終焉の聖騎士伝説~オメガモンとなった青年の物語~ 作:LAST ALLIANCE
残り数話……予定だと3、4話でしょうか。それを投稿し終えたら終わりになります。
今回はオメガモンVSオメガモンXの対決です。
「そういう事か。もうそんな所まで進んでいたのか……」
アーサーパラティヌモンから一通り話を聞いたオメガモンが頷いた。彼がいるのはデジタルワールドであり、今はマキ・イグドラシルの本拠地―世界樹イグドラシルに向かっている最中。その道中で説明を受けていた。
穏健派と中立派は手を取り合い、共に強硬派を壊滅状態にまで追いやった。残る強硬派はオメガモンX・ランスロットのみとなった。その最強にして最後の聖騎士を倒し、マキ・イグドラシルとの決戦に挑む。その為にオメガモンは人間界からデジタルワールドに来て、仲間達と合流して世界樹イグドラシルに向かっている。
「この場所か……皆、森の中に隠れてくれ。奴は私が倒す」
「よくぞこの場所を見破ったな」
到着した場所は世界樹イグドラシルの直ぐ近く。そこに聖騎士の『波動(コード)』を探知すると、オメガモンは皆に森の中に隠れるように言う。一騎打ちで決着を付ける為だ。
その真意を汲み取ったアーサーパラティヌモン達が森の中に隠れると、そこにオメガモンX・ランスロットが姿を現した。
「私の仲間が教えてくれた。決着を付ける前に、オメガモンX。貴方に聞きたい事がある。貴方はマキ・イグドラシルの行動を見ても何も感じないのか?」
「何を言っている?」
「私は彼女の理想を素晴らしいと思っている。それが実現すればきっと人間とデジモンは手を取り合い、素晴らしい世界を一緒になって作っていけると信じている。だが、その為にデジタルワールドと人間界を崩壊させる必要があるのかが分からない。同じデジモンとして、デジモンを殺戮する事が正しいかどうか……それを貴方に聞きたい」
オメガモンはマキ・イグドラシルの事を全て否定している訳ではない。彼女の掲げる理想には賛成している。人間とデジモンが共存できる世界。それは素晴らしい理想だ。是非とも実現して欲しいし、実現したい。そう考えている。
しかし、それを実現するやり方が極端で過激すぎる。そこを問題視している。臣下として思う所があるのではないか。そう思い、オメガモンはオメガモンXに尋ねる。
「私はイグドラシルの掲げる正義に従う。マキ様の未来を守る為に戦う。それだけだ」
「その未来が例え血に染まっていようと、絶望しかないとしてもか……」
「そうだ。ならば私からも聞こう。何故お前達は抗い続ける? デジタルワールドの神に勝てないかもしれないのに、何故抗い続ける?」
「生きたいからだ。それに大切な物を守る為だ」
オメガモンが戦う理由。大切な物を守る為だが、根底にあるのは日常や当たり前のように存在する普通を守る為。自分が一体化した人間の日常を奪ってしまった事を受け、二度と元通りの日常に戻れなくなった代わりに、皆の日常を守ろうと心に誓った。
その為なら例え相手が自分より格上の相手だろうと、神だろうと戦う。それが人間であり、デジモンでもあるオメガモンの信念。
「より良い未来を築き上げる為、私達は前に進む。理不尽な悪には屈しない。それだけの話だ」
「つまりは前に進む為ならば、どんな悪にも立ち向かうと言う事か。だが例え負ける事が必然だったとしたら?」
「それはどうかな? 抗い続ける事に意味がある。何もしないで後悔するなら、何かして後悔した方が良い。そう思わないか?」
「ならば後悔させてやろう。イグドラシルに歯向かった事を!」
自分の信じる未来を突き進もうとするオメガモンと、イグドラシルの未来を守ろうとするオメガモンX。相容れない2体の聖騎士は戦闘態勢に移行する。
お互いにグレイソードを出現させ、ガルルキャノンを展開した。オメガモンとオメガモンX。オメガモン同士の対決の第2ラウンドが始まった。
ーーーーーーーーーー
