終焉の聖騎士伝説~オメガモンとなった青年の物語~ 作:LAST ALLIANCE
短くて後半は駆け足気味になりましたが、読んでくれてありがとうございます。
オメガモン達一行は世界樹イグドラシルに突入し、初めて見る景色に感嘆の念を覚えながらも、自分達の使命の為に突き進む。クレニアムモン・フェルグスの案内に従い、マキ・イグドラシルがいるであろう場所に向かっていく。
全員の表情が固い。それだけ真剣な表情を浮かべていると言う事に他ならない。これから2つの世界の命運をかけた最終決戦に挑むのだから。
「ついにここまで来ましたね……相手はあのイグドラシル。クオーツモンの時以上に激しい戦いになるでしょう」
「あぁ……そしてこれが一真殿にとって最後の戦いになる」
オメガモンはアーサーパラティヌモン達に全てを話した。オメガモンXとの戦いでリミッターを解除した時、一真の精神と人格にまでダメージが及んだ事。次にまたリミッターを解除したら、今度こそ一真は消滅してしまう。精神と人格が。
それを聞いた誰もが辛そうに顔を俯ける。能力を使い続けた代償とは言え、一人の人間が死亡するのはやはり辛い。ましてやそれが味方であり、大切な仲間だったら猶更だ。
「それでも前に突き進むのか……オメガモン」
「そうだ。これは一真殿が望んだからだ。彼に見せてあげたい。人間とデジモンが手を取り合い、仲良く過ごせる世界を。だから止まる訳には行かない。デジモン達と人間達、皆の為に、そして一真殿の為に!」
オメガモンは確信していた。この戦いが一真にとって最後の戦いになる事を。だからここで立ち止まる訳には行かない。彼が夢見る人間とデジモンが手を取り合い、仲良く過ごせる世界を実現させる為に。
その思いを受け取ったアーサーパラティヌモン達が頷き、その先の通路を抜けると、広い場所に出た。そこに待っていたのはマキ・イグドラシルだった。
「来ましたね、オメガモン。そして私を裏切り、悉く任務に失敗した『聖騎士団(ロイヤルナイツ)』。我々はお前を止めに来た。お前の野望を、これ以上無意味な殺戮を止める為に!」
「お前の野望もここまでだ、マキ・イグドラシル! いやこう呼ぶべきか……秋山千冬! ミレニアモン!」
「私の正体を!?……成る程。フェルグスから聞いたのですね……やはり彼はホメオスタシスが送り込んだスパイでしたね」
『ッ!?』
マキはクレニアムモン・フェルグスの正体について話し始める。フェルグスはホメオスタシスが送り込んだスパイだった。
彼は『デジモンセイバーズ』に登場したクレニアムモンと同一個体。スレイプモンことクダモンと同時期に転生したが、その時はホメオスタシスがマキ・イグドラシルの正体を見破った頃だった為、スパイとして派遣された。
マキが造り上げたクレニアムモンを抹殺して何食わぬ顔でこれまで過ごしてきた。パラティヌモンが封印されていた場所が分かったのも、フェルグスのおかげでもある。
「全て筒抜けだったのか……」
「お前だけが私の造り上げたデジモン特有の『波動(コード)』を発していなかった。だから簡単に分かった。でも私はそれをあえて見過ごし、お前を泳がせた。何故だか分かるか?」
「そ、それは……!」
「お前が聖騎士達をまとめ上げ、私の所に来る事を予測していたからだ。そしてその通りになった。お前達は用済みだ、『聖騎士団(ロイヤルナイツ)』」
『グアアアアァァァァァァァァッ!!!!!』
マキが左手の平を前に突き出して握り締めると、彼女が造り上げた聖騎士達が一斉に苦しみ出し、やがてデータ粒子となって消滅した。
その膨大なデータ粒子を吸収したマキ・イグドラシル。彼女の力が一段と高まり、圧倒的な威圧感とオーラが増していく。
「な、何と言う事を!」
「彼らは全員用済みです。任務に失敗し、私の命令には従わない。そんな聖騎士を部下にしていては、この先が思い知れます。私は人間界とデジタルワールド、2つの世界を統合して新世界を創ります。これはもう誰にも止められません」
