女神転生・影【デスゲームサマナー】   作:どくいも

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※ちょっと早めのメリー苦しみます また今回も途中から3人称になります



10話目

突然空虚より現れた悪魔の群れを殲滅していくばくか。

こちらを襲った悪魔たちが霧へと還り、散らばるドロップとCOMPに来る通知。

自分たちの周りにいくばくかの静寂と沈黙。

されど遠方から聞こえてくる数多の悲鳴と無数の怒号。

 

「沖田……」

 

「はい」

 

言葉を交わさずとも、お互いにすでに大まかな状態はつかんでいた。

それゆえ、次にするべき行動は必然的に決まっていた。

 

「こっちは東方面を探索するから、そっちは西方面で」

 

「……了解しました。

 でも、一人で大丈夫ですか?

 ノッブ……いえ、中島さんが強いのは理解してますが、今は緊急事態。

 もしものことがあるかもしれませんよ?」

 

「大丈夫だ、こちらは一人じゃない」

 

懐から管を取り出し、出し惜しみせず中身を開放する。

 

「うにゃ!な、なんかやばそうな気配かにゃ?」

 

「おお~~!!やっと私の出番ね!

 うんうん、凪はもっと頻繁に私を呼び出してよ!

 わたしもも~~っと頼っていいんだから!」

 

そう、自分はデビルサマナー。

常に一人ではなく複数だ。

 

「……うん。それなら大丈夫そうですね」

 

「それよりそちらこそ大丈夫か?

 実力を疑うわけではないが、万が一が……」

 

「大丈夫ですよ♪

 ちゃんと呪殺や破魔対策装備をしてますし、状態異常対策もばっちりです。

 ……それに、今はそんな万が一とか言ってる場合でもないですしね」

 

辺りから聞こえる悲鳴がさっきより減ってきたように感じる。

聞き間違いや勘違いだと信じてたいが、おそらくそんな甘い話はないだろう。

 

「それでは、また半日後にここで!」

 

「いくぞ!モーショボー!カブソ!」

 

「ええ!もちろん!いくわよ~~!!」

 

「ちょ!オイラもうカブソじゃないのにゃ~~!!」

 

かくして、我々は異界と化した、この【夜の街:異界六本木】の中へと駆け出して行ったのであった。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

「はぁはぁ、はぁはぁ!」

 

駆ける、駆ける。

異界と化した六本木の夜の街を2組の男女が走っていた。

片方は男性、青年というのにやや細めながらも筋肉のついた体格、整った顔立ちをしている。

現在彼が多少衣服に血がついており、腕や足に傷がついていることさえもむしろ彼の容姿を引き立てる程度には好男子であった。

 

「……ふぅ、はぁ……うぐっ!!」

 

そうしてもう一人は女性。

こちらも整った容姿に、金髪、女性らしさも感じさせつつ幼さも残す顔立ち。

黒白の服を着た彼女は、見るものを和やかな気持ちにさせる愛らしさを備えている。

が、そんな彼女でも今の状態を見てそんな風に思う人は少ないだろう。

なぜなら、彼女の手と服に隠された腹部からは、抑えきれないほどの赤い鮮血がこぼれていたからだ。

 

「……おい、亜麻色、私はもうだめだ……。

 だから、お前だけでも……」

 

「バカなことを言うな!!

 相方を置いて逃げれるか!!」

 

この2人の男女はプレイヤーであった。

この2人は完全にひきこもるわけではない、かといって積極的に攻略をするでもない、いわゆる【緩やかに攻略を目指す】を目標に挙げて活動する2人パーティであった。

出会いの仕方は、たまたま街中のファミレスで、混雑により相席をしたことに始まる。

その後、このお互いにこの世界へと転移したこともあり、お互い知り合いと呼べる知り合いがほとんどおらず、すぐさまお互いに交流を開始。

そして、あっという間に意気投合して、共に協力関係に。

ここまでコツコツと準備を重ね、最近ようやく初の悪魔討伐を経験。

危なげなく、初討伐もこなせ意欲は万端に。

これならば近いうちに異界攻略もできそうだ、いやいや、そんな簡単に話はうまくいくか、もっと野良悪魔でレベルを上げてから……。

そんな相談をしていたころに、これが起きたのだ。

そう、この【期間限定イベント≪憂鬱の日曜日≫】とやらが。

 

『危ない、亜麻色!!

 ぐぅぅぅぅ!!!!』

 

『な!魔理沙!よくもお前ら

 うおおぉぉぉぉ!!!』

 

それは一瞬の出来事であった。

2人で賞金目当てで六本木の探索をしていると、突如世界が暗転。

そのまま、まさかここ辺り一帯が丸ごと異界と化して、そのまま無数の悪魔たちの群れに襲われるなど誰が想像できようか?

