終焉の聖騎士伝説~オメガモンとなった青年の物語~   作:LAST ALLIANCE

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思っていたより早く最新話が完成したので投稿させて頂きます。
タイトルの通りアルフォースブイドラモンが登場しますが、このアルフォースブイドラモンは一体どういう個体なのか。タイトルと元ネタ知っている人は分かるとは思いますが。

最近は色んな作者様の小説を読んで勉強をしていますが、思った事が1つ。
「土俵が違う」と。殆どの作者様は原作の流れに沿いながら話を書いています。
その分書きやすいですし、内容も詰め込めます。
こっちは全て話を作らないとだから大変。内容の濃さが違うんだな~と思いました。
でもオリジナルで面白い話を書いている人がいるので、その辺はやっぱり実力が物を言うと思います。

でも皆さんが面白いと思えるようなお話をこれからも書きますし、文章の方も向上していけるよう努力しますので、どうぞよろしくお願いします!



第18話 盟友との再会 アルフォースブイドラモン

 “電脳現象調査保安局”の訓練室。究極体デジモンが死力を尽くせるように最新最強の補強がされているこの部屋で、模擬戦が始まろうとしている。

 今回の模擬戦は3対3のチーム戦。個人戦ではなく団体戦。ストリートバスケのような感覚に近いが、訓練室の端にはサッカーゴールが置いてある。そのサッカーゴールの前に、3体ずつ、合計6体のデジモンが立っている。

 

「では始めましょうか」

 

「あぁ、いつでも良いぞ?」

 

 パラティヌモン、テイルモンが究極進化したオファニモン、クダモンが究極進化したスレイプモンの『アーサー王』チーム。オメガモン、アルファモン、ウィザーモンが究極進化したメディーバルデュークモンの『聖騎士団(ロイヤルナイツ)』チーム。

 これは鬼ごっこや缶蹴りといった遊び、3on3やフットサル等のスポーツを参考にした模擬戦。何れ来るであろう“デジクオーツ”での決戦や、イグドラシルとの対戦に備えた集団戦となっている。全員の表情が真剣となっている。

 ルールは幾つかある。制限時間は1時間半。40分になった所で10分間休憩。その間に作戦会議は可能。訓練室という密閉されている場所である為、もちろんの事ながら飛行は禁止。

 勝利条件も幾つかある。制限時間内までサッカーゴールの手前に置いてあるボールを守り抜く事。相手チームを全滅させる事。制限時間以内にサッカーゴールの中にボールを入れる事。相手チームより多くのメンバーが健在である事。

 そして特別ルール。戦闘不能になる目安として、全員の胸に圧力センサーが取り付けられている。これが一定の数値になると、曲が鳴るようになっている為、例え戦闘可能でもリタイア扱いにされる仕組みだ。両チームは戦力に若干の偏りこそあるが、ルールによってそれが緩和されている。

 

「スタート!」

 

 リリスモンの合図で模擬戦が始まった。先制攻撃を繰り出したのは『アーサー王』チームの方から。狙う対象はサッカーゴールを守るように立つオメガモン。3体の中で一番厄介なオメガモンを先に潰してしまおうという作戦。発案者はリーダーであるパラティヌモン。

 アルファモンとメディーバルデュークモンも十分厄介なのだが、未来予測が出来、パワーと攻撃力が高いオメガモンが一番厄介。そう考えたパラティヌモンは最初に一斉攻撃を繰り出す事で、出鼻を挫こうと考えた。

 

(成る程……先に私を潰しに来たか。その考えや良し。だが甘い!)

