女神転生・影【デスゲームサマナー】   作:どくいも

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ちょっくら実験作


プロローグ

【女神転生・影】

 

 

これは、アトラスから販売されているソフトである【女神転生シリーズ】。

それが好きで好きで仕方ないやつが作った、同人ゲームである。

ゲーム形式はオープンワールド型ローグライクともいうべきか、舞台は200X年の東京。

悪魔が復活した魔都東京を崩壊するその日まで、探索及び世界の崩壊を食い止めようというものである。

 

だがこのゲーム、公式で作られたものでないため、かなり内容は雑多でプレイできたβ版はゲームとしてのバランスは崩壊気味。

序盤からすぐ近くにラスダンもどきがあったり、シナリオだってはちゃめちゃ崩壊気味。

多くのテストプレイヤーが誰一人東京におちるICBMの襲来を阻止できず失敗。

このゲームにクリアなどあるのかと、多数の不満が寄せられていた。

 

が、それ以上にこのゲームは素晴らしいところがある。

それは、このゲームには女神転生シリーズの外伝を含んだありとあらゆる要素が入っているということだ。

基本的な悪魔召喚プログラムにCOMPに悪魔会話。

さらにはCOMPだけではなくGUMPやデモニカに封魔管。

プレイヤーキャラだって、サマナーだけではなく異能者や悪魔、さらにはペルソナ使いだってできる自由度。

NPCもメシアガイアはもちろん、トールマンに南条にジプスまで。

おおよそ、その手のファンへの大サービスとして非常によくできていた。

 

 

……もっともそのせいで、キャラ格差やそれによる難易度の差があれ過ぎて、普通の一般市場としては販売できそうにない。

同人ゲーだから、さもあらんといった内容であった。

まぁ、それでもゲーム自体はよくできており、実際にβ版を簡単にだけプレイした自分も思わずこれは舌を巻いて驚いたものだ。

そして、先日ついにこの【女神転生・影】の正式版がリリースしたとのこと。

ここ一年近く更新が停止していたため、ついにアトラス法務部にボコられたかとみんなひやひやしていたのだが、無料配布ゆえ無事だったのだろう。

そんなこんなで自分はその『大アップデート正式版』とやらをプレイし始めたのであった。

 

 

 

≪新しくキャラを製作しますか?≫

 

「あっ、やっぱりベータ版からのキャラ引継ぎは無理か。

 ……まーそうだよなぁ、その辺は切り替えていくか」

 

 

そう呟きながら、すでに使えなくなった古いファイルを消去し、新しいキャラクター制作画面へと移行する。

 

 

「やっぱり、メガテンならサマナーだよなサマナー!

 ……って、ん?サマナーにもいろんなタイプがあるのか。

 前回は一律<サマナー>だったのに……というか、色々あるな。

 やっべ、めんどくせぇ」

 

 

β版よりも色々ふえた、キャラ制作画面に四苦八苦しながら、ふと、画面の下の方にかわったアイコンを見つける。

 

 

「【キャラクター製作オート診断モード】?

……なになに、【質問に答えることで、その質問に応じて適切なキャラクターを製作します】っと。

【オート診断で製作されたキャラクターは序盤に少しボーナスがある場合があります】……ほう!

これはいわゆる、SJに出てきたあのシステムか。

……うん、いいじゃん、こういう遊び心好きだよ。」

 

 

そう決意したところで、さっそくオート診断で無数の質問に答えていく。

内容は普通の【緊急時に一番頼れるもの何か?】とか【恋人と親、どちらを救うか】などのありきたりなものから

【一番好きな悪魔は?】や【悪魔を殺して平気なの?】など多岐にわたった。

そうして、20を超える質問を答えて、ようやく自分の初期キャラクターが製作された。

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

【氏名】中島 凪

【クラス】ナチュラルサマナー

【成長タイプ】忍者

【ステータス】 Lv5

力7 体5 魔4 速8 運4

【スキル】

獣の反応(自分の命中・回避率が上昇、効果小)

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

「……これは、オート製作にしては悪くない……のか?

