ごちゃごちゃしてて長そうなところは読みにくいかもしれないので抜かしてOKです。
ただ今回は今まで明かしてなかった重要な事を明かしていますので、それを知りたい人はside 文まで抜かしてくだっさい。
それでは、どうぞ!!
二人の剣士は刀を構える。
魂魄妖忌の場合はその鞘に入った刀を正眼に構えている。
それに対して鞍馬天鴎は鞘に入ったその刀を抜刀術を放つ構えで重心を低くしている。
二人は相当の剣士ではあるがやはりこの一場面からでも二人の違いがわかる。
魂魄妖忌という剣士はその生の相当の時間を剣に注いでいるのだろう。
スタンダードな刀の構えを主に使う剣士らしい剣士の構えである。
鞍馬天鴎もやはりその生の中でほとんどの時間を剣と共に過ごしている。
しかし、このような最初から刀を抜刀できる状況で抜刀の構えをとるのは珍しい。
何故なら、達人ならば正眼の構えから溜めを殆どせずにトップスピードまで刀を加速させる事ができるからだ。
そうなれば正眼よりも体を使うモーションが多い抜刀は不利になる。
故に両者とも正眼とは言わずとも刀は体より前にくるのが基本的である。
しかし、天鴎の構えは刀を体より後ろに持ってくるものである。
それだと天鴎の一手は妖忌よりも遅くなってしまう。
天鴎がいくら抜刀が得意だからといってもそれは不利な体勢に変わりはない。
「ほう、それは自身が楽に勝てるという余裕の表れですかな?」
「いや、これも考えあっての構えですよ、決して余裕の表れという事ではないですよ。」
「ほう、それならば、その考え事断ち切って一本取らせて貰おう。」
一気に緊張が高まる。
両者眼光鋭く隙を伺う。
観客と化している幽々子が先程からパタパタと扇いでいた扇子を不意にパチンと閉じた。
それが合図となった。
天鴎と妖忌の音も衝撃もすべて前方に込めた踏み込みで距離が一気に縮まりその勢いを乗せた剣戟が繰り出され…
たのは妖忌の刀だけだった。
天鴎はそれに対してさらに体を前にだし、空中へ体を投げ出しながらを思いっ切り捻るという暴挙にでた。
しかしそれは妖忌と観客の予想に反し、
そう、妖忌の刀は躱されたのだ。
「なっ?!」
妖忌の驚愕に染まった声が聞こえる。
しかし、驚いたのも一瞬だけ、空中で上手く身動きがとれないであろう天鴎に向けて追撃の切り上げを放とうとする、しかし…
ガンッ!!
刀どうしがぶつかる音と共に妖忌の振り上げようとした刀は完全に地に叩きつけられる。
それは、天鴎が空中で捻った力をそのままに妖忌の刀を勢いよく上段から刀でたたきつけたからだ。
それに対し妖忌が驚き刀を引き戻そうとしたとき…
ヒュッ
そのような音がし、妖忌の顔の横に天鴎の足が添えられる。
天鴎が回し蹴りをし寸止めしているのだ。
「詰みですよ、妖忌さん。今回は少し卑怯な手を取ってしまいすみません、けれどどれだけの実力があるのか、または対応力があるのか測りたくなりまして、今回の闘い方をさせてもらいました。」
「…そうゆう狙いだったか、打ち合いをするのではなく最初から避ける事を狙っていたのは。」
「まあ、そうゆうことです、けどもう一戦やりませんか?やはりあなた程の剣客、真正面から打ち合ってみたい。」
「ああ、望むところじゃ。」
妖忌は特に文句も言わず合意し、後ろに跳んで距離をとり仕切りなおす。
その間紫は何を言えばいいのか分からず、しかしオロオロするわけでもなく、ずっと固まっていた。それも結構堂々としている。
なかなか観れない姿なので幽々子と天鴎は少し内心で笑ってしまった。
そして直ぐに妖忌に意識を全て集中させる。
先程の打ち合いは俺が最初から回避を重視して動いたので、妖忌からしたら不意を打たれるような形で決着が着いた剣士としては卑怯な決着の着け方かもしれない、お互いの剣技をぶつけあおうとしなかったのだから。
しかし、この一幕で分かった事もある。
それは、素の身体能力の差だ。正直言って、俺のとった避け方は無茶な避け方であり、なおかつ避けられるかも分からない運だめしのような避け方、狙ってやるには妖忌の振り下ろす刀に自身の体の回転を完全なタイミングで合わせるという無謀もいいところというような無茶をやってのけねばならない。
