終焉の聖騎士伝説~オメガモンとなった青年の物語~ 作:LAST ALLIANCE
今年もLAST ALLIANCEとこの小説をよろしくお願いします。
新年最初のお話は『七大魔王』について。
人間界で暮らしている彼らが何をしているのかについて軽く触れました。
とあるデジタルワールドに魔王がいた。その魔王は伝説の存在と謳われている超究極体の復活を目論み、デジタルワールドと人間界の2つの世界の支配を企んだ。
超究極体デジモンの育成を人間界から呼んだテイマーに託したのだが、そのテイマーが反逆して超究極体デジモンに吸収されてしまった。
しかし、魔王は死んでいなかった。超究極体デジモンの内部で生存しており、超究極体デジモンのデータを内部で改竄すると共に、融合して自分が超究極体になった。最終的に人間界から来た勇者とそのパートナーデジモンに倒され、野望は消え去った。
「『デーモン大暮閣下のラジオレクイエム』!!!」
ホメオスタシスによって転生したデーモン。彼は人間界では“デーモン大暮閣下”という名前で生きている。自身が率いるロックバンド『DEMON』のボーカル、コメンテーター、ラジオのパーソナリティー等、様々な活躍を見せている。
近年明らかになった研究結果では、“全ての平行世界に存在する『七大魔王』は本来の力を等分された封印状態である”事が明かされた。
果たしてどれ程の平行世界が存在するのかは分からいないが、これまでの事例で見ても全力の1割、下手をすれば万分の一も発揮していない事になる。しかも、何処かの世界で『七大魔王』の一角が滅ぼされると、別の世界の七大魔王の力が増す仕組みになっている。
このようなシステムはイグドラシルやホメオスタシスが構築した物ではなく、事象の摂理による物として自然に出来上がった。もし『七大魔王』を全滅させようと考えているなら、その者は摂理を乱したとして消し去られる運命にある。
前世で倒された為、前世よりも遥かに強化されたデーモン。彼はラジオ番組の収録をしている。自分がパーソナリティーを務める看板番組。
「ドゥハハハハハハハッ!!!!! 貴様ら、今週もやって来たぞ! パーソナリティーのデーモンだ!」
開始早々に独特の笑い声と共に自己紹介をするデーモン。彼のキャラの濃さとインパクトは最強であり、初めて聞いたリスナーをも魅了する。
本来は知的で落ち着いた性格。ハイテンションなのはキャラ作りの為。その2つのキャラを上手く使いこなせている。
「皆さんこんばんは! アシスタントのスカルサタモンです!」
デーモンの人間界での活動を支えるスカルサタモン。彼はラジオのアシスタントであり、マネージャーであり、ロックバンドではベースを担当している。“電脳現象調査保安局”の面々とは繋がりがある為、重宝されている。
悪魔の見た目とは裏腹に腰が低く、礼儀正しい性格である為、密かなファンもいるスカルサタモン。暴走したデーモンのストッパーでもある。
「今日は秋らしく過ごしやすい一日だった。秋と言えば食欲、芸術、スポーツと言われるが、実は数日前にこの近くに美味しいカレーハウスを見付けてな……そこのカレーがまた美味しくて……」
「閣下、その話は後にして先に進めましょう」
「ムッ、そうだったな。最後まで番組にお付き合いしてくれるとありがたい。今日はこの曲から始めよう。『Raise your flag』!」
デーモンの欠点は2つある。1つ目は一度語り出すと止まらない事。このようにストッパーがいないと、幾らでも話せると言うマシンガントークが自慢なのだが、それが短所にもなっている。
2つ目は怒らせると怖い事。“憤怒”を司るだけあり、一度怒らせると誰も止める事が出来ない。なので、デーモンを怒らせてはいけないとデジモン達の間で、しかも『七大魔王』の間でも取り決めとなっている。
「まさか人間界に一番馴染んでいるのがデーモンだったとは……」
「意外、としか言いようがありません」
“電脳現象調査保安局”の本部。その本部長室で『デーモン大暮閣下のラジオレクイエム』を聴きながら、薩摩と鏡花は話をしている。