「ふざけるな! 部下を平気で切り捨てるような奴が世界を治める事など出来ない!」
「そうでしょうか? 争いのない平和な世界を作り上げる事の何処が間違いなのですか?」
「違う! お前の理想は間違っていない。そのやり方が間違っているんだ! 何の罪もない人間やデジモンを殺戮する事が正しいなんて言えない!」
ついに本当の姿を見せたマキ・イグドラシル。彼女は自分が造り上げた『聖騎士団(ロイヤルナイツ)』を平気で切り捨て、彼らを吸収して力を増した。
そんな神様が世界を統治して良い筈がない。そう考えているオメガモン達は真っ向からマキに反論する。
「確かに貴女の考えは立派です。正しいです。間違っていません。私も賛成しています。でも貴女のやり方が強引過ぎる上に極端過ぎる。だから私達は抗うのです。前に進もうとしているのです」
「やはり貴方達とは戦わないといけませんね……」
「ここから先は私一人に任せてもらおう。一真殿の最後の戦い、せめて神を倒したという逸話を打ち立てたい」
「分かりました。ご武運を」
マキが両手に銃剣付きに二丁拳銃―アストリアを握り締める一方、オメガモンが一歩前に進み出た。一真のラストバトル。その相手はデジタルワールドの神であり、“デジクオーツ”事件の黒幕。
メタルガルルモンの頭部を象った右手からガルルキャノンを展開し、ウォーグレイモンの頭部を象った左手からグレイソードを展開するオメガモン。2つの世界の命運をかけた最終決戦が始まった。
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「ハアアァァッ!!!!!」
先に動いたのはマキだった。両手に握るアストリアから連続射撃を行う。それに対し、オメガモンはグレイソードを薙ぎ払って銃弾を跳ね返し、聖剣を構え直すと共に刀身から巨大な太陽の火炎を纏わせ、返す刀で薙ぎ払う。
それを跳躍で躱したマキを見て、オメガモンはその場から姿を消失させた。その次の瞬間、一発の砲撃が発射された音が鳴り響く。その間にマキに向かってあらゆる角度から一斉に青い光の波動弾が撃ち込まれ、彼女に向けて襲い掛かる。
「その程度で!」
マキは両手に握るアストリアを構えると共に銃弾を連射し、無数の青い波動弾を撃ち落とす。その隙にオメガモンは彼女の背後に回り込み、太陽の火炎を発するグレイソードを薙ぎ払うが、惜しくも躱されてしまう。
前方に跳躍しながら身体を回転させ、2丁拳銃から銃撃を撃ち込むが、オメガモンはグレイソードを振るい、灼熱の火炎壁を展開して防いだ。
お互いに凄まじい反射速度と先の読み合いを見せながら、一歩先を行こうとしている。凄まじい戦いにアーサーパラティヌモン達は介入出来ない。と言うより、オメガモンの意志を尊重して介入しない。
「以前より強くなっていますね……八神一真が融合しているからですか!」
「そうだ。人間とデジモンの絆によって生まれる強大な力……それにお前は負ける!」
「ですが貴方の中にいる八神一真は死にかけている……この戦いで引導を渡してあげましょう!」
「引導を渡すのは私だ! ハアアァァァァァァッ!!!!!」
マキは目の前の地面に向けて右手に握るアストリアから銃弾を撃ち込み、無数の破片や石礫を飛ばしてオメガモンを攻撃する。
グレイソードを振るって無数の破片や石礫をかき消すと共に、灼熱の聖剣を構えながら突進を開始するオメガモン。一瞬でマキとの間合いを詰めると、連続斬撃を繰り出す。
最小限の動きを以て連続斬撃を躱していくマキに合わせ、オメガモンは更に間合いを詰めながら連続斬りを放つ。
それも最小限の動きで見切りながら躱していくマキ。オメガモンは彼女の背後に一瞬で回り込み、再び連続斬撃を繰り出すが、彼女は左手に握るアストリアの銃剣部分から光を伸ばし、灼熱の刃と真っ向から斬り合う。
