終焉の聖騎士伝説~オメガモンとなった青年の物語~   作:LAST ALLIANCE

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今回からいよいよ最終決戦開始の回となります。先ずは前編から。
ちなみに最終決戦なのは”デジクオーツ”だけでなく、主人公の八神一真にとっても最終決戦となります。

ではお楽しみ下さい!



第24話 最終決戦開始! 聖騎士連合VSデクスモン

「今日でやっと退院か……」

 

 カオスモンとの最終決戦から1週間が過ぎたある日。一真は“デジモン化”の進行具合の検査を行い、それから1週間安静にするように鏡花から告げられた為、渋々“電脳現象調査保安局”の病院に入院していた。

 その1週間が過ぎてようやく退院出来るようになった。久し振りに外の空気が吸う事が出来る。それだけで一真は安心している。

 退院の手続きを終えて病院を出て、“電脳現象調査保安局”の本部長室に向かっていく道中、一真は2体の聖騎士型デジモンに会った。

 

「パラティヌモン、お疲れ様!……えっと、どちら様ですか?」

 

「お疲れ様です、一真さん。退院されたんですね。良かったです」

 

「初めまして。俺はオメガモン・Alter-B。元ブラックウォーグレイモンだ」

 

「えっ?……えぇ~~~~~~~!?!?」

 

 2体の聖騎士型デジモンはパラティヌモンとオメガモン・Alter-B。パラティヌモンとは毎日会っている為、他愛のない会話が出来ている。

 しかし、オメガモン・Alter-Bとは初対面となる上に、本人の口からその正体が明かされた為、一真でも驚くしかなかった。

 苦笑いを浮かべたパラティヌモンは一真に全てを説明した。ここ最近起きていた事件はブラックウォーグレイモンが犯人だった事。彼は邪悪なデジモンから逃げていた事。“デジクオーツ”の端末との戦闘でオメガモン・Alter-Bに超究極進化した事。

 

「そうだったんだ……何て呼べば良いかな? 僕はオメガモンだけど、フルネームだと長いし……」

 

「Alter-Bと呼んでくれ。君の事はパラティヌモンから聞いている。オメガモンとなった人間……先輩としてよろしく頼む」

 

「えぇっ!?」

 

「頼みますよ先輩」

 

「先輩言うな!」

 

 オメガモン・Alter-Bは名前が長い為、“電脳現象調査保安局”ではAlter-Bと呼ぶ事となった。オメガモンとして、“電脳現象調査保安局”の局員として先輩となった一真。パラティヌモンとオメガモン・Alter-Bに弄られ、これ以後弄られ役として定着するようになった。

 その後は3人揃って本部長室に入室した。一真は退院の報告を、パラティヌモンとオメガモン・Alter-Bは“デジクオーツ”での戦闘の一部始終を報告した。“デジクオーツ”での戦闘を終えた後、必ず本部長室に来て報告をしなければならない。

 

「一真君は退院おめでとう。また戦わせるのは酷だけど、済まないな」

 

「いえ、気にしていないです。先ずは“デジクオーツ”をどうにかしないとなので」

 

「パラティヌモンはお疲れ様。初めて本気を見せたみたいだな。その力、次の戦いでも見せて欲しい」

 

「分かりました」

 

「ブラックウォーグレイモン……オメガモン・Alter-Bか。色々大変だったみたいだな。だがここに来たからにはもう大丈夫だ。安心してくれ。後で詳しい話があるから担当の者に聞くように」

 

「あぁ。ありがとう」

 

 一真、パラティヌモン、オメガモン・Alter-B。彼らに一言ずつ労い等の言葉をかける薩摩。言葉を聞き終えると、オメガモン・Alter-Bは鏡花と共に本部長室を後にした。社宅等の詳しい説明を別室で受ける為だ。

 本部長室にいる一真、パラティヌモン、薩摩、そして薩摩の肩に乗っているクダモン。4人は顔を寄せ合い、今回の戦闘について話し合いを始める。

 

「敵の様子はどうだった?」

 

「“デジクオーツ”の端末らしき物が出て来ました。敵は本気です。近いうちに決戦があるでしょう」

 

「そろそろですね……何かワクワクします!」

 

「あぁ。今から備えよう。明日にでも決戦に挑めるように」

 

 一真、パラティヌモン、薩摩、クダモンは明日にでも決戦が始まっても大丈夫なように、改めて決戦計画を見直し始める。

 事前に配布されている決戦計画。誰が何を担当するのか。そういった確認は何度行っても悪い事は何一つないからだ。

 

 

 

 それから三日後の朝。一真は自宅から自家用車で“電脳現象調査保安局”に向けて出勤していると、目の前の景色が何かおかしい事に気が付いた。

 目の前に広がる道路や建物、そして人間。あらゆる物がデータ化されて“デジクオーツ”に取り込まれている。いや街その物が“デジクオーツ”となっている。

 

