What do you choose? 作:AugustClown
何が起きたか、全く分からない…。ただ僕は、交差点を歩いていただけなのに。
ああ、そうだ…思い出した。轢かれたんだ…。
「……ん?」
ふと目を覚ますと目の前に見慣れない小動物らしきモノがブツブツ言いながら浮いていた。
「おっ、生きてた。良かった良かった!」
あれ?僕、トラックに轢かれたはずじゃ?
「ここは何処で君は誰だい?」
「ここはこの世とあの世の境目と言うか6、7割あの世です。分かりやすく言うと、三途の川の前辺りでしょうか。」
この小動物は何をいってるのだろう?
「何がなんだか分からなそうな顔してまね。私はここの管理人兼案内役です。呼び名はそうですね…面倒なのでガイドさんとでも呼んでください。」
まぁ、凡そ分かったような、分からないような感じではあったがこの世では無いらしい。
「それでガイドさん。僕は何で死んだのにあの世にも行かないでこんな所にいるんだい?」
ガイドさんはここぞとばかりに目を輝かして喋り始めた。
「よくぞ聞いてくれました!この世に未練はありませんか?」
何だろう、この人と関わるの面倒な気がする。
-はい-
-いいえ-
唐突に頭の中にゲームの選択肢のようなものが現れた。
「あの、頭の中に変なのがでてきたのはガイドさんのせいですか?」
「はい!凄いでしょ!凄いですよね!!」
即答だった。やっぱり思った通り関わると面倒なタイプだ。
「未練どうこうよりも色々と説明して貰えますか?」
「そうでしたそうでした。私は不慮の死によって亡くなった方を一時的に此処に留め、生きていた時の善行の数をポイントに変え、そのポイントで貴方の人生の未練を解決出来るようにして上げようということです。」
「詰まり生きていた時の後悔を無かったことに出来ると?」
「はい。」
胡散臭い…。
「別に何か頂く訳じゃありません。言わば、不慮の死を遂げた方へのせめてもの救済措置的なものと考えて頂ければ。」
確かにコチラにとって、デメリットはないが…
「その善行による数だけ未練を解決できるってことでいいのかな?」
「いえ、変える内容によって必要となるポイントは変わります。」
そこら辺は矢張り、都合よくはないか…。
「別にポイントは全部使い切らなくても良いんだよね?」
ガイドさんは黙って頷いた。
-はい-⇽
-いいえ-
僕は頭の中で「はい」を選んだ。
「後悔はしませんね?」
「はいを選択した後にそれを言われても…。」
「ゲームで言う、本当に宜しいですか?ってヤツですよ。それで、宜しいですか?」
-はい-
-いいえ-
また、出てきた…。
「良いですよ。僕も人生に後悔がない訳じゃありませんし。宜しくお願いします、ガイドさん。」
分かりました。と承諾したガイドさんの口元がまるで善からぬ事を考える子供のように笑った。
「じゃあ、これより貴方の人生の《リスクリーン》を始めます!」
周りが真っ暗になり、五つの画面の様なものが現れた。
「ガイドさんこれは?」
「貴方の人生25年間を5年毎に区切っています。どれから見ていきますか?」
この手のヤツは順番に見に行くのが鉄板じゃないだろうか…。
「じゃあ、0~5歳から順々にお願いします。」
「了解致しました!」
《Screening started》
ガイドさんがそう言うと画面の一つが映像を流し始めた。まるで自分の人生全てをビデオで早送り再生しているかの様に…。そして自分が忘れていた小さい頃の思い出を見返すのに違和感を覚えながらも、懐かしさを感じていた。
「どうです?自分の人生をこんな風に振り返るのは。」
「違和感がないと言ったら嘘になりますが、意外と良いものですね。まぁ、見てるのが一人じゃないので恥ずかしくもありますが。」
そう言うと、ガイドさんの目の光が消えカタコトで返事を返した。
「大丈夫デスヨ。ソンナ事ヲ喋ル友達モ居マセンシ。」
「……なんか、ゴメン。」
「イイエ、気ニシナイデ下サイ。それより、今の所大丈夫ですか?」
「はい、今の所は大丈夫です。所で今何歳位ですか?」
う〜ん、と首を傾げながら答えた。
「大体2~3歳かと。」
意外と早いな…。もうちょっと時間掛かるかと思ってたけど。
「この中には無さそうです…止めて!」
「はい!」
ビクっと驚きながらガイドさんは画像を止めた。
「ねぇ、ガイドさん…自分のポイントで誰かの死を救う事はできるの?」
「貴方ご自身のは出来ませんが、他人ならば出来ますよ。まあ、それなりのポイントは使いますが…。」
「僕のポイントはどれくらいなんだい?」
「7500ポイントです。」
「他人の命を救うには何ポイント使うんだい?」
「2500ポイントです。使いますか?」
-はい-⇽
-いいえ-
迷う理由はない…!
「すいませんが、ここで選んだ理由をお聞きしても?」
「5歳の頃友達同士の家でプールに行ったんだ。その時僕と特に仲の良かった二人で親達の目を盗んで大人用のプールに行ったんだけど、その中の一人が足を滑らして溺れたんだ…。僕達も助けようとしたんだけど親達も間に合わず、僕達も何も出来なくて亡くなったんだ。」
「其れは貴方のせいではないのでは?」
「違う…!大人用のプールに行こうって誘ったのは僕なんだよ…。」
「では、その亡くなった方を生き返らしたいと?」
いや、そうでなくてもできるのではないか?
「ガイドさん、もしも、ここで僕が大人用のプールに行こうって誘わなければ彼は亡くならずにすむのかい?」
「ええ…。出来ますよ。」
「その場合、何ポイントつかいますか?」
「1000位ですね。普通であれば500で済むのですが、人の命が関係しますから。」
「お願い…します…。」
-はい-⇽
-いいえ-
はいを選択した瞬間脳内に機械的な音声が流れた。
『選択受諾。Causal repairを開始します。完了まで、5、4、3、2、1、0。』
『Causal restoration complete』
「終わりましたよ。成功です。下をご覧下さい。この世が見える筈です。」
ガイドさんからそう言われ下に視線を下ろすと僕が事故にあった場所が見えた。
「貴方が望めば望む場所が見れますよ。」
僕は彼の事を思い目を閉じる。そして目を開けると一軒のアパートが見え、中には微かに面影がある彼らしき姿と、彼の息子だろうか。小さい子供と、一人の女性の姿が見えた。
「僕は…彼を救えたんだね?」
「ええ、恐らくは。」
「有難う、ガイドさん。」
「お礼を言われる理由は有りませんよ。それに貴方は対価を払われている。」
その言い方はズルいと思った。実際救ったのはガイドさんの力だと思う。それは分かって欲しいものだ。
「残りも見ていきましょう。」
それ以降、自分が必要だと言う所がなく、0~5歳の映像は終わった。何故か、ガイドさんのさっきの言動に違和感を覚えている自分がいた。
「さて、次は6~10歳を見ましょうか。」
「…はい。」
その違和感を腹の中に孕みながらも、僕は次の映像を見始めた。