鏡花は自分と同じ『七大魔王』の一角で、人間界に溶け込めているデーモンの適応力の高さに驚きを隠せないでいた。
ちなみにこの『デーモン大暮閣下のラジオレクイエム』はかなり人気のラジオ番組であり、番組には毎回五千通ものお便りが寄せられている。
とあるデジタルワールドに天使がいた。しかし、その正体は魔王。伝説の十闘士によって封印されていたが、『聖騎士団(ロイヤルナイツ)』によって完全復活した。デジタルワールドと人間界の支配を企むが、最後は現代に蘇った伝説の十闘士によって倒された。
ホメオスタシスによって転生したルーチェモン・フォールダウンモード。彼はその端正な顔立ちを活かして俳優やモデル業をしているが、それらはあくまで副業。本業はヴィジュアル系ロックバンドのリーダー兼ボーカル。
その絶世の美男子たる顔立ちから奏でる歌声とデスボイスは女性のみならず、男性からも圧倒的な支持を受けている。しかも芸人魂溢れるパフォーマンスを毎回ライブでたっている為、インディースでありながらオリコンランキング1位の常連となっている。
アイドルを押しのけてであり、CD単体の売上だけでランキングの1位を取っている為、ロック好きにはたまらない。
「伝説を作ろう!」
「やってやるぞ!」
ルーチェモン・フォールダウンモード率いるロックバンドは『セブンスヘブンズ』。ボーカルのルーチェモン、リズムギターのデビモン、リードギターのデビドラモン、ベースのイビルモン、ドラムのネオデビモンの5人組。
毎日スタジオで練習しながら曲作りをしているが、きちんとした仕事についている為、ライブを行うのは基本的に土日だけ。それでいて人気を勝ち取れている。それでも長い下積みと苦労を積み重ねて来た。
最初から上手く行った訳ではない。最初のライブの観客は僅か3人。思うような曲が出来ず、観客が増えず、上手く行かない事ばかりで迷走する機会もあった。それでもファンが少しずつ増えていくに連れて、次第に良い曲が出来るようになって今に至る。
「行くぞ!」
『はい!』
ライブ開始前、全員で円陣を組んで気合を入れる『セブンスヘブンズ』の面々。ルーチェモンの掛け声に応え、全員でハイタッチを交わして気持ちを高めていく。
彼らのロゴは“傲慢”を司るルーチェモン・フォールダウンモードの紋章。元ネタを知っている面々は苦笑いを浮かべている。
「凄い熱気ですね……これが生で聞くロックサウンドなんですね」
「そう! すげぇ盛り上がるぜ!」
デーモンとルーチェモン・フォールダウンモードの対バンライブが行われているライブハウス。沢山の観客に混ざって盛り上がっている一真とアルトリウス。
アルトリウスは至る所でダイブやサークルピットが見られる光景に目を丸くする一方、一真はノリノリで楽しんでいる。
実の所、一真はロック好きで家にエレキギターとアンプとエフェクターの機材を一式持っており、時々自分が演奏した曲を動画サイトに投稿している。
「対バンライブ、お疲れ様でした!」
「お疲れ様でした」
対バンライブの終了後。ライブハウスの一室で、一真とアルトリウスはデーモンとルーチェモン・フォールダウンモードと話をしている。
対バンライブ。それはミュージシャンやバンドやアイドル等の歌手が、ライブを行う際に、単独名義ではなく、複数のグループと共演する事。
対決や競い合うという意味合いは薄く、単に一緒にライブを行う共演者という意味で使われることが多い。共演ではあるが、基本的に各グループにそれぞれ時間が割り当てられ、一緒に演奏をするセッションなどが行われる事は少ない。
対バンを行う理由は2つある。1つ目は興行自体を成功させる為。単独では多くの集客を見込めない場合、複数のバンドで集まる事で集客を増やし、興行の成功を目指す。
興行が失敗した場合でもその損失を分散させることができ、リスクを小さくできる。単独でも興行を行えるミュージシャンでも、単純に会場等の規模を大きくできたり、競演による相乗効果や新たなファンの獲得を狙える。つまりは一石二鳥。
