最後の物語へようこそ   作:新藤大智

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最後の物語へようこそ 第十六話

 ────マカラーニャの森

 

 マカラーニャの森は雷平原を越えた先にある幻想的な森だ。この森に生えている木々は全て半透明の鉱物のような物質で構成されており、陽の光を受けると反射して青白く神秘的に輝く。

 

 森の奥にある泉からは、スフィアの原料となる幻光虫を大量に含んだ水が湧き出ており、その他にも七曜の聖地があったり、ナギ平原、マカラーニャ湖やべベルへと繋がる道があるなど重要な場所だ

 

 ゲームをした人には、世界一ピュアなキスで有名な場所と言った方が分かるか。状況が状況でなければこの幻想的な森を探索したいところなのだが、今はそうも言っていられない。

 

「みんな、ちょっといいかな?」

 

 雷平原を抜けてマカラーニャの森に入った瞬間、ユウナが唐突に聞いて欲しいことがあると言い出したからだ。このタイミングで話があるということは、あの話題しかない。

 

 

「私は………シーモア様と結婚することにしました」

 

 

 心構えは済ませていたが、やはり自覚した後だと心に重くのしかかる。例えそれがユウナの本心からの言葉じゃなくてもだ。

 

「………やっぱりね」

「お、おい、おい、ユウナどうしたんだ?気い変わっちまったのか?」

 

 ルールーは薄々感づいていたようだが、ワッカにとっては青天の霹靂といったところか。血相を変えてユウナに詰め寄る。

 

「私に出来る事、もう一度よく考えてみたんだ。そして、スピラのため、エボンのため………そうすることが一番いいと思いました」

「そりゃ………確かに明るい話題にはなるけどよぉ」

「本当にそれだけ?ジスカル様の件が何か関係しているんじゃないかしら。違う?」

 

 スピラのため、エボンのために、結婚するとユウナは言い張る。が、別の要因があるのは誰の目から見ても明らかだった。

 

「………………」

 

 問いかけに返す答えは沈黙。嘘は付きたくないし、付けない。それ故の選択だろう。視線を下に落として口を閉ざす。

 

(ユウナらしいというか、なんというか)

 

 本当に嘘と隠し事が下手だなと思う。その沈黙がそのまま答えになってしまっているのだから。やがて沈黙を貫くユウナにアーロンが問いかける。

 

「ユウナ、結婚するもしないもお前の自由だ。だが、今一度聞く───」

「………旅は続けます。それは絶対です」

「ならば好きにしろ」

 

 それだけ聞くと、一瞬だけ俺に目線を向けるアーロン。その視線には、いいのか?と疑問が込められていたが、いい訳がない。けど、今はまだ動けない。ユウナはアーロンにすみませんと、謝ると次いで俺と向かい合った。

 

「ごめん。異界で言ったことを反故する形になっちゃって」

「………まあ、気にするなって。ユウナが真剣に考えたのならその考えを尊重するよ」

 

 絶対に祝福は出来ないだろうけど。と、内心で付け加える。雷平原でこの話が出なかったから、もしかしたらこのイベントが消えたのかもと思ったが、甘かったようだ。

 

「でも、本当にいいの?何があったのか分からないけど、一人で無理しなくても私達に相談してくれれば………」

「ありがとう、リュック。でも、大丈夫………私は大丈夫だよ」

「ユウナ………」

 

 心底心配そうに話しかけるリュックだが、大丈夫と繰り返すユウナにそれ以上は何も言えない。それはワッカ達も同じようで、納得のいかない表情ながらもそれ以上は言及しなかった。

 

「ともあれ、一先ずはマカラーニャ寺院に行かねばなるまい。ユウナはシーモアと結婚するもしないも自由にしろ。ただし、旅を続けることが条件だ。俺達ガードは事態の推移を見守りつつ、以降の旅の計画を考える。それでいいな?」

 

 納得するかしないかは別として、アーロンの言葉に全員が頷いた。

 

 

 

 

 

 

 

 ───マカラーニャ湖

 

 

 マカラーニャの森を抜けた先にある凍り付いた湖。寺院に居る祈り子の影響により一年を通してこの氷が溶けることはなく、森を抜けると途端に辺りは氷の世界に早変わりする。

 