無論、片手で数えるほどしかまともに悪魔戦闘をこなしたことがない2人。

第1波、第2波と襲ってくる悪魔の群れに耐えきれるわけもない。

そうして、第3波目でとうとう異能者の方の女性が重傷を負う。

そのような状況でまともに戦闘を続行できるわけもなく、何とか仲魔の命を犠牲にすることで逃走に成功したのであった。

 

「……がはっ!!」

 

「おい、魔理沙、魔理沙、魔理沙ぁァァぁぁ!!」

 

……だが、それを選択するのはあまりに遅すぎた。

すでに彼女の怪我は重傷を通り越して、致命傷。

腹からだけではなく、口からも血が噴き出し始めていた。

そうして彼女の足の動きが止まり、血を抑えるはずの腕からは赤の濁流が漏れ始め、つないだ右手は力が抜け、するするとはずれていってしまった。

 

「……お願いだ、本当に亜麻色。

 私はここまでなんだ、だからせめて、オマエだけでも……」

 

「くっそ、何言ってるんだよ!!

 何弱気になってるんだよ!!いつもの余裕はどうしたんだ!!

 このくらいなんだって言ってくれよ!!だから、だから……!!」

 

目の焦点がぼやけ、明らかに顔から生気が抜けてきている相方に怒気を超えて、懇願のような声を男は出した。

だが、叫んだところでこの男はただの【ノーマルサマナー】。

すでに彼が取れる手段はほとんど残されていなかった。

彼は普通のサマナーゆえ、ディアなどの回復魔法は使えないし、回復アイテムの類は先の戦闘で使い尽くした。

仲魔で回復しようにも、彼の唯一の仲魔は先ほど戦闘で戦闘不能に。

 

「くそう…ちくしょう!

 せめて、せめてどこかに薬局でも立っていたら……」

 

無論、もう手遅れかもしれないことは男はわかっている。

それでも、彼はあきらめたくなかった。

こんな理不尽に負けたくない、何もせず死にたくなく、なにより好いた女性を見捨てるなど彼にはできるわけがなかった。

 

「つぅぅぅ!!もうエネミーソナーも真っ赤だ!

 いつまた悪魔どもが襲ってきてもおかしくない!

 とりあえず、こうなったら無理にでも背負って……」

 

「……!!だめだっ、それだけはだめだ!!

 私のことはいいから、だから、だから……」

 

「ダメも良いもあるか!!

 いいからさっさとつかまれ!」

 

嫌がる相方を無理やり腕力で抑え込みつつ、男は女をその背に背負った。

プレイヤーになって多少の体力は挙がっても、やはりサマナー、人相応に重さは感じる。

まともに抵抗するほど体力が残ってないのに、無理に抵抗する彼女を落ちないように支えながら、改めてCOMPの画面を確認した。

 

―――そして、その一瞬の隙に、彼の首に致命的な一撃が加えられた。

 

「ぐああぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

あまりの激痛と予期せぬダメージに、彼は思わず手に持つCOMPを手放し、その上前のめりに倒れてしまった。

 

「あ、あ、あ……」

 

「違う!違うんだ、私じゃない、私じゃないんだ……!!」

 

厳しい激痛と混乱する思考を何とか収めつつ、彼は自分の背後から悶えつつ確認した。

するとそこには、口元から大量の血を滴らせた彼の相方の≪霧雨魔理沙≫の姿があった。

その血に濡れた歯や口から、彼は自分へ一撃が彼女の口撃によってなされたのだとわかった。

だが、それを行ったであろう彼女の顔色はもはや真っ青を超えて青紫色であり、彼女自身も自分がなぜそんなことをしてしまったのか、理解できていないのであろう。

 

【ギヒャヒャヒャ!ゲヒャヒャ!!

 ひっかかった!ひっかかった!!】

 

そんな悲しみや混乱を超えて、絶望的な表情をしている彼女。

その背後や体から、突如黒い靄のような噴き出し、鈍い声を響かせ、その悪魔が姿を現した。

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

【NAME】≪悪霊≫ディブク Lv10

HP ??

MP ??

【相性】 氷結・破魔弱点 呪殺耐性

【スキル】 ムド

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

「なっ……!!おまえは、さっきまいたはずの!!

 そ、それより彼女は……」

 

【げっへっへ!あの程度で本当に俺達から逃れることができると思ったのか?

 ぎゃっはっは!すでに憑かれているのに逃げ切れたと思ってるお前たちのマグネタイトはうまかったぜ~~??