「“デジクオーツ”だと!? 馬鹿な……僕は出勤しているだけなのに!」

 

「キシャアァァァァァァァッ!!!!!」

 

 まさかの光景に一真は驚きながらも近くの駐車場に入って車を停め、車内から出て“デジクオーツ”となっている街を呆然と見ていると、そこに1体のデジモンが雄叫びと共に襲い掛かって来た。

 頭に銀色のアーマーを付け、背中の四枚の赤い翼を生やした四足歩行の竜のような姿をしたデジモン。デクスドルグレモンが一真に襲い掛かって来た。

 

「一真さんに手を出すな!」

 

「キシャアァァァァァァァッ!!!!!」

 

 不意打ちを仕掛けて来たデクスドルグレモン。何者かの声が聞こえて来ると同時に、蹴り飛ばされて地面に叩き付けられた。

 デクスドルグレモンは立ち上がろうとするが、その者は右足でデクスドルグレモンの頭を踏み付け、右手に握る聖剣を『電脳核(デジコア)』に突き刺す。

データ粒子に変わりながら消滅していくデクスドルグレモンを見てから、一真は自分を助けてくれたデジモンを見上げる。

 

「パラティヌモン!」

 

「お礼を言うなら後にして下さい。今はそれどころではありません。デクスドルグレモンが大量発生しているのです」

 

「何だと!?」

 

 一真を助けたのはパラティヌモン。社宅を出て“電脳現象調査保安局”に出勤しようとしていた所、“デジクオーツ”になりつつある街を見て調査活動を独自に開始した。

 その途中でデクスドルグレモンの襲撃に遭うが、これを返り討ちにして調査活動を続行していた時、一真のピンチを見て駆け付けて来た。そして今に至る。

 パラティヌモンの言葉を裏付けるように、一真の頭上をデクスドルグレモンの大群が通り過ぎ、その腹部から緑色に輝く粒子を放っていく。

 

「しかもデクスドルグレモン達はこの街を“デジクオーツ”に変えています。お腹から降り注ぐあの粒子で人間界を“デジクオーツ”に書き換えているみたいです」

 

「な、何と言う事だ……!」

 

「今までは人間界とは別に“デジクオーツ”という世界がありました。しかし、今デクスドルグレモン達の大群は人間界と“デジクオーツ”を融合させています。この世界は“デジクオーツ”となった人間界……に成り果ててしまいました。もう元に戻る世界はなさそうですね……」

 

 デクスドルグレモンの大群の腹部から降り注ぐ緑色に輝く粒子。それは人間界を“デジクオーツ”に書き換える効果を持っている。

 今までの“デジクオーツ”は人間界とは別の世界だったが、ついに“デジクオーツ”は人間界を侵略し始めた。これがその第一歩。

 何の予兆もなく、突然始まった侵略。デクスドルグレモンを倒す事しか出来ないパラティヌモンと、何も出来なかった一真は心底から悔しそうな表情を浮かべる。

 

「それなら人間界の皆はどうなるんだ!?」

 

「分からないです。この街だけでなく、世界中のデータ全てを書き換えているので……何処かに消されたか、或いは取り込まれたとしか考えられないです」

 

「そんな……! ハッ! 父さんと母さんも消されるのか!? そんなのあってたまるか! パラティヌモン! 両親を助けに行く! ちょっと付き合ってくれ!」

 

「分かりました。乗って下さい!」

 

 デジモンとなっている一真やパラティヌモン達は大丈夫だが、それ以外の人間達はデータ化されて“デジクオーツ”に取り込まれている。

 その事実に気付いた一真が思い出したのは何よりも大切な家族の存在。家族想いな一真は両親の事を心配し、彼らを助けようとパラティヌモンに頼んだ。

 普段から家族想いな一面を見せていたのだろう。パラティヌモンは一真の頼みを了承し、一真を自分の肩に乗せて一真の家に向かって飛び始める。

 一真の家はまだ“デジクオーツ”に取り込まれていないが、その周囲をデクスドルグレモンが飛び回っている。いずれ“デジクオーツ”に取り込まれるのも時間の問題だ。

 

「奴らは私が食い止めます。今の内にご両親を!」

 

「済まない! 頼んだぞ!」

 

 パラティヌモンの肩から飛び降り、自宅に入る一真。それを確認したパラティヌモンは両腰の鞘からパラティヌス・ソードを引き抜き、デクスドルグレモンの大群との戦闘を始める。

 一真が直ぐにリビングに入ると、そこには防災グッズや非常用持ち出し袋を抱えた一真の両親がいた。これから避難する所だったようだ。

 

「一真! 貴方仕事は!?」

 