そんな事妖忌はともかく、他の強者、鬼であっても無謀な挑戦だ。
それに、他に理由を上げるとするのなら天鴎と妖忌とでは武の鍛え方もまた違う。
妖忌の剣技を剣を主体にしている剣技ならば、天鴎は体を主体とした剣技を使う。
そもそも、鞍馬天狗はその武から多種多様な武器を使う。刀、西洋剣、槍、弓、薙刀、ヌンチャク、棒、面白い物には扇子なんて物もある。
そして、これらの経験から考え方はより効率的になり武器というのは悪魔で体の延長でしかない、つまりは体の一部なんだと考えるようになった。
全ての武人にもこの考えはあるだろう、しかし鞍馬天狗はこの考え方は度を過ぎている。
剣と慣れ親しんだ生活をし過ぎて歯に着いた海苔をとるのに爪楊枝がないからという理由で刀でとるという何とも愛があるのかないのか分からない事をする。
閑話休題
とりあえず、何が言いたいかというと身体能力は天鴎の方が高いということだ。
しかし、剣技というのはその差を覆すためにあるものだ。
天鴎の身体能力はいましがた妖忌は確認した。その全てを読み切った訳ではないが、その一端を体感する事はできた。
それならば、常に最悪の結果を見据えての行動が可能となる。
読み合いという点では全く特徴がつかめない天鴎だか、この身体能力から武術もそれに頼ったものになるだろうと予想はできる。
妖忌は自身の得意なスタイルでいけば、身体能力に頼っているだろう剣技を使う天鴎に勝てると踏んだ。
だがその推測は天鴎からすれば甘いものではあったが。
二人とも両者に対する考察をしながらも睨み合いは続く。
幽々子は自身の扇子がきっかけで先ほどの一幕が始まったからか姿勢を正して正座している。
なかなか始まらない戦いは、不意に落ちた一枚の木の葉によって再開された。
両者ともに、一気に前に詰める。
妖忌は上段からの唐竹、天応は下から上に斬る逆風。
甲高い、刀と刀の斬り合う音が鳴り響き、二人の攻防が始まる。
それは、美しく、幻想的であり、まるで舞っているかのような攻防。
攻めの妖忌、豪快ながらも洗礼された太刀筋であり一撃必殺を狙う、対して天鴎は守りの剣であり、妖忌の剣に乗っている力をうまく受け流し、こちらも返す刀での一撃必殺を狙う。
妖忌の袈裟切り、それをそっと撫でるようにして受け流し、太刀筋を狂わせる。
その勢いそのままに天鴎が右切り上げをするが、妖忌が切り上げをし、剣を弾く。妖忌は宙に剣が浮いた隙に右薙ぎをしようとするが、天鴎は体制を崩された訳ではないのでこれも受け流される、しかし妖忌はすぐさま右切り上げを放ち天鴎に攻撃する隙を与えない。
一見して天鴎が押されているように見える。
しかし、天鴎がその
その実、妖忌としてはこの戦いを楽しむとともに焦りも生まれてきていた。
それは全ての剣をいなされているからだ。一度ぐらいは弾いたり鍔迫り合いがあったていいだろう、というかそちらの方が自然だ。
なのに、一度もそのような状況は生まれない。
受けの剣技に関しては完全に天鴎の方が実力は上だった。
だが、妖忌は他にも違和感を感じていた。
なぜならば、天鴎の剣技に型が見えないのだ。
そもそも、剣技というのは一つの剣術の流派にそって振るものだ。我流というのは洗礼されておらず、何代もの時をかけて洗礼されてきた流派にはかてないだろう。
だか、天鴎の剣技は型が見えないが、我流という訳ではない。確かに一つ一つの剣にはある種の流派のようなものは読み切れた訳ではないがみえるのだ。
しかし、妖忌はそこに違和感を感じていた。まだそこまで多くの打ち合いをした訳ではないから確証は持てないが、その剣の一振り一振りが
これは剣士としては異様なことであり、妖忌であっても今の流派を見つけ極めるまでに何百年も掛かったのだ。いくつもの流派を極めようとするとどれも中途半端になり、限界まで極められたものになど勝つことができない。
だからこそ、剣士というのは例外はあれどその一生を掛けて一つの剣技を極めるのだ。
しかし、天鴎はその妖忌の剣と互角に打ち合っているのだ。
つまり、天鴎の使う剣技の一つ一つはかなり練度が高いことになる。