 

 オメガモンは『聖騎士団(ロイヤルナイツ)』チームのリーダー。自分が真っ先に狙われる事も当然想定済み。パラティヌモンの性格を理解しており、『Omega-Gain-Force(オメガ・イン・フォース)』でも予測済みだった。

 左腕を横薙ぎにして構えながらグレイソードを出現させ、迎撃態勢を瞬時に取るオメガモン。最初に飛来した灼熱の光矢を聖剣の一閃で四散。その状態からグレイソードの刀身から太陽の火炎を発し、続けて放たれた五個のクリスタルの結晶を焼き尽くす。

 オメガモンのディフェンスはまだ止まらない。右腕を軽く振るってガルルキャノンを展開し、最後に放たれた黄金の聖光を青いエネルギー弾で相殺させる。

 この一連の動作は流れるようにスムーズであると同時に、自然な動きだった。完全に予測済みだったのか、或いは身体が自然と動けたのかまでは分からない。

 

「これが今のオメガモンの力……前世の頃に大分近付いています」

 

「流石に厄介だが、我々の担当ではない」

 

 悠然と立つオメガモンを見たオファニモンは気付いた。聖騎士の力が前世の頃に戻りつつあると。先ずは前世の頃の強さに戻す事が自分達に課せられた使命。それをホメオスタシスから事前通達されていた。

 スレイプモンは自分のいたデジタルワールドのオメガモンの強さを思い出し、同意するように頷く。流石に異常過ぎる強さではなかったが、他のメンバーより頭一つ抜けている強さがあった。

 オメガモンの相手は彼らではない。パラティヌモンが相手をする事になっている。彼らの相手は接近して来たアルファモンとメディーバルデュークモン。

 

「私がメディーバルデュークモンの相手をするので、アルファモンをお願いします」

 

「その方が良いだろう。分かった」

 

「そうはさせないぞ? “冷気の嵐よ、吹き荒れろ”! 『ブリザードトルネード』!!!」

 

 『アーサー王』チームの作戦。先制攻撃で相手チームの出鼻を挫き、それぞれ1対1の戦闘に持ち込んで各個撃破していくスタイル。先制攻撃から立ち直っている間の奇襲が要だったが、オメガモンによって挫かれた為、第二段階に移行。

 1対1の戦闘に持ち込んで各個撃破しようとするが、それをアルファモンが阻止する。水色の魔法陣を描き、呪文を詠唱して冷気と氷で出来た竜巻を放つ。

 完全詠唱。呪文を詠唱しないで放つ“詠唱破棄”に比べて時間がかかるが、その分威力が上昇する。これでもアルファモンの中では初級魔術だ。

 

(こっちの作戦を予測した上での行動ね。2対2の戦闘に持ち込むつもりなら……こっちだって!)

 

 『聖騎士団(ロイヤルナイツ)』チームの戦術は『アーサー王』チームとは正反対。先にオファニモンとスレイプモンを戦闘不能に追い込み、総力戦でパラティヌモンを潰すという作戦。

 それに気付いたオファニモンは2個のクリスタルを召喚し、2つの冷気と氷で出来た竜巻に向けて放つ。クリスタルは『ブリザードトルネード』を粉々に粉砕するが、周囲一帯に氷が弾け飛ぶと共に、冷気が充満していく。

 

「やってくれるな……最初からそのつもりだったのか」

 

 スレイプモンも『聖騎士団(ロイヤルナイツ)』チームの戦術に気付いて表情を険しくさせるが、直ぐに攻撃を放つ。

 左腕に装備している聖弩ムスペルヘイムと、右手に持っている聖盾ニフルヘイムを構えると、スレイプモンは聖盾ニフルヘイムを地面に打ち付ける。

 

「オメガモン直伝! 『ダブルトレント』!!!」

 

「クッ!!」

 

「そう来たか!」

 

 一直線に放たれたのは極低温のブリザード。続いて聖弩ムスペルヘイムが打ち付けられ、地面を這う灼熱の光が放たれる。所々違いはあるものの、オメガモンが得意としている奥義『ダブルトレント』だった。

