東方鞍馬録   作:Etsuki

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テスト週間でした、そして遅くなりました。赤点にならなことを祈る。


幕間 鞍馬家の食事風景

あの後結局、天鴎たちは三人話しただけで夕食の時間になった。

 

 理由としては周りの人たちが忙しそうに動いていたのと、ただたに夕食の時間までそこまで時間がなく微妙な時間だったからだ。

 

 夕食をとるために居間に向かうと机と座布団が用意してある。そして、天詠と女中さんらしき人が台所と居間を忙しく行き来している。

 

 しかし、用意される量がかなり多い。女中さんも一緒に食べると考えてもかなりの量だ。

 

「すごい食事の量ですね」

 

「そうだね、みんなかなり食べるからこれぐらいがちょうどいいんだよ」

 

「けど、天さんは普段からあまり食べませんでしたよね?」

 

「うん、まあそうだね。ここの食事の方が俺の作る料理よりクッソ美味いっていうのもあるけど、俺ばあちゃんが言ってたみたいに元々が不良少年だったからそんなに毎日みんなと食卓囲まなかったんだよ」

 

 どうやら、この不良少年天鴎は家族と食事を摂らなかった、いや食事であまり競い合わなかったせいで、幸いな事に鞍馬特有の大食らいが受け継がれなかったらしい。鞍馬の大量生産、大量消費からくるものではあるが、これを妖怪の山でやるといろいろと大変な事になっていただろう。主にエンゼル係数が。

 

「にしても、女中さんがかなりいますね。8人もいるなんて、まあこの立派な屋敷だったら8人いても納得ですけど」

 

「女中?」

 

 文は忙しそうに居間と台所を行き来する彼女等を見て女中さんだと言ったが、どうやら天鴎の反応からすると彼女たちは女中さんではないらしい。

 天鴎は瞬く文の言った事の意味を考えていたらしみたいだが、合点がいったのか手をポンと重ねた。

 

「文、この人たちは女中さんじゃないよ」

 

「え?女中さんじゃないんですか?なら、近所のお手伝いさんか、海南ちゃんら辺のご近所さんでしょうか?」

 

 文は目の前の忙しいそうに動き回る女の人たちが女中さんじゃないと分かり、少し戸惑いながらも順当な予想を述べる。

 しかし、天鴎もこの予想に対しても少し苦笑いしながら首を振る。

 

「はは、残念だけどその予想も違うんだよねぇ」

 

 文は不正解だと言われ他の予想も少し考えてみたが他に当てはまるような答えは見つからず、完全にお手上げだと天鴎にこの問いの解答を求める。

 

「うーん、正解わね、この人たち全員奥さんなんだよ」

 

「奥さん?つまり此処にいるのは全員既婚者だという事ですか?」

 

「うーむ、ちょっと説明が足りなかったね。正確に言えばこの8人の女の人たちは俺の親父の奥さんなんだよ」

 

「ふーむ、天さんのお父様の奥さんたちですかぁ……ん?え、はあっ!?

 

 文はあまりに予想外な事実に変な反応をしてしまう。 天鴎はその文の隣で諦めた顔でうんうんと頷いている。

 

「そうだよなぁ、普通そんな反応するよなぁ。ああ、そういえばじぃちゃんも最初はそんな反応してたよなぁ、じぃちゃんは今も昔も変わらずばあちゃん一筋な人だからなぁ、やっぱそんな反応するよなぁ」

 

 何故か祖父の反応を思いだす天鴎。

 文はそれよりも何故そんな事になってしまったのかと戸惑いの感情を隠せないでいる。

 

「なんで奥さんが8人もいるんですかっ!!」

 

 文が天鴎に勢い強めに問う。

 

「うーんとね、なんとも言えないんだけど、親父がね女難の相の持ち主っぽいんだよ」

 

「女難の相?なんでそんな物がついてると?」

 

「なんというかねー、時々ふらっと外に出かけたと思ったら必ず幸薄少女や美女を拾ってくるんだよ」

 

「拾ってくる!?」

 

「うん、それで見捨てる事も出来ないからできる限り力を貸してあげて、そしたらいつの間にか惚れられてて、どんな手を使ってでも親父を手に入れようとするヤンデレ女が出来上がってて、そしていろいろあってああなった」

 

「いろいろという部分がかなり気になりますけど、ヤンデレになるまでの過程もかなりどうなっているの不思議ですね」

 

「本当にそうなんだよなぁ、別に親父の能力はヤンデレを作る程度の能力でも幸薄少女を拾ってくる能力でもないんだからなぁ」

 