2つ目は労力の削減。1つのライブやイベントを行うためには様々な準備を必要となる。複数の出演者で集まる事によって、1グループの労力を小さくすることができる。また、限られた時間の中でそれぞれの演奏時間も短くなる為、純粋にそのライブでの演奏に伴う労力も減少させることができる。
「ドゥハハハハハッ!!!!! 初めましてだな! 私はデーモン大暮閣下だ!」
「私はルーチェモン。一真君、アルトリウスさん。今日は我々のライブに来てくれてありがとう」
人間界での芸名、もとい通称は“デーモン大暮閣下”なデーモン。一真とアルトリウスを前にしても、相変わらずのハイテンションなキャラを演じている。
一方のルーチェモン・フォールダウンモードは落ち着きを見せ、一真とアルトリウスにお礼を伝える。中々のカリスマ性だ。
「一真君。ロックバンドはライブが命なんだ。幾らCDを買ってくれても、ライブに来てくれないと意味がない。ファンやお客さんがライブに来てくれるから、我々は今ここにはいない。本当に感謝しているよ」
「我々はライブに来てくれる皆を大切にしている。だからなるべく触れ合いたいし、色んな事を話したりしたい。その思いを受け取ってくれて本当に嬉しい」
デーモンとルーチェモン・フォールダウンモードは、とてもファン思いなミュージシャンとして知られている。
デジタルワールドから人間界に来て仕事探しに悩み、たまたまテレビで観た音楽番組を見て勇気づけられ、自分達も彼らのようになりたいと憧れを抱き、ロックバンドを結成して音楽業界で生きていく事を選んだ。
しかし、現実は厳しかった。初めてのライブでは全くお客さんが来ず、ステージ代が入らずに大赤字。当時はお金が全くなく、リリスモンから譲られた炊飯器とブラストモンからもらったお米や野菜だけを持ってライブを行っていた程。
それを知ったお客さんが可哀そうに思ったのか、おかずを差し入れてくれた。その為、デーモンとルーチェモン・フォールダウンモードはファンの皆に感謝の念を抱き、心から大切に思うようになった。それは今でも全く変わらない。
ただ、この下積みと苦労が思わぬ所で弊害を生んだ。2体の魔王は贅沢が出来なくなってしまった。実は下積みの頃の夢はコンビニ弁当を買って食べるくらいになる事。当時は今のような人気がなく、安定した収入も無かった為、コンビニ弁当が高くて買う事が出来なかった。それくらいお金に苦労していた。
ライブやイベントの移動手段もそうだ。つい最近になって新幹線で移動する事が出来るようになった。それまではずっと機材車に全てを詰め込んでいた。楽器や人間、デジモンも。その状態で日本各地を移動していた。
「僕の方こそありがとうございます。まさか普段聴いていて、動画サイトにも演奏動画を上げているバンドの方とお会いできるなんて……夢みたいです!」
「そうなのか……後でチェックしないとだな」
「我々のメンバーが見たらどう言うのかな?」
その後は音楽の話や“デジクオーツ”関連の話をした一真達。帰りにグッズ売り場に行き、一真はTシャツやタオルを購入し、アルトリウスはCDをまとめ買いした。
社宅に帰宅してからは『DEMON』と『セブンスヘブンズ』の曲を聴き始めるアルトリウス。どうやら新しいファンが1人増えそうだ。
かつてデジタルワールドに魔王がいた。その魔王の前世を一言で言えば、“不運”としか言う事が出来ない。とある遺跡にあった箱の中でデジタマの状態のまま封印されていたが、邪悪な科学者に発見され、自分の意志とは関係なく振り回されたのだから。
デジモンの生体エネルギーを注入され復活したが、人間界の王になるという野望に利用された。制御装置にコントロールされていたが、制御装置を破壊されてしまい、コントロール行動不能に陥った。しかし、邪悪な科学者が融合する事により、本来の姿となった。
最終的に喧嘩番長とその一の子分に倒された悲劇の魔王。彼は死ぬ間際に思った。“せめて来世では自分の意志で生き、自分の意志で死にたい”と。
―――この枕で快適な睡眠を や ら な い か ?
