東方鞍馬録   作:Etsuki

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小話とか言いながら時間かかってしまい申し訳ありません。後長くなってしまい申し訳ない。それに加え二つしか話しがなくて申し訳ありません。

後、カカシさん、誤字脱字報告ありがとうございます。
感想をくれた皆様もありがとうございます。

励みになります。


小話集 その1

 開幕いちゃいちゃ

 

 

 日の沈む頃、ある屋敷の縁側に腰掛ける、二人の男女がいた。

 辺りは静まり返り、鹿威しの音がその場に響く。

 

「天さん、やっぱりここからの景色は良いですね。」

 

「うん、そうだね、かなり良い景色だ。」

 

「けれども、天さんと会う前は夕陽を見てもなんとも思わなかったんですよね。なんででしょうか?」

 

 文はニヤニヤとしそうな顔をしながらも、解答なんて一つしか無いような問を投げかける。

 

「さあ、なんでだろうな?俺と居るからじゃないか?」

 

 天鴎はその問に静かな顔で答える。

 文は自身の期待していた答えが返ってきて満足そうな表情を浮かべ、天鴎の膝に向け思いっきりヘッドスライディングを決める。

 天鴎は文が怪我をしないようにキャッチし、文ご所望の膝枕の体制をとる。

 文はすぐさま満足気に頭をのせる。

 そして、次の質問をニヤニヤしながらする。

 

「私は前まで熱中して楽しめる事といえば新聞作りしかなかったんですけど、最近は他にも楽しめる事が増えてきました、誰のおかげ何でしょうか?分かりますか?」

 

「さあ、知らないかな?心の余裕というの個人の捉え方によっていろいろと変わるものだからね、それは文自身のおかげじゃないのかな?」

 

「むうー」

 

 文は自身の望む答えが返ってこなくて少しむくれてしまう。この答えは全て天さんのおかげといわせたいのだ。

 しかし、天鴎のいう事はもっともであり、自身の殻を破れたという意味にも捉えられ、褒められた風に言われたので結局文は口元が緩んでいる。

 

「天さん~、私たちの生きる意味ってなんでしょうね?」

 

 文は結局天鴎を試すような質問を辞め、何となく頭に浮かんだ質問をする。

 妖怪にとっては長く生きた悠久の時は自身の生きているという感覚を麻痺させるのに充分な時間であり、妖怪にとっては寿命でも怪我でもめったに死なない身体であるので、生の実感を感じる瞬間は少なく、妖怪はそのことを気にもしないので、文は生の意味というのを考えた事はとても少ないのだ。

 

 しかし、天鴎というか、鞍馬の一族は生というのを考える機会は多い。元々が鍛錬マニアで、その自慢の肉体を試す為に実戦にもでることは多く、回数を重ねまくって強くなった鞍馬天狗は強さの関係上感じる生の実感は少なくなるがまだ未熟な者は死にかけで戻ってくることも多い。

 文はそのことを踏まえた上で答えを天鴎が持っていると思い質問したのだ。

 

「うーん、そうだな。生きる意味というのは実はあってないような物なんだよ。」

 

「と、いいますと?」

 

「正直言って、生きる意味が無くたって、人や妖怪は生存本能がある限り生きていける。そもそも生きている時に大きな意味なんてもっていないし、持ったら持ったでその生を制限される。それならその日その日の小さな楽しみを目的に生きていくほうがいい。どうしてもと意味を持たせたいなら一つだけにせず何個も持つ方が良い。これが俺の考えだ。」

 

「うーん、なるほどと言いたいですがやはり難しいですね。小さな楽しみとは具体的には?」

 

「それは、食事や睡眠などを楽しみにしたり、趣味に楽しみを覚えることだな。」

 

「なぜそれが生きる意味になるんですか?」

 

「うーん、生きる意味とは正確には違うかもしれんが、明日も生きていたい理由にはなるんだ。食事は何をつくるか?どんなものが美味しいか?毎日試行錯誤していれば、明日も試そうって気持ちになって明日も精力的に生きている。趣味だってより良いものにしようとすれば毎日を充実させて生きてける。つまり、何かが楽しい、明日もしたい、そうゆうサイクルが有ることで長期的には何年も生きる事の意味になる。」

 

「なる程、どでかい意味を探すより小さい意味を探す方が良いんですね?」

 

「まあ、中にはどでかい夢を持ってそっちの方がよくなったやつもいるかもしれんが、妖怪は少なからず小さい意味を探した方が良いだろう。」

 