 天鴎はもはや遠い目をすることしかできない。

 

「あれ?でもそれなら誰が天さんの実母なんです……「あら、あなたが文ちゃん?」え?、はい、そうですが」

 

 文が気づいた事を問おうとした時にタイミング悪く女の人が文に質問をしてくる。

 

「あ、華蓮義母さん(かれんかあさん)、お久しぶりです」

 

 華蓮といわれた人はクールという言葉が似あう絶世の美女とも言える程の美貌を持った女であった。

 

「そうね、天鴎、久しぶりね」

 

天鴎と華蓮と言われた2人が挨拶をしている間、文は華蓮を見ていて言葉が出なかった。

何故なら、遠目に見ていて分からなかったが、華蓮というのは相当の美女であり、その白くきめ細やかな肌は鏡のように美しく、その艶やかな黒髪もその肌と美しく整った顔を引き立たせている。

今は作業をしやすい着物を着ているので、決して華やかとは言い難い装いなのだか、その全身からなんとも言い表わせない美女特有の雰囲気が漂っている。

 

文はここまでの美女というのを見たことが無かった。

 

「あ、華蓮義母さん、紹介するよ、こちら俺の婚約者の射命丸文だ」

 

文は天鴎に話しをふられやっと現実に戻ってくる。

「は、初めまして、射命丸文といいます」

 

文は華蓮を前にいつもの勢いが無くなっている。

 

「あらあら、緊張しちゃったかしら?緊張させちゃってたらごめんなさいね、別に楽にして良いよの?」

華蓮は少し困ったように微笑みながら、文に特にこちらにおろそまる必要はないと暗に伝える。

 

しかし、文としては天鴎の義母だから緊張しているというより、その身から出ているその美女特有の雰囲気が緊張する一番の要因だ。

 

天鴎はどうやらそんな文の緊張している原因を察したようだ。

 

「華蓮義母さん、重圧が出てる、弱めてくれ」

 

「あら?出ちゃってた?それはごめんなさいね、今引っ込めるわ」

 

華蓮がそういうと、文を緊張させていた雰囲気が弱まった気がした。

しかし、それでも第一印象がかなり衝撃的な事や天鴎の義母という事もあって、文はさっきよりはマシだが緊張はしたままだ。

 

「にしても、あんなに色恋から遠かったあなたが婚約者を連れてこれるとは、本当に世界は不思議のものね」

 

「華蓮義母さんから見ても俺ってそんなに酷かったですか?」

 

「ええ、私は途中からしかあなたを見ていないけれども、あなたの行動が本来の目的から本末転倒していることくらいは簡単にわかる程度には酷かったわよ」

 

「マジか…」

 

天鴎は門番とかよりも信頼度が高いところからもたらされた自身の過去は酷いという断定により、ショックを受ける。自身はそれなりにマシだと思っていた分ダメージもデカかった。

 

「ちょっと、2人ともそんなガチガチにならないで頂戴」

 

文は緊張により、天鴎はショックによりその動きが鈍くなってしまった。

華蓮からすればどうすれば良いか分からなく、苦笑いするしかない。

しかし、助け船は意外な所から来た。

 

「ああ、天鴎の兄ちゃん!!」

 

 華蓮でも海南でもない幼い声がかかる。

 

「おお、亜蓮(あれん)、久しぶりだな、少し大きくなったか?」

 

 亜蓮と呼ばれた11、12歳のように見える少年は嬉しそうな声を出しながら天鴎に駆け寄る。

 

「兄ちゃん、兄ちゃん!!遊んでよ、遊んでよ!久しぶりだから遊んでよ!!」

 

「今日はもう遅いし、今から夕食だからまた明日ね、体術おしえてあげるからさ」

 

「えー、そんなぁー、約束だからなぁ、絶対だからなあ!」

 

 駄々っ子のようにねだっていた亜蓮だが、お腹が減っていたのか夕食だということを理由にすると渋々と従った。

 そんな亜蓮に華蓮が声をかける。

 

「ほら、亜蓮、他の皆んなも呼んで来て」

 

「はーい、わかったよ母さん、今呼んでくるー!」

 

亜蓮はそう言って、居間を出て奥の方に走って行った。

 

「あのー、天さん、今の子供はいったい?」

 

「ん?亜蓮の事か?アイツは俺の義理の兄弟だよ、俺の親父と華蓮義母さんとの間に生まれた子だよ」

 

天鴎が文に亜蓮の事を説明する。

 

