この小説は最後まで書き続けるつもりですので最終話までお付き合いください。
12話
「どうするんだミスターミヤマ。奴を探すのだろう。手分けして探すか?」
「いや、相手の手の内が全てわからない分、別れるとかえって危ない。固まっておこう」
武蔵ちゃんが倒されることなどは万に一度もないだろうが俺とサン・ジョルジュ君は10人くらいになるとキツくなる。20人を超えたらもうアウトだ。
「それで繰君。敵の城はどこにあるの?」
「3つに絞れている。多分そのうちのどれかだ」
昨日、魔術協会でただ無意味な魔法の調査とクスリの本を探していたわけはない
。ロンドンの霊脈や誰がどこを管轄しているかなど色々調べていたのだ。そのせいで午後の時間が潰れて夕食があんなシンプルになってしまったのだが。
まず管轄者が最近ずっと篭りっきりにになっている家をいくつか見つける。ここまでは魔術師としては当たり前だ。工房に篭りっきりなど魔術師にはよくある話なのだ。それから篭りっきりの人達本人、又は友人などと何かしらの手段でコンタクトを取ることでいるかどうかを確認した。そして最終的にコンタクトが取れなかった残った3人の魔術師。あの爺さんはその3人の内の誰かと推測する。そんな事件を起こす前に誰かに会おうなど思わないだろう。その3箇所はある程度近いのでまだよかったと思いながら地図を出す。
「早く行こう。時間もない」
ーーー1つ目の工房。
一言で表せば洋館。
富豪のようなお金持ちが暮らすような家で屋敷を囲っている柵から中を伺う。洋館は1つ窓が開いていてそこから中がのぞけそうだ。
こういう時は無理に乗り込まないほうがいい。そう思ってメガネを取ると風に吹かれてなびくカーテンに血が
「はい?」
俺達は一驚して柵を乗り越え敷地の中に入る。ドアに手をかけると鍵は空いていて中に入ることができた。そこには魔術の痕跡と何人もの死体があり焼死体、体の所々に穴が空いている死体、首がない死体などが点線のように在る。そして、足元には家の何処かに続く大きな血の点線。これは家主のモノだろうかとそれを追うことにした。
「どうしたの?突然」
武蔵ちゃんとサン・ジョルジュ君が入ってくる。俺は彼女らに「この洋館の中から外を見張っといて」と指示を出す。外で見張っていると狂人たちに集まられそうだ。
点線は壁で途切れていた。するとここに何かしらの隠し扉があるのだろうがそこは敢えて使い魔でぶっ壊そうと宝石から呼び出す。その先にも死体は点在しているおり。この洋館に来た狂人達数から何者から…恐らくあの爺さんの指示を受けて攻めて来ているような気がした。
つまり、統率がとれている。ということは場所さえ掴まれれば集団リンチとなる。そうなってしまえば死んでしまう。それに気付くとバッタバッタと狂人達をなぎ倒すのは愚策だった。相手に自ら場所を示しているようなものだ。ならば今すぐに姿を隠すべきだ。
「おい、武蔵ちゃん、天才騎士君」
俺は二人を呼んでアタッシュケースの中から宝石を1つ取り出す。
「なに?」
「なんだ?」
唐突だが深山家の特別製使い魔10体のうちの一体を紹介しよう。
名を『開拓者』その名の通り道を切り開く使い魔。
容貌はヘルメットを被った爪が大きくて強靭なモグラだ。
ところで俺が一昨日戦闘で使っていた犬の使い魔だが、アレはこの枠組みには入らない只の使い魔だ。
「これで逃げる」
「「いやいや、急になに言ってんの!?」」
俺が事情を説明すると武蔵ちゃんは少しわかった風に頷く。しかし、まだ魔術も何も知らないサン・ジョルジュは多すぎる情報量にパンクしてしまっていた。
それを見て俺は説明足らずだという事に気がついたの。なのでその魔術について論じようと思ったがこれ以上彼をパンクさせる訳にもいかないので説明すべきかしないべきか困惑する。
結果、面倒くさいのでやめた。『魔法使いだって言ったろ』と言おう。
実物のモグラサイズの『開拓者』は俺の指示で牛くらいの大きさになって洋館の床を土を掘るように簡単に穴を開けた。
相手の目は人だ。ならば見えない地中から探索する。きっとあの爺さんは狂人達と全ての感覚の共有はしていないだろう。恐らく共有しているのは視覚だけ。それも一部は共有さえしていない。
