東方鞍馬録   作:Etsuki

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 遅れてすみません!!


太陽の畑

 side 天鴎

 

 こんにちは、こんばんは、鞍馬天狗の鞍馬天鴎でございます。

 最近は可愛い婚約者も出来て妖怪の山に来た当初想像していた生活とは違って順風満帆な日々を送っております。

 

 それでも、鞍馬の因縁から逃れられた訳ではないが…

 

 

 まあ、そんなことより、今は太陽の畑という所にきている。

 妖怪の山から人間の里を超えさらに奥地を目指し飛んでやっと到着するところにある秘境にある。

 

 今日は何でそんな面倒な所に来たのかというと、ただの暇つぶしである。

 文が今日は仕事で忙しいというので、お一人様だ。

 

 寂しいな…ほろろん

 

 まあ、ここに来たのは家事が早く終わり過ぎたので暇を潰せる所は無いかと文に聞いたところ、ここが良いんじゃないかと勧められたのて来たのだが。

 

 まあ、確かにとっても広大で美しい向日葵畑だ。

 向日葵の一つ一つが太陽に向かってしっかりとその首を向けており、時折吹く風によってさわさわと揺れている。

 そんな光景が視界いっぱいに広がれば、何かを感じずにはいられないだろう。

 

 実際に俺も夏にしては涼しくて過ごしやすい気候だったのも後押ししたのか、時間を忘れてずっと向日葵畑を眺めていた。

 嗚呼ーいい光景だな~(*´Д`*)

 さっき空からもこの向日葵畑を見た時この光景に呆気にとられたが、地面に座って間近に見たら見たで全く違う風に見えてなんだか心が洗われるようだ。

 

 想像してみて欲しい。辺り一面に広がる美しい向日葵。

 それを少し小高い所にある日陰から、夏の涼しい風に吹かれながら眺めるところを。

 なんだろうか、想像してみるだけで心が洗われるようではなかろうか?

 めちゃくちゃ良くないだろうか?

 

 うん、これは次は文も連れて見にくるべきだな。

 もしかしたら、文にとって見慣れている光景かもしれないが、絶対に見にこよう。冗談ではない確定事項だ。

 

 

 うん、まあただ、気にならないことが無いわけでは無い。

 なんというか、さっきから視線を感じるというか、もろに観察されている。

 それも、何故か視線は色んな方向から感じるのに何故かその気配の主は同一な気がする。

 すごく奇妙だ。

 

 まあ、本体がどこに居るのかは察しがついてはいるが。

 殺気が隠しきれていないのだ。体から結構な量の殺気が溢れだしている。

 

 俺なんか悪い事しただろうか?(困惑)

 

 

 ま、いっか(諦め)

 

 ずっとそこに居てこちらを眺められていても困るし、こちらから声を掛けてみるか。

 

「あの~~、すいません。そこでこちらを覗いている方は誰ですか?」

 

 俺はそう、殺気を送り続けている者に問いかけるが、反応は無い。

 はあ~、こっちから行かなきゃダメかな。

 仕方がない、行くか。

 

 俺はそう覚悟を決めて顔を上げる。

 

 

 刹那、俺が気を抜いて油断したところに一直線に懐に殺気の主が飛び込んできた。

 そいつは、持っている日傘と思われる武器を思いっきり引き絞り、刺突を繰り出してくる。

  

「ちぃっつ!!」

 

 俺は正確に脳天目掛けて放たれた刺突を首をずらすことによって回避する。

 

 ブォォオオン

 

 耳の横から日傘で鳴らすような音じゃ無いような風を切る音が聞こえる。それも刺突でこの音なのだ。薙ぎ払いや上段ではなく、突きなのだ。

 こんな音をだすとか冗談じゃない。できるけども…俺もできるけどもっ!!(謎の強調)

 

 それよりも、回避した時に重心を後ろにズラしたので、そのままの勢いで後ろに跳び、距離を取る。

 

 とりあえず、今しがたこちらを攻撃してきた相手を観察する。

 

 服装はブラウス、襟元には黄色いリボン、赤いチェックの上着とスカートを着ており、スカートの一番下のボタンが花の形になっている。癖のある緑の髪に、髪飾りなどは付けておらず癖、真紅の瞳をしている。それに何故か殺人道具に早変わりする日傘を持っている。

 立ち姿にも隙が無い。基本ゆったりと立っている様にしか見えないが、不用意に近づけばさっきと同レベルの刺突が飛んでくるだろう。それくらいの緊張のなさだ。自信のあった一撃を避けられたはずなのに、全く硬直もせずに自然体のままだ。戦闘慣れしている。

 

 ああもう!!なんだよ!!