 俺達はルールーの火魔法により、普段と変わらぬ薄着でも快適に過ごせるが、魔法使いのいない召喚士とそのガードは防寒対策が必須の極寒の土地だ。だが、今は気温よりも───

 

「お前等知ってて黙ってたのか?………リュックがアルべド族だったってよ」

 

 ワッカとリュックの人間関係の方が冷え切っていた。もっとも、リュックの正体を知ったワッカが一方的に突っかかっているだけではあるが。

 

「………知ったらあんた怒るでしょう?」

「当たり前だろっ」

 

 事の発端はアニキ率いるアルべド族の襲撃だ。

 

 森を抜けると計ったようなタイミングでトワメルがユウナを迎えに来ていた。そして、ユウナはグアドのしきたりとやらでトワメルと先に寺院に向かうことになったのだが、その最中にアニキ率いるアルべド族が襲い掛かって来たのだ。

 

 大砲のような大型の機械が火力を担当し、魔法と召喚を封じ込めるファ○ネルのような機械を使用してこちらの攻撃手段を封じ込めつつ襲い掛かって来る。作戦としては悪くない。召喚もルールーの魔法も使えないのであれば、こちらの火力はガタ落ちだ。

 

 だが、ファ○ネルのような機械は複雑な機構故か衝撃には弱いようで、ワッカの一撃でスクラップに早変わり。そして、召喚が使えるようになれば後は簡単だ。ユウナがイクシオンを呼び出して、大砲を破壊したことで戦闘は危なげなく終了した。

 

 問題はその後。戦闘が終わるとトワメルが急かすようにユウナを寺院に連れて行き、残った俺達も寺院に向おうとするが、その時にアニキがリュックを非難するように何かを叫んだ。

 

 内容は分からなかったが、アルべド語で返答するリュックを見て流石にワッカも気付いてしまう。リュックは気まずそうにするも、今更隠すつもりはないらしく、素直に自分がアルべド族だと認めた。

 

「反エボンのアルべド族と一緒だったなんて、最悪だぜ………」

 

 で、ご覧のありさまだ。アルべド嫌いのワッカがリュックに向ける視線。それはマカラーニャ寺院から発する冷気の様に冷たい物となっていた。リュックは凍てつくような視線を受けて一瞬だけ怯む様子をみせるが、無論言われっぱなしではない。

 

「………一つ言わせて、あたしたちはエボンの全部を否定しているわけじゃない」

「はっ、お前等アルべド族はエボンで禁止されている機械を平気で使ってんじゃねえか!それのどこが否定してないって?なあ、分かってんのか?シンは人が機械を使って甘えたせいだろうがよ!」

 

 エボンの教えでは真っ先にそこが叩き込まれる。シンが生まれた原因は、機械を使って人が堕落した所為だと。それ故、エボンの教えに従って生きてきたワッカは機械に対する敵愾心を持っている。当然、教えに反して機械を使い続けるアルべド族に対しても同じだ。

 

「確かにあたしたちは機械を使ってる。けど、証拠はあるの?機械の所為でシンが生まれたっていう証拠は?」

 

 寺院はこれまでに機械の所為でシンが生まれ、機械の所為で人間の罪が許されることがない、と繰り返し断言している。だが、アルべド族は気づいている。寺院が今まで一度たりとも決定的な証拠を提示したことがないことに。

 

 当たり前だ、原因は別にあるのだから証拠など出せるわけがない。しかし、性質の悪いことにその事実を知っている人間がエボンの教えの上層部くらいにしかいない。上層部が自身の権力の源である教えが揺らぐようなことをするだろうか?まずありえない。

 

 それに、人は自分の信じたいものを信じるものだ。エボンの民の大部分は罪を償えば何時かは許される、と言う救済の道に縋りつくことで現状を受け入れていた。

 

「エボンの教えだからだ。教訓もたくさんある!」

「なにそれ、答えになってない!教え教えってさ、もっと自分の頭で考えたらどうなの?このままじゃ何も変わらないままだよ!それでいいっていうの!?」

 