 氷と炎の二重攻撃。それをアルファモンは魔法陣を展開して防ぐ。メディーバルデュークモンの目の前にもう1つの魔法陣を展開するのも忘れていない。

 『ダブルトレント』を魔法陣で防ぎきったが、これで終わりではない。2つの魔法陣が眩い輝きを放ち、同時に中心から光の波動が放たれる。

 

「『フォトン・グレネイド』!!!」

 

 『フォトン・グレネイド』。魔法陣で相手の攻撃を吸収し、集束・増幅して撃ち返す攻防一体のアルファモンのカウンター奥義。

 まさかのカウンターに驚きながらも、オファニモンとスレイプモンは躱した。今回の模擬戦は相手の攻撃を防御してはいけない。防御すれば、衝撃が伝導して圧力センサーが反応するからだ。だから迎撃・回避の二択しか選ぶ事しか出来ない。

 

「聖剣グレイダルファー、召還!!!」

 

 アルファモンは魔法陣の中心に突き刺さった光の収束を抜き、メディーバルデュークモンは右手に握る魔槍デュナスを構える。

 彼らはオファニモンとスレイプモンとの2対2の戦闘を開始させた。お互いに相手チームを戦闘不能に追い込み、残る1体を潰す事だけを考えながら。

 

 

 

「貴方の相手はこの私です」

 

「かかって来い」

 

 ボールを守るオメガモンの前に姿を現したパラティヌモン。両手にパラティヌス・ソードを握り締め、今にも斬り掛からん勢いだ。対するオメガモンは悠然と構えている。

 オメガモンという強敵を突破してみせる。今からそれを証明して見せる。その思いを証明するように、パラティヌモンは右手に握るパラティヌス・ソードの剣先を突き付け、オメガモンに向けて突進していく。

 先手必勝と言わんばかりに背中の翼の形をした推進機を稼働させ、光の翼を展開しながら得意としている近接戦闘に持ち込む。突進の勢いを乗せながら。右手に握るパラティヌス・ソードを振り下ろす。

 一撃でも必殺奥義級の威力を誇るパラティヌモンの攻撃。それを受ければ圧力センサーが反応し、かなりの数値が出てしまう。しかし、それは真正面から防御した場合。真正面から斬り合えなければ、弾いたり、受け流してしまえば良い。

 戦いとは常に全力でぶつかり合う事ではない。時には少ない力を駆使して効率よく勝利を勝ち取る状況も求められる。

 

「成る程。ですが甘い!」

 

 パラティヌモンが振り下ろしたパラティヌス・ソードを、グレイソードを左斜め上にかけて振り上げて受け流す。聖剣は弾かれ、オメガモンの身体に多少の衝撃が走るが、それを根性で押し切る。

 しかし、それを予測していないパラティヌモンではない。弾かれた勢いを使って右足を支点にしながら踏み止まり、左手に握るパラティヌス・ソードを横薙ぎに一閃する。

 オメガモンは左斜め上から右斜め下にかけてグレイソードを振り下ろし、袈裟斬りを繰り出して聖剣を地面に叩き付けた。その時に生じた衝撃がパラティヌモンの左腕に伝わり、圧力センサーに数字が出てしまう。

 それでもパラティヌモンは攻撃を繰り出す。右手に握るパラティヌス・ソードを逆手に持ち替え、刀身を叩き付けるように聖剣を振り下ろした。

 

「グァッ!?」

 

 咄嗟に左肩のブレイブシールドΩで防御したオメガモンだったが、ボールの直ぐ近くにまで後退してしまう。それ程までに今の斬撃には強烈な威力が込められていた。

 構えを取り直すオメガモンは圧力センサーを見ると、そこには決して少なくない数値が出ている。後数発喰らえば戦闘不能扱いとなってしまう。攻撃を喰らう前に、戦闘不能に追い込まれるよりも前に勝負を決める必要がある。

 

―――流石だなパラティヌモン。近接戦闘では右に出る者はいないな。

 

 改めて盟友の強さに感嘆するオメガモンだが、ここで止まる訳には行かない。前世の頃の力を取り戻している事、タクティモンとの稽古、一真との一体化といった様々な要素により、着実に力を増している。