「ならなら天さん、天さんの生きる意味は何ですか?」

 

「?、それはさっき言ったみたいな日々生きている中でのものもそうだけど、でも今は文と一緒に居られるっていうのが大きいかな。本当に、今一番の生きてる意味だよ。」

 

 天鴎はもはやお馴染みのしれっと恥ずかしい事を囁く戦法を発動する。

 もちろんこの攻撃、文には効果はバツグンだ。

 一気に文の顔は赤く染まる。

 文はその顔が見えないように天鴎の太ももにより一層顔を深く沈める。

 

「私もです…」

 

「ん?」

 

「私も天さんといるのは楽しいですしその日その日を楽しく過ごすために必ず必要な物です。なので私の中の天さんはとても大きな生きる意味です。今までも、これからも…」

 

「!」

 

 天鴎はこの文の言葉に素直にビックリし、赤面する。

 いつも甘い言葉を囁けば著しく語彙力が低下する文が今回は言葉を返すだけでは無く甘い言葉による反撃を行ってきたのだ。

 成長したんだなとなんだか感慨深くなる。

 まあ、今回は幸いに文はこちらの顔を見ていない。とりあえず、他に言葉を言っておくかと考える。まあ、今回はシンプルに。

 

「嬉しいよ、文。」

 

 なんというか、囁かれた相手がある意味ゾクッとするような猫なで声で囁く。

 案の定文はゾクッと身震いし、更に深く頭を沈めようともがき始める。

 天鴎はそれに苦笑しながらやはり、文の頭に手をおく。

 そのまま文の頭を撫でながら沈みゆく夕日をみる。

 

 こんな状況だが天鴎は今夜の夕食作らなきゃなという考えが頭に浮かんでくる。

 そのことにも苦笑しながら、とりあえず文を起こしにかかる。

 

 

 ちなみに、その後文を起こし夕食の準備に取りかかるまで三十分の時間を要したらしい。

 

 

 

 ■ 小話1 完  

 

   小話2 飲み会

 

 

 ある日、文が妖怪の山の仕事を終え帰りの道をたまには良いかなと思い飛ばすに歩いていると、見慣れた獣耳を持っている白狼天狗の少女を見つける。

 

「椛さ~ん。お昼ぶりですね~。」

 

 今日の仕事でたまたま話をした椛に声をかける。

 

「あ、文さ~ん、お昼ぶりですね~。」

 

 普段は仲のいい二人だ。地位からしたら文の方が上になるが、だが椛の持つ部下にしたい白狼天狗番付一位という結果があるおかげで、本来あまり仕事場がかぶるはずのない二人だが仕事では同じ仕事場になることが多かった。

 

「あら~~、文と椛じゃない。そんな所でどうしたの?」

 

 と、空から似たような格好をした鴉天狗、姫海棠はたてが降りてくる。

 

「あ、はたて~」

「あ、はたてさ~ん」

 

「二人とも一体こんなところでどうしたの~?」

 

「いや、どうということもないんですが、そこでたまたま会いまして。」

 

「ふ~ん、そうなの?ここら辺で二人がいる事なんてないからてっきり飲みにでも行くのかと思ったわ。」

 

 はたては思ったことを素直にいう。

 

 けれどこの言葉に椛がくいついた。

 

「いいですねー、それ。飲みに行きましょう、お二人とも。」

 

「いいわね、参加するわ」

 

「いいですけど、天さんに言っとかなくちゃいけませんね、少し待って下さい。」

 

 文はその場で鴉を呼んで、足に今から飲みに行く事を書いた紙を巻き付ける。

 

「よし、いいですよ、それじゃあ飲みにいきましょーー!!」

 

「「おーー!!」」

 

 無駄にテンションの高くなった天狗娘三人は飲みに向かったのだった。

 

 

 ■

 

 

 side 天鴎

 

 

「ん?鴉?何かあったのか?」

 

 天鴎の元に一羽の鴉がやってくる。

 何年かここら辺に住んでいるため妖怪の山の鴉とはそこそこ仲良くなっていたが、自分から近づいてくる個体はまだいない。

 なので、だれかから用事を遣わされた鴉だと思い、とりあえず腕を前に出す。 

 そこに鴉は着地し、足をもぞもぞさせる。

 

 天鴎はそこで足に縛りつけられた紙の存在に気付く。

 とりあえず鴉の頭を撫ででから、紙をほどき、内容を確認する。

 

