジタルワールドを救った英雄と戦える事に歓喜し、剣気を滾らせている。

 

「さて始めましょうか」

 

「あぁ、行くぜガムドラモン!」

 

「応!」

 

 目の前にいるのは別世界のスーパーヒーローとその相棒。赤くつぶらな瞳を輝かせ、興奮を隠しきれないパラティヌモン。彼女の一言や言葉も同様に興奮を隠しきれず、今から始まる戦いを心から楽しみにしている。

 対するタギル&ガムドラモンが思い出すのはミレニアモンとの戦い。いや戦いとは呼べない。ミレニアモンが時空を圧縮して生み出した異次元に一時的に幽閉され、勝負をする事なく敗北したのだから。

 戦いに敗れたのならまだ分かる。自分達が力を出し切ったのだから。でもあの時は違う。力を出す前に負けた。相手の作戦とは言えどそれが歯がゆく、タギルは当時その事実を受け入れる事が出来なかった。

 タイキや天野ユウや最上リョウマ。色んな仲間のおかげで再びデジモンハントに挑めるようになった。二度と当時のような悔しくて惨めな思いをしたくない。その思いを胸に抱きつつ、タギルは自分のクロスローダーを懐から取り出す。

 

「ガムドラモン、超進化!!!」

 

「ウオオォォォォォォーーーーー!!!!」

 

 闘志を言葉に変えながらタギルが叫ぶ。それはガムドラモンを戦闘態勢にする為のキーワード。彼らの世界で言う超進化とは、“人間の感情が高ぶったとき、そのソウルパワーによりデジモンが進化する事”を指している。

 タギルの言葉と共に、雄叫びを上げるガムドラモンの身体を眩い光が包み込み、ガムドラモンの身体を書き換えていく。

 ガムドラモンの身体が大きくなり、全身に特殊ラバー装甲のバトルアーマーを着衣し、尻尾の先端に銀色の刃を付けた竜が姿を現した。現れたのはアレスタードラモン。ガムドラモンが超進化した姿。

 

「超進化!!! アレスタードラモン!!!」

 

 アレスタードラモンが両拳を握り締めながら構えを取る一方、パラティヌモンは両腰からパラティヌス・ソードを引き抜く。黄金の刀身の双剣。それがパラティヌモンの唯一の武装だが、それだけで充分。

 パラティヌモンが双剣を構えると同時に、アレスタードラモンが駆け出す。それを迎撃するパラティヌモンも一歩を踏み出した。

 

 

 

「『マッハフリッカー』!!!」

 

 先に攻撃を繰り出したのはアレスタードラモンの方からだった。力強い気合が籠もった雄叫びと共に、両腕をしならせながら怒涛のラッシュを繰り出していく。

 一撃だけで目にも止まらぬ速さで繰り出されている為、無数の残像を残している。更に、一発一発が必殺の領域に達している威力が込められている為、直撃すれば確実にダメージを受ける事が目に見えている。

 しかし、アレスタードラモンの猛攻をパラティヌモンは躱し続ける。攻撃の1つ1つを見切りながら、最小限の動きを以て。しかも涼やかな表情を浮かべている。

 

「アレスタードラモンの攻撃が当たらない!?」

 

「パラティヌモンは私より強いし、何より戦い慣れている。攻撃を当てて、ダメージを与えるのは少し厳しいぞ?」

 

「何て強ぇデジモンなんだ!」

 

 少し離れた所で見守るオメガモン達。アレスタードラモンの猛攻を軽やかな動きで躱していくパラティヌモンの姿にタイキは驚くが、彼女の強さを知っているオメガモンは当たり前のように答える。

 シャウトモンが視線を向ける中、パラティヌモンは『マッハフリッカー』を中断したアレスタードラモンとの間合いを詰める。そこから先程のお返しと言わんばかりに、パラティヌス・ソードから怒涛の連続斬撃を繰り出していく。

 オメガモンと戦った時は、聖騎士らしく優雅で鋭い斬撃を繰り出して来た。しかし、アレスタードラモンには彼の性格に合っている斬撃を繰り出していく。一発一発が相手を吹き飛ばす程の威力が内包されている。

 

「アレスタードラモン、一度体勢を立て直せ!」

 