 それでも実力自体はパラティヌモンの方が格上だ。厄災大戦を終わらせた英雄であり、アーサー王でもある“聖騎士王”。しかも本領を見せていない。それでもオメガモンは闘志を燃やし、グレイソードを構える。

 

「『ロイヤルストレートスラッシュ』!!!」

 

 パラティヌモンはパラティヌス・ソードを構えると共に、刀身にエネルギーを注ぎ込んで眩い黄金の光を伸ばしながら、オメガモンを攻撃する。

 あらゆる守りを消し去り、あらゆる敵を薙ぎ払う一閃。アーサー王が振るった聖剣の光を思わせる輝きが放たれる。

 対するオメガモンは左手に力を込め、ウォーグレイモンの頭部を象っている籠手の目の部分を輝かせる。これで左腕に宿るウォーグレイモンの力が連動し、刀身を伸ばす事が出来るようになった。

 刀身から発する太陽の火炎を伸ばし、黄金の光を呑み込みながら焼き尽くす。あらゆる概念を焼き尽くし、万象一切を灰塵にする太陽の火炎。それをパラティヌス・ソードで両断し、パラティヌモンは双剣を十文字に構える。

 

―――流石ですね、オメガモン。かつての貴方は“最強の聖騎士”。益々戦うのが楽しみになって来ました。ですが、私はアーサー王。“聖騎士王”の称号にかけて、負ける訳には行きません!

 

「『ロイヤルストレートスラッシュ』!!!」

 

 全身が眩い光に包まれながら、パラティヌモンは一筋の閃光となって突進する。それは眩い星の光であり、黄金の輝きを放っている。

 『ロイヤルストレートスラッシュ』。それはパラティヌモンが誇る必殺奥義。刀身から光を放つパラティヌス・ソードで相手を斬り伏せる。しかし、パラティヌモンは聖剣を振るって光を撃ち出すのと、自分が光となって相手を両断する2種類の新しい型を編み出した。

 封印される前の活躍、厄災大戦ではパラティヌス・ソードだけで戦場を渡り歩いていた彼女ならではのアイディアだ。1つの必殺奥義を極めた“聖騎士王”。

 

「ならば……『運命られた勝利の聖剣(グレイソード)』!!!」

 

 オメガモンは新たなる必殺奥義で迎え撃つ。刀身から発していた太陽の灼熱を刀身の内部に極限まで凝縮させ、グレイソードの刀身を橙色に輝かせる。

 これが運命られた勝利を掴み取る為の聖剣。刀身に触れた物全てを太陽の灼熱で消し去る最強の聖剣が、目の前から迫りくる黄金の閃光と激突する。

 吹き飛ばされたのはパラティヌモンの方だった。吹き飛ばされ、地面に叩き付けられたと共に圧力センサーから音が鳴り、彼女が戦闘不能に陥った事を全員に知らせた。

 それと同じ頃、スレイプモンとオファニモンも倒された。これにより、『聖騎士団(ロイヤルナイツ)』チームの勝利が確定した。

 

 

 

「オメガモンは前世の頃の力が戻ってきているわね」

 

「いや……皆の方が凄いよ」

 

「私も自作の剣以外の武器を使わないと勝てなくなりましたね……」

 

 模擬戦の終了後、全員集合の反省会が行われる。オメガモンの力が戻っている事が一番の収穫だが、パラティヌモンの弱点が少し見えた。

 単純ゆえに極めれば至高を体現するかのように高い戦闘力を発揮しているが、装備面で言うと、他の聖騎士型デジモンと同水準であり、特殊能力持ちのオメガモンやアルファモンに劣る部分がある。

 しかし、まだ明らかになっていない所もある為、何らかの特殊能力を隠し持っている可能性も無きにしも非ずだ。

 

