クレイの歴史を記す者   作:汐音 アイリ

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本編には関係ないですが、「結城友奈は勇者である-勇者の章-」が今週末に始まりますね!
楽しみすぎて、ずっと鷲尾須美の章の録画を繰り返し見ていました。

ロアの感情が、親愛か親近感か同一視か、それが問題だと思います。



RIDE4 ショップ大会開幕

「ショップ大会……?」

 

ロアは、カードキャピタルの店内に貼られたポスターに首を傾げた。

 

「君も全国大会へ……チームQ4に勝つのは君だ……。Q4って、知り合い同士で組んだチームじゃなかったんですね。まあ、考えてみればQ4のメンバーの接点ってヴァンガード以外にはなさそうですし……」

「ロアさんは、出場するの?」

 

アイチに尋ねられ、ロアは首を横に振った。

 

「いいえ、今回は見学です。チームを組んで出場したいと思えるような人もいませんし……」

 

本音を言えば、ロアは櫂とチームを組んでみたいと思っている。

だが、櫂はチームQ4のメンバーなのでそれは不可能だ。

 

ちなみに、ロアに裏ファイトのメンバーを誘うという考えは最初からない。

 

「ショップ大会、頑張ってください。応援しています」

 

そう言うと、アイチは少し照れたように微笑んだ。

 

「ありがとう、頑張るね」

 

 

◇◆◇

 

そして、ショップ大会当日。

店長が「参加者が増えた」と言っていた通り、店内はかなり混みあっていた。

ロアは端のファイト用テーブルに腰を下ろし、ファイトを見物する構えだ。

 

前回のブロック優勝者であるチームQ4のメンバーは、参加者たちの前に立たされて注目を浴びている。

チーム戦なので、先鋒、中堅、大将を決める必要がある。Q4は4人チームのためどうするのかと見ていると、二言三言話したあと、櫂はロアの方に向かってきた。

 

「あれ、櫂さん、出ないんですか?」

「ああ……この程度の大会も勝ち抜けないようではな」

 

ロアの正面に腰掛けた櫂は、頬杖をつきながら観戦モードに入った。

 

そして、ショップ大会が始まった。さまざまなファイターによるファイトが展開され、ロアはすぐにそちらに意識を奪われた。

裏ファイトにいるメンバーは固定されているため、どうしてもファイトに同じような展開が多くなる。ロアにとって、ショップ大会のファイトはどれも新鮮だった。

……それでも、Q4に勝ると思えるチームは存在しなかった。Q4の決勝戦の相手、チーム下剋上を含めても、だ。

 

店長も巻き込んで、テンション高めに登場したチーム下剋上のメンバーは、和装に身を包んだ森川カツミ、井崎ユウタ、三和タイシの3人だ。

常連なのに姿が見えないことは疑問だったが、まさかコスプレをして参加していたとは。

実力のほどはともかく、チーム下剋上の存在でショップ大会は大いに盛り上がっている。

 

チーム下剋上の先鋒、2代目忍者マスターMこと森川とチームQ4の先鋒、ミサキとのファイトはミサキの勝利に終わった。

続く中堅戦では、プリンセスメイデンこと先導エミが登場し、エミとカムイのファイトはエミが勝利する。

 

「ダブルクリティカルトリガー……エミちゃんはカードに愛されているのね」

 

……まるで、お兄ちゃんみたいに。

そう心の中で呟いたロアの寂しそうな眼差しに、櫂は思わず「ロア……?」と声をかける。

 

「……え?何です、櫂さん」

 

しかし、一瞬のちにはその雰囲気は消え去っていた。

 

「……いや。何でもない」

 

お互いに疑問を持ちつつ、2人は地区大会行きをかけた戦いに意識を戻した。

 

 

◇◆◇

 

かげろうの特性を活かし、三和が猛攻を仕掛ける。

だが、なんというか……。

 

「手加減、してる?」

 

無意識にこぼれた呟きに「どういう意味だ」と問われ、ロアは動揺して身体をびくつかせた。

 

「いえ、あの、深い意味があったわけでは……」

「いいから言え」

 

ため息交じりに促され、ロアは恐る恐る口を開く。

 

「三和さんが……『勝ち』とは別のところに最優先のゴールを置いているように感じます。

そのせいで、意識しているのか無意識なのかはわかりませんが、攻撃の手が緩いような、そんな風に見えるんです」

 

櫂が少し考えるように沈黙し、そこで会話が途切れた。

櫂の返事を聞きたかったが、ロアは櫂の思考の邪魔はすまいとファイトの行方を見守る。

 

 

 

「ふろうがるのブースト、ソウルセイバー・ドラゴンでアタック!」

 

そうアイチが宣言し、三和は肩をすくめてノーガードと示した。

 

「優勝は、チームQ4!」

 

わあっと盛り上がる店内だったが、櫂はチームメンバーに声をかけることもなく席を立ってしまう。

ロアは櫂の行動に驚いたものの、少し悩んでそのあとを追った。

 

櫂はいつもの場所、カードキャピタル近くの公園のベンチに歩いていった。

きっとそこで寝始めるのだろうと考え、無防備だなぁ……とロアは思う。が、きっと気配に敏感なのだろう。何か被害にあったなら、もう少し警戒しているはずだ。

 

「膝枕でも、しましょうか?」

 

案の定、寝転がろうとする櫂にふざけて問いかける。

ロアの口元は笑っており、口調からしてもからかっているのだと容易にわかる。

 

しかし、櫂は数秒ロアの目を見つめると、ロアの腕を取り軽く引き寄せた。

その力はさほど強いものではなかったが、不意をつかれてロアはそのままベンチに腰を下ろす。

いつもの癖で行儀よく揃えられた膝に、トシキの頭が乗った。

 

混乱するロアはピシッと音を立てて硬直したが、櫂はロアのことなどお構いなしに目を閉じて寝始めてしまった。

 

どうすればいいのかわからず、また、櫂に膝枕をしているという状況を上手くのみこめず、ロアは固まっていることしかできなかった。

 

「お、やっぱりここか……って、どういうことなの……」

 

櫂を追ってきたのだろう。駆けてきた三和が、ロアには救世主に思えた。

この状態が嫌なわけでは決してないのだが、要するにキャパオーバーしてしまったのだ。

 

三和の声に反応し、櫂は目を開けて三和を見やった。

 

「ったく、何やってるんだよ、櫂。……それと、たまには家に招待しろよー。ミルクティーと、イチゴのショートケーキつけてさ」

「そんなことを言いに来たのか」

「んえ?」

 

軽口を流し、櫂は身を起こした。

櫂から解放され、ロアはほっとしたような、寂しいような、妙な気持ちになる。

 

「いやぁ、面白かったぜ?アイチ(あいつ)、まっすぐどんどん強くなってる。将来が楽しみになんのも、わかっちゃうねー」

 

三和はニヤニヤと笑いながら櫂を茶化す。しかし、ふと思い出したように語った。

 

「でも……妙なこと言ってたなー。カードの声がどうとかって」

 

その言葉に、櫂は目を見開いた。櫂がここまで動揺するのは、ロアが知る限り初めてだ。

 

「……なんだと?」

 

押し殺したような声。

櫂の目はいつも以上に鋭くなっている。

 

「カードの、声……」

 

ロアは繰り返すように呟いた。

 

「よほど、カードと強い繋がりを持っているのでしょうか。それとも、アイチさんの持つカードが特別なのか……」

 

口に出しながら、ロアは妙な胸騒ぎを感じずにはいられなかった。

 

 

 

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