 思わず、こいつの体の中でゆっくり味を反芻しちまう程度にはなぁ!!】

 

その悪魔の名は、【悪霊・ディブク】。

ユダヤ伝説の邪悪な精霊で、過去に罪を犯したために新しい体を与えられず体のない呪われた悪霊。

そうしてこのディブク、何よりの特徴は【人に取り付き、その体と魂を支配する能力】があることである。

伝承では足の小指の先に小さな穴を開け、そこから犠牲者の体に出入りするとされているなんて言われているが、今回は違う。

大胆にも彼女のお腹に穴をあけ、そこから侵入し憑りついたというわけだ。

 

「貴様、貴様、貴様ぁぁァァぁぁ!!!!!!」

 

【おおっと、いいのか小僧?

 貴様が、俺に攻撃しようとすれば、こいつを傷つけることになるんだぜ?】

 

当然彼も一方的にやられるつもりはなく、彼女に憑りついた悪魔を退治しようとした。

が、その瞬間まるで紐でつられたかのように少女の体がその黒い靄の悪魔をかばってしまう。

 

「お、お願いだ!

 はやく、早く私の体ごと殺してくれ!!

 このままだと、このままだと……!!」

 

「ばかやろう!!

 そんなことできるわけ……ぐはっ!!」

 

「いや、いや、いやぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

【ぎひっ!ぎひひひひっ!!!

 うめぇぇぇぇぇ!!!いい絶望のマグネタイトだぁァァぁ!!!

 これなら俺様の冷えた体もあったまるぜぇぇぇ!!!グハハハハハハ!!】

 

当然そうなってしまえば、心理的にも体力的にも、男は悪魔を撃つことなどできなくなってしまった。

無防備に硬直してしまった彼に襲う、憑りつかれてしまった彼女の一撃。

すでに両者ボロボロゆえに男も無様に一方的にやられ、その全身の骨が順々に折られていく。

それだけではなく、加害者側のはずであろう彼女の方も、限界を超える力で殴っているが故、そのこぶしからも骨が割れるような音が響き、折れた指先から血しぶきが舞う。

そして、両者にはそれほどの痛みを受けながら、それ以上に感じている別の絶望感、彼の苦悶の声に彼女のやめてくれ、やめてくれという哀願の悲鳴。

人の絆と絆を引き裂く、まさに悪魔の所業の地獄絵図がそこにはあった。

 

「う……あ……」

 

「う、う、うぅ……

 もう嫌だよぉ……殺してよぉ……離してよぉ……」

 

そうして、ディブクはゆっくりたっぷりと2人をいたぶるのであった。

十数分後には男は上からも下からも血を流し、女の指ももはや無事なものが1つもなくなってしまうほどであった。

そして、そんな悲劇ののち、たっぷり笑い終わった悪魔の口から改めて言葉が紡がれたのであった。

 

【ああ!俺様もそろそろ飽きたところだし、そろそろ殺してやるよ。

 安心しな!】

 

「あ……あ……」

 

「やめ……ろ……彼女を……離せ……」

 

そうして、彼女の心に既に十分膨れきった絶望のなかに、やっと終わるという希望が生まれた。

……だが、当然、この悪霊がそんな生ぬるい考えで開放するわけもなかった。

 

【ただし、お前ではなく、彼氏の方だがなぁ!!】

 

「あ……あが……!!」

 

「いや、いや、やめてぇぇぇぇぇぇぇ!!!!

 お願い、放して、放してぇぇぇぇぇ!!!!!!」

 

彼女ののどから、既に枯れ切ってしまったはずの悲鳴が出た。

全損しているのに無理やり動かされた指から、痛み以上に想像しがたいほどの膨大な苦痛が心に生まれる。

もう十分心が壊れたのに、なぜこれ以上壊そうとするのか?

すでに壊れてしまったと思った心がさらに砕け散るのを彼女は感じた。

 

【ぎゃははははは!!!ギハハハハ!!!

 うめぇぇぇ!!!さすが異能者の心!!!

 これほどまでにうまいマグネタイトは初めてだ!!

 こいつを殺しても終わりじゃねぇぞ?お前には俺の依り代兼餌になってもらわなきゃならねぇからな!】

 

うるさく響く悪魔の声に、指から感じられる彼の体温、薄れゆく生命力。

ありとあらゆる絶望を感じながら、彼女の脳裏に最後に浮かんだのはシンプルな願いであった。

 

「(せめて、彼だけは……無事に……)」

 

 

 

 

「残念だが、そこまでだ」

 

そうして、その願いは届いた。

 

「……あ」

 

そう、どこからか現れたひと振りの刀が、彼の喉に絡みついた彼女の腕ごとバッサリと悪魔の体を切り落としてくれたのだ。

 

【ぐ、ギヤアァァァァァァァァァ!!!!!!

