天元の花、零の先へ   作:新川翔

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ソの8➕微睡みのトンボ

21話

「準備できた繰君?」

 

「おう」

 

今の時刻は午後8時、彼らは城門の近くで街灯の光が届かない場所にいる。

魔眼殺しのメガネを掛け、コートを羽織りアタッシュケースを持って珥加理刀も帯刀していて準備出来ているのにも関わらず俺はこんな所で悩んでいる。人を殺す事に抵抗しかないのだ。

 

「とっとと捕まえて偉い人達に突き出しましょう」

 

「…うん」

 

俺の心情を察してくれたのか武蔵ちゃんは俺の肩に手を置いて言葉を諭してくれる。俺はそういう事にして怯えを心の中に押し込んでホテルの扉を開けてズンズン進む。

 

俺はまた無意識に飲まれてあんな事を犯してしまうのではないかと怯えている。

この計画を阻止しなければ100%武蔵ちゃんが横槍を入れるチャンスを逃してしまうし、きっと沢山の死人が出てこの都市が混乱状態に陥ってしまう。そうなのだが、それは殺しを正当化する理由にならない。

 

ホテルを出て人の波をかき分けて城門の方向へ進む。人に肩をぶつけてしまったり、周りにお構いなく歩いてしまっている。周りが見えていない。

 

唐突に後頭部に激痛が走る。振り返ると武蔵ちゃんが後ろからチョップしていた。

 

「落ち着いて、そう自分を追い込まない。どうしたの?大体想像はつくけど」

 

「今になって怖い」

 

「………でしょうね。単純だけどそういう時は成功する自分しか考ること。君の性格の場合、それだけでも厳しいけど、失敗してもその後考えればいいんだし。楽観的な考えでも世の中そう考えないと切り抜けないことなんて山の様にあるからさ」

 

「ああ、そうする」

 

俺はそうだと自分の中で何回も復唱して覚悟を決めた。武蔵ちゃんから貰った緑の勾玉のネックレスを握りしめる。使い魔達によると少年達の人数は80人程、それが5つの小隊に分かれている。これを2人で処理しきるのは無理があるので3つの小隊はこちらで処理しようという作戦になっている。

 

「武蔵ちゃん、ちょっとネックレス貸してくれ」

 

俺達は城門の近く、街灯の光だけが道を照らす人気のない所にいる。

 

「え?まぁいいけど」

 

俺はアタッシュケースから『詐欺師』の黒曜石と『接続口』のアメジストを取り出して彼女からネックレスを受け取る。俺はアメジストを使ってネックレスに黒曜石を合体させた。

 

「ん?なんで?」

 

「この黒曜石を使って周りを騙す。ほら、戦いの時代って大体男尊女卑じゃん」

 

「あ〜、そういうことね。分かったわ。ありがとう」

 

俺はどういたしまして、と返事をして1つ目の小隊の近くの所へ歩き出す。

足取りはひどく重く一歩一歩自分の意識を確かめるように歩く。顔は少々俯いて、これから起こるかもしれない地獄へ怯えに対する震えが体全体を走り回る。

少年達は俺達を見つけてざわつき始めた。

 

俺は魔眼殺しのメガネを取ってアタッシュケースを地面に置いて抜刀する。明らかに敵意のある目を相手に向けて走り出す。

相手もそれに対応しようと構えるが3、4人いきなりバタバタと倒れた。後ろから武蔵ちゃんが奇襲したのだ。彼女は次々に倒してゆく。

俺もその混乱に乗じて少年たちを気絶させる。奇襲したことで意外とあっさり終わった。

城壁の向こうで銃声が聞こえる。

 

「やっぱ戦術って大事だな」

 

「ええ、勿論。それを弟子の君に教えられて良かったわ」

 

「………出来ればもっと早く終わらせたかった」

 

「まぁ、結構敵集めちゃったしね」

 

俺たちを十数名の少年たちが囲っている。

 

「こいつらも捕まえよう」

 

先程のように相手の虚を突いている訳ではないので、上手く倒せるはずがない。意識も何故か無意識に侵食されていない。

 

「ええ、作戦は君が私の援護をする感じで」

 

「了解」

 

一斉に少年たちが襲い掛かる。「美少年ガッ」などの私情を持ち込まない彼女はやはり、斬り合いに関してはシビアだ。

 

ーーーーーこの前の様な失態はしないし、そして今は1人じゃない。

 