「でもオメガモン……身体の方は大丈夫か? “デジモン化”の進行が気になるけど」

 

「一真殿の話によると、髪の色の変化はないらしい。だが……目に見えない変化が訪れているらしい。物や景色を見た時に脳内に伝達される情報量が多くなったと」

 

「感覚や動きがオメガモンに近付いているという事……ですね?」

 

「あぁ、徐々にオメガモンに近付いてきている。目に見えない形で」

 

 “デジモン化”。デジモンとなった人間にのみ発生する現象。デジモンの能力を行使した事による肉体面・精神面に訪れる変化。力を使えば使う程“デジモン化”は進行し、最終的には人間として死を迎え、完全なデジモンになってしまう。

 髪や瞳の色が変わる等の目に見える変化はないが、目に見えない形で“デジモン化”の進行が進んでいる。

 

「今度はメンバーを変えようか」

 

「そうだな。そうしよう」

 

 このようなタイプの模擬戦は非常に効果的で実戦的。お互いの実力を知った上で、どのように戦っていくのか。それによって戦略や戦術、連携を養っていくのだから。もちろん自分の力を鍛える為にも。

 特に普段は事務仕事をしているテイルモン、ウィザーモン、クダモンにとってはこのような実戦的な模擬戦は有り難い。何しろ前線に立つ機会がない為、戦いの勘を忘れがちになるからだ。

 

 

 

 それから数日後。南方のとある島でデジモンの強大な『波動(コード)』が探知されたという報告を受け、一真は単身南方のとある島に赴いて調査活動を始める。

 一真が訪れたその島は観光に適してはいるが、旅行するにはかなり高額な島。島に到着すると共に、“デジクオーツ”に入った一真。その風景を見た彼は驚くしかない。

 日本だけしかないと思われていた“デジクオーツ”。それが外国にもあるという事が。どうやら世界規模の問題になっている。

 

(“デジクオーツ”はもう世界中に広がっている……世界各国でデジモンが暴れ出す日が近いうちに来るのか!?)

 

―――来たな、デジモンの力を秘めた人間よ。

 

 一真が一人危機感を募らせていると、突然脳内に若い男性のような声が聞こえて来た。それと共に、一真の目の前に1体のデジモンが姿を現した。

 胸にV字の形をしたアーマーを装備していて、“ブルーデジゾイド”製の聖鎧で全身を覆い包み、背中に巨大な蒼い翼を生やして、両手首に腕時計のようなアイテム―Vブレスレットを装備した聖騎士型デジモン。その名前はアルフォースブイドラモン。オメガモンと同じく、『聖騎士団(ロイヤルナイツ)』の一員。

 

「アルフォースブイドラモン……お前は……いや君はまさか!」

 

「久し振りだね、オメガモン……いや今は八神一真と呼ぶべきか」

 

 あまりにも懐かしい『波動(コード)』を感じ、動揺している八神一真。その様子を見て微笑みながら、アルフォースブイドラモンはかつての盟友に話し掛ける。

 かつてホメオスタシスが予言した“赤黒の双頭竜(=ミレニアモン)”の侵攻を防ぐ為に捜索活動をしていたが、突如現れたバグラ軍との戦いで敗北した。デジタルワールドの崩壊に巻き込まれた時に人間界に飛ばされてしまい、帰れなくなってしまった。

 人間界の瓦礫の中でひっそりと暮らしていた時、タイキと出会ったのだが、“蛇鉄封神丸”に込められた瘴気によって修復能力を阻害され、タクティモンとの戦いで受けた両目の傷が癒えていなかった。要は失明状態だった。

 『聖騎士団(ロイヤルナイツ)』に加入して日が浅いのか、それとも性格なのか、師匠や聖騎士といった肩書にあまり慣れていない。弟子達から威厳を出すように一人称を“私”と直されているが、本来の一人称は“ボク”。過去にパートナーとデジタルワールドを周り、一度や二度世界を救った事がある。外見に寄らず、意外と子供っぽさがある。