 俺の、俺様の腕が、体がぁぁぁぁ!!!】

 

彼女は切り飛ばされる自らの腕をどこか他人事のような目で見ながら、その悪魔が初めて悲鳴を上げたことに何か場違いな喜びを感じた。

 

【おまえ、おまえ!!!

 こいつと同じ人間だろぉぉぉぉ!!!!!

 それなのに、こいつを傷つけて……この女がどうなってもいいのか!!!】

 

「っは、憑りついておいてよく言うな。

 こちとらお前みたいなパターンは見飽きてるんだ。

 悪霊に憑りつかれては、もうまともに救うすべはない。

 ならばせめて殺してやるのが救い、ちがうか?」

 

「う……あ……」

 

その救いは、黒かった。

内赤外黒のマントに黒い帽子、黒い軍服に黒いズボンと黒い靴。

その赤と黒の刀のすらりとした体形をしており、無理やりであるが救われた男にはその人物がまるで死神のように見えた。

 

【ひ、ひひ!そんなこと言って、知ってるんだぞ!

 人間はうそをつくからな!

 そんな風に強がりを言いながら、本当は手も足も出せな……ぐぐぁぁぁぁぁぁ!!!】

 

「ふむ、手裏剣も普通に通じるんだな。

 よかった、これなら無駄なマグネタイトを消費せずに済みそうだ」

 

そうして、その黒い死神は彼女に取り付いた悪魔を退治し始めた。

……その依り代である彼女の体ごと。

 

「やめ……やめて……くれ!

 頼むから……頼むから……」

 

彼女の体が傷つけられるごとに、男の悲鳴のような嘆願が上がった。

無論、男とてわかってはいる、すでに彼女はいろいろと手遅れだということに。

それでも一方的に傷つけられる彼女を見て、思わず静止の声を上げてしまうのであった。

 

【ぐぎ、グギギ!!!

 こ、これ以上こんなぼろ雑巾の中にいられるか!!

 俺は逃げさせてもらう!!!】

 

そうして、一方的に傷つけられていたからであろう。

先に音を上げたのは悪魔の方であり、そいつはとうとう憑りついていた女の体を捨て、逃げるかのように空中へと避難。

あっという間にビルとビルの合間を縫って、どこかへ行ってしまったのであった。

 

「っち、空に逃げるとは面倒だな。

 ……でもまぁ、あのふらふらした様子だと墜落も時間の問題か」

 

「あ……う……」

 

「……こっちは今からあの悪魔を追いかけ、とどめを刺す。

 これは餞別だ、だから早く傷を治しておけ」

 

そういうと、その死神はその全身ボロボロの男に魔石をひょいと数個投げ渡したのであった。

 

「な……!!こ、こんな貴重品を……!!」

 

それはあまり悪魔や裏業界に詳しくない男でも知ってる代物であった。

それは【魔石】、それ自体には回復の魔力が詰められた石であり、使うだけで傷があっという間に治る回復アイテム。

もちろん今の回復手段がほぼない彼にとってそれは非常にありがたいものであるのにはまちがいない。

が、彼はそれをもらってもそれに返せるだけの物を差し出せるほど価値のある持ち物がなかった。

 

「た、確かに今これをもらえると嬉しい……けど……」

 

「っむ!あっちのほうか。

 どうやら足止めまでいるとは、これは大量だな」

 

こんなものをもらってもお返しができない、そう言おうとしたが、それよりも先にその死神はすでに駆け出してしまった。

その忙しない死神の後姿を眺めながら、思わず男は呆然としてしまった。

先ほどまでの惨状と突然すぎる事態の変化を考えればある意味では仕方ないことであろうが。

 

「……がはっ、ごほっ!!」

 

「……っ!!と、とりあえず、今は呆けている場合じゃない!!

 そ、それより彼女を……!!」

 

だが、その忘却も彼女の血を吐く声を聴くことですぐに現実に戻されるのであった。

男はなんとかボロボロの体を引きずりつつ、先ほど投げ渡された魔石をつかむ。

すがる気持ちでその魔石をボロボロの彼女に使用した。

 

「ゲほっ……ごほっ……」

 

「おい!おい!なんでだよ!!

 なんで傷が治らないんだよ!!