 エボンの教えだから。その一言がまさしく現状を如実に物語っている。だが、アルべド族からすれば耳障りの良い言葉で人々を惑わすまやかしにしか見えない。まやかしの希望を取るか辛い現実をとるか。現状を見れば一目瞭然、まやかしの希望に縋る者の方が圧倒的に多い。

 

「じゃあ、教えてくれ。シンはどうして生まれた?どうやったらシンは消せるんだ?」

「それは………まだ分からないけど………」

「けっ、エボンの教えを馬鹿にしといて結局それかよ」

「でも───」

 

 吐き捨てるように言うワッカだが、その気持ちは分からないでもない。自分の信じる教えを否定され、明確な答えが返ってこなければ悪態の一つも付きたくなるだろう。だが、エボンの上層部連中がどれほど信徒達を裏切っているのかを知っている俺からすれば、肩入れする方は決まっている。リュックの肩にポンと手を置く。

 

「………ティーダ?」

「リュック、選手交代だ」

「え、う、うん」

 

 二人の間に割って入り、ワッカと向き合う。

 

「なあ、ワッカ」

「………なんだよ?」

 

 いつもの緩い表情は何処へ消えたのやら。ワッカは険しい表情を崩さないでいる。

 

 アルべド族が関わるイベントは悉く潰したり潰れたりしたが、ワッカのアルべド嫌いはチャップの死がその大部分を占めている。この程度の原作改変では意味がなかったようだ。まあ、だからって、いきなりリュックに冷たくなるのは違うと思うんだけどな。

 

「ぶっちゃけると俺もエボンの教えは信じてない。さらに言っちまうと、機械を使う事が悪いなんてこれっぽっちも思ってない」

 

 ワッカは目を丸くして驚いていた。当然の反応だ。俺の言葉は教えに従う連中からすれば禁忌に等しいセリフなのだから。

 

「なっ………お、おい、お前もまさか………」

「あ、言っておくけど俺はアルべド族じゃないからな?それに機械の事を悪いと思ってなくても(スピラでは)触れたことすらないし」

「じゃあ!なんで教えを否定するようなことを言うんだよっ」

「なんでって?そりゃ、否定したくもなるさ。だって───」

 

 ワッカには悪いと思うが、直球で言い放つ。

 

「エボンの上層部の連中は、自ら禁じられた機械を使っているからな。移動を楽にする機械とか、ましてや戦争に使うような機械もだ。そんな連中に、機械を使わないで正しく生活していれば何時かは罪も消えてシンも消えます。って、言われたところで説得力ないだろ?」

「………あ?」

 

 一拍の間。その後、ワッカは呆けたような表情となった。信じたくないのも無理はないが、遅かれ早かれ知ることになる。なら、シーモアと対峙する前にある程度知っておいた方がいい。まだダメージが少なくて済むだろうから。

 

 俺の言葉にアーロンを除く全員が驚いた表情になるが、いち早く復帰したのはルールーだった。

 

「待ちなさい。それは本当なの?」

「勿論。こんなことで嘘は言わないっての」

「………あんたのことは信頼しているけど…………流石にこれは受け入れ難いわ」

 

 だろうな。今までずっと信じ続けてきた教えを真っ向から否定されればその反応も当然だ。むしろ、即断で否定しないだけ俺への信頼が高い証だと思う。

 

「お、おい、冗談はやめておこうぜ?流石に笑えねえって」

「そりゃそうだ。冗談なんかじゃないからな」

「ティーダ、いい加減にっ───」

 

 ルールーですら受け入れ難いと言っているのだから、ワッカならば尚更だろう。俺に先程の発言を取り消させようと詰め寄って来るが、意外な所から助け船が出た。

 

「その辺にしておけ」

「いや、ですが………」

 

 声の主は今まで静観していたアーロン。今は仲間割れしている場合ではない、と事態の収拾に動いた───かと思ったが、実際は真逆だった。

 

「エボンの教えの全てを否定する訳ではないが、上層部が自ら戒律を破っているのは事実だ。それと………この際だから言っておく。俺も既に教えを信じてはいない」

「なっ!アーロンさん!!?」

 