 

「久し振りだな……盟友(とも)よ」

 

「また会えて嬉しいよ! 君もこの世界に来ていたのは本当だったんだ!」

 

 ホメオスタシスに聞いたのか、それとも何らかの理由でかつての盟友の復活を知ったアルフォースブイドラモンと、かつての盟友との再会を喜ぶ一真。

 世界を越えたが、彼らの友情は変わらない。それでも変わってしまった物もある。オメガモンが八神一真という人間に一体化した事だ。

 

「ボクはアメリカ支部で、君は東京本部。まさかこんな形で会えるとは思ってみなかったよ」

 

「変わらないな、君は。相変わらずボクと言っている時点で分かったよ」

 

「えっ? あっ、しまった~! でも君は変わったね……人間と一体化して、しかも“デジモン化”までさせているから」

 

「そうだな……既に一真殿と私の喋りが混ざっているよ」

 

 既に一真の“デジモン化”は目に見えない形で進んでいる。口調がオメガモンっぽく、聖騎士らしくなりつつあるから。

 それに気付いたアルフォースブイドラモンが寂しげな顔をすると、一真も肩を竦めながら答える。一真なのか、オメガモンなのか分からない存在となっている。

 

「秘奥義は大丈夫? クラッキングされたみたいだけど……」

 

「おかげ様で秘奥義は戻ったし、また使えるようになったよ。所で、アメリカ支部にいると言ったけど、どういう事なんだ?」

 

「実はね、ボクとデュナスモンとロードナイトモンとクレニアムモンとドゥフトモンは、“電脳現象調査保安局”の外国にある支部にいる。“デジクオーツ”の事件はこっちでも調査しているんだ」

 

 アルフォースブイドラモン等の『聖騎士団(ロイヤルナイツ)』の面々は、“電脳現象調査保安局”の外国支部にそれぞれ着任している。担当エリアが幾つかあるからだ。

 一番メンバーが充実している東京本部はアジア全体、アルフォースブイドラモンとドゥフトモンがいるアメリカ支部は北米と南米、ロードナイトモンとデュナスモンがいるイギリス支部はヨーロッパとアフリカ、クレニアムモンがいるオーストラリア支部はオセアニア地方を担当している。

 

「そうなんだ。やっぱり外国は似たような所なのかな?」

 

「それが違うんだ。一番大事なのは日本。外国に来ているのははぐれデジモン。まぁ間違えて“デジクオーツ”に来てしまった、言わば運の悪いデジモン達。だから日本に人員を回しているんだ」

 

「何だと? どうして日本だけが?」

 

「そこまでは分からないよ……ごめんね」

 

 “電脳現象調査保安局”の本部は東京にあるのだが、その理由は“デジクオーツ”関連の事件が多く起きるから。

 では何故東京で“デジクオーツ”関連の事件が多く起きるのか。そこまではアルフォースブイドラモンにも分からない。

 

「そうだ。ここで話をしている暇はないんだ。実はこの島から強大な『波動(コード)』が探知されたから、その調査に来たんだよ!」

 

「あっ、そうなんだ。それ……ボクです」

 

「君かよ!?」

 

 この島で探知されたデジモンの強大な『波動(コード)』。それはアルフォースブイドラモンが発する物だった。一真はズッコケるしかない。

 実はオメガモンに話があるから来て欲しいという連絡が本部に伝達されたが、手違いで他の支部に行ってしまった。ある意味一真の取り越し苦労と言える。

 

「ごめん! 任務自体はもう終わりなんだけど……久し振りに君と戦いたいんだ。どれだけ強くなったのかを見せてもらおうか」

 

「僕とか……良いだろう。このまま帰るのも気が引けるからな」

 

 アルフォースブイドラモンの優しい瞳が聖騎士の物に変わる。途端に全身から凄まじい威圧感と圧倒的なオーラが溢れ出す。それを目の当たりにした一真の目が鋭くなると共に、オメガモンへと究極進化を行う。