 

 ただ向日葵を見ていただけなのに。なんで見るからに戦闘狂みたいな奴に目を付けられるんだよ。

 

 俺が若干マイナス思考になってきた時あちら側が口を開いた。

 

「あら、今の攻撃を避けるなんて……流石鞍馬の天狗というところね。目を見張るところがあるわ。」

 

 おっと、どうやらあちらはこちらが何処に所属しているのかわかって喧嘩を仕掛けてきたのか。それはなんとも…勇気ある行動で。

 

「へえ、俺が何処の奴なのか分かってのこの歓迎のしかたなのか、こうゆうのがそちら側の礼儀なのか?名も知らぬ妖怪。」

 

「あら、あなた…分かり切ったことを言うのね、馬鹿なのかしら。そんな礼儀あるはずないじゃない、私のただの気まぐれよ。それぐらい分からないのかしら?」

 

 彼女はとってもいい笑顔で言い切ってくる。

 いきなり後ろから刺突を繰り出してくる人に言われたくありません。そして、気まぐれであんな攻撃を普通は仕掛けません。

 その的確に揚げ足を取ってくる言葉を無視しながら問いかける。

 

「それで、どうするんだ?俺と戦うって言うのか?それなら付き合うぞ?」

 

「あら、それは嬉しいお誘いね。満足できたらお茶ぐらい出してあげるわよ?」

 

「おっと、それは嬉しいお誘いだね。満足させなきゃいけないな~」

 

 

 その言葉を切欠に場の空気が変わる。圧はより重く、殺気はより鋭く、体は相手の命を狙うように、より速く命を刈り取れるように自然体に。

 瞬間、彼女の体が弾けた。

 そう思うほどの速さで一瞬で距離を詰めてくる。

 そして速さそのまま体重と速さの乗った拳を繰り出してくる。

 それは、山をも砕く一撃。

 

「偽・流水岩砕拳」

 

 ただし、天鴎が呟くそれは、とある無双ハゲが主人公の世界での最高峰のレベルに至ったヒーローの使う拳法の模範。そもそもこの世界には流水岩砕拳を使う者などいない、だからこそ、天鴎の使うものはただの贋物にしかならない。だか残念な事に、仮にもそれを使うのは武術馬鹿のN・O・U・K・I・Nの集まりの鞍馬天狗でも最高峰の強さを誇る一人だ。

 そして残念な事にあちらの世界のS級(最高峰)と鞍馬の最高峰では主人公のハゲを除いて鞍馬の方が強かったのだ…

 

 ゆえに柔をもって剛を制すという技術に関していえば、鞍馬の方が圧倒的に上回っていたのだ。そう上回ってしまったのだ…本家を超えて…

 

 だからこそ、堅牢な防御を誇る柔拳というのが本質の流水岩砕拳が偽とはいえ天鴎が操る以上、彼女の拳を逸らせない訳はないのだ。

 

 案の定、彼女の拳はあっさりと逸らされる。

 そしてここで終わらないのが鞍馬クオリティ。本来、拳を逸らしてそれを続ける事で隙を作るのが基本ではあるのだか、鞍馬の場合は逸らすだけでは終わらない。逸らした拳に、体重を無理無理乗せさせる。

 そう、つまりは本来体幹がズレるはずがない攻撃なのに、天鴎の操る流水岩砕拳は無理無理大振りの攻撃を空振りにした状態、つまりは重心が前方にズレた状態にさせるのだ。

 

 そして彼女は今、天鴎を目の前にして致命的と言える隙をさらすことになる。

 

 それは少なくとも、天鴎がある程度いろんな技が放てる隙というわけで、天鴎には色んな技のレパートリーが有るわけで、彼がそんななかチョイスしたのは…

 

「マジ☆カル!八極拳!」

 