「分かったぜ、タギル! 『フロッグショット』!!!」

 

 アレスタードラモンはタギルの指示を聞いて頷き、一度体勢を立て直す事にした。パラティヌモンの一瞬を突いて左横に跳んで唐竹斬りを躱し、尻尾と一体化した鋭い刃―テイルアンカーを振るう。

 迫り来るテイルアンカー。パラティヌモンが右手に握るパラティヌス・ソードを振るって弾いている間に、アレスタードラモンは後方に飛び退いて体勢を立て直すと共にパラティヌモンとの距離を空ける。

 

「喰らえ! 『スピンカリバー』!!!」

 

 アレスタードラモンは空高く跳躍すると共にテイルアンカーを巨大化させ、身体を一回転させながらテイルアンカーを振り下ろす。

 上を見て襲い掛かる巨大化したテイルアンカーに気付いたパラティヌモン。彼女が行った行動は右手に握るパラティヌス・ソードを翳す。たったそれだけの行動だが、テイルアンカーを受け止めた。

 オメガモン以外の誰もが驚愕で目を見開く中、パラティヌモンは表情を変える事なくパラティヌス・ソードを振り下ろし、アレスタードラモンを墜落させる。

 

「グァッ!!」

 

「立て。勝負はここからだ」

 

 地面に叩き付けられた衝撃と苦痛に表情を歪めるアレスタードラモン。彼を見下ろしながら、パラティヌモンは左手に握る聖剣の剣先を突き付ける。

 左腕で聖剣を払いのけ、アレスタードラモンは立ち上がる。その目に燃え上がる闘志は全く衰えていない。むしろ更に昂っていく。

 

「行くぜパラティヌモン! 『プリズムギャレット』!!!」

 

「『ロイヤルストレートスラッシュ』!!!」

 

 アレスタードラモンは身体を一回転させながら光を纏い、無数の光の竜となりながらパラティヌモンに向けて突進を開始する。

 対するパラティヌモンは左手に握るパラティヌス・ソードを鞘に戻し、両手で聖剣を握ると共に刀身にエネルギーを流し込み、刀身から眩い黄金の光を伸ばす。

 右足を一歩踏み込むと共に、大上段に掲げたパラティヌス・ソードを一気に振り下ろして光の斬撃を放った。

 真正面から激突し、お互いを喰い破ろうとせめぎ合う2つの必殺奥義。無数の光の竜と光の斬撃。お互いに全力を込めた途端、2つの巨大な力が反発し合うように、眩い光が満ち溢れながら超爆発を引き起こした。

 咄嗟にオメガモンが背中に羽織っているマントでタイキとシャウトモンを守る程、その超爆発は凄まじかった。爆炎と黒煙が周囲一帯に拡散され、破壊を撒き散らす衝撃波がオメガモン達に襲い掛かった程だったから。

 眩い光が止み、超爆発の影響が収まると、自然に黒煙と爆炎も消えていく。その中から現れたのはパラティヌス・ソードを振り下ろしたパラティヌモンと、地面に倒れているガムドラモンだった。

 

「良き勝負でした。貴方の名前と力、しかと覚えます」

 

「負けちまったけど、お前との勝負楽しかったぜ!」

 

 パラティヌス・ソードを腰の鞘に戻しながらパラティヌモンが微笑むと、それに釣られてガムドラモンも笑顔で答える。

 戦いを近くで見ていたタギルだけでなく、少し離れた所から見守っていたオメガモン達も思わず笑顔にする程、パラティヌモンとガムドラモンは爽やかで清々しい笑顔を浮かべていた。

 

 

 

「それじゃあ次行くか」

 

「あぁ、行こう」

 

 パラティヌモンとガムドラモンの激戦の次は、オメガモンとタイキ&シャウトモンの戦い。彼らは前に進み、お互いに向き合う。

 シャウトモンは“デジモンキング”としてオメガモン達を見極める為に、オメガモンは“デジモンキング”と戦う為に。

 タイキが自分のクロスローダーを懐から取り出して叫ぶと、シャウトモンは雄叫びを上げながら超進化を開始する。

 

「シャウトモン、超進化!!!」

 