 この魔石、偽物かよ、おい、おい!!」

 

しかし、それでも彼女の体は治らなかった。

魔石を使用しても、小さな傷はふさがるが、依然彼女の体に空いた大穴や切られた腕から一向に血が止まることはなかった。

偽物であることを疑い、自分に1つ使ってみるが、自分の傷は無事完治。

それなのに、残りの魔石をすべて割っても彼女の体から一向に良くならなかった。

そして、彼は気づいてしまった、この魔石が不良品なのではないことを、そして彼女は魔石の回復程度では間に合わないほどの重傷で手遅れ。

つまり、彼女はもう……

 

「……もう、大丈夫だよ。

 ここまで……ありがとう、でも、もう、私は、助からない。

 だから、はやく、逃げ……」

 

「ま、待てよ魔理沙!

 まだ、まだだ!まだ治せるはずだから!!

 そ、そうだ、まだだ、まだ、血さえふさげば……」

 

「あは、アハハ……

 こ、こんなときまで助けようとしてくれて……あり……がと……

 実はね、私、いいたかったことが……」

 

憑りつかれていないためか、先ほどよりも目には意識は残っている。

それでも、その眼の灯はあまりにか細く、弱弱しく……

 

「言わなくていい!!

 なおったら、治ったらいっぱい聞くから、だから、だから、生きて、生きて……!!」

 

「あはは、言うと決めたらこんな簡単だったんだ。

 あのね、私、あなたのことが、好……っ……」

 

そうして、閉ざされる瞳。

抜ける四肢の力、止まる拍動、静まる呼吸。

 

「おい、魔理沙、魔理沙、魔理沙ぁァァぁぁァァぁぁ!!!!!!!!」

 

すべてが手遅れであり、あまりに自分たちは無力であった。

その現実を悟った彼はただただ彼女の亡骸の前で、泣き叫ぶことしかできなかったのであった。

 

 

 

「……お、まだ残っていたのか。

 おそらくもうどこかに避難していただろうと思ったのだが、意外だったな」

 

男が絶望感と喪失感、ごちゃごちゃの感情のまま固まっているとそいつは再び現れた。

それはマントを付けた死神。

さきほど、彼女にとどめを刺し、また彼女と自分を救ってくれた人物。

男はその事実に対しても心に大きな葛藤が生まれながら、同時にそれ以上の相方を失った喪失感で、今はただ一歩も動く気になれなかった。

 

 

 

「む?そっちは……あ~、もしかして瀕死か?死か?

 まぁ、まだ時間がそこまでたってないし、間に合うかもな。

 というわけで、蘇生を試してみるぞ」

 

「え?」

 

そして、奇跡が起きた。

 

「うんにゃ~~!!

 これならうまくいきそうだにゃ!というわけで、さっそく我が魔力で生き返るのニャ~~!!

 リ、リ、リ、【リカーム】!!」

 

その死神が呼び出した、猫の悪魔。

死の不吉の象徴であるはずの黒猫なのに、その悪魔から唱えられたのは【蘇生】の魔法であった。

あふれる感じたことのない魔力、柔らかで温かい波動、ふさがる大穴につながる腕。

 

「げふっ……ごほっ……!!

 あ、あれ?わ、私はさっき死んで……ということは、涅槃かここ?」

 

そうして、なんと先ほどまで死んでいたはずのその少女はこうしてあっさりと息を吹き返してしまったのであった。

 

「バカやろう!!!

 心配かけやがって!!」

 

「わ、わっぷ!!

 え?え?こ、これはいったいどういうこと?

 あ、あれ?腕もつながってるし……もしかして、夢?」

 

「ばっか!!!夢なわけあるかバカ!!!

 本当に、本当に心配させやがって!!

 二度と、二度とかばうなんて真似したら、絶対に許さないからな!」

 

無論、彼は彼女に抱き着いた。

ただただ、彼女の存在を手放さないように、次こそは彼女をきっちりと守れるように。

 

「ちょ!亜麻色、そ、そんな強く抱きしめられたら痛いって!

 そ、それにちょっと人が見てる前で恥ずか……いたっいたたっ!!

 そ、そこは傷のこってるから、傷に装備が当たって、いたっいたたっ!ちょ、冗談になってないから!

 こらー!!!」

 

結局その男女の感動の抱擁という名のいちゃつきは、ほか悪魔の群れの乱入が来るまで続いたのであった。

 

 

「で、そろそろ話、始めてもいいか?」

 

「あ、はい、本当にすいません」

 

「わざわざ助けていただいたのに余計な手間を取らせて……

 本当になんて言ってよいやら」

 

現在、彼と彼女は全力で謝っていた。

よくよく考えなくても彼と彼女は、このマントマンに全力で助けられていた。

貴重な回復アイテムを譲ってもらったことも、悪魔を追い払ってもらったことも、その上蘇生とその後襲って来た悪魔の群れを撃退までしてもらった。

どれ一つとっても大恩人なのに、それを全部、しかも文句ひとつ言わずやってくれたのだ。

なのに、自分たちはその大恩人にまともなお礼どころか、挨拶一つまともにできてない。

これは失礼を通り越してやばいといってもいいだろう。

あまりの申し訳なさに、思わずその男女2人とも即座に土下座へと移行したほどだ。

 