 よりにもよって腐れ神父の使う、八極拳なのであった。

 確かに、外傷を与える攻撃よりも、内側にモロに衝撃がいく八極拳の方がダウンしやすいだろう。

 ただ、それでも、マジ☆カル八極拳を選んだ意味は分からない。本人的にも深い意味は無いと答えることが容易に想像がつくことから、問いただすことに意味は特に無いだろうが。

 

「カハッ!?」

 

 八極拳がモロに決まった彼女はその場で膝を着く。

 天鴎は手加減したとはいえ、後ろに飛んでいかないように衝撃を全て内側に打ち込んだのだ。

 彼女の体の中はぐちゃぐちゃになって倒れ伏したって可笑しく無い状況だろう。

 しかし、彼女は口から血を流すだけで、口元に笑みを浮かべながら、立ってきたのだ。

 

 彼女だって、開幕早々に此処までのダメージを負わせられるとは思っていなかったのだろう。それも、自身の攻撃が全て受け流されるだろうと理解させれられるなども。

 

 しかし、彼女だって強者としてここまで生きてきているのだ。

 そもそものプライドが倒れる事を許さない。

 それに加えて彼女も『ど』のつく戦闘狂なのだ。

 目の前にこんな大物が要るのに、たった一回のやりとりで満足するはずがないのだ。ゆえに彼女は勝機を探る。

 自身の何がこの目の前の敵に通用するのかを思考する。

 

 やはり、近接戦では分が悪いかと考える。自信がどれだけ力を出そうとも目の前の天狗の前には全てを逸らされてしまう。それは今の一連のやり取りで分かっているのだ。

 ならば、自身の妖力を使ってビームでも放とうかと考えるが、それはそれで目の前の天狗に挑むべきスタイルにはどうしても違うようにしか思えない。

 だからこそ、どうするべきか悩みに悩むが、それもこの天狗の前では愚かなことだと思いなおす。。

 

 この天狗の前では悩むだけ無駄な事だろう。

 そもそもが、悩んで勝てるような相手でもないだろう。

 それならば、何も考えずにぶつかるだけだと。

 自身の一番得意な、自信の一番信頼しているこの日傘と拳で、剛よ柔をたつという自信のスタイルでぶつかりあうだけだと。

 残念ながら、もうかなりいいのを一発もらっているが、大丈夫だ、まだ戦えるはずだ。

 

 自身の体を自然体に、優雅に佇む令嬢のように、それでなお相手を穿つ殺気は極限まで研ぎ澄まして、目の前の天狗を見据える。

 ただ、そこでふと思いつく。

 

「そういえば、まだ名前を名乗ってなかったわね。」

 

「どうしたんだ?唐突に名前なんて?」

 

「私は花の妖怪、風見幽香よ。天狗さん。」

 

「はあ、聞いてないか…、俺は鞍馬天狗の鞍馬天鴎だよ。風見幽香さん。」

 

「ええ、鞍馬天鴎ね。いい勝負が出来そうね。」

 

「鞍馬の天狗はそれが生き甲斐だからな。いい勝負ができるさ。」

 

 その言葉をかわぎりに、両者の体が弾ける。

 

 彼女、風見幽香はその顔に浮かべる笑みを深め、内心ここまでの戦闘狂と分かって辟易としていたのだか、風見幽香の浮かべる戦闘に対する笑みに、自身の鞍馬としての戦闘本能が刺激されているのが自身も浮かべてしまう笑みから気づいていた。

 ゆえに、自身から動いたのだ。受け身の姿勢はこの相手には相応しくないと思ったからこそ、剛に対し自身も剛で立ち向かおうとしているのだ。

 

 そして、二人の戦闘狂がぶつかりあう。

 天鴎と幽香の拳がぶつかりあう。

 

 そのやり取りは先程の超高度な技こそないものの、パワーだけなら天鴎と同格以上の幽香とそのパワーに真っ正面から多少の技術でカバーしつつも挑む天鴎。

 天鴎の本分は剣士であり拳士では無いので、圧倒的なパワーなどは天鴎の得意な日本刀においてそこまで必要とはされないので、得意な闘い方では無いが、それでも大妖怪の幽香と真っ正面からぶつかり合える力を持っているのだ。

 そして戦闘は苛烈を極める。

 

 端から見たらまるでドラゴンボールのような戦闘が繰り広げられる。

 