『ガルルキャノン!!!』
2体の聖騎士はガルルキャノンを同時に構えて照準を目の前に合わせると、砲身の内部にエネルギーを集束させる。集束が終わると同時に、ガルルキャノンから青色のエネルギー弾を撃ち込んだ。
同時に撃ち込まれた2発の青色のエネルギー弾。それは2体の聖騎士の中心で激突すると、周囲一帯を巻き込む程の大爆発を起こした。
「ハアアアアァァァァァァァァァァァーーーーーー!!!!!」
黒煙と爆炎が巻き起こり、衝撃波が拡散される中、オメガモンは気配さえも感じさせない程の超速度で移動し、黒煙と爆炎を突き破った。
そしてグレイソードを薙ぎ払ってオメガモンXを攻撃しようとするが、目の前にいた筈のオメガモンXの姿が無かった。一度攻撃を中断して構えを取り直す。
突如としてデジモンの『波動(コード)』を真上から探知すると、そこにはガルルキャノンを構えたオメガモンXがいた。しかもガルルキャノンには先程と同様に生命エネルギーが集束されている。
先程のガルルキャノンの激突で大爆発が巻き起こった時、オメガモンXは爆煙を隠れ蓑に使いながら上空に飛び上がり、ガルルキャノンでオメガモンを狙い撃ちにするつもりだったようだ。
「ならばっ!」
「グァッ!!」
相手が攻撃をするよりも前に攻撃すれば良い。そう考えたオメガモンはグレイソードを構えながら瞬間移動を発動し、一瞬でオメガモンXの目の前に姿を現した。
グレイソードを振るって攻撃した後、右足を蹴り抜いてオメガモンXを地上に向けて墜落させると、その後を追って自身も地上に降り立つ。
オメガモンXは立ち上がっている最中であり、まだダメージから立ち直っていない。その隙を突き、オメガモンはグレイソードを突き出すが、オメガモンXは咄嗟に左肩のブレイブシールドΩを突き出し、強烈な刺突を弾き返す。
「クッ!!」
「ハアァァッ!!!」
攻撃を弾き返されて後退しながらも、体勢を立て直したオメガモン。牽制の意味も込めてガルルキャノンから青い光の波動弾を撃ち出すが、オメガモンXはグレイソードを薙ぎ払って砲撃をかき消した。
更にオメガモンとの間合いを一瞬で詰め、グレイソードを大上段から振り下ろす。それを左肩のブレイブシールドΩで受け止めながら、オメガモンはガルルキャノンを至近距離で構え、青い光の波動弾を撃ち出す。
しかし、オメガモンXはそれに気付いていた。自分から背後に飛び退きつつ、背中に羽織っているマントで青い光の波動弾を防ぐ。そして仕切り直しを行う。
両腕の武器を構え直すオメガモンに向けてガルルキャノンの照準を合わせ、絶対零度の冷気の波動砲を撃ち出すオメガモンX。咄嗟に横に跳んで躱したオメガモンとの間合いを一瞬で詰め、聖騎士は大上段からグレイソードを振り下ろす。
「ハアァァァァァァァァァーーーーー!!!!」
「クッ!!」
「グアァァァァァァァァァーーーーー!!!!」
裂帛の気合と共に繰り出された唐竹斬り。それを左肩に装備している黄金の聖楯で受け止めつつ、オメガモンはガルルキャノンの照準を合わせ、青い波動弾を撃ち込む。
胸部に青い波動弾の直撃を喰らったオメガモンX。初めて苦痛に満ちた叫び声を上げながら吹き飛ばされる。オメガモンは直ぐに追撃に移行した。
吹き飛んでいる最中のオメガモンXに向けてグレイソードを突き出すが、既に体勢を立て直していたオメガモンXに弾かれ、ガルルキャノンから砲撃を撃ち込まれるが、上半身を捻って砲撃を躱した。
「やはり強いな……ならば真の力を以てお前を倒す! 『Omega-Gain-Force(オメガ・イン・フォース)』……発動!」
「コード・オメガ……『Omega-Gain-Force(オメガ・イン・フォース)』、発動!」
お互いに膠着状態に陥り、勝負が付かない所に陥っている。それを感じた2体の聖騎士は同時に特殊能力を発動させた。