「そんな事よりも今は緊急事態だ! この世界が“デジクオーツ”という世界に取り込まれている! 詳しい話は後でするから今は逃げよう!」

 

「わ、分かった!」

 

 一真の必死な顔を見て、事態の深刻さを悟った両親。玄関から外に出たその時、彼らを数体のデクスドルグレモンが取り囲んだ。

 パラティヌモンがデクスドルグレモンの大群と戦闘を行っている隙に、別のデクスドルグレモンが一真を襲いに来たとしか考えられない。究極進化しようにもこの状況ではする事が出来ない。両親を玄関の中に入るように伝えると、一真はデクスドルグレモンを睨みながら、空色の右目から光を放って叫ぶ。

 

「僕の大切な人に……手を出すな!」

 

「キシャアァァァァァァァッ!!!!!」

 

 一真の両手の指から青いエネルギーの刃が伸び、それを見た一真は驚きながらもデクスドルグレモンの1体に向けて斬りかかった。

 合計10本の青いエネルギーの刃に斬り刻まれ、デクスドルグレモンの1体はデータ粒子に変わりながら消滅していった。

 今の技は『カイザーネイル』を再現している。ワーガルルモンの両腕の鋭い鍵爪で相手を切り裂く必殺奥義。

 

「(どうやら僕はオメガモンの進化前のデジモンの力を使えるのか……良いだろう。存分に使わせてもらう!)『メガフレイム』!!!」

 

 “デジモン化”の進行に伴い、一真はオメガモンの進化前のデジモンの技を人間の姿でも疑似的に使用する事が出来るようになった。

 一真は早速試運転に入った。先ずは右手に火炎を出現させて砲弾の形にすると、デクスドルグレモンの1体に向けて投げ付けた。

 今の攻撃は『メガフレイム』。口から超高熱火炎を吐き出し、全てを焼き払うグレイモンの必殺奥義だ。

 『メガフレイム』を顔面に受けてよろめくデクスドルグレモン。その間合いを一瞬で詰め、再び両手から青いエネルギーの刃を発生させ、デクスドルグレモンを斬り刻む。これでもう1体のデクスドルグレモンを片付けた。残るは2体。

 

「『コキュートスブレス』!!!」

 

 一真は両手を獣の口を作るようにして合わせ、前に突き出して全ての物を氷結させてしまう絶対零度の冷気を放つ。

 『コキュートスブレス』に呑み込まれたデクスドルグレモンの1体。瞬時に生命活動を停止し、そのまま氷解していく。

 最後に残ったデクスドルグレモンを倒そうと、一真は大気中に存在する全てのエネルギーを両手の間に集中させ、超高密度の橙色の高熱エネルギー弾を作り上げて投擲する。

 

「『ガイアフォース』!!!」

 

 『ガイアフォース』を喰らったデクスドルグレモンがデータ粒子に変わりながら、消滅していく。その様子を見ている一真の髪が銀色に染まっていく。左側の前髪部分。

 本人はそれを一切気にする事なく、オメガモンに究極進化して玄関に隠れていた両親を肩に乗せて飛び立った。

 

 

 

「街の全域が“デジクオーツ”化されましたね……」

 

「あぁ。パラティヌモン、先程はありがとう。私を助けてくれただけでなく、我が儘に付き合ってくれて」

 

「大丈夫です。親友の頼みは応えるので。それに家族を第一に考えるのは当たり前ですよ」

 

 両親を休ませる為に一度ビルの屋上に降り立ち、街全体を見渡しているオメガモンとパラティヌモン。彼らは既にこの街が“デジクオーツ”となっている事に気付いて表情を険しくさせる。

 自分達が暮らしている街が異世界に変わり果てている。その現実に2体の聖騎士も表情を険しくさせるのも無理はない。

 その話の中でオメガモンがパラティヌモンにお礼を言う。自分を助けてくれた事と、自分の我が儘に付き合ってくれた事。それに対してパラティヌモンは何喰らぬ顔で応じる。

 

「それにしてもパラティヌモンさんは凄いです。こんな状況でも冷静に戦えるなんて……」

 

「前にもこういう事があったのかい?」

 

「いえ、私は元々アーサー王でしたのでこういう事には慣れていました。王たる者、心を動かさずに冷静でいなければ、騎士や民にも動揺が伝わってしまいます。なので心を押し殺し、沈着冷静に対処していました。そうしていると、自然に慣れちゃいました」

 

「息子から聞いていたよ。君がアーサー王だったという事に」

 

「流石ね~一真も見習ってほしいわ」

 

