東方鞍馬録   作:Etsuki

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 新年あけましておめでとうございます。今年も東方鞍馬録を宜しくお願いします。

 ああ~、リクエストとかほじいー。


風見幽香

 

 幽香との闘いを終え、倒れ伏し気絶した幽香を見て天鴎は困り果てていて。

 

 勝負を仕掛けてきたのは幽香だとはいえ、気絶するまでダメージを与えたのは紛れもなく天鴎なのだ。

 そのままここに放置というのも気が引ける。

 

 かといって、幽香の事で知っているのは名前ぐらいだ。どうしようもない。

 

 そこでふと思いだす。たしか、この向日葵畑の周りに小屋があったはずだと。とりあえず空から見た時に小屋があった方向へ歩き出すことにする。幽香を背中に背負いながら。

 

 

 

 ■ 移動中……

 

 

 

 さてと、小屋のまえについた。それにしてもここまでの道のりでみた向日葵もまた見事なものだった。

 本当にここすげーな。

 毎日見にきてもいいぐらいだ。

 

 にしても、この花たちは誰が管理しているのだろうか?

 これだけ立派な花たちが自生できているとは思えない。

 管理者がいるのは確実だろう。それもたぶん、この小屋に住んでいるんだろう。

 

 まあ、入ってみたらわかるか。

 

「お邪魔しまーす」

 

 そういい、小屋の中に入る。返事は無く無人のようだった。

 

 小屋の中は何というか西洋風の家だった。土足厳禁ではあったが…

 

 中にあるものとしては少ない家具に、花畑を耕すものだと思われる農耕機具。

 

 しかし、キッチンや倉庫など間取りはしっかりとしており、キッチンに関してはなかなか良いものだった。この家の住人は料理にはうるさそうな印象を持った。

 

 とりあえず、風見をベッドの上に寝かす。

 

 それから、気の応用で、気を活発に循環させる事で回復力を高める処置を施す。ついでに、自身の中でずっと循環させていた高密度の気も流し込み回復力を高める。

 これで、明日にはかなり回復しているはずだ。

  

 その間に、家の中で物を少し失敬して、タオルやらを使って汚れをとり風見を介抱する。

 

 それにしても、介抱するときに家の中を見てみて思ったが、どうやらこの家の住人は女の人のようだ。

 なんというか、自身の予想では気の優しそうなおじいさんがこうゆうところで細々とやってそうなイメージがあったから少し以外だった。

 

 ふうーん、でもここの人は西洋風のものが好きで、花が好きで、女の人と…

 

 

 あれ?

 

 

 なんか、該当しそうな人物が一人いるんだが?

 

 西洋風のものが好き… 風見は服装はブラウス、襟元には黄色いリボン、赤いチェックの上着とスカートを着ていて完全に和風ではなく洋風だし日傘だってさしている。

 洋風好きの要素はある。

 

 花好き…ここにかんしてはどうしても戦闘のほうが好きそうな気がするが風見は紹介の時に確かこういっていった。

 

『私は花の妖怪』と。

 そう、確かに自身を花の妖怪と名乗ったのだ。ここから連想するに少なくとも花に関しては普通よりも詳しいだろう。

 

 そして彼女が女だというのは確認するまでも無いだろう。

 

 それによくよく考えればここに人間が住んでいるというのは可笑しな話しだ。

 ここは幻想郷でも奥地にあり、人里ともそれなりの距離がある。それなのに、ここには農作物を栽培する土地は無く、人間が生活するために必要な量の食料も無い。

 

 ここから人里まで日帰りするのはできない事は無いが難しい事には難しいし、飛んで来るときに大きな道は確認できなかった。

 それならば、ここまで来るのに妖怪に襲われる可能性は大きく、到底人間が住むには住みやすい環境とは言いにくい立地条件なのだ。

 どうしても住みたいというのならそれこそ空を飛べなければならないだろう。

 