「ああ、まあ、夫婦ですしね、奥さんが何人いようと、例え全員がヤンデレだとしてもすることはしてますよね」

 

「逆にすることしてなかったら夫婦としてどうかと思うぞ、あと親父の奥さん連中は皆妙に中がいいぞ?なんでもそこら辺は皆感じるところがあるらしいし、予防線を張るには都合がいいらしいしな」

 

「なんの予防線ですか……」

 

 文は天鴎の親父の奥さん方の大っぴらにはいえない予防線事情を聞いた訳ではないのに、ヤンデレって怖いと思ってしまった。

 しかし、あんな元気な子供とそれにお母さんらしく接する華蓮という構図を見たことで文は緊張がほとんど解けてきた。親子の構図というのはとても心温まるものがある。

 文的にもあんな会話をしてみたいなと思ったからだ。ただ、天鴎がこれから娶る奥さんが文一人なのかも心配になってきた。理由は色々あるが、少なくともヤンデレ製造機との血の繋がりだけではない。

 

「ん?天鴎、帰ってたか」

 

「あ、爺ちゃん、ただいま、帰ってたよ」

 

 襖を開けて入ってきた一人の老人。しかし、その姿は姿勢の正しさ、そのきっちりと着こなした着物からか初老程度にみえる。天鴎のようにめんどくさがって甚平でもTシャツでもない。

 

「爺ちゃん、紹介するよ、俺の婚約者、射命丸文だ」

 

「うむ、天詠から聞いておるよ、射命丸さん、でいいな?」

 

「は、はい」

 

「儂は鞍馬僧正坊(くらまそうせいぼう)。そこの愚孫の祖父になる。本当に、他にもいい男がいた中でよくそこの愚孫と一緒になってくれる決意を決めてくれたわい、こやつの子供など見れないかと思っていたからな、儂ら一同歓迎するぞ」

 

「あ、ありがとうございます」

 

 また何か貫禄というか、威厳というか、場数と修羅場をかなり踏んでそうな人が出て来たなと文はおもった。

 天鴎は祖父にも女関係でかなり心配されて、馬鹿にされていた事にまたダメージを受けていた。

 いくら女関係では天詠に対して口説き倒して泣きついた経験しかない僧正坊や、ヤンデレ華蓮というあまりまともとは言えない恋愛を経験しているメンツに言われたとは言え、身内にそんな事言われれば天鴎からすればショックでしかない。

 

「あ、母ちゃん、ついでに父ちゃんも連れてきたよ!」

 

 先ほど他の者を呼びにいった亜蓮は他の子どもたちの他に、天鴎の親父を連れてきたらしい。

 

「あ、親父、久しぶり」

 

「ん?ああ、天鴎、おかえりぃ」

 

 そう言って亜蓮を肩に、他にいる三人の子供に各自引っ付かれながら、天鴎の親父は居間に入ってきた。

天鴎とは少しばかり面影がある顔であり、天鴎も美形だが、こちらもまた違う路線でのイケメンだった。文からすればなんとなく、ああこの人がヤンデレ製造機かと分かってしまう雰囲気と顔ではあったという。なんでも、妙に優しい時の天鴎にいろいろと似ていたらしい。

 

「にしても、天鴎が婚約者を連れてくるとは、親として感慨深いなぁ。海南ちゃんと門番の二人から聞いてるよ、特に海南ちゃんからはどれだけ文ちゃんが天鴎を大好きなのか聞かされたって言ってたなぁ」

 

その言葉に文は赤面してしまう。天鴎は誇らしげに胸を張る。

 

「僕は鞍馬天正(くらまてんせい)、そこの天鴎の父親さ。射命丸文ちゃん、よろしくね」

 

「は、はい。よろしくお願いします」

 

 どうやら、食事が始まるという事で食卓を囲みに天鴎の家族が大集合したらしい。ただ、構図だけでいえば他の家庭とそこまで変わりはなさそうなのだが、若干一名の女難の相のせいでビックダディがいるような人数になっている。ただし、子供も多いが奥さんの数も多い。

 

「ほら、そこでご飯待ってるの、ご飯できたから、手伝う者は手伝う、席に着くものは席に着く、文ちゃんは席に座っといて、ほら動きなさい」

 

 天詠が台所から声を張る。

 すると、その場に集まっていたものが一斉に動き出す。一糸乱れぬ見事な動きだ。

 はたしてそれが、天詠を怒らせたら怖いせいなのか、ただ単に食い意地が張っただけなのか。

 

