やはり、寄せ集めの青春ラブコメは間違っている   作:苦土重焼燐

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アニメ見たのが結構前なんで、色々間違ってるかもしれません。


白い教室 (比企谷 八幡と雪ノ下雪乃の場合)

下校の鐘の音と共に教室を出て、不本意ながら無理矢理入部させられた奉仕部の教室に向かう。

 

奉仕部というのは、悩める子羊を精肉売り場に導くに近い内容だが、ゆりかごから墓場までではなく、その方法を考える且つ本人の成長を促す(美味しくなれ的な意味で)

 

 

多少の語弊があるかも知れないが、大体そんな所だ。

 

冷える廊下を、白い息を吐きつつ歩いていき、奉仕部のドアに手を掛け、ゆっくりと横に開く。

 

 

 

「うぃーす」

 

 

 

「あら、比企谷ステルス君。早いのね」

 

 

 

「え、なに、とうとうステルスの名称変わっちゃったの?」

 

 

 

開口一番に俺をディスってくるのは、奉仕部の部長にして国際科のリーサルウェポンこと、雪ノ下雪乃。

頭脳明晰、容姿端麗、まさに才色兼備という言葉と孤立無援がしっくりはまる存在であり、俺をディスらなくなれば、きっと最高で最強ってやつになれるだろう。

 

 

 

「貴方の名前が辞書になるはずないでしょ、自意識過剰ステルス君」

 

 

「もう誰だよそれ」

 

 

俺は適当に言葉を返しつつ、いつもの指定席に腰を落ち着けると鞄をあさり、読み掛けのライトノベルを取り出す。

 

 

 

「比企谷君、紅茶は? 後、私の聖域で官能小説を読むのは戴けないわね、なんとか谷君」

 

 

「貰おうかな、後これは聖痕のく――…いや、そうだな。違うのにする、だから普通の名前でお願いします」

 

 

「……?」

 

 

「紅茶入れながら、小首を傾げるのは止めて貰ってもいいか、俺もカップも傷つくから」

 

 

お前、学年1位だろ。

 

記憶力に関しては、他の追随を許さないだろ。

 

もしかして、俺の名前って呟いたら存在が薄れていくのか? そんな馬鹿な。

 

 

 

「あら、私、誰に紅茶を入れてたのかしら……?」

 

 

 

「嘘だと言ってくれ」

 

 

「ふふっ……冗談よ」

 

 

 

俺を目の前にして右往左往する姿は完全完璧な雪ノ下にしては、新鮮だったがあまりにも迫真な演技に、俺の心のはぴょんぴょんせずbrokenの一歩手前だった。

 

 

コトリと俺に入れてくれた紅茶の芳しい薫りが鼻腔を擽り、手に取ると温すぎず熱すぎず、丁度良い温度。

 

一口含めば、冷えた身体の内から温かみが感じられ、味は文句の付け所が無いくらいだった。流石は完璧な雪ノ下様と言った所か。

 

 

「今日、由比ヶ浜さんは来ないらしいわ」

 

 

 

「ほう、雪ノ下スキーの由比ヶ浜の癖に珍しいな」

 

 

「思い当たる節があるから、否定できないのが悔しいわね」

 

 

 

ガチレズかよぉ!

 

 

この部室に三人でいても、二対一みたいなものだからなんとなく察してはいたが、そうか百合の花が咲いていたとは、冬に百合って咲くもんなんだな。

 

 

俺に被害が出ないならなんでもいいか、そんな事を独り考えながら紅茶に口を付ける。

 

 

 

「どうやら、道で滑って正面から転びそうになったところ、おっぱいで弾み……ギリィ……恥ずかしくなって、全速力で家に帰ったそうよ」

 

 

「ぶふっ」

 

 

 

アホの子だとは思ってたけど残念な話だと思う、それ以上に雪ノ下の口からその単語が出てくるのも残念なだし、悲しそうに自分の胸を見詰めるのも、また残念な雰囲気を醸し出している。

 

 

 

「大丈夫? 結婚する?」

 

 

「すまん、変な所に入った。結婚するってなんだよ」

 

 

「私、可愛いから」

 

 

「そ、そうだな」

 

 

にこりと微笑む彼女、微笑んではいるんだがなんか冷たいオーラが、びしびしと俺に当たっている気がする。

 

 

 

「そうだ、今日小町に買い物頼まれてたんだった。すまん、帰るわ」

 

 

 

嫌な予感がするのでそそくさと鞄を持ち、ドアへと向かうが――

 

 

「しかし、結婚しましょう」

 

 

「うぉっ……!」

 

 

 

先程まで座っていたはずの雪ノ下が、ドアの前で退路を塞いでいた。勿論、笑顔で。

 

 

 

「大丈夫よ比企谷君、私は比企谷雪乃でも雪ノ下八幡でもありだと思うわ」

 

 

「話が飛躍し過ぎてませんかねぇ……」

 

 

 

「だから、結婚しましょう」

 

 

 

こえええええ!

 

 

なんか解らないけどこええええ!

 

 

ハイライトが一瞬にしてオフになり、執拗に結婚を迫ってくる雪ノ下雪乃がとても脅威的で狂気的で胸囲的には驚異じゃないが、パワーワードに属しそうな言葉だらけで正気を失ってるのかと思うレベル。

 

 

 

「比企谷君――」

 

 

「リア充の香り!」

 

 

 

ドゴォ! っとドアが吹っ飛ばされ、姿を現したのは奉仕部顧問平塚静。

 

本人曰く、リア充レーダーが備わっており、カップル撲滅の勤しんでいるんだとか。

 

 

「何やってるんだ、比企谷。そんな所に突っ立って」

 

 

「いや、中々危ない所だったんで助かりました。結婚しましょうか」

 

 

「けけけけけけけ、結婚!? おまっおっmsまmsms、落ち着け!! 先ずは清いお付き合いからだな……」

 

 

 

俺以上に落ち着いていない平塚女史は、人差し指を合わせつつ、頬を薄紅色に染め何やらもじもじしている。

乙女かよ、うっかり結婚しようかと思っちゃうだろ。

 

 

今日は、なんか色々疲れたし調子が悪い。

 

 

「おつかれっした」

 

 

「おっ!? ……おつかれさん……?」

 

 

 

ポカンとしている平塚女史と、ドアの吹き飛ばしに巻き込まれた雪ノ下雪乃だけが、教室に残されていた。

 

 

 

 

後日、俺を含めた三人は風邪と診断され

三日くらい休むのだが、それはまた違う話。

 

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