「なんか成長したわね。繰君」

 

「ありがとう。武蔵ちゃん」

 

お互い背中合わせになって言葉を交わす。斬り合いにも関わらず笑みが零れた。

彼女と共に戦えることがとても嬉しいのだろう。

今は無意識にも飲まれず、何の迷いもない。

狙う場所は主に足、この少年たちは殺すのではなく捕まえるのが目的だ。この混雑している状況の中、上手く立ち回れるのは俺だけだ。

武蔵ちゃんは縦横無尽に駆け回り俺は彼女の周りを衛星の様に回って援護する。

これだけの人数にもなれば、流石の彼女でも後ろを取られてしまう。その予測可能回避不可能の事態から彼女を援護するのが俺の役割だ。

二人のコンビネーションは上手くいき、直ぐに全員拘束できた。

 

「ちょっとホテルの様子を見てくる。今頃、騒ぎになっているだろうからホテルの人にちゃんと生きてる事を伝えないといけないし」

 

「分かったわ、すぐ帰ってきてね」

 

「了解」

 

俺はアタッシュケースを拾いメガネをかけて走ってホテルに戻った。都市は騒ぎになっており、城門を警備している兵士たちが駆け足で北方向に向かっている。人々も不安そうにある者は建物の中に入り、ある者は野次馬をしている。都市は暗く、張り詰めた空気が漂っていた。ホテルに到着し、従業員に自分達は大丈夫であることを伝えてすぐにUターン。

しかし、戻った時には誰もいなかった。

 

「え」

 

(聞こえる?繰君?)

 

(ああ、どうした?)

 

(捕まっちゃった…………)

 

(こふおおおおーっ!)

 

(あっ、でもただ事情聴取?みたいなものを受けてるだけだから)

 

(なんだよ…結構間際らしいじゃねぇか…)

 

(それでさ、代表戦に出してくれ〜って言ったら「馬鹿じゃねぇの?」って返された)

 

声のトーンだけでとても怒っていることが解る。俺は昨日の事を思い出して背筋が震えだした。それにしても、ホント単純な師匠だ。普通OK出されるわけがないのに。

 

(それじゃ話したらホテルに帰ってるから)

 

(了解、じゃあな)

 

電話を切る感覚で念話を終了した。

俺は結果的に無駄足になってしまったとただ思いながらホテルの方向に足を向ける。まだ、城壁の向こうでは銃撃の音が聞こえているが、明日になれば収まっているだろう。

 

ホテルに戻ってコートを掛ける。ひと段落ついた事にホッとして本を取り出して、しおりの挟まっているページを探す。お目当てのページを見つけイスに座れば、完全な自分の世界の完成だ。

この小説は俺が興味を持ってつい買ってしまったものだ。どうやら『東洋的無常観を基調にした壮大な宇宙叙事詩』らしい。

本当に人を殺す事にならずに済んで良かった。それに無意識にも襲われず、安全に作戦を遂行できたのは今日の良い点だろう。

では、何故、あの時はそれに襲われて今回は襲われなかったのか。大きな差といえば、『殺さなければならない状況だったこと』だ。殺す時だけ無情になるとか厨二病かよ気持ち悪い。

そう自己嫌悪を発揮している場合じゃない。これは重大な問題だ。だが、無意識に飲まれるなんていう厨二ゼリフ聞いたことがない。あの時そう感じたのは確かなのだが、そうなると困る。無意識というのは本能、どんな生物もやがて本能には負けてしまう。つまり、俺の本能は殺人鬼ということなのだろうか。

それは、不味い。

理性は、意識はそれを嫌がっているのに本能がそれに逆らってしまうと精神崩壊しかねない。

かと言って、そう思ったとして、どうにか出来るもんじゃない。俺は面倒くさくなって、嫌気がさして思考を放り投げて逃げた。

勝てないものには逃げる。それが武蔵ちゃん流。

 

読書が進んで、そろそろ風呂に入って寝ようと思い立ち、時計を見る。え?午前2時?