 歴代メガテン的には、速が高いのは外れはないはずだけど……

 というか、ナチュラルってなんやねん、普通のサマナーと何が違うんだ。」

 

 

成長タイプが忍者というのは一瞬戸惑ったが、どうやらこれはTRPGでの【クラス】に由来するそうな。

あまり女神転生のTRPGの方について詳しくはないが、このゲームではそういうものなのであろう。

だが、実際もし仮にこの成長タイプが間違いだったとか、実は魔が高くないとゲームにならないとかもあり得るかもしれない。

が、しょせんこれはまだゲーム序盤も序盤。

誰だって最初は手探りだという開き直りで【これでよろしいですか?】という質問に、迷わず【OK】を押す。

 

 

「なぁに、もし仮にこのキャラが弱かったら作り直せばいい。」

 

 

そんな風につぶやきながら、その後もいくつかの簡単な設定を整えて、【キャラクター最終決定】に【YES】と力強くおす。

 

すると流れ始める簡素ながらも迫真のプロローグ。

無数の解説に、冷徹ながらも恐ろしさを感じる文章、あふれ出る東京の魔都っぷり。

そして……

 

 

「おお、謎の魔法陣とプログラムっぽい何か。

初代リスペクトかな?」

 

 

画面に映される魔法陣に無数のプログラム言語。

何一つ理解できないそれを眺めつつ、そして、突然画面全体に移った。

 

 

 

【すぐにけせ すぐにけせ すぐにけせ すぐにけせ すぐにけせ すぐにけせ すぐにけせ すぐにけせ すぐにけせ すぐにけせ すぐにけせ すぐにけせ すぐにけせ すぐにけせ すぐにけせすぐにけせ すぐにけせ すぐにけせ すぐにけせ すぐにけせ すぐにけせ すぐにけせ すぐにけせ すぐにけせ すぐにけせ すぐにけせ すぐにけせ すぐにけせ すぐにけせ すぐにけせ すぐにけせ すぐにけせ すぐにけせ すぐにけせ すぐにけせ すぐにけせ すぐにけせ すぐにけせ すぐにけせ すぐにけせ すぐにけせ すぐにけせ すぐにけせ すぐにけせ すぐにけせ すぐにけせ すぐにけせ すぐにけせ すぐにけせ すぐにけせ すぐにけせ すぐにけせ すぐにけせ すぐにけせ すぐにけせ すぐにけせ すぐにけせ すぐにけせ すぐにけせ すぐにけせ すぐにけせ すぐにけせ すぐにけせ すぐにけせ すぐにけせ すぐにけせ すぐにけせ すぐにけせ すぐにけせ すぐにけせ すぐにけせ すぐにけせ すぐにけせ すぐにけせ すぐにけせ すぐにけせ すぐにけせ すぐにけせ すぐにけせ すぐにけせ すぐにけせ すぐにけせ すぐにけせ すぐにけせ すぐにけせ すぐにけせ すぐにけせ すぐにけせ すぐにけせ すぐにけせ すぐにけせ すぐにけせ すぐにけせ すぐにけせ すぐにけせ すぐにけせ すぐにけせ すぐにけせ すぐにけせ すぐにけせ すぐにけせ すぐにけせ すぐにけせ すぐにけせ すぐにけせ 】

 

 

「あ、あれ?なんだか……意識が……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・・

・・・

 

 

 

そうして、目が覚めるとそこは見知らぬ部屋の一室。

外から見える知らない光景。

なれない体、机の上にあるパソコンと携帯にさっそうと移る【DDS-NET(S)】の文字がやけに自己主張つよくその画面に移っていた。

 

 

「……せめて、自キャラの性別自体はちゃんと♂にしておくべきだったなぁ」

 

 

こうして、元彼現在彼女の「中島 凪」は取り返しのつかない後悔をしながら、静かに現実からログアウトし、悪魔闊歩する魔都【東京】へと閉じ込められてしまったのであったとさ☆

 


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