 さらっと爆弾を落とすアーロンに、悲鳴にも似た絶叫が木霊する。無理もない。かつてシンの討伐をなしえた伝説のガードまでもが、教えを信じていないと発言したのだ。俺のようなどこの誰とも知らない奴から否定されるのと、アーロンから否定されるのでは重みが全く違う。ワッカはもとより、ルールーまでもアーロンの言葉に絶句している。

 

「………にしても、キマリは驚かないんだな?」

 

 絶句するワッカとルールー。その二人に反してキマリだけは、そこまで大きなリアクションはなかった。分かりにくいが、表情筋がピクッと動いたくらいの反応しかない。

 

「これでも驚いている。だが、キマリにはエボンの教えよりも大事な事がある。それさえ守れれば教えに背こうとも構わない」

「なるほど」

 

 キマリの大事な事。言わずとも分かるが、ユウナを守る事だ。それを己が使命と決めている獅子の武人は、例えエボンの教えが嘘だろうがまやかしだろうと動じることはないだろう。

 

 ただそれだけを考えて行動できるキマリに憧れを抱く。手にした槍のよう真っすぐに揺らぐことのない決意。俺もそんな揺らぐことのない覚悟を持てたら、と思う。

 

 揺るがないキマリの一方で、教えを絶対視しているワッカの感情は大いに揺れていた。

 

「貴方は自分が何を言ったのか分かってんのか!?伝説のガードと謳われる貴方が、そんな事を言っちまったら………!」

 

 エボンの教えを絶対と信じている身としては看過できない発言。しかし、その発言者が伝説のガードであり、憧れを抱いていた存在であるならば、単なる嘘や戯言と切り捨てることもできない。

 

「伝説のガードか。生憎だが、俺は自分をそのようなものだと思ったことは一度もない。俺はブラスカとジェクトが成し遂げた偉業の残滓に過ぎん。それをザナルカンドで嫌と言うほど思い知らされたからな………」

 

 いつもとは違い自嘲気味に呟くアーロン。その様子にワッカは勢いを弱めて今度は困惑の表情を浮かべた。

 

「ザナルカンドで?あそこには究極召喚の祈り子様がいるだけのはず」

「ふん、究極召喚の祈り子か。あながち間違いではないが、あそこにいるのは………………いや、止めておこう。柄にもなく喋りすぎた」

「………納得できねーっすよ。一体そこで何があったんですか?」

 

 最果ての地、ザナルカンド。

 

 エボンの教えでは聖地とされ、究極召喚の祈り子が召喚士を待っているとされている神聖な場所。そこに辿り着き、究極召喚を得てシンを倒す。それこそが召喚士とガードにとって最高の誉れである。だというのに、それを成し遂げたはずの当の本人がこの様子である。ワッカが疑問に思うのも最もだ。

 

「時期に分かる。今はエボンとは妄信するべきものではない、と心の片隅にでも置いておけ」

「アーロンさん………」

 

 そう言って再び口を閉ざした。それにしても、

 

(援護してくれたのは有り難いけど、でかい爆弾を落としてくれたなぁ)

 

 俺の発言に端を発しているとはいえ、アーロンまでもがここまでぶっちゃけるのは予想外。だが、よくよく考えればアーロンは結構その場の勢いで行動する人種だったことを思い出す。一見して冷静沈着に見えるが、実際は感情で行動をするタイプだ。確かティーダにも、あんたってとりあえずやってから考えるって感じだよなー、と言われていた。

 

(まあ、ワッカの妄信を止めさせるには、このくらいのインパクトは必要か)

 

 結果的にいい方向に向っていると思うことにして、咳払いと共に仕切りなおす。

 

「なんにせよ、さっきの俺の話が信じられないってのは仕方がない。その辺は自分の目で見て確かめないと認められないだろうから一端置いておこう」

「………ああ」

「でも、アルべド族だからって理由だけでリュックを拒絶するのはやめない?ユウナを守りたいって気持ちは俺達となんら遜色ない。それさえはっきり分かっていれば、種族とかどうでもいいって俺なんかは思うんだけど。それともエボンの教えに従ってないとユウナを守りたいと思っちゃダメなのか?」

「それは………」

 

 眉間に皺を寄せて言い淀むワッカに、リュックが前に出て力強く言い放つ。

 