『Omega-Gain-Force(オメガ・イン・フォース)』。それは戦闘において一瞬で未来を予測し、あらゆる状況に対応する事が出来る究極の力。あらゆる状況下でのオメガモンの戦闘センスとポテンシャルが極限まで高められ、引き出された能力。
それを2体のオメガモンは同時に発動する。オメガモンXの胸部が展開され、オメガモンの胸部の紅い宝玉が輝きを放つ中、戦いが再開される。
ーーーーーーーーーー
先に動いたのはオメガモンXだった。突如としてオメガモンの目の前から消失すると、聖騎士の背後に回り込み、ガルルキャノンから青色のエネルギー弾を撃ち込む。
背後に感じた『波動(コード)』と迫り来る砲撃の音。それを頼りにオメガモンは振り向き、グレイソードを一閃して青色のエネルギー弾をかき消す。
そのままオメガモンXとの間合いを一瞬で詰めるが、その時には既にオメガモンXはまたもや姿を消失させた。次の瞬間、あらゆる方向から砲撃が撃ち込まれ、無数の青いエネルギー弾が襲い掛かる。
「『グレイソード』!!!」
オメガモンはグレイソードを構えると共に刀身から太陽の火炎を発し、左手に巨大な灼熱の刃を作り上げ、全力で振るって無数の青いエネルギー弾をかき消す。
完全にオメガモンXのペースとなり、防戦一方においやられている事に気付いているオメガモン。そんな聖騎士に追い打ちをかけるように、オメガモンXはガルルキャノンから砲撃を撃ち込んだ。
「ガアアァァァァァァァァァーーーーーーー!!!!!」
胸部に青いエネルギー弾の直撃を喰らい、吹き飛ばされるオメガモン。それを見たオメガモンXは即座に追撃に出る。
グレイソードの刀身に灼熱の火炎を纏わせるが、オメガモンは咄嗟にグレイソードを横薙ぎに振るい、目の前に灼熱の火炎壁を展開する。これを隠れ蓑に使いながら体勢を立て直して地面に着地した。
その次の瞬間、灼熱の火炎壁を突き破り、青い光の波動砲がオメガモンに向かって襲い掛かった。咄嗟に横に跳んで躱したオメガモンと、悠然と構えを取るオメガモンX。完全に両者の差は明白となっている。
「これで分かった筈だ。お前はただ異常に強いオメガモン。運良く『Omega-Gain-Force(オメガ・イン・フォース)』を使えるだけだ。私はX進化し、『Omega-Gain-Force(オメガ・イン・フォース)』の使用を前提とし、限界までカスタマイズされた。お前と私では天と地ほどの差がある」
「それがどうした! 戦う気力がある限り、まだ負けたとは言わない! 『ダブルトレント』!!!」
『Omega-Gain-Force(オメガ・イン・フォース)』の使用者としての差を突き付けられても、オメガモンは戦う事を止めようとしない。
メタルガルルモンの頭部を象った右手に蒼く煌めく絶対零度の冷気が宿り、ウォーグレイモンの頭部を象った左手に橙色に輝く太陽の火炎が発する。
オメガモンは両手を地面に同時に突き立てる。右手から蒼く煌めく絶対零度の冷気が、左手から橙色に輝く太陽の火炎が一直線に放たれる。
北欧神話の九つの世界のうち、下層に存在するとされる冷たい氷の国。そして世界の南の果てにある灼熱の国。その2つが同時に襲い掛かる。
「その程度で!」
しかし、オメガモンXはグレイソードの一閃で『ダブルトレント』をかき消し、ガルルキャノンを構えて青いエネルギー弾を撃ち出す。
それをグレイソードの一閃でかき消されたのを見ると、オメガモンXはガルルキャノンを一度戻し、右手から六連装のガトリング砲―ガルルストームを展開した。そこからエネルギー弾の弾幕を張り始める。
「クッ!!」
オメガモンXに接近し、得意の近接戦闘に持ち込もうとしていたオメガモン。ガルルストームから展開される弾幕によって、迂闊に接近する事が出来ず、表情を険しくさせる。
それを見たオメガモンXはニヤリと不敵な笑みを浮かべると、ガルルストームを戻し、もう1度ガルルキャノンを展開する。照準をオメガモンに合わせ、絶対零度の冷気の波動を撃ち出した。