「……別に頭を下げなくてもいい。

 こっちも好きで助けただけだから、別にお礼を言われるためにやったわけではない。」

 

「(何この人、やばい善人?)」

 

「(いやいや、これはきっとあれだぜ。

 さっきのは負けイベントとかそういうの、でこの人はお助けNPCとかそんなの、多分)」

 

どうやら、相手は怒っていないようだ。

そのことに安心しつつ、ちょくちょくこそこそと談話する見習いプレイヤーコンビ。

なお、その推測は色々と的外れな模様。

 

「ごほん!で、早速だが、時間がないから軽い戦力確認と自己紹介だ。

 自分はまぁ君たちと同じ俗にいうプレイヤーだ。

 名前は中島、種族は人間、見ての通りちょっと不便な方のサマナーだ」

 

「あ、わざわざご挨拶をありがとうございます。

 自分は【亜麻色 玉葱】。ノーマルなサマナーです。

 ……でもいまちょっと仲魔が死亡中であんまり戦闘できない状態です」

 

「え、えっと!わたしは【霧雨 魔理沙】。

 職はバスターで、普通の火の魔法が使える魔法少女です!

 そ、それとマカカジャも使えます!

 ……お助けキャラじゃなかったのか(ボソッ」

 

そうして始まる、お互いの簡単な自己紹介。

黒軍服側は自分がフリーサマナーをしているプレイヤーでいくらか戦闘経験に自信がある。

なので、慣れていないだろう人を救うべく異界を探索していたこと。

男と女の方は、まだまだ駆け出しで数回しか戦闘をしたことがない見習いプレイヤーであること。

それゆえ先ほどは助けてくれて非常に助かったとのこと。

大体そんな当たり障りのない内容である。

 

「にしても、この異界で一人で探索って色々すごいですね。

 やっぱり、レベルもすごい高いんですか?」

 

「いや、普通にレベル17ぐらいだからまだまだ全然だよ。

 しかもいつもの探索は、ペルソナ使いのバスターに手伝ってもらってるし」

 

「あ、意外と常識的なレベルだった。

 ……でも、よく考えたら私たち2人足したよりも上だな。

 そりゃ、強いわけだ」

 

男は、静かに彼女と話をする自分達を救ってくれたそのプレイヤーの様子を改めて観察した。

先ほどまでは怪我を負ってかつ極限の精神状態だったため気づかなかった。

が、この人男の衣装ではあるがどうみても女性である。

その長い髪や顔立ち、背格好や胸元に声とどこからどう見ても100%女性。

同じサマナー系でしかも女性なのに、ここまでの実力を、それよりも性別のことは突っ込んでいいのか?

……そんな風にまじまじと眺めすぎたからであろう。

 

「……こっらっ!」

 

何を勘違いしたか、なぜか彼は彼の相方に手の甲をつねられてしまった、実にざまぁである。

かくして、お互い平和的に自己紹介も終わったところで、改めてその黒い男装令嬢のサマナーのほうから提案が出された。

 

「さて、大体お互いに状況はわかった。

 で早速で悪いが、君たちさえよければ、これから一緒に安全な場所に避難しないか?

 無論、強制ではないが」

 

「え!安全な場所?

 この異界にそんな場所が……」

 

その黒サマナーの口から出された言葉は、思わず男の口から大声が出てしまうほど驚くべき情報であった。

 

「……まぁ、一応DDS-Sを見ればすぐわかる情報だから言っておくが、どうやらこの異界にはいくつかの安全地帯が設けられているらしい。

 俗にいう、ゲーム内での【回復の泉】とか言われる場所だな。

 それ以外にも、メシア教やガイア教の支部は異界になっても場所が変わっておらず、その上結界で野良悪魔が入れない仕組みになっているようだ」

 

もし初めからそこさえ知ってれば……そのせいで彼女を無駄に傷つけてしまった悔しさで、彼はぎゅっとこぶしを握った。

そして、それに気づき、静かにその手をやさしく包み込む彼の相方の少女の姿があった。

ぺっ。

 

「……ごほん、さて、となると必然的に今から我々が避難するのは【メシア教の教会】【ガイア教の寺】【がめつい回復の泉】の3択になるわけだ。

 ……どれもいろいろ言いたいことがあるだろうが、其れでもあえて聞こう、どれがいい?」

 

「何そのひどい三択」

 