街の至る所に貼られている広告には枕と可愛らしいマスコットキャラが描かれているが、そのマスコットキャラの名前はベルフェモン・スリープモード。
『七大魔王』の一角であり、寝具を専門に扱う大沢寝具株式会社の社長。広告のキャッチコピーと社長自らの出演により、今凄まじい勢いで発展している。
愛らしい姿とは裏腹にしっかりした経営戦略と社員を大切にする優しさ、そして自ら身体を張る芸人力。全てを持ち合わせた理想の社長の1人。そんな彼は同じ社長のベルゼブモンと居酒屋で酒を飲んでいる。
「へぇ~そっちは順調なんだ」
「あぁ。おかげ様でな」
焼き鳥を食べながらお酒を飲み、お互いの会社について話しているベルフェモン・スリープモードとベルゼブモン。
同じ『七大魔王』の一角であり、社長をしている為、週に一度は居酒屋で話をしている仲となっている。普通ならば有り得ないが、これも人間界が成せる業なのかもしれない。
「でも僕らが社長になるなんて思ってもみなかったな……僕は前の社長の推薦、君は乗っ取り。手段や目的は違えど、なった以上は最後まで責任を果たさないとだね」
「あぁ、そうだな……それに俺も“デジクオーツ”関連の事件に巻き込まれた。一真やアルトリウスの話によると、何か決戦が近付いているような気がすると言っている。真っ向勝負だ。俺達も行かねぇとだな」
「う~ん、出来れば昼寝で解決したいけど……そうは言ってられないか」
ベルフェモン・スリープモードは“昼寝道”を究めている。人間界に来た時はリリスモンの床に居候していたが、その時に使っていた枕やベッド等の寝具に魅入られ、睡眠で世界を平和にするという大それた野望を掲げた。
もちろん叶うはずがない事は分かっている。それでも睡眠を通じて誰かを幸せにしたいという思いは本物だ。大沢寝具株式会社に入社し、様々な寝具の開発や営業に携わる事で会社の利益向上に貢献してきた。
高齢の前社長から推薦を受け、社長として働いているベルフェモン・スリープモード。睡眠は人を堕落させるのではなく、人をより良くさせるという考えの下、常に快適で使いやすい寝具の商品開発に携わっている。
前世は喧嘩番長に倒された為か、今は実力が遥かに上がっている。“王の寝具(ベッドギア・オブ・ベルフェゴール)”という特殊能力を会得し、現在はオメガモン・パラティヌモンクラスの実力者となった。
「“デジクオーツ”関連の事件はクオーツモンって奴の仕業だ。奴がいつ仕掛けて来るかは分からねぇけど……だから今の内に備えているってリリスモンが言っていた」
「有事の為にか……僕らも戦わないとか。戦うのは嫌だけどね」
ベルフェモン・スリープモードは戦う事が怖いのではない。嫌なだけだ。出来れば話し合いや昼寝で解決させたいと思っているし、過去にもそうやって生きて来た。
しかし、いずれ戦場に立つ日が近付いている事は事実だ。ベルフェモン・スリープモードの表情が引き締まるのがその証拠だった。
今回も割とあっさりめの話でしたが、色々とネタ要素満載でした。
デーモンの芸名は閣下のオマージュです。はい。それ以外何もありません。
ルーチェモンは何が良いかなと思ったら、ビジュアル系のミュージシャンが良いと思ったので取り入れました。
ベルフェモンは元から寝具を武器にして戦う設定を考えていました。
そこからネタキャラにしつつ、強キャラにさせました。実は作中最強クラスです。
次回はカオスモンとの決着を付けます。戦闘Onlyで長いです。
皆さん、今年も感想・評価の方よろしくお願いします。
あたたかい感想とか前向きなコメントやアドバイス、モチベーションが上がるような応援メッセージや高評価を頂くと、作者のやる気が超進化します。
次回予告
ある日来た一通の手紙。それはカオスモンからの決闘の申し出だった。
念の為にアルファモンと共に”デジクオーツ”に来たオメガモンは、カオスモンとの決着を付けるべく激戦を戦う。
その先に待ち受ける結末は!? 果たしてどちらが勝つのか!?
第22話 カオスモンとの決着 全てを初期化する聖剣