What do you choose? 作:AugustClown
「おい!受刑者、起きろ!」
「・・・っん、ここは?」
また寝ていたらしく、体を起こすと目の前にザ・鬼って感じの見た目の鬼がいた。違う点をいえば虎柄のパンツを履いていないことと、意外と背が低くて人間と変わらないくらいだ。
鬼に連れられ何だか薄暗い道を歩いていく。
「鬼って本当にいたんだ…。」
「何を馬鹿のなことを言ってるんだ。地獄なんだからいるにきまっているだろう。」
「そう言われればそうですね。」
「それよりも、そろそろ閻魔大王様の面前に出るのだ。緊張感をもて。」
「・・・・・・えっ?」
「こんちわ〜、エンマサマだよ〜。」
鬼よりもイメージと違うのがいた。見た目は僕と同じ二十歳前後、髪は金髪で、椅子を逆にして座り、衣服もだらしなく来ている。正直言ってチャラ男にしか見えない。
・・・僕は今からこの人に裁かれるのか…。不安だなぁ…。
「ゴメンね〜。俺まだエンマになって百年目くらいだからさ、この仕事の重要性分かんないんだよね〜。」
「・・・大丈夫なんですか?それに百歳って、いや閻魔様を人間の寿命で考えてはいけませんか。」
「まぁね、ざっと君達人間の50倍は生きるからな〜。少なくともエンマは。」
「約二十歳ですか。少なくともってことは閻魔様よりも長生きな方々が居るってことですか?」
「ざらにいるよ〜。さっきの鬼族の奴とか千歳らしいけど感覚は俺とか君と同じぐらいらしいよ〜。」
「さっきの?あれ、いつの間に…。」
「話してる間に下がらしたよ〜。因みに俺は96代目エンマダイオーです!」
「閻魔様に何代目とかあるんですね。」
「何方かと言えばエンマっていう種族があるって考えた方がいいかな〜。」
「皇族的な…。」
「そうそう、そんな感じ。」
そんな雑談をしているが、現在の状態は大きな部屋(内装は地獄のイメージ通りトゲトゲしている)に僕と閻魔様二人っきり。お付きの人とかはいないのだろうか。正直言ってまだ怖かったりする。
「じゃあ前置きはこれくらいにして本題に入ろうか。」
「・・・急に真面目な顔になりましたね。で、何でしょう。」
「まず君の情報を言うから疑問に思う所があったら言ってね、答えるから。」
「はい。」
「名前は…いっか、間違えなわけないしね。生年月日は1990年8月7日生まれ、獅子座、血液型はO型。好きな物は動物(特に小動物)、嫌いな物は自分の体質と虐め。善行回数0回、悪行回数9257…面倒だからいっぱい。」
「えっ?」
思いもよらない言葉が聞こえた。善行回数0回?どういう事だ、ガイドさんは7500って言っていたぞ?
「お兄さん見かけによらず、悪人だねぇ。善行なしの悪行塗れとは。」
「なにかの間違えです!」
「オイオイ、お兄さんここは地獄で、俺はここのトップのエンマだぜ?ちょとそれは聞き捨てならないな。」
「す、すいません。でもここに来る前に善行の数を知る機会があったもので。」
「善行を知る機会なんて…ああ、お兄さんあの誘いに乗ったクチか。どおりで善行がない訳だ。何年か何十年かに一人くらい来るんだよお兄さんみたいな人が。」
「えっ?」
「お兄さん、そのシステムはね、お兄さんの善行回数をポイントに変えて使ってたんだよ。」
閻魔様の説明によるとあの取り引きは善行回数の数がポイントになるのではなく、善行回数の数をポイントに変換されていたという事だ。まあ、初めにそれらしい事を言っていた気もするが、色々と理解が追いついていなかったり、両親のことなどを考えていたりした為、そこの説明が頭から抜けていた。これは完全に僕の落ち度だろう。矢張りこのよには無償の奇跡などないのだ。
「それでお兄さんの行き先なんだけどさ。」
「僕の情報少なすぎる気もしますが、何でしょう。」
「阿鼻地獄ね!」
「はい。」
「えぇ!?驚かないの?」
「閻魔様が驚いてどうするんですか。いや、大方そうじゃないかと思ってはいましたし。差ほど驚きはしませんでした。逆にそうじゃなきゃ驚いていたと思いますよ。」
「そ、そうなんだ。凄いなぁ、普通の人なら泣いて『それだけはやめて下さい!』って懇願するのに…。大の大人がだよ?笑えるよね!」
閻魔様の予想以上の演技も凄かったが、それを何でもないことのようにドライに、かつ笑い話にしてしまえるのは閻魔様だからだろうし、それだからこそ閻魔様という役目を務められているのだろう。慈悲は無く、余計な希望も持たせず、現実の結果だけを与える。
「ああ、時間だ。それじゃあねお兄さん。バイバイ!あっ、でも俺気に入った人には偶に顔見せに行くからその時はまた話そうよ。出来れば今もまだ話してたいんだけどお兄さんの他にも後つっかえてるからさ。」
「はい。また今度お話しましょう。楽しみにしてます。」
「じゃあ、行ってらっしゃい。」
そう閻魔様から言われた瞬間体の力が一気に抜けて崩れるように倒れ、目の前が徐々に白い霧がかかるように視界が奪われていった。そんな中最後に認識出来たのが閻魔様が手を振っている姿に思えた。