あの狂人達もきっと感人間のリミッターを外して感覚を最大限に鋭くしているだろうが大きな都市のほぼ全員と感覚を共有してしまったら自我も破滅する。そして感覚を共有するだけでかなりの魔力を回しているはずだ。あまり動けないだろう。
つまり、見つければ勝ち。見つけられなければ負け。
そして今俺達は目の届かない地中にいる。と言ってもこちらは地中に行ってあの爺さんを探しにくくなるので不利になったか有利になったか。……どっちもどっちだ。
穴の大きさは人1人が立てるほどの大きさだ。
俺はコートのポケットから懐中電灯を3つ出して全員に配る。
「次は2つ目の場所だ。くれぐれも気をつけて」
「オーケー」
「解ったのだが…ミスターミヤマ」
「何だ?」
武蔵ちゃんは素っ気なく答えるが、サン・ジョルジュは違った。
「敵の目的は分かるのか?なんだかわからないまま進むのは僕にとって嫌なんだ」
時間もあるし答えてやろうと思った途端暇な武蔵ちゃんそっぽ向いている。
どうやら彼女はは興味のないことには徹底的に無関心らしい。
「本当の目的は根源への到達。これは恐らくそれの前準備だろう。
前準備の意味を語るには根源についての説明がいるな。
根源、ってのは物事の始まりにして全ての終わり。そんでもって全てがある場所っていう意味の解んない場所だ。まぁ世界の全てがある図書館とでも解釈してくれ。
俺達は知識への探究心が恐ろしくてな。それを先祖から受け継ぎ子へと孫へと子孫へと託していってその根源に辿り着くことを夢見ている。しかも俺達はわがままでそれを隠し通そうとするんだ。その知識を自分だけの物にしたいってこと。で、ここロンドンには俺たちのような奴らが集まっているところがあってな。集まってるところで纏めて殺っちゃえば知られる可能性は少なくなる。ということだ」
「……まあわかった。関係ない市民を巻き込むとは愚行にも程がある。1人の近衛兵として許せない」
そう言って闘志を燃やすサン・ジョルジュ君の話が終わったのを察した武蔵ちゃんが
「それじゃあ、早く行きましょう!」
と催促した。
2つ目の場所も家の中が蹂躙されており。死体の山となっていた。
「こりゃ、殆どの魔術師が殺されていると見ていいのかな」
「繰君、これだけの力ってどのくらいすれば手に入るの?」
「そうだな…大都市1つ乗っ取る程の力なんて何十年は確定でかかるんじゃないのか?お前には苦手そうなことだな武蔵ちゃん」
「いや、流石に何十年も我慢するって誰でもキツくない?」
「きつくない」
武蔵ちゃんの質問にそうキッパリと答えた。きっと魔術師という生き物はどれほど月日が経とうと根源に到達する為なら待つことが出来るのだろう。
そんな答えを聞いた武蔵ちゃんは
「わたしじゃ無理だな」
と呟いていた。
3つ目の場所のちょうど真下に着いた。
「さて、準備はいいか?」
俺の確認に2人は無言で答える。
武蔵ちゃんは
サン・ジョルジュもまた決意を決めているようだ。
魔術協会に行くという案もあったのだが勘違いされて協会を敵に回すなんていう最悪の事態も予想できたのでやめておいた。
俺は『開拓者』に指示を出して魔術師の工房に侵入する。
途端にトラップ発動。風の弾丸が迫る。俺はそれを宝石から出した犬の使い魔でそれらを防ぐ。そして、もう何体か追加してそれらで壁を作る。
安全を確認して『開拓者』を元の宝石に戻した。俺は武蔵ちゃんを穴から引っ張り上げて珥加理刀を帯刀。サン・ジョルジュ君には自分から這い上がってもらった。
風の弾丸はまだ発射されつずけており、壁がズキュン、ズキュンと音を立てている。
「さぁてあの爺さんを倒しに行きましょう!」
武蔵ちゃんの号令を合図に俺は背後を使い魔に守らせながら走り出した。サン・ジョルジュもそれに続く。
トラップもこの魔眼さえあれば大丈夫。と言いたかったがこの工房はとても暗い。『影』と形容されるほど薄い未来の像はとても見えにくくなっている。
いつぞやの夜のように街灯がポツンポツンあれば認識しやすいのだがこれほどまでに暗いと動きにくい。
他の人達はというと普通に避けているので劣等感を感じざる負えない。サン・ジョルジュは人間のリミッターを外された後遺症かもしれない。武蔵ちゃんは対魔力で弾いていた。やはり、便利な対魔力。
部屋をしらみつぶしに探してやっとあの爺さんがいる部屋を見つけた。俺は2人に止まるように言う。必ず罠があるはずだ。魔術的なものだけでなく落とし穴も考えられる。