「私は間違えていた。この計画を進める前に、貴方を先に倒すべきでした」
「それは無理だな。お前では私に勝てない! ウオオォォォォォッ!!!!!」
オメガモンはグレイソードを振り切り、マキを吹き飛ばす。今の聖騎士が人間とデジモンが完全に融合しかけている状態。限りなくフルパワーに近い状態。
それを感じたマキは空中で体勢を立て直して着地し、上空に向けて一発の銃弾を撃ち込んだ。その銃弾は爆裂すると共にオメガモンに向けて降り注ぐが、聖騎士は気配すら感じさせない動きでその場から離脱し、攻撃を躱す。
更にマキとの間合いを詰めて下段に構えていたグレイソードを振り上げ、続けて大上段から振り下ろす。お得意の近接戦闘に持ち込むオメガモンに対し、モルガンは聖騎士を追い払おうとアストリアから銃弾を撃ち込む。
「甘い!」
「クッ!! 『聖騎士団(ロイヤルナイツ)』を吸収した筈なのにどうして……!」
「それがお前の失敗だ。どうやら11体の聖騎士達がお前の力を抑え込んでいるみたいだな!」
「何!? そんな馬鹿な!」
「言った筈だ。“部下を平気で切り捨てるような奴が世界を治める事など出来ない”と! ハアアアアァァァッ!!!!!」
聖騎士はグレイソードを振るい、太陽の灼熱を以て銃弾を焼き尽くす。返す刀で聖剣を一閃して太陽の灼熱を放つ。完全にオメガモンのペースとなっている。
オメガモンが強くなっている以上に、マキが弱体化している。彼女は戦いを始める前に、自分が造り出した11体の聖騎士達を吸収した。それが失敗だった。彼女の力を11体の聖騎士達が抑え込んでいるのだから。
巨大な太陽の灼熱の聖剣。あらゆる方向からマキに斬り掛かり、『ダブルトレント』を叩き込み、グレイソードから大上段から振り下ろす。怒涛の連続攻撃を喰らったマキは吹き飛ばされるしかない。
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「凄い……弱体化しているとは言え、マキ・イグドラシルを圧倒している!」
「まだだ!」
勝利を確信しているアルファモン達だが、立ち上がったマキ・イグドラシルは不敵な笑みを浮かべながら、全身から暗黒のオーラを放ち始める。
それに気付いたジエスモンが声を上げる中、マキの姿が変わっていく。偽りの姿から本来の姿に。背中に巨大な2門のキャノン砲と竜のようなオーラを背負い、四本の腕を持った合成獣のような姿をした邪神。その名前はミレニアモン。
「これがミレニアモン……マキ・イグドラシルの本当の姿!」
「違います。私は邪神ミレニアモン!」
「邪神ミレニアモンか……例えお前が変わろうと、倒される事に変わりはない!」
しかし、このミレニアモンは邪神ミレニアモン。マキ・イグドラシルと一体化し、文字通り邪神となった千年魔獣。並大抵のデジモンでは勝てる筈がない。
しかも本来の姿になった事で、11体の聖騎士による抑止力が消されてしまった。これでようやく本来の力を発揮する事が出来るようになってしまった。
戦いが再開された。オメガモンはグレイソードを薙ぎ払い、太陽の灼熱で邪神を焼き尽くそうとするが、ミレニアモンは右手を前に突き出した。
「何!?」
まるで何かを握り潰すような動きだった。それと連動しているかのように、オメガモンが放った太陽の灼熱が、まるで空間によって握り潰され、瞬く間に消滅していった。
空中で太陽の灼熱が突如として消滅した。その事実にオメガモンのみならず、アーサーパラティヌモン達も驚きを隠せない。
「そういう事か……手の動きに合わせて空間を操作出来るようだな」
「察しが良いですね。そう。私は空間を自由自在に操作する事が出来る。そしてこういう事も出来る」
「ッ!」