「『グレイソード』!!!」
オメガモンはグレイソードを構え、太陽の火炎を集束させて巨大な灼熱の刃を作り上げ、それを振るって絶対零度の冷気の波動をかき消し、一瞬でオメガモンXとの間合いを詰め、返す刀で斬り掛かった。
それに対し、オメガモンXはガルルキャノンの照準を合わせ、オメガモンの左手に向けて青いエネルギー弾を撃ち込み、聖騎士の動きを止める。たたらを踏んで後退する聖騎士に、更なる追い打ちをかけていく。
ガルルキャノンをもう1度戻してガルルストームを展開し、超音速のエネルギー弾を連射してオメガモンに全弾直撃させ、グレイソードの刀身に灼熱の火炎を纏わせる。一瞬で接近し、大上段から振り下ろす。
胸部を斬り付けられ、純白に輝く聖鎧の至る所に傷跡を刻まれたオメガモン。それでも何とか持ち直すが、顔を俯けている。蓄積されるダメージがオメガモンのスタミナと精神をジワリジワリと削っていく。
「諦めろ。X進化した私には、X進化していないお前が勝てる筈がない。私にはお前が敗北する未来しか見えていない」
「私はお前に勝利する未来を、その可能性を信じて戦うだけだ!」
オメガモンはグレイソードを構えると同時にその場から姿を消失させ、オメガモンXの目の前に出現させて灼熱の聖剣で斬りかかる。
連続で繰り出される斬撃を的確に躱し、至近距離からガルルキャノンを撃ち込むが、オメガモンはそれを跳び上がって躱し、ガルルキャノンから青色の波動弾を連射する。
それをグレイソードの一閃でかき消し、エネルギーを集束し終えたガルルキャノンの照準を合わせ、オメガモンに向けて最大出力の砲撃を撃ち込んだ。
「『ガルルキャノン』!!!」
「グアアアアアァァァァァァーーーー!!!!!」
オメガモンXが撃ち出した青い光の波動砲。それに呑み込まれたオメガモンは苦痛に満ちた叫び声を上げ、そのまま地面に倒れ込んだ。
実力差は歴然。同じ特殊能力を使っていても、格と力の差だけは埋める事は出来ない。オメガモンに止めを刺すべく、オメガモンXはゆっくりと歩み寄る。
ーーーーーーーーーー
(身体が動かない……)
―――オメガモン。僕を使え。僕を使い潰してくれ! でないとこのままじゃ死ぬぞ!
(駄目だ! 前に“デジモン化”した事を忘れたのか!? 今ここでリミッターを解除したら、今度は一真殿の精神が焼き切れてしまう! 肉体はおろか、精神まで死んでしまうんだぞ!?)
―――何を言っているんだ? ここで使わないとお互いに死ぬだろう? この世界と人間界を守るには今使わないと駄目だよ。それに僕の命はオメガモンに繋がれている。だから僕の全てを使って欲しいんだ。
立ち上がろうと全身に力を込めるオメガモンだったが、ダメージの蓄積によって力を出せない状態に陥っている。実力と格の差、己の非力さに打ちのめされている。
そんなオメガモンに呼び掛ける一真。確かに彼の力を使えばこの状況を打開し、オメガモンXを倒す事が出来るかもしれない。しかし、それが出来ない事情がオメガモンにはある。
それは一真の事だ。“デジモン化”した今、ここで彼の能力を使ったら一体何が起きるか分からない。肉体が人間として死んだのだから、今度は精神が人間としての死を迎える事が目に見えている。だからこそ、オメガモンは頷く事が出来ない。
しかし一真はオメガモンに自分を使い潰すように促す。このままでは確実に死ぬ事が目に見えている。これではマキ・イグドラシルを倒すどころか、デジタルワールドと人間界を守る事も出来ない。
更に言えば、一真の行動原理もある。ディアボロモンに襲われ、死ぬ筈だった自分はオメガモンに助けられた。だから自分はオメガモンに全てを捧げなければならない。肉体や命といった全てを。例え死ぬ事は分かっていたとしても。
(分かった。使おう。君の全てを使うから授けてもらおうか!)
―――あぁ。好きなように使ってくれ。僕の全てを君に明け渡す!