結局、彼と彼女はいろいろ話し合った結果、【回復の泉】へと避難することに決めた。

メガテンでの宗教施設は厄介ごとの温床だからね、ちかたないね。

 

「それじゃぁ、準備ができ次第出発するぞ。

 無論、もう少し休みたいならそれでもいいがな」

 

「あ、えっと、その……」

 

「安心しろ、ちゃんと私もついていくから。

 せっかく助けたのに、回復の泉につくまでにまだ死んでもらっては困るからな」

 

「はい、ありがとうございます!」

 

こうして彼らは、心強い護衛を手に入れてこの異界にある安全地帯、【回復の泉】をめざして探索を再開したのであった。

 

 

「というわけで到着」

 

「本当にあっさりと到着した件」

 

で、かくして本当にあっさり何事もなく目的地まで到着した。

いや、何もないといえばうそになる、途中何度か悪魔の群れに遭遇はしたし、それはこの新人バスターズ2人だけでは死を覚悟するレベルのものであった。

 

『秘剣!大体同時3体切り!』

 

『『ぐぎゃぁぁぁぁぁぁ!!!』』

 

だがそれも、全部大体この時代錯誤のコスプレイヤーがあっさりと撃退してしまった。

その無双っぷり、新人2人組が結局一度もまともに怪我することなく、かつマントウーマン自身も回避盾をしながら、結局すべての攻撃を避けきったほどだ。

おかげで、2人はほとんど見ているだけでレベルが2つも上がってドロップ品も複数ゲットできた。

ただでさえ命を助けてもらったのに、その上おこぼれまで頂戴してしまっていると彼は色々申し訳ない気持ちでいっぱいであった。

 

「というか、中島さん色々おかしいって。

 剣で魔法を切るって」

 

なお、バスターの方の彼女はそれ以上に自分が苦戦した相手をあっさりと倒す、その黒サマナーの挙動に理不尽さを感じている模様。

さもあらん。

 

「回復の泉へようこそ……。

 さぁ、傷を存分に癒やして差し上げましょう……

 ただし、マッカをくださればの話ですが……」

 

「えっと、こっちとしてはただ安全に泊まらせてもらえばいいんだけど……」

 

「ただでの停泊はだめです。

 ここではいるだけで体力が回復してしまいますから。

 マッカを払って回復を受けるか、出ていくか、選択肢は2つに一つです。」

 

「思ったよりすごく横暴だった!

 っげ、しかも高い!!……ならMP回復だけのコースで」

 

なお、【回復の泉】はなぜかとある建物の中にひょっこりと存在しており、一見変哲もない雑居ビルの扉を開けると、なぜかそこは神聖な空間が広がっているという具合であった。

なお、神聖なのは雰囲気だけであり中にいる泉の聖女とやらはなかなかの拝金主義者で、マッカを払わなければ瀕死人でも強制的に部屋の外へワープさせるという畜生であった。

かくして、何とか【回復の泉】で傷を癒せるようになった2人。

だが、それに対して黒いサマナーの方はそうはしなかった

 

「それでは私はこの辺で失礼する」

 

「え!えっとそれはその……」

 

「なに、まだ俺はするべきことがあるからな」

 

それだけで2人は悟った。

おそらく、まだ外にはたくさんの自分と同じようなプレイヤーがひどい目にあっているであろうことを。

そしてこの人はそんな人たちを救いに行くのだと。

 

「な!なら、そのできれば自分たちもお手伝いを……」

 

「いや、それは必要ない。

 見たところ2人はもうお疲れのようだし、そもそも外の悪魔をどうこうするにはレベルが足りない」

 

「そ、それじゃぁ、せめて道中でドロップした私たちの分のアイテムを!」

 

「気遣いはうれしいが、それは君たちのものだ。

 一応、アイテム交換という形でならば受け入れるが……構わないか?」

 

「え、えっとそれで……

 ちょ!多い多い!それ、交換レートおかしいですから!

 盛るなとは言いませんが、せめてフェアトレードに!

 それだと、むしろこっちが施しをもらってるみたいで気まずいじゃないですか!!」

 

「え~~」

 

「え~~じゃない!」

 

なお、この男は基本善人なため、この黒サマナーの協力をしようとしたがそれはあっさりと断られた模様。

せめてアイテム支援をと思ったが、それもむしろ逆に施しを受けてしまう始末だ。

 

「なら、せめて、君たちはちゃんと生き残ってくれ。

 そうとしか言えない。

 ……それに、このイベントがいつまで続くかわからないからな」

 

そう言うとその男装の黒い軍服マントのサマナーは簡易な回復だけを済ませ、まともに礼を言わせる暇すら与えず、一人回復の泉から去っていったのであった。

 

 

 

「色々すごかったな」

 

「ああ、まじでな」

 

かくして、現在結局2人は回復の泉に入浴中。

なお、はじめは男女別か混浴か聞かれ、別れようとしたが、少女が自分が殺された時のトラウマを再発。

そのため、彼女の方から真っ赤な顔と真っ青な顔を交互に繰り返しながら混浴を申し出るという実にレアなイベントがあったことをここに記載しておこう。

っか!