 一真の母親―八神涼子の言葉に照れながらも、苦笑いを浮かべるオメガモン。そんなオメガモンを見て笑顔を浮かべる涼子、総司、パラティヌモン。

 そこに1体のデジモンがやって来た。この前“電脳現象調査保安局”に入ったばかりのオメガモン・Alter-B。どうやらオメガモンとパラティヌモンを探していて、見つけた為、迎えに来たようだ。

 

「無事だったのか……良かった!」

 

「はい。おかげ様で!」

 

「それよりどうしたんだ?」

 

「集まって欲しい。至急作戦会議を行う」

 

 オメガモン・Alter-Bの真剣な表情。それを見たオメガモンとパラティヌモンはお互いに頷き合い、直ぐに“電脳現象調査保安局”に向かっていった。

 余談だが、オメガモンは肩に両親を乗せての移動となり、その間は3体の聖騎士による雑談タイムとなった。それに一真の両親が入り、オメガモンは終始大変だった事は言うまでもないだろう。

 

 

 

 “電脳現象調査保安局”の会議室。そこには既にデジモンが集まっている。薩摩とクダモン。リリスモン、ベルゼブモン、ベルフェモン・スリープモード、デーモン、ルーチェモン・フォールダウンモードの『七大魔王』。

 バグラモン、タクティモン、ブラストモン、ホーリーナイトモンのバグラファミリー。テイルモン、ウィザーモン、パラティヌモン、オメガモン・Alter-B、アルファモン、オメガモン。合計15体のデジモンと1人の人間が会議室にいる。

 

「全員集まったな……これから会議を始める。今日集まってもらったのは他でもない。今日の朝……午前七時五十分過ぎに起きた異常事態の事だ。皆も目にしたはずだ。変わり果てたこの街の事を」

 

 スクリーンに映し出されたのは変わり果てた街の現状。恐らく薩摩はドローンを複数飛ばしながら撮影しているのだろう。

 今日の朝に突然起きた現象。人間界が“デジクオーツ”へと書き換わり、融合しているという現象。全員が真剣な表情を浮かべながら話を聞いている。

 

「デクスドルグレモンの大群によって人間界が“デジクオーツ”となりつつある。同様の事例が支部でも確認されている。幸いな事に、何らかの形でデジモンと関わった者だけは街が“デジクオーツ”になってもデータ化されなかった」

 

 一真の両親がデータ化されなかった理由。それは何らかの形でデジモンと関わったからだ。彼らの場合、一真がオメガモンとなった為、常日頃からオメガモンと関わっているも同然となる。だからデータ化を免れた。

 同様の例は他にもあるのだが、今彼らは避難所となっている場所にいる。そこは高校の体育館。“デジクオーツ”化を免れた数少ない場所は、今では避難所として使われている。

 

「早くこの事件を起こしたデジモンを倒さないと……と言いたいけど、避難所にいる皆はどうするんだ?」

 

「それは大丈夫よ? ベルゼブモン、ベルフェモン、デーモン、ルーチェモンで守るから。でもまだ増えているから、私とウィザーモンもそっちに行くかもね……」

 

「私とホーリーナイトモンは学校の先生だから生徒の安全を優先しなければならない。悪いが戦いには出られない」

 

 今回は全員が戦いに出られる訳ではない。人間達を守る最後の砦となる面々が必要になるからだ。それを担当するのはベルゼブモン、ベルフェモン、デーモン、ルーチェモン、タクティモン、ホーリーナイトモンの6体だ。

 必要に応じてテイルモンとウィザーモンも担当する事になる。それにリリスモンと薩摩とバグラモンが指揮を取る為、実質的な戦力はクダモンが究極進化したスレイプモン、ブラストモン、パラティヌモン、オメガモン・Alter-B、アルファモン、オメガモンの僅か6体だけとなる。

 

「今回の相手は“デジクオーツ”その物を操る強敵。とんでもない相手だ。もしかしてこの前に俺とパラティヌモンが戦った相手と関係があるのかもしれない」

 

「私もAlter-Bの意見に賛成します。上半身と下半身の岩はデジモンのデータを吸収していました。デクスドルグレモンも今まで戦ったデジモンとは色々と違いました」

 

「やはり敵は本気だな。これが“デジクオーツ”との最終決戦であり、一真が人間でいられる最後の戦いになる。例え一真がいなくなっても、私の中で生き続ける。いや私の中で生きている。ならば私は最後まで戦い抜く。それが在るべき姿だ」

 

 “デジクオーツ”という世界その物との最終決戦。リリスモンと薩摩とバグラモンが指揮を取り、スレイプモン、ブラストモン、パラティヌモン、オメガモン・Alter-B、アルファモン、オメガモンが前線で戦う。

 ベルゼブモン、ベルフェモン、デーモン、ルーチェモン、タクティモン、ホーリーナイトモン、テイルモン、ウィザーモンは後方支援。この役割分担でついに最終決戦を迎える事となった。

 