「ウオオォォォォォォーーーーー!!!!」

 

 シャウトモンの身体が大きくなると共に全身が黄金に輝き、キレのあるシャープで流麗な身体つきとなった。シャウトモンの未来の姿であり、超進化したその名前はオメガシャウトモン。

 その姿を目にしたオメガモンの『電脳核(デジコア)』が鳴動する。別個体だが、“巡り会いの戦い(クロスウォーズ)”で自分のデータの一部を受け継いだシャウトモンと同じ『波動(コード)』を感じたようだ。

 

「超進化!!! オメガシャウトモン!!!」

 

―――なぁオメガモン。あいつは君の力を引き継いだデジモンなんだろう? だったら先輩として見せてやろうぜ、君の力を。余計な物は全部取り外すから、好き放題暴れてくれ。

 

 自分の力や『波動(コード)』を受け継いだデジモン。そのデジモンに会えただけでなく、戦う事が出来る。その喜びを感じているのか、或いは同じ『波動(コード)』に共鳴しているのか。

 どちらにせよ、分かる事がある。オメガモンにとってこの戦いは運命であると。一真もそれを感じ、リミッターを解除して全力で戦う様に促した。

 これで最大出力となったオメガモン。その証に空色の円らな瞳から眩い光が放たれ、そのままの状態でオメガシャウトモンとのバトルを始めた。

 

「俺から行くぜ! 『ヘビィメタルバルカン』!!!」

 

 アレスタードラモンとパラティヌモンの戦い同様に、先手は『クロスハート』の2人のパートナーデジモンが取った。

 オメガシャウトモンは溢れ出る程の友情への情熱を火力に変え、黄金の弾丸をオメガモンに向けて連射していく。

 敵を寄せ付けない鉄壁の弾幕でありながら、直撃したら瞬く間に蜂の巣に変える連続砲撃。オメガモンは左腕から出現させたグレイソードを横薙ぎに一閃し、『ヘビィメタルバルカン』をオメガシャウトモンに向けて跳ね返す。

 

「グオォォォッ!!!!!」

 

 咄嗟に両腕を交差して防御態勢を取るオメガシャウトモン。跳ね返って来た『ヘビィメタルバルカン』に耐えているが、流石に自分の攻撃を跳ね返して来る事は予測していなかった。

 爆炎と黒煙に包まれながら、驚愕と苦痛の表情を浮かべるオメガシャウトモン。その間にオメガモンは右腕からガルルキャノンを展開し、一瞬の溜めを置いてから青色のエネルギー弾を撃ち込む。

 『ヘビィメタルバルカン』に耐え切ったオメガシャウトモンに、オメガモンが撃ち出した青色のエネルギー弾が襲い掛かる。それに気付いたタイキが叫ぶと、オメガシャウトモンは砲撃を睨む。

 

「オメガシャウトモン!」

 

「分かってる!」

 

 オメガシャウトモンは砲撃をかき消そうと右腕を振るうが、右腕とエネルギー弾がぶつかり合ったその瞬間、エネルギー弾に内包されていた膨大な量の破壊エネルギーが、炸裂すると共に爆裂した。

 無数の小型エネルギー弾となり、あらゆる方向から襲い掛かっていく炸裂弾。オメガシャウトモンに直撃する度に凄まじい破壊を撒き散らしていく。

 

「グアアアァァァァァァァァッ!!!」

 

「オメガシャウトモン!」

 

 苦痛の表情を浮かべるオメガシャウトモンが、爆炎と黒煙の中に姿を消していく中、オメガモンは『聖突』の構えを取り、オメガシャウトモンに向けて突進を開始する。

 爆炎と黒煙を貫くと共に、オメガシャウトモン目掛けてグレイソードを突き出すが、オメガシャウトモンはグレイソードを両手で受け止めた。

 引き剥がそうにもオメガシャウトモンが力を込めている為、そう簡単には引き剥がす事が出来ない。勝ち誇るオメガシャウトモンが全力でオメガモンを投げ飛ばすとすると、先にオメガモンが仕掛けた。

 上半身を限界まで捻り、その状態から零距離で強烈な威力の『聖突』を放った。これがオメガモンの奥の手、『聖突・零式』。胸部に喰らったオメガシャウトモンは吹き飛ばされるしか出来ない。