 右手のストレートを放つ幽香。それをよけながらアッパーを仕掛ける天鴎。幽香はそれを紙一重で避けながら蹴りを放ち、天鴎に屈む事でかわされる。天鴎の目に見えぬ速度で放たれる拳のラッシュの嵐。幽香はそれを弾き、避け、あるいはその体に真正面から受け止めながら、ラッシュでのお返しを放つ。

 拳の間から強引に放たれる拳を防ぎながら、それを弾こうと幽香が狙いを澄ますが上半身に降り注いでいた打撃が下半身に一気に集中する。やられまいと、とっさに反応するがその隙をついてボディに鋭いストレートが迫る。

 幽香は反射的に膝が上がり、上手く拳を膝で防ぐ。これ以上ボディにいいのをもらうと本当に立ち上がれ無くなる。

 幽香は距離を取るため空いている脚で蹴りを放つ。次は膝と肘でがっしりとガードされる。

 すぐさま脚を引きながらその勢いで回し蹴りを放つ、足元を狙った低空の蹴りだ。それを空中に飛ぶ事で避けるが、それが幽香の狙いであり、着地する瞬間を狙う。 

 回し蹴りの勢いを更に利用した二重の回転の速さと重さの乗った回し蹴りが天鴎を襲う。しかし、天鴎は回し蹴りとして放たれた脚に手をつき跳び箱を跳ぶ容量で幽香の後ろに跳んで避けてしまう。

 

 そんな攻防は続き、ついに決着がつく時がくる。

 

 天鴎のストレートが放たれる。

 幽香はそれを見ながら考えていた。自身の強さというのはここが限界では無かったと。自身の強さにはまだまだ先があったのだと、天鴎との闘いの中で思っていた。

 現に、天鴎が相手のスタイルに合わせたうえで手加減ありでの闘いではあるがその中でも天鴎という存在は自身の先をゆく存在であるのは変わりなかった。 

 その中でも天鴎の方が身のこなしや戦闘の中での発想というのは勝っている。力ではこちらも押し負けてはいないが、あちらは攻撃の速度、攻撃の回転数という点でも上回っている。

 しかし、こちらがそれで勝てずとも最初と比べて確実に天鴎についてきている。確実に対応できている、それに比べてこちらも回転数が上がってきていることが分かる。

 このままいけばどこまでいけるのか?それを考えながらも、目の前のストレートを避ける。

 そしてお返しのストレート。

 

 けれども、それは罠だった。

 気づけば更に加速のついた拳がクロスカウンターとして目前にまで迫っている。

 

 それを見て幽香の中の何かが弾けた。体の中を駆け巡る熱いなにか、それと共に溢れ出す力。

 それは俗にいう火事場のくそ力というやつだったのだろう。彼女の眠っていた潜在能力が垣間見えたとき、それは確実に現実にも反映される。

 

 お返しのストレートが一気に加速したのだ。

 これには天鴎も驚くことしかできない。天鴎の拳はもう加速しきっている状態だ、ここからはもうどうすることもできない。

 ならば、受けるダメージなんて考えずにこちらも拳に集中するまでだ。

 天鴎もその顔に笑みを深々と浮かべ最後のやり取りになるだろうこの死合いにのめり込んでいく。

 

ドガッッ

 

 先にその全霊をかけた拳を当てたのは……

 

 

 

 両者ともだった。

 

 両者共にクリーンヒット。両者ともに顔面に拳を食らいながら静止したままだった。

 

 

 だか、先に崩れ落ちたのは………

 

 幽香のほうだった。

 

 

 

 無理もない。幽香は余裕を残しての闘いだった天鴎と違い全力全開の戦闘だったのだ。それに土壇場での火事場のくそ力を出しダメージも無視できない物を最初に食らっているのだ、体力が尽きたっておかしくないだろう。

 天鴎も少なからずダメージを喰らってしまっているのだか、これぐらいは日常茶飯事だった。いや、彼の日常はそれよりも酷かった。

 

 

 まあ、この闘いは天鴎の勝利で終わったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「え?風見をどうすればいいの?」

 

 彼の後処理はまだまだ続くのだった……

 




 難しい、難しい。
 視点がいきなり変わってすまない。
 幽香とか口調が難しい( ;∀;)
 
 でも戦闘回が書けた。これで天鴎の異常さの一端を知ってもらえれば…
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