 

 

「人間界のエネルギーを利用して“デジクオーツ”に書き換えているとしたら、真っ先にデクスドルグレモンの大群を倒さないといけない。奴らは普通のデジモンではない」

 

「あぁ。先ずはデクスドルグレモンの大群を殲滅しよう!」

 

 空を覆い尽くす程のデクスドルグレモンの大群。彼らに立ち向かうのはスレイプモン、ブラストモン、パラティヌモン、オメガモン・Alter-B、アルファモン、オメガモン。

 地上にいるのはスレイプモンとブラストモン。残りの4体は空中で迎え撃つ。最初に仕掛けたのはアルファモンだった。

 

「“光弾けろ”! 『エクスプロージョン』!!!」

 

「ウオオオオオォォォォォォーーーーー!!!!!」

 

 アルファモンが黄色の魔法陣を描き、目の前にいるデクスドルグレモン達を爆発させると、パラティヌモンが背中の翼から光を放出させながら突進を開始する。

 両手に握るパラティヌス・ソードが煌めく度に、デクスドルグレモンが瞬く間にデータ粒子となって消滅していく。

 パラティヌモンがデクスドルグレモンの大群相手に無双を繰り広げている間、残りの面々はデクスドルグレモンを掃討し始める。

 

「『グレイキャノン』!!!」

 

「“蒼天に坐せ”! 『ガルルキャノン』!!!」

 

「『ビフロスト』!!!」

 

「『ダイアモンドマシンガン』!!!」

 

 オメガモン・Alter-Bは左腕を軽く振るい、ブラックブリッツグレイモンを象った右手からグレイキャノンを展開し、プラズマ弾を撃ち込む。

右腕を振るってガルルキャノンを展開し、メタルガルルモンの力を解き放ったオメガモン。途端に世界が“ニヴルヘイム”へと変わり、絶対零度の冷気が吹き荒れる冷たい氷の世界となった。

 オメガモンの力で次々と凍結するデクスドルグレモンの大群。僅かな衝撃だけで粒子レベルに消滅していく中、スレイプモンとブラストモンは必殺奥義を繰り出してデクスドルグレモンを殲滅していく。

 このまま行けば終わると思われたが、そう簡単には行かないのが世の中だ。突如として“デジクオーツ”の端末が姿を現した。

 

「あれがこの前の奴か……」

 

「そうだ。それに見ろ!」

 

 その数は単体ではなく無数。その無数の“デジクオーツ”の端末と、デクスドルグレモンの大群が融合を始める。緑色の粒子の中から巨大な1体のデジモンが姿を現した。

 それは背中に赤い翼を六枚生やし、巨大な両腕を持ち、竜に似たような頭部をした四足歩行の巨大なデジモンーデクスモン。

 

「グオオオオオオオオォォォォォォォォォォーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!」

 

「デ、デクスモン……」

 

 デクスモンは他のデジモンと違って『電脳核(デジコア)』を持たない為、デジモンに分類されないプログラムの類で仮の姿で現れるが、実体が無いデジモンである。

 『電脳核(デジコア)』を探知して体内に取り込んで分解し、二度と再構成出来ないように処理するという『プロセス0』から『プロセスF』を永遠に繰り返す。

 単純なプログラムなのだが、倒すことは不可能な領域の存在だと推測されている。『電脳核(デジコア)』が無ければ活動を停止させるが、『電脳核(デジコア)』がある限りその活動を止めない。

 

「デクスモンは私とアルファモン、パラティヌモンに任せろ。皆は一度引いて状況を報告するんだ」

 

「分かった。頼んだぞ!」

 

 スレイプモン、ブラストモン、オメガモン・Alter-Bを戦場から離脱させたのには理由がある。彼らを休ませ、この後の戦いに備える為だ。

 デクスモンと正対するオメガモン、アルファモン、パラティヌモンの3体の聖騎士。アルファモンが後ろに下がって後方支援を担当し、オメガモンとパラティヌモンが斬り込む。最強の布陣だ。

 

 

 

「“万象一切灰塵と為せ”! 『グレイソード』!!!」

 

「グオオオオオオオオォォォォォォォォォォーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!」

 

 オメガモン達とデクスモンの戦いが始まった。オメガモンはウォーグレイモンの力を解き放ち、グレイソードの刀身から太陽の火炎を放つ。

 先制攻撃を仕掛けたのはデクスモン。目の前の敵を叩き潰そうと巨大な右腕を振り上げたその瞬間、2体の聖騎士の姿が突如として目の前から消失した。

 

「“大地を照らす日輪よ、敵を焼き尽くせ”!『レイジング・サンバースト』!!!」

 