 

「というか、レベル10あがるだけであそこまで動きが違うものなのか?

 もうあれ、人間の動きじゃないだろ。

 私とか、異能者になって体力すごく上がったつもりだけど、あれには勝てる気がしない。

 レベルが10あがっても無理な気がする」

 

「わかる。

 前転で火の魔法弾いてたしね」

 

「しかも、私に出せないほど強力な奴をな」

 

なお、会話の話題は大体件の自分たちを助けてくれたサマナーの話題が自然に出てきた。

悪魔の話題はトラウマが怖いし、それ以外の話は重い話ばかりだからある種仕方ないといえるだろう。

 

「……俺も、あの人ぐらい強くならなきゃな」

 

「できるの?」

 

「できるのもなにも、あれくらい強くないとお前のことを守ることができないだろ」

 

「……っう!

 ま、ま~~!!そういってくれるのはうれしいけど、あの人は明らかに別次元の強さだろ。

 それにあれだろ、あの中島さんはぜっっったいライドウのロールプレイとか、そういう方向で動いてるんでしょ。

 あれを真似るのは危険というか、無謀の極みだと思うの」

 

「ライドウ?何それ?

 あれはただのぐだぐだのノッブコスとかレアな軍服装備とかそういうのじゃないのか?」

 

「いやいや、あの前転とか刀ロールプレイどう見てもライドウモチーフじゃん。

 黒猫とかもゴウトにゃんリスペクトだろうし、なんかもう、すっごくエンジョイしているな~~って。

 女なのに無理に男っぽくしてる時点でだいぶあれだし。

 ……いや、歩き方とかは確かに男女半々って感じだったけど」

 

かくして少女は中島さん=なりきりライドウ説を提唱し始める。

青年の方はライドウのことはよく知らないが、確かに聞けば聞くほどなんとなくその中島さんとやらがライドウというキャラをモチーフにしている気がしてきた。

確かに男女の性別や手裏剣と銃などの違いはあるが、それでも戦闘スタイルや仲魔のチョイス、さらに黒づくめでマントなんて奇異な恰好、わざわざモチーフでもなければしないであろう。

ましてやそれがメガテンに関わる強キャラならば……だ。

そうして、その話を聞いた結果、その青年は一つの結論に行きついた。

 

「それじゃぁ、俺もあの人をまねれば同じように強くなれるってことだな?」

 

「そ の 理 屈 は お か し い」

 

なお、その理論はトンデモ理論だった模様。

その後その青年が言い出す、自分も前線に立つやら仲魔に頼らない戦闘とか言い出し始めたので彼女が全力で止めた模様。

やったね!少女は新しく〈ウソ泣き〉をおぼえたぞ!

 

「わかったわかった!と、とりあえず俺は無茶しない程度には頑張るよ。

 でも、今後は前よりも頑張って強くなる」

 

「それでいいんだそれで」

 

「……でも、今度はきっちり守るからな。

 ちゃんとお前を守りきれるくらい強くなるから」

 

「……ば~か、その時は私も同じくらい強くなってるよ。

 むしろ逆にお前のことを守ってやるぜ。

 だから、置いていかないで、しっかりつかんでいてくれよな」

 

男女2人。

デビルマスター見習い。

2人は【回復の泉】混浴で互いに布1枚で隔てた中、静かに互い手と手を取り合うのであった。

 

 




泉の聖女「ぺっ!!!」



※今回の男女コンビ見習いステータス

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【氏名】亜麻色 玉葱
【クラス】ノーマルサマナー
【ステータス】 Lv5→Lv7
【耐性】 破魔無効
【スキル】・くいしばり
     ・追撃の心得

【仲魔】ピクシーLv2(初期仲魔)
    ノッカーLv4(都内ではぐれていたのを偶然勧誘)
    コボルトLv6(ノブ凪の虐殺時、命乞いで仲魔になることにより見逃してもらう)

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

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【氏名】霧雨 魔理沙
【クラス】魔術師
【ステータス】 Lv7→Lv9
【耐性】 氷結弱点 火炎耐性 破魔無効
【スキル】・アギ
     ・アナライズ
     ・マカカジャ

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※リア充爆破しろという思いで書きました

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