What do you choose? 作:AugustClown
「変更されたか確認しますか?一様今も生きているみたいですよ?」
僕は首を振った。会ってみたい気持ちもあったが、見たら…見てしまったら僕の中に溜め込んでいたモノが出てきそうで、自分が頑張って生きてきた両親のいなかった13年間が音もなく崩れ去っていくような気がした。まあ、変更した時点であの人生は意味を無くし、ただ僕の中にあるもう一つの人生になり、パラレルワールドですらない偽物の僕の人生に成り下がった訳だ。元より自分から望んだことだし後悔はない。というかそれはお門違いだろう。
まあ、両親には今は亡き迷惑を沢山かけられた馬鹿息子からの最期の親孝行を楽しんで貰いたいものである。でなければボクが浮かばれない。
「そうですか。では続きを見ますか?」
「その前に聞いても良いですか?気になっていたのですが両親が生き返った訳ですが、この映像にも変更点は影響しますか?」
「いいえ、しません。でなければその当時の気持ちを思い出せないでしょうから、影響しないようにしてありますよ。」
それは有難い。これから見ることになるであろうことは成るべくであれば両親がいるという状態で見たくなかったのである。まあ、多分変更された人生でもすこし前にガイドさんが言った通り出あるならばあれは起こるだろう。なんせあれはどんな理由、きっかけでも起こるからだ。
まあ、グダグダと考えてはいるが、有り体に本代を言うと中学時代の三年間、僕は虐められていたのだ。理由は大方この体質と両親が死んだことだろう。
変更するに当たって期間が長い為ポイントが足りるかどうかが心配ではある。・・・今の内にガイドさんを撫でまくっておこうか…。
「では、続きを始めましょうか。」
-はいー⇽
-いいえ-
・・・・・・
-はいー
-いいえ-⇽
・・・・・・・・・
「えっ?続き見ないんですか?」
「嘘ですよ。いいえを選んだらどうなるか試してみただけです。」
「そうですか。」
嘘だ。本当はただ怖かっただけだった…また"アレ"を見るのが…。
-ゴクッと生唾を飲む。
-はいー⇽
-いいえ-
多分この取り引きを始めてから一番躊躇っている。
選ぶしかないか…
そう踏ん切りを付けて『はい』を選ぶ。
「・・・・・・コレは、なんですか?」
そうガイドさんが口を開いたのは時代で言えば中学二年生の頃だった。その頃は虐めが大分エスカレートして来た頃だった。
「虐めですよ。今…いや、少し前から教育の場で問題視されている事です。」
「教育の場でのことはどうでもいいんです!何でもこんな事が起きたんですか?」
「理由なんてなんでもいいんですよ。劣っていても、優れていても起きる。それが"虐め"なんですよ。それに僕の場合虐めを受ける理由はあからさまに明瞭で、明確すぎるでしょう?」
「は、はい…。」
「まあ、変更した所で遅かれ早かれ僕の体質で起きたでしょうがね。」
「だから影響について聞かれたんですね?」
「はい。まあ、ここからが本題なのですが、虐めを無かったことにできますか?」
「出来ますが、ポイントが不足するかと。なので私からの提案なのですが虐めを確実無かった事に出来るとは言えませんが、確率を下げる事はできるんです。」
「どういう事ですか?」
「虐めが起こるという可能性の確率を低下させることが出来るということです。」
「何ポイントでどのくらい下げられますか?」
「全部使っても半分の50%ですか。」
「はい。それに使っても虐めが起こる可能性もあります。実際賭けです。どうしますか?」
-はいー⇽
-いいえ-
迷う理由はないだろう。後は自分の運が尽きて無いことを願おう。
『承認受諾。これよりCausal probability declineを開始します。低下値は50%。変更完了まで残り10秒。・・・・・・・・・5、4、3、2、1、0。変更完了しました。』
「終わりましたね。確認してみましょうか。」
「・・・はい。」
頭の中には選択肢は出てきてはいたが、選択するのも億劫になるほど不安だった。そんな僕をガイドさんは察してくれ、何も言わずに始めてくれた。
上映が始まってから中学の入学式を終え、一学期が終わる。虐めが始まったのは一年の二学期からだ。
「そろそろですね。」
「・・・はい。」
結果は成功だった。そのまま全く虐めが起きない、完璧な成功だった。
「ではこれで取り引きは終わりですね。何か思い残した事はありませんね?」
「ガイドさんを撫でられないことですかね。」
「・・・ブレませんね。」
「本能ですから!あっ!もし良かったらガイドさんも一緒に行きま…。」
「お断りします!」
断られてしまった。残念だ。例え地獄に落ちてもガイドさんが撫でられるなら頑張れる気がしたのだが…。
「それではお別れです。宗教によってルートが変わりますが…。」
「普通に日本人らしく閻魔様の所にお願いします。」
「了解しました。ご武運を。」
「はい。」
そう言うと体が上昇していくのが分かる。
ああ、これから僕はあの世に行くのか。その間に変なのがあったけど、まあ少しの間だけ地縛霊擬になったと思えばいい思い出だろう。
なんて思っていた矢先僕の意識は途切れた。