 けれど、文の中で以外だったのが、この中一番最年長だと思われる、僧正坊が手伝いに動いたということだ。

 天鴎いわく、ばあちゃん大好き爺ちゃんがその食事を作る姿をただ間近で見たいということと、ただばあちゃんに引っ付いていたいということから手伝いにいくらしい。

 文はその姿を見て仲のいい夫婦だなと感じた。しかし、その直後、天詠の尻に手を伸ばしその手をはたかれる姿をみて、その感じたことをある意味でも確信を深めたらしい。

 

「天鴎!あんたも手伝いだよ!早く来な!!」

 

ビクッ「ひゃ、はい!」

 

 文に付いてきていた天鴎は天詠に呼ばれ一度ビビった後、一目散に台所に走っていった。

 

「走るんじゃないよっ!!」

 

「ご、ごめんよ、ばあちゃん」

 

 

 文は天鴎の新たな一面を見た気がした。

 

 

 

 ■

 

 

 

「手を合わせましょう」

 

「「「「「「「「「「「「いただきます」」」」」」」」」」」」

 

 僧正坊が音頭をとり、手を合わせ、夕食という名の戦いが始まる。

 

 子供とじじいと女難の相持ちは一目散に食事にがっつき、奥さま方は悪魔で優雅に、しかし確実に料理を取りにくる。

 ちなみに天鴎は文という存在がいる中でも手加減はしてこないと分かっているので、さっさと自分と文の食べる分だけを取っている。

 

 この家の食事は目の前にサラダや漬物などは置かれるが、他のもの食事は食事が置かれた皿から自分の皿に取って食べるスタイルだ。

 

自分の所に味噌汁、副菜、主菜と来る比較的多いであろうスタイルは、この家では直ぐに無くなる、そもそも1人が取るスペースがかなり大きくなる。お代わりラッシュが辛い、お代わりラッシュで子供が割りを食うやらで、効率と公平の問題で却下になった。

 

文はその食事のペースを見て呆然とし、天鴎は苦笑いしながらも残してなどいたら自分の皿にまで奴らが手を伸ばしかねないと気持ち早めにご飯を食っている。

 

ただ、流石にカンフーパンダのように箸でオカズを取り合うという事は無い。そんな事をすれば確実に奥様方からの雷が落ちるであろう。

 

そして、あれだけてんこ盛りに積まれていった食事がみるみる内に無くなっていく。

 

何という胃袋だ、鞍馬天狗、恐るべし…

 

「にしても天さん、外部から来た妖怪と結婚なんて事は珍しいんですか?」

 

食事もひと段落したところで文が聞いてくる。

 

「んー、まあ、昔はまあまあ珍しい方だったけど、今じゃねぇ、親父が結婚したのが殆ど外部からの妖怪だからな、今じゃそこまで珍しくないかな?」

 

しかし、文はその言葉に違和感を持つ。

 

「あれ?でも見た限り皆さん、鴉天狗の象徴とも言える翼をお持ちですよね?こんなにハグレ天狗が居るとも考え辛いですし」

 

そうなのだ、先程文が見ていた限り、天詠も、ヤンデレ製造機の奥様方も翼を持っていたのだ、

文からすれば拾ってくるとは聞いていたが、ハグレ天狗ばかり拾ってくるというのはいささか考え難い事であった。

 

「まあ、そこには偶然たまたま生まれた鞍馬の超技術が関係あるんだよね」

 

「超技術とは?」

 

「俺たちは転生薬と呼んでいるものだよ」

 

「て、転生ですかぁぁぁ!!」

 

文はビックリして、思わず大きな声を出してしまう。それ程までにその超技術の名前は衝撃的だった。

 

転生薬、この世の全てが生まれた時から、生まれた時の種族によって縛られて生きていく。

その種族を辞めるには、輪廻の輪から転生するしか他に方法はない。しかし、それが輪廻の輪を通らなくても転生は可能だということになる薬だ。驚く事しかできない。

 

「まあ、飲んだ当人の意識と記憶はそのままに、肉体だけを天狗に変質させる薬だね。ただ、魂までは大きく変化できないから、転生前の特徴が残っちゃうんだけどね」

 

しかし、魂を大きく変質できないという事の裏を返せば少なからずどこかの部分は魂を変質させているという事になる。

それは凄まじいことだ。

肉体を変えるだけならいざ知らず、魂までも変えてしまうなどとは。

 

「まあ、ただし転生できるのは鴉天狗オンリーだけどね、それに生産量も殆どゼロに等しいし」

 

「それでもそんな物を作ってしまえる鞍馬の技術力に呆れますよ」

 