 

「これがオメガモンの力……」

 

「王様が一方的に……」

 

 オメガモンの圧倒的な力を見ているタギルとガムドラモンが言葉を失う。パラティヌモンは腕組みをしながら戦いを見守る。

 オメガシャウトモンより強く、それどころか勝負になっていない。オメガシャウトモンが繰り出す攻撃は届かない。逆にオメガモンの攻撃はオメガシャウトモンに確実にダメージを与えていく。

 地面に叩き付けられて倒れ伏せたオメガシャウトモンは立ち上がり、両手を胸の前で合わせながら勇気の情熱を火炎弾に形成し、オメガモンに向けて放つ。

 

「『ハードロックダマシー』!!!」

 

 放たれた勇気の火炎弾に目を向けながら、オメガモンは横薙ぎにグレイソードを構え、居合抜きの如く薙ぎ払う。

 『ハードロックダマシー』は瞬く間にかき消されたが、先程の攻防でオメガシャウトモンは自分の攻撃はオメガモンに通用しない事に気付いていた。今の一撃はオメガモンの注意を逸らす為の囮に過ぎなかった。

 オメガモンとの間合いを素早く詰めながら、高く跳躍すると共に闘志の情熱を込めて黄金の刃に形成していく。

 両足から鋭いキックを放ちながら黄金の斬撃を繰り出すも、弓を引き絞る構えの参の型を取ったオメガモンはグレイソードを降り抜き、『ビートスラッシュ』を受け流す。

 

「『ビートスラッシュ』!!!」

 

 更にガルルキャノンの照準を合わせてエネルギー弾を撃ち込まれるが、オメガシャウトモンは『ヘビィメタルバルカン』を放って相殺し、後方に危なげなく着地しながら体勢を立て直す。

 息を上げながら表情を険しくさせるオメガシャウトモンに対し、オメガモンは表情を一つも変えずにグレイソードを構え直す。

 

「やっぱ強ぇな……デジタルワールドの正義の意志を守護する騎士団の一員だけあるぜ」

 

「……そうか。君達の世界の私はそういうポジションなのだな。生憎だが、私はホメオスタシス様に仕え、デジタルワールドの自由と平和を守る『聖騎士団(ロイヤルナイツ)』の一員だ」

 

「成る程な。世界変われば色々違うって訳か。戦ってみて分かったぜ。俺はお前より弱ぇ。今までずっとタイキや皆に助けられてここまで来た。けどよ、俺は信じている。今は弱くてもいつかは強くなれる。仲間の可能性を、自分の可能性を信じているから。それが真のキングだ!」

 

 オメガモン相手に啖呵を切るオメガシャウトモン。何度も攻撃を喰らったものの、黄金の輝きは相変わらずだ。オメガモンから授かった力、『Omega-Gain-Force(オメガ・イン・フォース)』を全身に纏っているからだ。

 伝説の“進化”を与えられて手に入れたこの姿。その力を与えたのは目の前にいるオメガモン。そのデジモンに無様な姿は見せられない。

 

「行くぜオメガモン! 『オメガ・ザ・フュージョン』!!!」

 

―――もっと渡すから使ってくれ。まだまだ行けるだろう?

 

「あぁ。束ねるは太陽の火炎。全てを消し去る灼熱の奔流。喰らえ、『転輪する勝利の聖剣(グレイソード)』!!!」

 

 オメガシャウトモンは全身に『Omega-Gain-Force(オメガ・イン・フォース)』の力を引き出したオーラを身に纏い、凝縮させながらオメガモンに向けて放つ。

 対するオメガモンはグレイソードを横薙ぎに構え、刀身の内部に極限まで凝縮した太陽の火炎を抜刀すると共に解き放ち、灼熱の奔流として放った。

 激突する2つの必殺奥義。オメガモンの姿をしたオーラと灼熱の奔流。お互いを打ち破ろうとせめぎ合うが、一真のバックアップを受けたオメガモンに軍配が上がった。

 灼熱の奔流はオメガモンの姿をしたオーラを呑み込み、そのままオメガシャウトモンを焼き尽くしていった。

 オメガモンが両手の武器を戻すと共に灼熱の奔流が消え去ると、そこには退化して地面に倒れ伏せているシャウトモンがいた。

 