邪神ミレニアモンは空間を操作する事が出来る。元々彼女の必殺奥義、『タイムアンリミテッド』は時間を圧縮して異次元を作り出し、相手を永遠に閉じ込めてしまう物。それを応用させ、空間操作を会得した。人間とデジモンが一体化した事で生まれる新たなる力。それを得られるのはオメガモンだけではない。
彼女が言葉を言い終えた次の瞬間、オメガモンの背後に邪神ミレニアモンが回り込む。今は空間移動を使用した。自分がいる場所の空間から、相手の背後の空間へと移動しただけ。
そしてオメガモンが振り返ると同時に右手で顔面を鷲掴みにし、左手で聖騎士のいる空間を握り潰す。そして右手で掴んでいるオメガモンを遠くへと投げ飛ばす。
「グアアアアァァァァァァァァッ!!!!!」
「思っているより頑丈ですね……!」
「舐めるな!」
オメガモンは空中で体勢を立て直しながら身体を捻り、ガルルキャノンの照準を邪神ミレニアモンに合わせ、青いエネルギー弾を連射する。
迫り来る複数の青いエネルギー弾。邪神ミレニアモンは右手を前に突き出し、瞬時に空間を破壊する事で連続砲撃ごと消滅させた。遠距離が駄目なら近接戦闘で行くしかない。そう思ったオメガモンはグレイソードを構え、邪神ミレニアモンとの間合いを詰める。
連続でグレイソードを突き出して邪神ミレニアモンを攻撃するが、空間を歪曲させてバリアを作り出したのだろう。繰り出した連続刺突が悉く弾かれた。
それならば背後に回り込んで攻撃すれば良い。そう考えたオメガモンは一瞬で背後に回り込み、巨大な太陽の灼熱を生み出しながら斬りかかる。今の攻撃は確実に邪神ミレニアモンを捉えた。ダメージを与えたと言う手応えがあった。
「何!?」
「残念。今貴方が焼き尽くしたのは私の分身でした。砕け散れ!」
「グアアアアァァァァァァァァッ!!!!!」
しかし、次の瞬間には悪寒を感じたオメガモンは咄嗟に上半身を捻りながら、一気に背後に飛び退いた。聖騎士が捉えたのは邪神の分身だった。
邪神ミレニアモンは再び空間移動を発動して間合いを詰める。左手でオメガモンの顔面を握り締め、もう1本の左腕で右腕を掴み取る。
不敵な笑みと共に破壊される空間。それと共に破壊される聖騎士の右腕。皮肉にも先程撃破したオメガモンXと同じ状態に追い込まれたオメガモンは、力なく地面に崩れ落ちると共に遠くに吹き飛ばされ、そのまま意識を手放した。
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(これが邪神の力……強い。だが何故だろう……哀しく思えるのは)
オメガモンは邪神ミレニアモンの事を強いと評しながらも、何処か哀しく思っている。悲惨としか言えない秋山千冬の人生。
理不尽で巨大な悪によって大切な家族やデジモン達を奪われ、世界を憎みながら死んでいった。そして邪神へと転生した後、敵討ちをした。そこからは自分が経験した事が二度と起きない世界の創造へと動き始めた。
人間とデジモンが共存し、争う事のない平和な世界。彼女の気持ちは分かる。もし自分も同じ立場だったら、そうしていたかもしれない。だが許せない事がある。それは今を必死で生きている皆を無視し、彼らを消し去った上で新しい世界を築き上げようとしている事。
―――僕はミレニアモンを、千冬さんを絶対に認めたくない。全てを奪われ、憎みたくなる気持ちは分かる。でも……だからと言って、関係のない人々を巻き込んで良い理由にはならない!
それは一真も同じだった。突然のディアボロモンの襲撃により、一度死んでからオメガモンとなって復活した。その時から彼が生きる平和な日常は奪われ、“デジモン化”し、今は精神と人格が死にかけている状態。
似たような経験をしているからこそ、一真は秋山千冬を認める事が出来ない。彼女の行いを見過ごす事が出来ない。もしここで自分が倒れたらまた第二、第三の犠牲者が生まれてしまう。そうなれば、悲劇と言う名前の殺戮が何時までも続いてしまう。
(一真殿……まだ戦えるか?)