「な、何だと!?」
その瞬間、オメガモンの瞳が空色に輝き、眩い光が放たれた。ゆっくりと立ち上がり、胸部の紅い宝玉が光り輝くと共に、オメガモンの全身に聖なる黄金のエネルギーが聖鎧として纏われる。そのエネルギーは『Omega-Gain-Force(オメガ・イン・フォース)』。
まさかの復活を遂げたオメガモン。その姿を見たオメガモンXは驚きながらもガルルキャノンを構えて青色の光の波動砲を撃ち出そうとするが、それよりも先にオメガモンが動き出した。
一瞬でオメガモンXとの間合いを詰め、ガルルキャノンの砲口目掛けてグレイソードを突き下ろす。グレイソードが突き刺さったガルルキャノン。砲身の内部には膨大な量のエネルギーが内包されている。
今の一撃でその膨大な量のエネルギーが炸裂し、超爆発を引き起こすと共にオメガモンXのガルルキャノンを粉々に破壊し、聖騎士の右腕を破壊した。
「ガアアアアァァァァァァァァーーーーー!!!!!」
苦痛に満ちた叫び声を上げながら吹き飛ぶオメガモンX。ガルルキャノンを破壊しただけでなく、右腕を完全に封じた。
マキ・イグドラシルが心の底から恐れるオメガモン。人間とデジモンが一体化し、それによってもたらされる凄まじい力。オメガモンXは身を以て知らされる事となった。
「確かに私ではお前には勝てないだろう。だが、私“達”ならばお前に勝てる!」
「……忘れていた。お前は八神一真と言う人間と一体化していて、それによって新たなる力を手にした事を。今まで使っていなかったのか!」
「そうだ。さぁここから反撃開始だ!」
反撃開始を宣言すると共に、オメガモンは瞬間移動を発動させてオメガモンXの目の前に姿を現し、グレイソードを突き出す。
狙うのはオメガモンXの右半身。使用不能に追い込まれた右腕を含む右半身を狙い、オメガモンXを防戦に追いやる。対する聖騎士は聖剣を使って連続で繰り出される刺突を防ぎ、一瞬の隙を見せたオメガモンに向けてグレイソードを薙ぎ払う。
しかし、その隙はわざと見せた物だった。オメガモンは姿勢を低くしながら左薙を躱し、身体を回転させながらグレイソードを振り上げ、オメガモンXを吹き飛ばす。
そこからオメガモンの怒涛の追い上げが始まった。吹き飛びながらも体勢を立て直している聖騎士の目の前に出現し、グレイソードから怒涛の連続斬撃を繰り出し、オメガモンXを防戦一方に追い込んでいく。
「ハァッ!!」
「チィ!!」
右足から繰り出した蹴り上げと、グレイソードから放った突き下ろしのコンボで遠くへと吹き飛ばしたオメガモン。その両目は空色に発光しており、人間とデジモンの一体化による力を最大限に引き出している証となっている。
ガルルキャノンの照準を合わせて相手を牽制しながら、オメガモンはグレイソードを構えて突進を始める。大上段からグレイソードを振り下ろし、斬り上げ、薙ぎ払い等の連続斬撃に繋げていく。
オメガモンXは『Omega-Gain-Force(オメガ・イン・フォース)』を使って躱したり、防いだりしているが、オメガモンの繰り出す攻撃が重く、鋭く、速い為、中々反撃に移る事が出来ないでいる。
「ハァッ!!」
「クッ!!」
グレイソードから連続斬撃を繰り出した後、オメガモンは右足蹴りを繰り出す。それをオメガモンXが左肩のブレイブシールドΩで防ぐと、左足を起点にオメガモンは後方宙返りを行い、ガルルキャノンから砲撃を撃ち込む。
青い波動弾が胸部に直撃し、オメガモンXを吹き飛ばす中、オメガモンはグレイソードを構えると共に再び灼熱の刃を作り上げ、大上段から振り下ろして追い打ちをかける。
「ガアアアアァァァァァァァァァァァァァァーーーーーーー!!!!!」
全身を焼き尽くされながらも、オメガモンXは立ち上がる。右腕とガルルキャノンは使用不可能に追い込まれたが、まだ左腕とグレイソードが残っている。
オメガモンXのグレイソード。その剣には究極奥義が宿っている。刀身に触れた物全てを消滅させる『オールデリート』。斬撃として飛ばす事も出来る為、もし喰らってしまえば折角の逆転が無意味になってしまう。
『オールデリート』を突破する事が出来ない限り、オメガモンXを倒せない。オメガモンはグレイソードを横薙ぎに構え、居合抜きのような構えを取った。
―――次の一撃で勝負を決める。
オメガモンとオメガモンX。2体の聖騎士は暫しの間睨み合いを行うが、機は熟したと判断した瞬間、オメガモンが突撃を開始した。