「シャウトモン、大丈夫か!?」

 

「平気だ。……ちょっと最後のはヘヴィーな攻撃だったけどよ」

 

 心配そうにタイキが駆け寄るが、シャウトモンはタイキを元気づけるように笑顔を見せる。流石はオメガモンのデータの一部を受け継いだだけはあるみたいだ。冗談を言えるのだから。

 シャウトモンはオメガモンとのバトルを通じて何かを学んだようだ。一方的にやられただが、それが逆にシャウトモンを刺激させた。何しろ、相手は自分と関りのあるオメガモンだったからか。

 

「楽しかったぜ、オメガモン。お前達ならクオーツモンを、ミレニアモンを倒せる。俺はそう思った。だって“デジモンキング”の俺を倒したんだからな!」

 

「ありがとう。そう言われたからには負けられないな」

 

 シャウトモンはゆっくりと立ち上がり、オメガモンと握手しながら激励の言葉を贈った。その言葉にオメガモンは苦笑いを浮かべた。

 クオーツモンとミレニアモンは強敵だ。これから戦う強敵を倒せると言われた以上、倒すしかなくなる。しかも言った相手が“デジモンキング”というおまけ付き。これには重圧を感じるしかない。

 

「では俺達はそろそろ帰ります。親に心配かけさせたくないので……」

 

「そうだな。気を付けて帰るんだよ?」

 

 そろそろ頃合いだ。そう悟ったタイキは自分達の世界に帰る事を言い出すと、オメガモンは優しい表情となった。

 今回の出会いと戦いは運命とも言えた。本来であれば有り得ない出会いと、対戦が出来たのだ。結果はどうであれ、お互いに満足する事が出来た。

 

「そっちの世界でも頑張って下さい。また会える気がしますが、その時は今よりも強くなって下さいね?」

 

「あぁ。その時は今回の借りを返してやるぜ!」

 

 再戦の約束をして別れた一行。オメガモンとパラティヌモンは異世界の英雄と戦えた事に歓喜を覚えながら、改めてこれから待ち受ける戦いに負けられないと心を引き締め、今よりも強くなる事を誓う。

 彼らは知らない。この後に待ち受ける最終決戦で、『クロスハート』の面々と共闘する事になる事を。それはまた別の話となる。

 




 久し振りにデジモン小説を書いていて思いました(=『Pixiv』では以前に別の小説を書いていました)が、当時より文章力こそ上がりました。そこは良い所です。
 でも書いていて、もう少し濃密な描写を書けるようになりたいです。特に戦闘描写で思いました。何というか同じような文章が続いてしまうので、そこは課題だと思います。
 なので他の作者様の小説を読んで勉強したり、『小説の書き方』みたいな講座(?)を見てもっとより良い小説を書けるようになりたいです。今は無理でも、いつかは出来るようになります。

 今回はポイントが幾つかありますが、先ずはクオーツモンを復活させた犯人が明らかになりました。秋山遼と因縁のあるミレニアモン。でもオリジナル設定の別個体です。
 クオーツモンのデジタマを奪い、復活させた目的は第1章で話せるかどうかは今の所分かりませんが、ラスボス予定なのでその所はしっかり考えます。

 続いてシャウトモンとガムドラモンのバトルですが、超進化したオメガシャウトモン&アレスタードラモンは完全体の設定にしています。あれで究極体だったらインフレが凄い事になります(汗)
 大体クロスウォーズで初登場したデジモンを世代に当てはめようとすると、色々と難しいんですよ……皆さんはどう思いますか?

皆さん、よろしければ感想・評価の方よろしくお願いします。
あたたかい感想とか前向きなコメントや応援メッセージ、高評価を頂くと、作者のやる気が超進化します。

では次回をお楽しみに。LAST ALLIANCEでした!

次回予告

人間界に来てから企業の社長をしているベルゼブモン。
”デジクオーツ”に来た彼と一真の前に、因縁の相手が現れる。
果たしてそのデジモンは一体誰なのか!?

第17話 因縁を断ち切れ! ベルゼブモンが行く!
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