 アルファモンは橙色の魔法陣を描き、デクスモンの頭上に巨大な火炎球を作り出してそのまま落とした。

 巨大な火炎球が爆裂して灼熱の火炎の雨として降り注ぐ中、オメガモンとパラティヌモンはデクスモンの背後に姿を現した。

 オメガモンは刀身から太陽の火炎を放つグレイソードを、パラティヌモンは刀身から黄金の光を伸ばすパラティヌス・ソードを同時に薙ぎ払う。

 確かな手応えを感じた2体の聖騎士デジモンだったが、デクスモンにダメージをそこまで与えられなかった。デクスモンの身体はオメガモン達よりも巨大な為、耐久力が異常なまでに高くなっている。それだけに通常攻撃ではダメージを与える事は出来ない。

 

「ガアアアアアアアアアァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!」

 

 デクスモンからすれば、今の一撃など大した事はない。それでも怒りはする。周囲に凄まじい雄叫びを上げながら、背後を振り返ってオメガモンとパラティヌモンを睨む。

 邪魔な2体の聖騎士を追い払おうと巨大な左腕を薙ぎ払うが、目の前にいた筈の2体聖騎士は再び姿を焼失させた。

 デクスモンの身体の大きさは50メートル以上。かなりの巨体でパワーは凄まじいが、スピードはそうではない。スピードではオメガモン達の方がデクスモンを上回っている。

 その隙を突かないオメガモンとパラティヌモンではない。パラティヌモンは背中の翼から光を放出させ、一瞬でデクスモンの懐に入り込み、デクスモンの足元をパラティヌス・ソードで薙ぎ払った。

 

「ハァッ!!」

 

 ガクッとデクスモンが躓きながら地面に勢い良く転倒する。パラティヌモンが繰り出した斬撃を受けた事でバランスを大きく崩したからだ。

 五十メートル以上する巨体が地面に倒れ込んだ衝撃。それによって物凄い轟音が鳴り響き、周囲一帯のビル群が倒壊していく。その中にはデクスモンに覆い被さるように倒れたビルもある。

 

「(後はこのまま一気に押し切る!)“輝ける光よ、地上の全てに裁きを下せ”! 『シャイニング・ジャッジメント』!!!」

 

「『怒涛たる勝利の聖剣(グレイソード)』!!!」

 

 ここで畳み掛けることを決めたアルファモン。デクスモンが転倒している千載一遇の好機をこのまま見逃さず、一気に上級魔術を叩き込んで “勝機”を手繰り寄せる。

 自分の真上に純白に輝く巨大な魔法陣を展開し、その中央から光の波動を撃ち出すと同時に、オメガモンもグレイソードの刀身から攻防一体の灼熱の波濤を生み出す。そしてグレイソードを薙ぎ払い、灼熱の波濤でデクスモンを焼き尽くす。

 太陽の如き膨大な熱量と輝きを放つ灼熱の波濤。周囲一帯を砕し、巻き込みながら火砕流のように焼き尽くす。更に灼熱の余波が周囲に降りかかり、デクスモンを中心とした広範囲が太陽の火炎によって焼き尽くされた。

 

 

 

「グオオオオオオオオォォォォォォォォォォーーーーーーーーーーーーーー!!!!!」

 

『ッ!?』

 

 これでデクスモンを倒した。いや倒せなくても大ダメージを与えた筈だ。そう思っていたが、その幻想は突如響き渡った雄叫びによって木っ端微塵に壊された。それと共に白い超高温の蒸気の幕が瞬く間に四散し、デクスモンが姿を現した。

 全身の所々に焼き尽くされた場所はあるが、それでもあれ程の一撃を受けておきながら致命傷と思えるような傷を一切負っていなかった。

 巨大な光の波動と太陽の灼熱と輝きに呑み込まれ、焼き尽くされながらもデクスモンは未だに難攻不落の城として聳え立つ。

 

「システム・オメガ……『Omega-Gain-Force(オメガ・イン・フォース)』発動……!」

 

「ドライブ・パラディン……『Paladin・System(パラディン・システム)』発動!」

 

 オメガモンは直ぐに特殊能力の使用を決意した。胸部の紅い宝玉が光り輝かせ、『Omega-Gain-Force(オメガ・イン・フォース)』を発動させる。

 パラティヌモンも特殊能力の発動を宣言する。彼女の赤い瞳が青色に変わり、虹色のオーラが全身から放たれる。発動されたのは『Paladin・System(パラディン・システム)』。

 『Paladin・System(パラディン・システム)』。リアルタイムで推移する戦況を分析・予測し、導き出された最良の戦術、及び実行後予測されるであろう結果を脳に直接伝達する特殊能力。更に導き出された未来を実現させる為に身体強化を施す事も出来る。

 

「ガアアアアアアアアアァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!」

 