―――あぁ、何とか。でも本当にこれで僕を使えば、間違いなく僕は死ぬ。
(……)
―――本当は死にたくねぇよ! 僕だってまだやりたい事はあるよ! 美味しい物を食べたいし、スポーツもやりたい! 貰った給料で旅行したいし、たまには馬鹿騒ぎしたい! それにオメガモン……ずっと君と一緒にいたいよ!
一真は涙声で自分の思いをぶちまける。本当は死にたくない。皆を守る為に、世界を守る為とは言っても、やはり死ぬのは嫌だ。死にたくない。どうにかして生き延びたい。
でもここで自分が消えなければ、2つの世界はおろか、自分が守りたいと願って来た日常が失われてしまう。その狭間で一真は板挟みとなり、瞳から大粒の涙を流している。
―――でも誰かがやらないとなんだよね……その誰かがたまたま僕だったと言う話なら、僕はやる。僕一人の命で2つの世界を、そこに生きる皆の命と日常を守れるなら本望だよ。でも……残された皆はどうなるんだろうね。
(絶対に悲しむだろう。八神一真と言う一人の人間の命を奪ったデジモンを憎み、張本人たる私を恨み、憎み続けるだろう。だがそれで構わない。一真殿、例えこの戦いで死んでも君は死なない。君は生き続ける。何故か分かるか? 皆が君の事を覚えているからだ。本当に死ぬ時は、2つの世界にいる誰もが八神一真がいたと言う事実を忘れた時だ)
―――そっか。記憶に残り続ける限り、僕は生き続けるんだね。分かった……僕の全てを君に託すよ、オメガモン。僕の全てを使って邪神を滅ぼすぞ! 僕らの力で!
(あぁ、滅ぼすぞ! これが私達最後の戦いだ!)
『電脳核(デジコア)』の鳴動が高鳴っていく。人間とデジモンが一体化する事で発揮される凄まじい力が具現化される。消えていたオメガモンの瞳に光が灯り、聖騎士が再び立ち上がった。その瞳から空色の閃光が放たれている。
それを見たアーサーパラティヌモン達は悟った。八神一真と言う人間はこの戦いが終わったら消えてしまう事を。それでも最後まで生きる。例え無様でも、美しくても良い。死ぬ最後の一瞬まで自分がやるべき事をやり、それをやり遂げた後に消える。
「馬鹿な……まだ戦おうとしているのですか!? 貴方は……貴方は本当に聖騎士なのですか!?」
「聖騎士……あぁ、そうだな。だが敢えて言わせてもらおう。私はデジタルワールドと人間界を守る……守護神だ!」
再起動して立ち上がったオメガモン。その姿に狼狽する邪神とは対照的に、守護神は威風堂々とした佇まいで言い放つ。この戦いに勝利するまでまだ終われない。理想の世界を勝ち取るまでまだ止まれない。止まりたくない。その思いがオメガモンにはある。
その姿に圧倒され、無意識の間に後退りをする邪神ミレニアモン。同じ執念が彼らを動かしている。守護神は2つの世界に生きる者全ての日常を守る為。邪神は自分が理想として掲げる世界の実現の為。その執念のぶつかり合いが始まった。
ーーーーーーーーーー
「ギャアァァァァァァァァァーーー!!!!!」
「今のはお前が理不尽に殺したデジモン達の分だ。有り難く受け取れ!」
先手必勝と言わんばかりに邪神ミレニアモンが動き出す。右手を再び突き出そうとするが、その直前に青色の流星が邪神の右腕を木っ端微塵に破壊した。
ガルルキャノンを邪神に向けて言い放つオメガモン。ミレニアモンの右腕の一本を粉砕したのは、ガルルキャノンから撃ち出された青い波動弾。先程破壊された筈の右腕が復元している。しかも砲撃の威力や速度も上昇している。
「クッ! 『ムゲンキャノン』!!!」
「遅い!」
邪神ミレニアモンは背中に背負っている2門のキャノン砲から超弩級の砲撃を撃ち込むが、その時には目の前にいた筈のオメガモンの姿が消失していた。