 『聖騎士団(ロイヤルナイツ)』の一員であり、かつての盟友が今ここに相まみえようとしている。お互いに再会出来た事に、また一緒に戦える事に歓喜を感じている。

 

「オメガモン。ボクは本気だ。リミッターを外して本気で来い!」

 

「良いだろう。それが君の望みなら……!」

 

 アルフォースブイドラモンは右腕のVブレスレットから光の剣を照射し、左腕のVブレスレットから左肘を覆い尽くす光の盾を形成した。

 オメガモンも左手のウォーグレイモンの頭部を象った籠手の口部分からグレイソードを出現させ、右手のメタルガルルモンの頭部を象った籠手の口部分からガルルキャノンを展開する。これで両者の戦闘態勢が整った。

 

 

 

「行くぞアルフォースブイドラモン!」

 

 珍しく闘志を剥き出しにしているオメガモンが先制攻撃を繰り出す。先手必勝と言わんばかりにガルルキャノンの照準を合わせ、連射砲撃を撃ち込んでいく。

 アルフォースブイドラモンは左腕を翳し、Vブレスレットから形成している光の盾―テンセグレートシールドで防御した。そこから左腕を突き出し、テンセグレートシールドから光の弾丸を連射する。

 

「何!?」

 

「こういう使い方もあるのさ!」

 

 前世では見られなかった戦い方に戸惑いの声を上げながら、オメガモンは背中に羽織っているマントで光の弾丸を防ぐ。

 その隙を逃すアルフォースブイドラモンではない。『聖騎士団(ロイヤルナイツ)』最速を誇る超スピードで間合いを詰め、右腕のアルフォースセイバーで斬り掛かる。

 

「『アルフォースセイバー』!!!」

 

 全身を覆っていたマントを背中に戻したオメガモン。グレイソードを翳してアルフォースセイバーを防御し、そのままグレイソードを振るって弾くと、返す刀でアルフォースブイドラモンの胸部を斬り付ける。

 横一文字に斬り傷を刻まれたアルフォースブイドラモンは後退し、胸に刻まれた斬り傷を触れながら、不敵な笑みを浮かべている。

 

―――秘奥義を使っていないからどうなのかなと思ったけど、全然心配ないね!

 

 アルフォースブイドラモンは秘奥義の『Omega-Gain-Force(オメガ・イン・フォース)』を使わず、普通に戦っているオメガモンに違和感を覚えていた。

 前世では常に秘奥義を発動させ、相手に隙を与えない苛烈な戦い方を見せていたが、今は秘奥義を発動していない状態でありながら、前世と遜色ない実力を見せている。これで秘奥義を発動したら瞬殺される未来しか見えない。

 

―――この重圧感と威圧感、懐かしいな。むしろ前より上がっている!

 

 オメガモンから発せられるプレッシャーとオーラ。それを真っ向から受けても不敵な笑みを一切崩す事なく、アルフォースブイドラモンは左腕を突き出し、テンセグレートシールドから光の砲撃を撃ち出す。

 本来であれば、テンセグレートシールドは防御技。腕のブレスレットから聖なるオーバーライトのバリアを作り出す。例え破壊されても、攻撃が届く前にバリアを再構築する事が出来る能力を持っている。

 しかし、転生したアルフォースブイドラモンは、テンセグレートシールドを攻撃技に転用出来るように修行した。シールドのように展開しながら、光の弾丸や砲撃を撃てるように魔改造しただけある。

 

―――アルフォースブイドラモンも強くなっている。“巡り会いの戦い(クロスウォーズ)”を潜り抜けただけあるな。

 

 オメガモンは光の砲撃を躱しながら、瞬間移動を思わせるスピードを以てアルフォースブイドラモンに向けて接近していく。

 その隙にアルフォースブイドラモンは必殺奥義の準備を終えていた。胸部のV字型アーマーにエネルギーを集束し、そこから眩い光線を放つ。

 

「『シャイニングVフォース』!!!」

 

(この距離でこの状況……避けられないか! ならば……!)