妖忌はそこまで考えが至ったとこで、背筋に嫌な汗が流れる。
妖忌はとっさに剣を大きく薙ぎ、後ろに跳び仕切りなおす。
そして剣士としてどうしても問いたいことを衝動的に問うてしまう。
「天鴎、そこまで多種多様な剣技、どうやって極めた?そこまでの域に到達するまでどれたけの修練をつみどれだけの時間を掛ければたどりつけるか分からんぞ?!」
天鴎は沈黙していたが、嬉しそうに顔を上げ話しだす。
「やはり気づくよな、妖忌。なに、簡単なことだよ来る日も来る日も剣をただただ振り、死合と実戦を繰り返しまた剣を振る、これを何百年も繰り返せば嫌でもこの域にたどり着くさ。」
「なんという修羅の道よ、そこまでいくと逆に空しいほどだぞ、だがやはりそれでもおかしい、それぞれの剣技や流派には才能というのも大きく関わっておるからな、そこまで多くの物を修得するのにはあり得ない程の才能と優れた師範代がいるものだ。鞍馬の天狗にそこまでの数はおらんはずだし、外部に師事していたとも考えにくいからな。」
「やぱっり、違和感はぬぐえないよなボソッ…実際に見なきゃ、俺のしてきた事は確かにそれだけなんだけど。」
妖忌はそれでも納得できずに不服な顔をしている。それでその域までたどり着けるのなら妖忌だってそうしている。
いくら時間をかけてもたどり着けない域があるからこそ、ここまで食い下がっているのだ。
「嘘を言え、そこまでの剣技を身につけるのには何百年という期間じゃ明らかに足りんわ、それこそ四六時中鍛錬に身を費やしてもだ。」
「まあ、確かにそれで納得するものでもないよな。分かった、種を明かそう。」
「やはりあったか、それで、その種とは?」
「結構簡単なことさ俺の程度の能力だよ」
■
side 文
時はほんの少し遡り、天鴎と妖忌が向かい合ってすぐの時。
「ねえねえ、天狗さん。」
「射命丸ですよ、幽々子さん。それで何ですか?」
「天鴎さんの程度の能力はなんなの?」
「あ、それは私も詳しい事は知らないから気になるわね。是非聞かせて頂戴。」
先程の一幕をみて少し引いてしまった紫が二人の方に近寄っていた。
「ふふん〜、教えて欲しいですか〜?教えて欲しいですよね〜。よし、教えましょう!」
((イラッ))
「天さんの能力はですね〜」
「「能力は……」」
「全ての武術を極める程度の能力です。」
「「全ての武術を極める程度の能力?」」
「はい、私は天さんにそう聞いています。」
「へえ、それって具体的にはどんな能力なの?」
紫が以外と勢いよく食いつく。
「簡単に言えば武術といわれる物からような物までを修得できる能力です。」
「待って、
幽々子がかなり鋭い所をついてくる。
「ええ、この能力は悪魔で
「それってかなり不利な能力じゃ…」
「いえ、それは違いますよ」
「え、なぜ??」
幽々子と紫は頭にはてなマークを浮かべる。天鴎の能力の利点が分からないようだ。
「簡単にいえば、武人が喉から手が出るほどに欲しがる才能というのが全ての武術にかなりの高さであってですね、それに加えこの能力は全ての武術が該当しますからかなり範囲も広いですし、種族特有の物も修得できます。」
「特有というと。」
「武神の武術や、魔剣士独特の戦い方、霊術師の霊術なども修得できるということです。」
「でもそれらを使うには神力や魔力、霊力を扱えなければいけないのよ、そんなのあり得ないわ…まさか」
「その、まさかですよ紫さん。天さんの能力はそれらを扱うための才能と共に下地を作ってくれます。それらからいえることは…分かりますよね?」
「ええ、まさか神力、妖力、魔力、霊力、4つの力を使えられるようになる能力だなんて、昇華させるにはかなり大変な能力だけどけっこう強力じゃない?」
「まあ、力の容量が増える訳ではないので火力が出る訳ではないですけど、確かに天さんの能力はかなり伸びしろがありますね。鍛えれば鍛える程強くなる能力、武人としてありえない程の高みにいますよ。」
「あらあら、それじゃあこの勝負天鴎さんの勝ちかしら?」
「当たり前ですよ、なんていったって私の最強で最高にカッコイイ天さんですからね。」
そういって文は胸を張る。
