What do you choose? 作:AugustClown
「オラ!休むな、トラブルメーカー!あと少しで今日の分は終わりだぞ!」
あれからどれくらいの月日が過ぎたのだろうか。確か地獄での時間でだが、6時間で鬼が交代するらしいが、それをもう100回以上は見ている訳だから、最低でも25日は経っているだろう。まあ、100回目から数えるのを止めたけど。
「よし!今日の勤めは終了だ。じゃあ行こうぜ!」
「今日はまともなのが食べれればいいけど。」
「飯が食べられるだけラッキーだろ。他のはそれすら駄目なんだから。」
地獄での生活は流石に辛いが、それよりも辛かったのは地獄でも僕の体質が発生するという事だ。それにより、ただでさえ辛い地獄が僕のせいでより過酷になるという結果になった。また、対象は人だけに留まらず、鬼達にまで発揮された為、今現在僕の周りにいるのは人間は勿論、監視の鬼も物好きなこの鬼だけとなった。地獄での友達……って言うのもどうかとは思うが、そう呼べるのはこの鬼だけだろう。初めに驚いたのは自分達人間が想像している地獄よりもこう言っては何だが、楽に思えた。システムは刑務所に近い。1日18時間のお勤めはあるものの、そのほかの時間は意外と自由だったりする。
「大体、それもよく分からないよ。なんで僕だけご飯が貰えるんだい?」
「そりゃお前、その体質で問題起こしてくれるお陰で俺達鬼の仕事が減ったからだよ。」
「それって逆に恨まれないかい?」
「サボれるのに越したことは無いさ。」
どっちにしろ全然納得は出来ないが、くれると言うのだから貰っておいて損はない。飢えに苦しむことは無いしな。
そんな事を思っていた時、上から聞き覚えのある声が聞こえた。
「お兄さ〜ん。遊びに来たよ〜。」
「え、閻魔大王様!どうして貴方様がこんな所へ…。」
「お久し振りです、閻魔様。」
「ちょっと休みが貰えてね。約束通り、遊びに来たよ〜。どう?地獄での生活は。」
「フッツーに辛いですよ。と言うか、お喋りに来たのでは?」
「どっちも同じだよ。噂によると地獄でも活躍してるらしいね。鬼達の手伝いするなんて、流石お兄さん!」
「何が流石ですか。手伝っても無いですし、活躍なんてして無いですよ。」
「失礼ながら閻魔大王様、この者とどんなご関係でございますか?」
「友達かな〜。少なくとも俺はそう思ってるよ。」
「会うのは2回目ですけどね。」
「そうだね〜。」
「お前どうやってあのお方と友達になったんだ!」
「いや、一方的に気に入られた…。」
「酷いな〜。でさ、ここからが本題なんだけど。」
急に閻魔様が真面目な顔になった。おちゃらけた様子ではなく、本物の閻魔の顔に…。何をいわれるのだろうか。
「ゴメン!俺審判ミスっちゃった!www」
「えっ?ミスった?」
「お兄さんさ、例の取引の時ご両親生き返らしたよね?」
「はい、確かにしました。」
「知らないかな?子供は親よりも先に死ぬと地獄行きは確定なんだけど、●●地獄ってところに行くんじゃなくて、三途の川で石積みを命じられるんだよ。」
「そう言えばそんな事、聞いたことがありますね。」
「だからお兄さんに選ばせてあげようと思ってさ。このまま阿鼻地獄で過ごすか、三途の川で石積みをするか、どっちがいい?」
その瞬間僕の頭の中に浮かび上がるはずのないものが浮かび上がった。
ー阿鼻地獄に残るー⇽
ー三途の川に行くー
「こ、これは…」
「ちょっとパクってみました。閻魔様はなんでもできるんだよ〜。」
本当に嫌な演出をしてくれる。折角忘れようとしていたガイドさんの毛並みを思い出しちゃうじゃないか。ああ、また撫で回したいなぁ……。
「決まったかい?」
「はい。決まりました。」
まあ、初めから迷うまでもなく、どっちかはきまっているんだけど……。
僕は迷いなく選択した。
「それが、お兄さんの選択なんだね?」
「はい、そうです。」
「そうかい。」
そして僕は地獄での最初で最後の"選択"をした。
その選択でどうなるかは分からない。後悔するかもしれない、良かったと思うかもしれない、それはこれから分かることだ。決して今じゃない。だからどうなるか分からない今を生きて……いや、過ごしていこう。
ー完ー
この作品は一様これにて完結となります。
エピローグを書く予定はありません。