「武蔵ちゃん先に行って」
「は!?そういうのは弟子から先に突っ込むとこでしょ!」
「ほらほら二天一流天才最強最カワ剣士サマ」
「流石に褒めるの下手すぎ」
と俺に押され一歩彼女が部屋に入ると扉が抉れそこら周辺が風でバラバラになった。
「………」
俺とサン・ジョルジュは武蔵ちゃんの対魔力スキルで被害を受けなかったが唖然とした。これではいくらあの超治癒の宝石を使っても助からなかった。
「ほら、やりなさい繰君」
と武蔵ちゃんは何もなかったように催促する。
「………分かりました」
とこちらも何も無かったように返す。
ここは一つ彼女に俺の魔術師としての戦い方というのを見せつけてやろう。
珥加理刀を抜いて右手に持ちアタッシュケースを左手に持ちうっすら見える爺さんを見据える。距離は大体20メートルといったところ。その距離は相手にとっては風の弾丸の射程内で刀を持つ自分にとっては勿論攻撃の範囲外だ。
なので後ろで待機させていた普通の使い魔で盾を作る。
きっとあの爺さんは動けない代わりに数多の罠を仕掛けているだろう。そこでそれをねじ伏せる為の攻撃力が必要だ。
「ならば、こいつだ」
盾は攻撃を受けている音を立て始め俺はアタッシュケースの中から大粒のルビーを取り出す。
現れるのは『竜騎士』
赤い鱗に黒い翼。シンプルで巨大なランス。体長3メートルほどのドラゴンは降臨する。『災害』と称すべきソレは俺が作った盾ごと相手の攻撃をねじ伏せ風の魔術師に迫る。
しかし、風がドラゴンを阻む。風は烈風となって翼を切り裂き四肢を抉る。ただ、この使い魔は色を持った魔力の塊。魔力は大気。いくら空気を切ったからといっても意味はない。直ぐにドラゴンは形を成した。巨大なランスは無慈悲に振り下ろされる。
その一撃は風の壁で防がれる。風の魔術師も『災害』で対抗するようだ。
『暴風』はドラゴンを天井に磔にした。だが、伝説の存在はその拘束を振り解いて突進を繰り返す。
その間に俺は全身に強化魔術をかけて機会を伺う。そしてここだと思った瞬間走り出した。魔眼で見にくい影を凝視して風の間を縫って駆ける。それでも俺の刃は届かない。
俺は壁に突き飛ばされる。全身に痛みが走って気を失いかける。
だが傷の治療など後回しだ。また俺は駆け始める。今度も意味はなくまた吹き飛ばされた。
入り口を見ると武蔵ちゃんは腕を組みこちらを見ていた。その瞳は『こんなものか?』と俺を試しているようだった。
そういえば、サン・ジョルジュがいない。
と視線を風の魔術師に移すと彼が攻撃を仕掛けていた。しかし、彼もまた吹き飛ばされる。
「僕も協力しよう。正直言って見てられない」
「ああ、反論したいが反論できんやられ様だからな。頼む」
一斉に攻撃を仕掛ける。必ずあの『自動的に風を操る仕掛け』には弱点が存在するはずだ。弱点が無ければ強引にでも突き抜ける。……と威勢よく言ってもそれ出来るかどうか。
ー焦る。
ーー焦る。
ーーー焦る。
思考で頭が文字で埋め尽くされ真っ黒になる。何か考えているはずなのに何も考えられない。ただ目の前のことしか集中出来ずに風を避ける。
防戦一方、これではラチがあかない。俺はサン・ジョルジュと共に攻撃を仕掛けているが一向にいける気がしない。だが、彼の方が反射神経が良すぎるので毎回惜しいところまで行っている。ならば俺が彼をサポートする戦い方で、
ー何か浮かべ!
ーー何か気付け!
ーーー何か手繰れ!
最早策は練れず、ただ相手の攻撃を避けるだけになってしまった。そこで突然膝をついてしまう。それは『竜騎士』に魔力を沢山吸われているからなのだと気付く。
『竜騎士』深山家特製の使い魔10体の中でも1番魔力消費量が多い。今の状態は限定解放なのだ。もし全力で解放したら俺は死ぬ。それ程魔力を喰うのだ。
絶望的な状況に。死を覚悟した。
死。
そうか、死か。そうだいっそ死んでしまえば良いのだ。
俺は狂ったように立ち上がる。風の刃が迫る時、俺は死んだ。
虚無期間が有る!って言って批判している人もいますけど少しくらい休憩の期間は欲しいですね。
それトォ!百重塔ォ!登るのォ!飽きるゥ!
何故に武蔵ちゃんのお風呂絵がなかったのか。
それトォ!バレンタインッ!大統領じゃない方ノォ!
やっぱり武蔵ちゃんは可愛い。
そしてェ!クッションンン!
勿論予約しました。