 するとどうやら、文達は飲みにいくということと、晩飯はいらないことなどのむねがかかれていた。

 まあ、文がいないのは寂しいがこんな日もあるだろうと思いながら、どこからか取り出したサラミで鴉を餌付けしていた。

 そもそも、幻想郷に現代のような生ごみなどはないので、鴉はへんなにおいもしなければ汚くもない。

 そう思えば、鴉天狗からすると結構かわいい生き物なのだ。

 

 とりあえず、自分の分の食事を用意しようと思ったが、ここで天鴎の感が働く。

 なんとなく、天狗娘三人が居酒屋で解散せずにどこかで飲みなおしそうと思ったのだ。そのどこかというのも何となくではあるが、居心地のいいところ、具体的にいえばこの家じゃないかと予想してしまうのだ。

 

「つまみと酒、準備しとくか…」

 

 天鴎は鴉を肩に乗せ、台所に歩いていったのだった。

 

 

 ■

 

 

 said 天狗三人娘

 

「ああーー、もう、まさか文に先越されるなんてーー!!考えてもなかったわーー!!」

 

 はたての叫び声が居酒屋に響く。

 

「ふふーん、どうだー!!それにですねー、はたてより先にゴールインするだけではなく、天さんという超優良物件をゲットしたんですよーー」

 

「文さんはいいですねー、良い出会いが多くて、私なんて身に合わない仕事をさせられることがあるのになんの手当もないんですよーー!!あーーもう、ムカついてきました!」

 

 すっかりできあがった天狗娘三人の愚痴が、居酒屋に響き渡る。

 

 周りの鴉天狗共もワイワイ騒いでいる。

 中には文達の会話に聞き耳を立てている者もいたが、それらのだいたいは椛を部下に置きたいおじ様達であるが。

 

「というかー、文さんー、天鴎さんてどんな方なんですか?気になりますー?」

 

「そうよー、前に私から聞くの断ったけど、そんな完璧超人な訳ないじゃなーい。一体どんな男なのー?」

 

「いや、天さんは冗談抜きの完璧超人ですけど朝が異常に弱いのを除けば

 

「じゃあ、私見てみたいっでーす。」

 

「そうね、急に押しかけて化けの皮剥がしてやろうじゃない。」

 

「そうです、それがいいです!」

 

「そうと決まったらいくわよーー!!」

 

「え、ちょ、待ってくださーい!!」

 

 すかっりできあがった天狗娘三人は、天鴎のいる鞍馬亭へ突撃を敢行するのであった。

 

 

 ■  

 

 side 天鴎

 

 

 テッキーン

 

 

 そんな効果音と共に天鴎の頭に稲妻のようなエフェクトがうつる。

 

「来た」

 

 適当に妖術で作ったかき氷を食べていた天鴎が唐突につぶやいた。

 

「「おらーー!!やってきてやったわよーー!!」」

 

 そして、静かだった家におやじのような少女の声が響き渡る。

 

「おや、二人ともいらしゃい」

 

 そんな迷惑おやじとなんら変わりない二人を天鴎は優しく向かいいれる。

 二人からすれば、怒るか迷惑そうな顔をすると思っていたので、予想外の対応に拍子抜けすして、しおらしくなってしまう。

 

「すみません天さん、殴り込みみたいになってしまって。」

 

「いや、それで日々の疲れが少しでもとれるのなら大丈夫だよ。それよりも中途半端にきりあげて来たんじゃない?おつまみとお酒が用意してあるから飲みなおせばいいよ。」

 

「ありがとうございます、天さん。ほら二人ともいきますよ」

 

 そのまま四人は居間に向かう。

 

「「「おおーーー!!」」」

 

 そこには、サラミやスルメ、煮干や漬物などがおいてあり、隣には氷水で冷やしてある日本酒がある。

 

 さっきまで意気消沈していた二人もこれをみてテンションが上がってくる。

 

「のむわよーー!!」

 

「「おーー!!」」

 

 はたての掛け声を切欠に天狗三人娘はまた飲みはじめる。

 

 

 ■  少女飲酒中

 

 

 酒もあらかた飲み次は完全に仕上がってしまった天狗娘三人はここに来た目的である天鴎のことについて話しがシフトしていた。

 

 その内容がいかに天鴎が完璧なのかという文の熱弁に椛とはたてが反論するという内容だ。

 

 そして、それだけでは埒が明かないと思ったのか、酔っ払い共の毒牙は天鴎にロックオンされた。

 

「と、さっきから文は天鴎さんが完璧だと言ってるんですがーー、天鴎さん自体はどう思ってるんですか--?」

 

 それに、天鴎は苦笑しながら答える。

 