何処に行ったのか。そう思って探ろうとした次の瞬間、グレイソードを下段に構えたオメガモンが目の前に姿を現し、太陽の灼熱を生み出すグレイソードを振り上げ、返す刀で振り下ろす。邪神を焼き尽くし、反撃を許さない程に苛烈な反撃が始まった。
「まだです!」
「コード・オメガ……『Omega-Gain-Force(オメガ・イン・フォース)』、発動!」
オメガモンの怒涛の攻勢。それを止めようと邪神ミレニアモンが左手を前に突き出し、空間を握り潰すように握るよりも前に、オメガモンは胸部の紅い宝玉を輝かせて特殊能力を発動し、バックステップで後退する。
グレイソードを構え直して横薙ぎに振るい、太陽の灼熱を以て左腕の1本を焼き尽くし、その熱量と輝きで消し去った。
しかし、邪神は止まらない。残っている腕を前に突き出した瞬間、空間に流れている空気の流れが止まった。それと同時にオメガモンの動きも止まる。時間停止ならぬ空間停止。空間に流れている時間や何もかもを問答無用で止めた。
「成る程。これで私の動きを封じたつもりなのか」
「何がおかしいのですか?」
「私の究極奥義を忘れたとは言わせないぞ?」
「ッ! まさか……!」
「『初期化(イニシャライズ)』!!!」
身動きの一切を封じられたにも関わらず、不敵な笑みを浮かべているオメガモン。彼にはこの状況を打開する究極奥義がある。
それを思い出すと同時に自分の失敗に気付き、即座にオメガモンいる空間を握り潰そうしたが、邪神の行動はワンテンポ遅かった。
オメガモンはグレイソードの刀身に生命エネルギーを流し込み、純白に光り輝く聖剣―『オメガソード』にすると、空間停止の牢獄から抜け出して邪神との間合いを詰めるべく、全力で駆け出す。
「『タイムアンリミテッド』!!!」
「ハアァァァァァァァァァァァァァーーーーーーーーー!!!!!!」
邪神ミレニアモンは最後の悪足掻きと言わんばかりに、時間を圧縮して異次元を作り出し、オメガモンを永遠に閉じ込めようとしたが、聖騎士は異次元を初期化し、消滅させて『タイムアンリミテッド』を不発に終わらせた。
聖騎士を空間ごと破壊しようと、両腕を前に突き出して握り潰す邪神。邪神を薙ぎ払おうとグレイソードを一閃する聖騎士。2体のデジモンが交差したその瞬間、最終決戦は終わりを告げた。
LAST ALLIANCEです。
今回も後書きとして、本編に出たデジモンや内容の裏話を話していきます。
・クレニアムモン・フェルグスの正体
分かっていた人はいたかと思いますが、『デジモンセイバーズ』に登場したクレニアムモンでした。やっぱりクレニアムモンと言えば彼でしょう。
マキの所にスパイとして潜り込んだのは、マキが造ったクレニアムモンを殺害したからです。パラティヌモンの封印場所も彼が教えてくれました。
・消された『聖騎士団(ロイヤルナイツ)』
マキによって粛清された彼らが、オメガモン達に実は協力していた。
彼らの活躍が無ければ……恐らく負けてました。
・ミレニアモンの攻撃技
イメージは『空の境界』の荒耶宗蓮です。空間を握り潰して相手を攻撃したり、攻撃を無効化したりする。攻防一体・変幻自在、予測不能。
・一真の思い
死にたくない。生きたい。この感情は人として当然なのですが、彼は自分の命と世界を天秤にかけ、世界を選びました。
裏話はここまでになります。
皆さん。よろしければ感想・評価・お気に入り登録の方よろしくお願いします。
あたたかい感想とか前向きなコメント、アドバイスやモチベーションが上がるような応援メッセージや高評価を頂くと、作者のやる気が究極進化します。
それでは次回、もとい最終話をお楽しみに。LAST ALLIANCEでした!
次回予告
ミレニアモンとの戦いに決着が付き、戦いが終わった。
これが意味する事は世界の再編。そして1人の人間の死。
相棒の死を胸に、聖騎士は前に進み出す。
最終話 聖騎士と青年