 現に、今し方この畑含め気配を広範囲で探ってみたが人間の気配は察知できなかった。

 それにある一定の力を持つ妖怪の存在も感知できなかった。せいぜいが妖精や弱小妖怪などだ。

 それらがここまで見事な向日葵畑を作れるとは思えない。いやそもそもがそれなりに知能の高い妖怪でもここを管理するのは難しいだろう。

 しかし、風見が花の妖怪だと言うのならばここを管理できる可能性はあるだろう。

 

 なるほどな。風見はここに住み着いていたのか。戦闘の際に全力に見えたから気付かなかったが、今振り返れば、確かに花に配慮しながら戦っていた気がしなくも無い。

 オーバーな攻撃も多かったが…

 

 

 まあ、ただそれが分かっても現状俺には何も関係が無いのでどうしようも無いのだが。

 

 とりあえず、文は今日は遅くまで仕事で拘束されそうだと涙目で言っていたので日が沈み始めるまではここで待っていてやろう。

 

 とりあえず、紅茶の入れ方は曖昧だが覚えていると思うので、それを飲みながらでも窓から向日葵畑でも眺めますか。

 

 

 

 

 

 

 

「うっ」

 

「お、起きたか?」

 

 あれから三時間程してようやく風見が目覚めそうだ。

 そう思っていたら風見はいきなりパチッと目を開ける。

 

「あら。私どうしてここに…」

 

「お、やっと起きたか風見」

 

 俺がそう声を掛けると風見がこちらを見て少し驚いたように目を見開いた。

 

「あら、私はあなたに負けた筈。どうして勝手に人の家に入り込んでくつろいでいるのかしら?」

 

「お前を花畑でそのまま放置しておくのもしのびなかったからここまで運んできて介抱してやってたんだよ」

 

「それは感謝するわ、でもそうやすやすと乙女の部屋に足を踏み入れる物ではないわよ?」

 

「(誰が乙女だ、誰がっ!)へいへい、分かりましたよ」

 

「分かればいいわ、ま、勝負の勝者はあなたなのだからあなたの好きにすれば良いのだけれども。」

 

「え?じゃあ今の注意は何?」

 

「別に受けなくても良い説教よ」

 

「ええ~~」

 

「まあ、いいわ。あなたには約束通りお茶の一杯ぐらい入れてあげるわね」

 

「結局入れてくれんのかい!!」

 

「あら、いらないの?」

 

「いりますよ!ただお前そんな体でお茶を入れれるのか?」

 

「あら、このぐらいの傷…くっ!」

 

「ああもう、そこでゆっくりしてろ。外傷はそこまでないが体の中の方がボロボロだ。あんまり動かん方が良い。あと、紅茶の入れ方は知らんが緑茶ぐらいならいれれるから」

 

「……分かったわ、あなたに任せるわ。癪だけど」

 

「任されました。けど、最後の一言は余計です」

 

 とりあえず、茶葉と急須は何故か置いてあったのでさっさと淹れることにしよう。

 いつも文にお茶を淹れているのですぐにお茶は淹れ終わる。

ちなみに先程紅茶を淹れようと挑戦して見事に失敗した。慣れない事はするもんじゃないね。

 ああ~、それにしても〜、風見は美人だけど中身があれだから、文に会いたいよ~、俺の癒やし~、どこだ~い。

 

 はっ!!あまりに嫌な現実過ぎて現実逃避していた。うう、帰りたい。

 

 そんな俺の気持ちとは裏腹にいつもお茶を淹れている俺の体は着々とお茶を淹れていっている。

 

「はあ、できましたよ。ほれ、少し内臓に響くかもしれないが我慢しろよ?」

 

「…ありがとう」

 

「どう致しまして」

 

 とりあえず、お茶を啜る。

 

「これ、美味しいわね。いつも紅茶しか飲まないけれども、これなら偶には飲んでいいわ」

 

「際でございますか」

 

「あら、素っ気ないわね」 

 

「お前は構って欲しいのか?」

 

「いや、それは気持ち悪いわね。やっぱりいいわ、近寄らないで頂戴」

 

「え?まだ構ってないけど?なんか当たり強くない?」

 

 まあ、別にいいが。ただ、文にやられたらショク死する自信はある。

 それにしても、やっぱりこの花畑は風見が管理しているのだろうか?