「そりゃあ、まだまだ完璧には程遠いし、弱点も多い。今は一点だけが異常に秀でているから他の弱点が見えにくくなっているだけだよ。それに、文に支えてもらっているところも多いしね」

 

「いえいえ、天さん、こっちの方が支えて貰うことは多いですし、お世話になっています。」

 

 二人の間に甘い空気が漂よう。

 

「ケッ」

 

「ペッ」

 

「おっと、嫌だったかな?」

 

「はあ、別にいいわよ。それに今の質問にさっきみたいな答えが返せるだけ完璧に近いわよ。ホントに良い旦那ね文。もういっそ私にくれない?」

 

「ダメでーす、天さんは私だけの天さんなんですーー!!」

 

 文は真っ赤に酔った顔をさらに赤くさせてはたてに叫ぶ。

 

「ほぉんとですよーー!!こんな良い人、上司に、もしくは旦那さんに欲しかったですよーー!!くださいっーー!!」

 

 椛も愚痴と共に叫ぶ。

 

「いや、だからあげませんてばーー!!」

 

 文も負けじと叫ぶ。

 

「気持ちは嬉しいが、俺はものではないんだが…」

 

 天鴎は苦笑しながら呟く。

 

「そうですっ!!天さんは私の物なんです!!誰にもあげません!!」

 

「いや、だから物じゃないって。文も酔いがまわり過ぎだ。」

 

 天鴎はこの酔っ払いたちの為に水を取りに行こうと立ち上がる。しかし、この天鴎の些細な行動が酔っ払い二人のヘイトを集める行動となってしまった。まるで動いた物に興味を惹かれる猫のように酔っ払い二人はそのらんらんと輝いた目で天鴎に狙いを定めたのだ。

 

 そして天鴎が二人の近くを通ったとき、二人は天鴎にルパンダイブしたのだ。

 

 完全に気が抜けていた天鴎はその二人の襲撃に反応できず、かと言って傷つけるような行動はできず、なすがままに押し倒される。

 

「むへへへ、このまま天鴎さんを食ってやる。」

 

「既成事実を作ったやるです。」

 

「え、ちょ、二人ともまって…」

 

 だいぶ酔った二人は勢いそのままに天鴎を襲おうとする。椛に至ってはもはや呂律が回っていない。

 それでも二人は天鴎の服を脱がしにかかる。

 

「何してるですか!!二人ともっ!!」

 

 文は天鴎を救出に行こうとフラフラとする足取りで二人の元に向かう。しかし、ここでハプニングが起こる。

 

「へぶっ!!」

 

 文が盛大にこけたのだ。

 そしてこけた文はそのままはたての背中に思いっきり倒れる。

 

「ぐえっ!!」

 

 文に背中を体当たりされる形になったはたても四つん這いの状態から勢いよく前に倒れる。

 それは、椛の脇腹に思いっきり頭突きをする形になる。

 

「ぐぼっ!?」

 

 椛は酔いと痛みのショックにより失いかけていた気を完全に失い気絶する。

 

 一方はたても酔いと体当たりと脳天から椛に突っ込んだ衝撃で完全に気絶する。

 

 そして文もこけた衝撃と体当たりの衝撃で「天さん~~天さんは~~私の~~物で~す~」といいながら気を失う。

 

「はあ、すごいミラクルのおかげで助かったか…」

 

 天鴎は一息つく。

 

 それと共に酔っ払い床で気を失った天狗娘三人をなんともいえない気持ちで見つめる。

 

「運ばないといけないか…やっぱこんなところで寝かせられんよな…」

 

 そういい、当初の予想よりひどくなった惨状をみて深いため息をつく。

 

「まあ、今回は助かったよ文。俺もまだまだ完璧とは言い難いよな」

 

 と、苦笑しながら幸せそうに笑いながら寝ている文の顔を見ながら言う。

 

 天鴎も正直言って酒を飲んでほろ酔い状態だったのでさっさと眠りたかったが「よしっ」といい気合いを入れる。

 

 そんな天鴎は文を座布団に置き直した後、酔っ払い二人を布団で寝かす為に客間に俵抱きで運んで行くのだった。

 もちろん、文も寝室に持って行くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ちなみに、二日酔いの猛威はちゃんと天狗娘三人を襲ったらしい。

 

 

 

 

 

 

 

 




設定を忘れがちになる今日この頃、俺も中坊を卒業し、高校にいく時期が迫っている。
実感などわかない。
高校の膨大な課題など考えたくもない。
誰か助けておくれ(超真面目に)

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