「あたしはユウナを守りたい。アルべド族の考えが受け入れられないのは分かるけど、それでもこの思いだけは誰にも否定させない」

「………」

 

 ワッカも短い付き合いなりに、リュックが本気でユウナを守りたと思っているのは感じているはず。だが、感情が納得しないのだろう。主義主張の違いから対立するのはよくある話だ。特に宗教が絡む対立は根が深く、理屈じゃないことが多い。

 

「ユウナも最初からリュックがアルべド族だと知っていたわ。その上でリュックをガードに迎え入れているの。つまり、それが答えよ」

「………それ、マジか?」

「ええ。大マジよ。それでも納得できないなら、アルべド族を知るいい機会。そう考えてみることは出来ない?………まあ、あんたを諭すようなことを言っているけど、本音を言えば私もティーダやアーロン様の発言には混乱してる真っ最中なんだけどね」

 

 困ったように俺とアーロンを交互に見るルールー。正直すまんかったとしか言えないので、曖昧に頷いて返す。

 

そして、長い沈黙を破って深いため息とともにワッカが口を開いた。

 

「………分かった。ユウナが了承してるんなら俺がとやかく言うことはねぇよ」

「それじゃあ、」

「だけど、勘違いすんな。機械を使うアルべド族はやっぱり嫌いだし、二人の言葉も受け入れられそうにない。俺が認めたのはリュックがガードでいることと、その思いが本物であるってことだけだ………今は頭ん中がごちゃごちゃしててそれしか言えねぇ」

「いや、十分だ。ありがと、ワッカ」

 

 今の時点でそれだけ言ってくれれば本当に十分すぎる。

 

「ティーダ、お前の言った事が法螺だったら後で酷いからな」

「了解、万が一そんなことがあれば覚悟しておくよ」

「その言葉忘れんなよ?」

 

 それだけ言うとワッカは鼻を鳴らしながらマカラーニャ寺院に向って歩き出した。心の整理が付いていないようなので、今はそっとしておいたほうがいいか。

 

「………ごめん、みんな。私の所為でこんなことになっちゃって」

「あんたが謝る必要なんてないわ。あの人はチャップの事があって、どうしてもアルべド族に良い感情を持てないから」

「リュックは仲間だ。ユウナが認め、キマリも認めた。今はそれだけ分かっていればいい」

「必要なのはシンの前に立ち、ユウナを守る覚悟だけだ。それさえあれば種族など細事に過ぎん」

「───だってさ。つまり、リュックが引け目を感じる必要は全くないってことだ。これからもよろしく頼むよ」

「うん………ありがとね」

 

 まだ少しばかりギクシャクとした雰囲気が残るが、この辺りが一先ずの落とし所だろう。ワッカも根っこは良い奴だし、時間が経てば分かってくれるはずだ。リュックもこの程度で落ち込んだままではない。すぐに復活してくれるだろう。

 

「うっし、そんじゃまあ、色々あったけど気を取り直して行くっすよ!」

 

 わざとらしい位に軽い調子で声を上げ、俺達も歩き出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ───マカラーニャ寺院

 

 凍った湖面に突き刺さる形で建設された召喚獣シヴァを擁する寺院。恐らくはスピラでも一番幻想的かつ不可思議な寺院である

 

(………いよいよだ)

 

 だが、今はそんな美しき風景を楽しんでいる時間はない。シーモアとの決戦を前にして適度に緊張を高める。ここはFFⅩにおいてもシーモアを殺害したことで、一つのターニングポイントになった場所だ。

 

 ここで大きく物語を変えてみせる。

 

 みんなに気付かれないように深く深呼吸して、寺院の扉に手をかけた。

 

 

 

 




やっと地獄が終わりました(白目) お待たせして申し訳ない。そして今回凄く書きにくくて時間もかかった上に微妙な内容になってしまった………。ぶっゃけあまりに進まないのでちょっと色々と端折って妥協してしまいました。すみませぬ。 後一人で森を彷徨い続けているであろう筋肉さんもすまぬ。

次回はシーモア戦となりますが、この辺は気合を入れて上手く書きたいところです。

毎度、誤字報告してくださる皆さま、ありがとうございます。凄く助かります。

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