目にも写らぬ速度で移動した為、気配を探知する事さえも出来ない。完全に消失したと錯覚するような超速度。オメガモンXは周囲を警戒するが、狙って来るとしたらやはり右半身だろう。そう思って構えを取る。
オメガモンの『波動(コード)』を捕捉したオメガモンX。自分の勝利を確信しながら、グレイソードに自身の生命エネルギーを注ぎ込みながら、全力で振り下ろす。
「『オールデリート』!!!」
「『グレイソード』!!!」
しかし、その瞬間にオメガモンXが見た。自分が敗北する未来を。何故なら自分が捉えた物はオメガモンの残像だったのだから。
本物はオメガモンXから見て右側に姿を現し、全力でグレイソードを薙ぎ払う。刀身から太陽の火炎を生み出し、巨大な灼熱の刃となっている左手を。
「グワアアアァァァァァァァァァァァァァァーーーーーーー!!!!!」
胴体部分に灼熱の斬撃を喰らったオメガモンXは苦痛の叫び声を上げながら吹き飛び、大地に叩きつけられた。
オメガモンはまたしても伝説を打ち立てた。X進化していない状態でX進化したオメガモンに勝利したと言う逸話だ。
ーーーーーーーーーー
「やったぞ! 勝ったぞ一真殿!」
―――あぁ、勝ったねオメガモン……
「一真殿!? 大丈夫か!? 気分はどうだ!?」
―――え~とね、率直に言うと、何かフラフラすると言うか、意識が朦朧すると言うか……頭の中が焼かれる程痛かったし、目の前が真っ暗になりそうなんだ。
「な、何だと……!?」
オメガモンXに勝利した喜びを分かち合うオメガモンと一真。しかし、その代償は大きかった。一真の脳の半分が焼き切れ、気をしっかりしないと今にも死んでしまいそうな程、どう考えても危ない状態に陥ったからだ。
今の一真は文字通りオメガモンによって生かされている状態。限界を超えた能力の使用によって、一真は命の危険にまで晒されてしまった。
―――次にもう1回やったら僕死ぬかもしれない……いや死ぬな確実に。
「分かった。ならば休んでいてくれ」
――――そうさせてもらうよ。オメガモン。頼むぜ、人間界とデジタルワールドの未来を一緒に切り拓こう……
「あぁ、分かった」
一真はオメガモンの中で休息も兼ねて一眠り付くと、オメガモンは地面に倒れ伏せているオメガモンXを見下ろす。
目指す先は違えど、同じ未来の為に戦った2体の聖騎士。何故戦わなければならなかったのか。それは目指す先の違いが告げている。
「私はマキ様を守る最強にして最後の番人。行くが良い、オメガモン達よ」
「最初から気付いていたのか……」
「あぁ。私は任務に失敗した。間違いなく何かしらの制裁を受けるだろう。それはジエスモンとガンクゥモン以外の連中もそうだ。今の内に通れ」
「恩に着るよ、ありがとう」
地面に倒れ伏せたオメガモンXを介抱し、オメガモン達はマキ・イグドラシルが待っている場所に向かっていく。案内人はクレニアムモン・フェルグス。
いよいよ始まる最終決戦。神と聖騎士による、人間界とデジタルワールドを左右する最後の戦い。それは一真が迎える最後の死闘でもあった。
LAST ALLIANCEです。
今回も後書きとして、本編に出たデジモンや内容の裏話を話していきます。
・『Omega-Gain-Force(オメガ・イン・フォース)』
特殊能力を使えるオメガモンと、使用を前提にチューニングされたオメガモンX。
発動した後の展開の差がここで出ました。
・オメガモンの反撃
イメージは『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』のVSハシュマル戦のガンダムバルバトスルプスや、阿頼耶識システムTYPE-Eを発動しているガンダムヴィダールのイメージです。
人間とデジモンの一体化による力を最大限に引き出しているという意味では、似ている筈です。
・能力の代償
以前は”デジモン化”として肉体が死にましたが、今度は精神が悲鳴を上げています。
次に能力を使用したら、間違いなく一真君は死にます。正確には彼の精神と人格が。
裏話はここまでになります。
皆さん。よろしければ感想・評価・お気に入り登録の方よろしくお願いします。
あたたかい感想とか前向きなコメント、アドバイスやモチベーションが上がるような応援メッセージや高評価を頂くと、作者のやる気が究極進化します。
それでは次回をお楽しみに。LAST ALLIANCEでした!
次回予告
ついにマキ・イグドラシルとの決戦が開始されるが、そこで明かされるクレニアムモン・フェルグスの正体。そして『聖騎士団(ロイヤルナイツ)』の行方。
果たしてオメガモン達とマキの決戦の勝者は!?
第38話 最終決戦