 狂気と憎悪に塗れた雄叫びを上げながら、デクスモンはオメガモンとパラティヌモンに向けて襲い掛かり、出鱈目としか言えない膂力に任せて巨大な両腕を振るう。

 巨大な両腕の薙ぎ払いを回避し、デクスモンの背後に回り込んだ2体の聖騎士はデクスモンの機動力を封じようと攻撃を開始した。

 デクスモンが背中に生やしている赤い翼。それを攻撃しようとグレイソードが一閃され、パラティヌス・ソードが振り下ろされる。灼熱の波濤によって焼き尽くされ、黄金の剣光によって一刀両断された。

 デクスモンは怯んだような雄叫びを上げたものの直ぐに持ち直し、背後にいる2体の聖騎士目掛けて巨大な両腕を振るう。

 

『ハアアアアァァァァァァァァァァァーーーーーー!!!!!』

 

 視認どころか気配を察知出来ない程の超速度を以て、2体の聖騎士はその場所から完全に姿を消失させた。これにより、デクスモンの巨大な両腕から繰り出された薙ぎ払いは空振りに終わった。

 その隙にデクスモンの真正面に姿を現したオメガモンとパラティヌモン。お互いの聖剣から目にも写らぬ速度の連続刺突を繰り出す。

 先程の攻撃が空振りに終わった直後に繰り出された超神速の連続刺突。それを胸部に集中的に喰らい、デクスモンは怯むしかなかった。その隙にオメガモンはグレイソードを振り上げ、左斬り上げを繰り出す。

 狙うのはデクスモンの左腕だ。太陽の灼熱に呑み込むと共に焼き尽くされ、デクスモンの左腕は消滅した。

 

「グアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァァァァッ!!!!!!!!!」

 

「これはおまけだ! “雷よ、落ちろ”! 『サンダーボルト』!!!」

 

 左腕を焼失し、苦痛と怒りに満ちた雄叫びを上げるデクスモン。それを見たアルファモンは魔法陣を描き、デクスモンの頭上から一筋の雷を落とす。

 頭部に攻撃を喰らったデクスモンに、2体の聖騎士は更なる追い打ちをかける。オメガモンはグレイソードを横薙ぎに構え、聖剣から発している太陽の火炎を伸ばし、左手に巨大な灼熱の刃を作り上げる。

 パラティヌモンも右手に握るパラティヌス・ソードから黄金の剣光を伸ばし、オメガモンと共に突進を開始した。同時に2体の聖騎士はお互いの聖剣を薙ぎ払い、デクスモンを攻撃した。

 

「グオオオオオオオオォォォォォォォォォォーーーーーーーーーーーーーー!!!!!」

 

「“彷徨える魂よ、氷に抱かれて永遠の眠りに付け”! 『アブソリュート・ゼロ』!!!」

 

 しかし、左腕を失ったデクスモンがこの程度で止まるはずがない。何度も攻撃を喰らいながらも戦う事を止める事なく、全身に凄まじい量の暗黒エネルギーを溜め込む。

 一斉解放してオメガモンとパラティヌモンに攻撃しようとするが、それをアルファモンが妨害する。水色の巨大な魔法陣を描きながら上級魔術を繰り出して来た。

 アルファモンが右手を突き出すと、デクスモンは瞬間凍結した。何の前触れもなく、突然の事だった。その隙にオメガモンは太陽の火炎を発するグレイソードを振り下ろし、パラティヌモンは黄金の剣光を伸ばすパラティヌス・ソードを薙ぎ払う。

 

「グオオオオオオオオォォォォォォォォォォーーーーーーーーーーーーーー!!!!!」

 

 凍らされた後に焼き尽くされた。これは流石のデクスモンですらたまらず、苦痛に満ちた叫び声を上げるしかない。それでも持ち直して残っている右腕を振るう。

 オメガモンはグレイソードを横薙ぎに構え、再び刀身から攻防一体の灼熱の怒涛を生み出す。グレイソードを薙ぎ払ってデクスモンの攻撃を受け流し、返す刀で聖剣を一閃してデクスモンの胸部を焼き尽くす。

 それを見逃すパラティヌモンではない。左手に握るパラティヌス・ソードから黄金の剣光を伸ばしながら薙ぎ払い、デクスモンの右腕を斬り飛ばした。

 

「ガアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァッ!!!!!!!」

 

「『怒涛たる勝利の聖剣(グレイソード)』!!!」

 

「『ロイヤルストレートスラッシュ』!!!」

 

「『デジタライズ・オブ・ソウル』!!!」

 