まぁ、それ程この本は面白かったのだが。としおりを閉じて立ち上がろうとすると扉をノックする音が聞こえた。俺は駆け足でドアを開ける。

 

「もう、やだ」

 

明らかに不機嫌な師匠がご帰還された。これは、彼女の愚痴から始まって、剣についての講座、彼女の冒険譚と続いて、最後にうどんの話がくる。『朝まで眠らせないコース』だ。

でも、俺はあまり嫌とは思わない。夜には強い方だし、何より彼女の冒険譚が聞けるのだから。

 




20.5話(ネタ回)
(注意)パロディしか有りません。また演出の為、設定を付加しています。

「なん…………だと?」

目を覚ますとそこは………………どこだ?
昨日泊まったホテルではない。というか背中痛い。なぜ俺が瓦礫の上で寝ているんだ?てか、武蔵ちゃんどこ?
体を起こすと体の異変に気付いた。俺の体に魔術回路が存在しない。ハハハ、そんなの夢だ。自分の頰をなぐる。

夢だけど夢じゃなかった!

俺は黒いズボンにダンガリーシャツ、その上ににベストを着込んでおり、ベレー帽らしきものを被っている。ポケットには銃のグリップのようなものだけ入っており、刀もない。そして、武蔵ちゃんもいない。『鎧』の魔術的なつながりも感じられないしここは完全にあの北京ではない。違う何処かだ。

立って汚れをはたき取り敢えず歩き出した。

すると、どこかで何か騒いでいる音がした。俺は瓦礫の山って、ここよく見たらゴミの集積場ジャン。ここにいたら怪しまれるので走ってフェンスを飛び越えてその騒ぎが起きている場所に向かうことにした。

「なんだこのファンタジー時空軍勢」

どうやら、異世界の軍勢が時空を繋ぐ門から侵入してきているらしい。理解不能理解不能。
ドラゴンやら猪人間(オーク)やらが跋扈しており人を食らっている。俺は逃げるべきだと判断してそっぽを向くとドラゴンの声が聞こえた。どうやら一匹こちらに向かってきているらしい。今の俺にはどうにも対応できない。どうしようかと焦ると俺の近きに機械の青いトンボが飛んできた。
魔眼は俺にポケットの中から銃のグリップを取り出すように指示を出している。俺はそれに従った。

「変身」「hensin」

そのグリップとトンボが合体し俺は何かアーマーを被せられた。そして湧き上がる力に高揚する。これは明らかに強い。

俺はそのトンボ型銃でドラゴンなどの異世界モンスターを殲滅した。

その後、俺はパンドラなんとらの謎の力で3つに分かれた国の東側の代表になったり、犬になってハサミを持っている作家に厄介になったり、3匹の中から1匹選んで旅に出たり、第五期調査団になって新大陸行ったり、突如現れた超大型な巨人によって人類の平穏が乱されたり、ラビ○トハウスとかいう喫茶店に通ったり、伝説の吸血鬼に会ったり、杜○町で奇妙な日常を過ごしたり、屋上で叫んだり、ヘル○イムの森に行ったり、ソウル○サエティに行ったり、海賊王を目指したり、火影を目指したり、プロデューサーになったり、カルデアのマスターになった挙句爆死したり、メガネの殺人貴にあったり、和服に革ジャンの殺人鬼に会ったり、人間ミサイルランチャーに会ったり、ヤベェ人形師に会ったり、ニ○ニコ本社を爆破したり、火星に行ってゴキブリと戦ったり、小学生の名探偵に会ったりしたが、それはまた別の話。

その後、ーーーー

「………ん」

俺は起きた。

「夢オチなんてサイテー」

しかし、外は暗くまだまだ朝が来ないことを教えてくれる。よし、また寝るか。また寝たら夢の続きg…zzzzz





「キャストオフ」「cast of change dragonfly 」

外部の装甲が外れ新たな姿が現れる。

目の前には緑色の甲殻と注射器の様な太い尻尾を持った蟻の王がいる。

「clock up」

一瞬で何発もの光弾が蟻の王に当たる。

「clock over 」

「硬すぎるな」

蟻の王には1つも傷を与えられていない。
次の瞬間、それは思いっきり投げたスーパーボールの様に広い部屋を弾け出した。

「トンボ舐めるな」

トンボをはじめとする昆虫達は複眼と呼ばれる特別な目を持っている!
その目持つ視野は360度!さらにトンボの飛行速度である時速80kmに追いつく動体視力!

「ライダーシューティング」「Raider shooting 」

動きを見切り、見事蟻の王に命中した。

マスクドライダー第10位{最下位(スペック的に)}
仮面ライダードレイク
装着者 深山 繰

「風はどんな奴にも吹く。例え嫌な奴にも」


テラフォーマーズが4月に連載再開するそうです。やった。
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