 

 迫り来る『シャイニングVフォース』。距離と時間で考えれば回避は難しい。残された選択肢は迎撃・防御。オメガモンは防御しながら前進し、カウンターを叩き込む選択肢を選んで実行に移した。

 背中に羽織っているマントで『シャイニングVフォース』を防ぎつつ、突進を続行してアルフォースブイドラモンの目の前に姿を現した。マントを背中に戻し、グレイソードを大上段から振り下ろす。

 アルフォースブイドラモンにダメージを与えたかと思いきや、唐竹斬りは虚しく空間を通過する。聖剣が捉えたのは残像だった。既に本体はオメガモンの背後に回り込み、左腕の光の盾から光の弾丸を連射してオメガモンを牽制する。

 オメガモンはガルルキャノンを装備している右手から絶対零度の冷気を発し、冷気の盾を形成して光の弾丸を防ぎながら様子を伺う。

 

(そろそろ仕掛ける時だな……!)

 

(行かせてもらおうか!)

 

 仕掛けて来たのはアルフォースブイドラモンからだった。神速を活かしてオメガモンの目の前から消えると、突然オメガモンの目の前に姿を現してアルフォースセイバーを振り下ろして来た。

 オメガモンは右足を前に一歩踏み込み、左肩を翳して受け止めた。左肩に装備しているブレイブシールドΩを以て。その状態でガルルキャノンの砲口を向け、至近距離であるにも関わらず、砲撃を撃ち込む。

 後退しながらの砲撃で、しかも通常弾から拡散弾を撃ち込んだ。アルフォースブイドラモンにエネルギー弾が直撃すると共に砲撃が炸裂し、全身に凄まじい破壊が撒き散らされる。

 

「グアアァァッ!!!!!」

 

 これにはアルフォースブイドラモンも耐えられなかった。踏ん張る事も出来ずに後方へと吹き飛ばされるしか無かった。それでも空中で体勢を立て直し、着地したのは流石としか言えない。

 この時点で時間切れとなり、オメガモンとアルフォースブイドラモンはお互いの健闘を称え合い、自分達の場所へと戻っていった。

 




 今回はバトルメインの回でしたが、ちょっとした工夫を入れた実験回でした。
模擬戦は『時を駆けるハンター達』のストリートバスケの場面を見て、「ちょっと使えるのかな?」と思って取り入れてみました。内容はどうあれ、こういうアプローチの仕方は良かったと思います。

 アルフォースブイドラモンの『テンセグレートシールド』からの攻撃は、『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』のビームシールド、もとい『ソリドゥス・フルゴール』の設定を参考にしました。
”ビームを敵機に接触させることで攻撃に用いる事やビーム砲として射撃を行う事も可能”とあったので、「じゃあ取り入れるか」と思いました。

 このように色々なアプローチを取り入れながら、少しでも面白くなれば嬉しいです。
次回は初めての前後編です。文字数自体はそこまでありませんが、内容で区切ろうと思ったので、前後編となりました。
『時を駆けるハンター達』の『海底大冒険! 夢の財宝デジモンを探せ』を少しこの作品風にアレンジしたお話となります。

皆さん、よろしければ感想・評価の方よろしくお願いします。
あたたかい感想とか前向きなコメントやアドバイス、モチベーションが上がるような応援メッセージや高評価を頂くと、作者のやる気が超進化します。

では次回をお楽しみに。LAST ALLIANCEでした!

次回予告

パラティヌモンがはぐれデジモンをデジタルワールドに送り返した海上に、海底遺跡が出現した。
その調査をアメリカ合衆国から依頼される形となった一真達。
その行く手を阻むデジモン達は!?

第19話 海底大決戦! 遺跡の謎を調査せよ! 前編
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