 ―――そろそろ止めを刺す頃合だ。そう判断したオメガモンはガルルキャノンの照準を合わせ、デクスモンの足元に向けて絶対零度の炸裂冷気弾を撃ち出した。

 絶対零度の炸裂冷気弾デクスモンの下半身の一部に直撃すると同時にその周囲を瞬間凍結させ、デクスモンの動きを封じた。

 身動きの一切を封じたデクスモン。オメガモンは攻防一体の灼熱の波濤を生み出すグレイソードを薙ぎ払い、パラティヌモンは黄金の剣光を伸ばしている聖剣を振り下ろし、アルファモンは右手の平から緑色の光の波動を放つ。

 3体の聖騎士の総攻撃。それを真正面から喰らったデクスモンは地面に倒れ込んだ。このままデータ粒子に変わって消滅するのかと思いきや、データ粒子に変わったものの、そこから新たなるデジモンに再構成を開始した。

 

「姿を変えるのか?……いや違う。戦いはこれからか」

 

「あれが“デジクオーツ”の戦いのラスボス。最後にして最大の強敵……あのデクスモンは仮の姿だったみたいですね」

 

「あぁ。俺達はまんまとやられた。これで奴に戦闘データを取られてしまった……」

 

 この戦いは最終決戦への序章に過ぎなかった。相手は“デジクオーツ”の最後にして最大の強敵。言わばラスボス。

 3体の聖騎士が戦ったデクスモンは仮の姿。そのデクスモンと戦った事で戦闘データを与えてしまった。その事実に気付いたアルファモンは悔し気な顔をしている。

 

「あれが史上最悪のデジモン……クオーツモン。“デジクオーツ”の生みの親」

 

 ついに姿を現したクオーツモン。上半身と下半身が岩石で出来ていて、中央に光り輝く目がある不気味な姿をしているデジモン。果たしてデジモンと呼んでも良いのか。そういう雰囲気を纏っている。

 そんなクオーツモンと正対するオメガモン、アルファモン、パラティヌモンの3体の聖騎士。いよいよ最終決戦が本格的に始まろうとしている。

 




LAST ALLIANCEです。今回から後書きのやり方をちょっと変えます。
本編に出したデジモンや内容の裏話を話していきます。

・一真=弄られ役

序盤でパラティヌモンとAlter-Bに弄られましたが、これからも時々弄られます。
皆さん暖かい目で見守って下さい。

・デクスドルグレモンの大群

『時を駆ける少年ハンターたち』ではディアボロモンが出ましたが、この小説で一度出しちゃったので、『X-evolution』からデクスドルグレモンを出しました。
デジタルワールドを破壊し尽くした彼らが、人間界をデジクオーツに換えていく。
我ながら随分と皮肉な話を書いた物です(苦笑)

・無事だった一真の両親

『時を駆ける少年ハンターたち』では”デジクオーツ”絡みの事件に関わると、データ化されなくなるという設定でしたが、ここでは一度でもデジモンと関わるとデータ化されなくなるという設定に変更しました。
データ化に対する抗体が生まれたという解釈でお願いします。

・デジモンの技を使用出来た一真

これは言うまでもなく”デジモン化”の進行がかなり進んでいる証拠です。
使ったのはワーガルルモンの『カイザーネイル』、グレイモンの『メガフレイム』、メタルガルルモンの『コキュートスブレス』、ウォーグレイモンの『ガイアフォース』。
メタルグレイモン・メタルガルルモンの一部の技は使えません。ミサイル系統ですが。

・避難所

そこではアルファモンが握ったお寿司や、ブラストモンの自家栽培の野菜で作った豚汁とおにぎりが炊き出しで食べれます。
盛って配っているのはデーモン大暮閣下やルーチェモン達。意外に大好評。

・デクスモン

こちらも『X-evolution』から登場。
デクスドルゴラモンでは大きさ・強さ的にきつい(役不足的な意味で)ので、デクスモンにしました。
公式設定では倒せない(アルファモン以外には 実際には不明)デジモンですが、今回はクオーツモンが生み出した的な意味もあり、かなり弱体化しています。

裏話はこんな感じにします。
今回は先ず前哨戦となるデクスモン戦を書きましたが、次回はデジモン軍団との戦いを書きます。
『時を駆ける少年ハンターたち』では歴代主人公が登場しましたが、この小説ではそれ以上の出血大サービスをします。何をするかはお楽しみに!

皆さん。よろしければ感想・評価の方よろしくお願いします。
あたたかい感想とか前向きなコメント、アドバイスやモチベーションが上がるような応援メッセージや高評価を頂くと、作者のやる気が超進化します。
最近はちょっと寂しいので本当に頂ければかなり頑張れます。

それでは次回をお楽しみに。LAST ALLIANCEでした!

次回予告

ついに始まったクオーツモンとの最終決戦。
デジモン軍団に挑むオメガモン達だが、相手の数と物量に押される一方。
そこに助っ人がやって来る!

第25話 異世界の英雄大集合! 夢のデジモンオールスターズ!
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