紫も幽々子も天鴎が勝つだろうなと薄々心のなかで予想する。
なんとも妖忌が不埒な会話であった。
■
side 天鴎
「なるほどな、そのような能力があるからこそ、そこまでの高みまでいけたのか…」
「まあ、鞍馬天狗として生まれたからこそこの能力を最大限活かせたんですけどね。」
「ならお主、かなり力を抜いておるな?そのような能力があるのだ、神の武術すら修得できるというのだからもっと力があってもいいはずじゃ。」
「そうですね、俺はまだまだ引き出しが残っています。でも、それを引き出すのは俺ではなくあなたじゃないですか?」
「ふふふ、嬉しいことを言ってくれる、しかし、それもそうじゃな。いいじゃろう、出し惜しみはなしじゃ。」
「やはりそうこなくては、面白くない。」
その言葉と共に妖忌が動く。
天鴎は先ほどと同じ受けの姿勢を崩さない。
それに対して妖忌はかなり深く踏み込み、全力の一撃を繰り出す。
決して力任せではない、もてるだけの技術と力を全て振り絞った会心の一撃を放つ。
だが、やはり天鴎からすると力点をずらすのは簡単なことだ。あさっりと受け流してしまう。
だがここで天鴎からすると予想外なことが起こる。
妖忌が受け流した時の勢いを利用して回し蹴りを放ってきたのだ。
正統派の剣士である者が、先ほどまでそのような体術を一切使おうとしたかったはずなのに放たれた蹴りに不意を突かれ天鴎は反応が一瞬遅れる、天鴎は咄嗟に何とかガードをするが体勢は崩されてしまう。
天鴎の上体が後ろに傾く。
妖忌はその隙を逃さず弧を描くような鋭い切り上げを放つ。
それは天鴎に吸い込まれるような軌道を描くが天鴎はその場で這うようなバク転をすることで回避し後ろに距離をとる。
だがそれは妖忌の予想の範囲内だ。
妖忌はここまでずっと納めていた鞘をここでずらす。
そのまま抜刀するのではなく…抜刀する勢いそのまま鞘を天鴎に向けて飛ばしたのだ。
ここでまた天鴎は不意を突かれる形になる。
今回は完全に意識が追い付かなかったのか右肩に受けてしまう。
ここで初め天鴎が妖忌に出し抜かれることになった。
天鴎は今の攻撃によってまた崩された体勢を立て直そうと前を向くが、そこには最早上段に剣を構え、袈裟切りを放つ妖忌がいた。
その斬撃は天鴎の左肩から右脇腹への傷を作るとおもわれたが…
「な!!手ごたえがないだと?!」
妖忌の振るった刀は見た限り確かに天鴎の体を切り裂いたと思ったが、その手ごたえは空を斬ったものそのものだった。
妖忌は咄嗟に天鴎を見つけようと周りを探ろうとするが…
「それは残像だ」
妖忌の背後からそのような声が響く。
その瞬間天鴎の方に振りむこうとするが、
「鞍馬一刀流」
その瞬間、妖忌の目の前に圧倒的な殺気が溢れだし、妖忌の頭に死という文字が浮かぶ。
「基ノ型」
そこまでいった所で妖忌は天鴎と向き合う形になるが、その殺気の前に動くことができない。
「
その瞬間妖忌は死を覚悟する。
しかし、刀は妖忌の顔の前を高速で通り過ぎ、台風と間違えそうな暴風を生んだが、その剣は妖忌に傷を残さなかった。
「勝負ありですね、妖忌さん。」
「あ、ああ…」
未だに風が吹き荒れる中天鴎が問いかける。
妖忌は天鴎の問に弱々しい答えしか返せず、またその場を動けなかった。
「そ、空がっ!?」
紫のその声を聴き、何故か妖忌は無視できず、妖忌は固まっている体を無理矢理自身の後ろに振り向かせる。
そしてその目を大きく開け、自身の目を疑う事になる。
空には、目の前一面に広がる雲海に、
妖忌も紫も幽々子もただただ固まるしかない。
たったあの一刀だけで、簡単になし得る事のできない事をしたのだ。それは、相当な実力者達の腰を抜かせ、固まるしかない状況を作ってしまった。
この状況を作り上げた当の本人はというと…
「あちゃー、これはやりすぎちゃたかな?」
それだけいって困ったような苦笑いを浮かべるだけだった。
「あれ?私本当に立会人になる意味あったかしら。」
多分いらない子だったと思う。
シリアス「出番がない」
ギャグ「俺もない」
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