文の言う通りだ。それに、転生薬などバンバン作られたら、それこそ世界の法則を根本から変えかねない。

それが弱小妖怪に渡っただけで高い頭脳と妖力を持った妖怪が大量に生まれてしまうのだ。人間と妖怪のバランスが崩れてしまう事は避けられないだろう。

 

「まあ、そういう事だな、外部からの嫁いだ妖怪が鴉天狗なのは。華蓮義母さんだって元々は蜘蛛女だったしね」

 

「華蓮さんが蜘蛛女?」

 

文から見たら人間にその恐ろしい容姿で畏怖される蜘蛛女には今の華蓮は全く見えない。けれどなんとなく華蓮さんが蜘蛛女でも、かなり美人な蜘蛛女を簡単に予想できてしまった。

 

「まあ、ただ分家の方はあんまり外部からの嫁いだ人はいないかなぁ」

 

天鴎が思い出しながらそういう。

しかし、文からすればそこにツッコミたいことがあった。

 

「天さん、分家ってなんですか?」

 

「んん?ああ、言ってなかったね?」

 

ここで衝撃の事実、鞍馬の一族には分家があったらしい。

 

「鞍馬の一族は本家と三つの分家に一応別れててね、倉田、舘岡、海野という三つの分家だよ。まあ、一応役割がそれなりにあると言っても鞍馬の一族自体がかなり数がいないから、名字が違う以外そこまで変わりはないんだけどね」

 

「まあ、分家自体そこまで役割とか作る物でもないですしね」

 

そうだ、分家とはある意味子供が自身の新しい家族を作るのとかなり似ているのだから、分家になっても本家にここまで付いていってる分家の方がおかしい事になる。まあ、それもただ彼らの闘争本能による物なのかもしれない。

 

「ま、分家に別れたのは鞍馬が他の天狗と分離する前だったて言うしね」

 

「けど最近は分家の方でも人数が少ないって嘆いているわよ?」

 

ここで、天詠がお茶を持って話に入ってくる。

 

「えー、でもそんな人数も全く減らないんだから、前とそんな変わんないだろ?」

 

「まあ、こっちが大分賑やかになったからねぇ」

 

天詠はそう言いながら天正の方を向く。

その顔には微笑が浮かんでいることから、天正が外部からの妖怪と結婚するのは天鴎が思っているよりも天詠は肯定的なのかもしれない。

 

「ほら、それよりお茶よ、食後の一服っていうのは良いものだからね」

 

「ありがと、おばあちゃん」

 

「ありがとうございます、義祖母(おばあちゃん)

 

文はそう言ってからハッという顔になる。

 

「す、すみません、少し慣れ慣れしくし過ぎてしまいました」

 

「別にいいし、むしろ嬉しいわよ、そう言う風に言ってくれるのは。家族が増えるのは喜ばしいことだもの」

 

天詠は微笑みながらそう言ってくれる。

 

「それにどっかの愚孫と違って、良い娘そうだからね」

 

天鴎は最早苦笑いしかできない。文も天鴎をバカにしたような発言だが、そこには言葉にできない愛を感じたことから、別に言い返すこともないと冗談の一つとして受け取る。

 

「ま、新婚さん達の邪魔をするのも悪いわね、私もまだ仕事が残っているしね」

 

天詠はお茶を渡すと立ち上がる。

 

「部屋は昔の天鴎の部屋で2人で泊まりなさい。布団も用意してあるわ」

 

「ありがとございます」

 

「いいってことよ」

 

そう言い天詠は立ち去ろうとして

 

「後から私たちの部屋に来なさい。話したい事があるわ」

という言葉を文に残して去っていった。

文にはその言葉の意味となぜ声音が低かったのか理解できなかった。

天鴎には聴こえていなかったらしい。

 

文はとりあえずお茶を飲もうと湯飲みに口をつける。

 

「あ、美味しい」

 

天鴎の淹れるお茶とはまた違った、しかし格別な美味しさなお茶が入れられていた。

 

文はそんなお茶を飲みながら今日出会った鞍馬の一族に想いを馳せるのだった。

 





海南「ええっ!!もう出番終わりっ!!」

天鴎「属性過多のクセに早かったな。そして天が付く奴が多い」

文「驚きしかない」

シリアス「次回、俺の活躍多いぜ!」

ダサT「出番がぁぁぁあ」

作者「天正の名前の由来は僧正坊の正と天詠の天から来ています」

僧正坊「エロ親父じゃないよ?」

奥様方「ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ」

天正「ヒイッ」

作者「誤字脱字報告よろしくなっ!」

次回、本編だと思う
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