 聞いてみたかったので、聞いてみる事にする。

 

「なあ、風見」

 

「何かしら」

 

「この向日葵畑は風見が管理しているのか?」

 

「形だけよ、でも見事でしょう?この向日葵達。それに、私はそこまでちゃんとした管理はしていないは。この子達の言葉を聞いてあげてるだけですもの。」

 

「それでも、とっても見事な向日葵達だよ」

 

 本当に見事だよ。ただ、それを戦闘狂が作ったというのがなんとも言い難い気分にさせてくれるのだが。

 

「花の妖怪なら、冬とかはどうしているんだ?ここで何か違う物を栽培しているのか?」

 

「いいえ、していないわ。花の成長を助ける事はしても、この子達を手ずから育てたりはしていないわ、花の妖怪と言っても、いろんな季節の花が咲くところを基本的にうろついてるだけよ。ここを管理しているのも一番要ることが多いのと、ただの気まぐれからよ」

 

 まあ、花妖怪らしいのからしく無いのか分かりにくい生活をしていらっしゃって、俺達は鴉天狗らしくは無いが鞍馬天狗らしいかと問われればスゲー納得できるらしいからな。

 ま、妖怪という枠に捕らわれない自由な生き方も良いだろう。

 花妖怪なので一つの場所に留まる印象の方が強いが。

 

「栽培する気はないのか?」

 

「今のところは無いわね。やっぱり自然なあの子達を観ていたいから、手助けはすれど自然な彼らの生き方を観るわ」

 

「そうか、まあ栽培したくなったら鞍馬天狗が手伝ってやろう。何故か土木は得意だからな、俺達は」

 

「その時は頼むわね。鞍馬の天狗さん」

 

「天鴎だ、天鴎でいい。風見」

 

「あら、なら私も幽香でいいわよ、天鴎」

 

「そうか、改めてよろしく頼む。幽香」

 

「こちらこそ、よろしく頼むわね、天鴎」

 

 そういいあって、両者ともに握手する。

 ふと外を見るともう日が傾いてきている。そろそろ帰らなければ。

 

「長居し過ぎたみたいだな、今日はもう帰るよ」

 

「あらそう、足元には気をつけて帰りなさい」

 

「鞍馬天狗にも翼ぐらいあるわい。そしてちゃんと飛べから要らぬ心配だわい」

 

 幽香の皮肉を受けながらも玄関に向かう。

 

「それじゃあな、幽香。いい夜を」

 

「そちらこそいい夜を」

 

 俺はそういい合い外にでた。

 外は綺麗な夕日であり。向日葵畑と合わさって更に見事だった。

 

 さてと、夕飯を作らなければ、少しばかり急がなくては。

 

 俺はそう思い、翼を空に広げるのだった。

 

 

 

 

 




文「今年も新年が明けてしまいましたよ天さん。」

天「ああ、そうだな。しかし、作者は新年にも関わらず特別編を出す気は無いらしい。」

文「めんどくさいからですか。」

天「まあ、ぶっちゃけてしまえばそうなる」

文「他にも理由が有るんですか?」

天「まあ、本編が全く進んでいないからだろうな。そもそもの登場人物が少なすぎる。このまま書こうとしたら俺と文のいちゃいちゃしか無くなる。」

文「私はそれでも良いんですけどね。」

天「まあ、そうゆうむねのいいわけを俺達に代弁させてるんだよね、作者は。」

文「本当にもっと働かなくてはいけませんね、作者。学業ぐらい頑張ってください。」

天「(そういえば、冬休みの課題がヤバいとか言っていたな)」

文「どうせ、冬休みの課題とかも全然やってないんでしょうね。」

天「(見透かされてるぞ作者。とりあえず、頑張れよ)」

文「本当に上の者は使えませんね。」

天「それ以上は可哀想だからやめたげて!!」




 今日の天さんTシャツは変なおばさんの顔が付いて寿司ざんまいとでかでかと書かれている。
 戦闘中これとか、しまらんな。


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