天元の花、零の先へ   作:新川翔

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あと少しでApoコラボダァー。(はやとちり)
いきなりシリアス。


ソの11

24話

 

目の前のことに気を取られるなcrawler(クローラ)定められた運命など逃げてしまえ。

その選択は、世界に抗う悪であり、己を示す善となる。

 

 

 

 

「こりゃあひどい」

 

「ええ、外道ね。許せない。もう行くわよ」

 

俺たちの眼下は戦火に見舞われていた。

 

「銃弾が通りにくい人間なんて聞いたことが無いな。……あのさ師匠」

 

「何?まさか止めるつもりじゃないでしょうね?」

 

行われるのは最早、虐殺。

治安維持のための武装された部隊が素手の何者からに圧倒されている。

 

「勿論、俺はここから師匠の手伝いをする。何処に誰がいるとか、何処が危ないとかさ。それに腹が減ったらこい、うどん食わせてやる」

 

「応とも!最高のうどんを所望するわ!」

 

「会話は念話になる。そこは許してくれ」

 

俺たちはホテルの窓から一方的な虐殺とも言える情景を眺めながら準備をしていた。

朝起きて朝食を食べて一休みしようとしているところに南部の何処かで爆発が起き、同時に現れた非武装軍団による都市の進行が始まった。彼らは無差別に人を殺しており、その行為が武蔵ちゃんを修羅にさせた。

見たところ、彼らには銃弾に耐性があるで1発では死なず倒れずで何発も与えなければ倒れない。

 

「数は北京の中でも5000。そして、外に十数人かいるな。あれが本隊か?丁度隠れてるし」

 

俺はタイガーアイを握り『探索者』に戦況を確認させている。都市を囲む城壁の外にある小さな森に何百人か潜んでいる。その間に彼女は窓から飛び降り、地面に降りて抜刀する。

 

(師匠、警察とか軍隊とかとの遭遇は避けるぞ。敵に間違われるからな)

 

(分かったわ)

 

「外道ども!遠からん者は音にも聞け、近くば寄って目にも見よ!

我が名は新免武蔵守藤原晴信!大逆無動な貴様らに引導を渡してくれる!

この不倶戴天の零の技、恐れぬのならばかかって来い!」

 

叫ぶなよ武蔵ちゃん。人の話聞いてた?

彼女の名乗りによって敵は彼女の方向に向かっている。それを追うように警察も軍隊も動き出した。

 

(右方に移動しながら戦ってくれ。そっちにはまだ治安維持の軍隊がいない)

 

(で、敵は何人いるの?)

 

(十数人がそこの右の曲がり角から来る。どうやら1つの小隊は十数人で構成されているようだ)

 

(ありがとう)

 

彼女は跳躍して右の曲がり角へ飛ぶ。

体を捻って二刀を振り下ろして1人を始末した。その早業は目で追えるものではない。

止まることなく、流れるように2人、3人と流れるように斬る。相手は怖気付き、尻餅をつく者もいる。怖気付かすに突っ込んだ残りの者たちもその勇気は蛮勇に終わる。彼女は完全に戦意を失った者は無視して次へ駆けて行った。

これが本当の宮本武蔵、これぞ修羅と化した宮本武蔵。

 

 

「とんでもないな」

 

俺は1人部屋の中で呟いた。やはり、本気の宮本武蔵は途方もなく強い。

すると、廊下から物音が聞こえる。どうやら、このホテルにも奴らが押しかけているらしい。丁度良いから彼らには情報を吐いてもらおう。城壁周辺の戦いで奇襲すれば十分に圧倒できることは解っている。

 

 

 

 

「なんのっ!」

 

銃声が聞こえる戦場の中、外道達を切って行く。50はもう切った。

やはり、刃の通りが悪い。

体が何かで強化されているようでこのままでは刀の方にボロがきてしまう。暫く経ったら一旦戻ろう。そう思っていると、襲った2つの小隊にはいなかった強者が2人、目の前に立っている。

 

「いざ、尋常に!勝負!」

 

弾けるように真っ直ぐ駆ける。

まずは足払い。彼らはそれを跳躍して避ける。

その隙を逃さず片方を足で蹴り上げた。もう片方は踵落としを仕掛けて来る。

それを腕で受け止めて残った刀で首を狙って突く。その刀はあと少しという所で掴まれて止まってしまう。

蹴り上げた方も地面に降りてきている。刀を放し、腕で受け止めている足を掴んで投げ飛ばして2人にぶつけた。飛ばされる2人に向かって握っている刀を投げる。

腹にそれは突き刺さり、放した刀を手にして落ちて来る2人の首を跳ねた。

さて、弟子の所に一旦戻ろう。

 

 

 

 

ゴン!ゴン!

 

大丈夫だ。拘束するだけ。

 

そう言い聞かせてアタッシュケースからサファイアとクオーツを取り出す。

『守護者』と呼ばれる騎士の使い魔と『術士』という使い魔を展開して待ち受ける。

扉が壊れると面倒なので、素早く鍵を開けて扉を開ける。急に扉が開いて驚いたのか、扉を破壊しようとしていた3人組は動きが硬直する。その隙に俺と3人組の間に入った守護者は刃を抜いたロングソードで横一閃に薙ぎ払う。倒れた隙に術士と共に気絶させる魔術をかけると3人は動かなくなった。

 

「洗いざらい吐いてもらうぞ」

 

そう言って部屋の中に彼らを入れる。

 

(武蔵ちゃん、今すぐ戻ってくれ)

 

(ええ、分かったわ。今戻っているところだし。すぐに戻ると思う)

 

彼女に召集をかけて3人の内の1人に頭を当てる。

その時、鉢巻に『扶清滅洋』の文字があるのを見つけた。この四字によって義和団である可能性が跳ね上がった。

役に立つ魔術師の1つで記憶改竄という魔術がある。その過程で記憶を閲覧するのだが、それで彼らの記憶を見てみる。

 

言語は分からないが十数秒間でこの軍団の首領や幹部の顔は判明した。

 

「戻ったわよ」

 

「ああ、武蔵ちゃん、翻訳を任せられるか?」

 

「勿論」

 

どうやら、彼女の翻訳によるとこの5000人の主な役割は陽動らしい。この混乱に乗じて、城壁の外にいる首領を含む選りすぐりの十数人が北側に侵入、各国の大使などを人質として拘束するそうだ。

また、この軍団の体が強靭なのは……呪文によるモノらしい。しかし、この程度の無いにも等い魔術回路でこれ程の強化が出来るはずがない。

試しにその呪文を唱えてみたが効果はない。つまるところ、彼らの特異体質であるということが判明した。

 

作戦の概要を得た俺は記憶を改竄して扉の外に放り投げた。

 

「繰君、刀を強化できる?」

 

「ああ、貸してくれ」

 

俺は城壁の外に数十人の本体が既にいるから警戒するよう言って彼女の4本の刀を強化する。

刀を返すと彼女はお礼を言ってまた窓から戦場に降りた。

 

俺はひとまずベッドに座って足と腕を組む。

南側の敵はどうにかなる。だが本体が厄介だ。3人組の記憶が正しいなら、あの選りすぐりはとんでもなく強い。奇襲で勝てるとも思えない。

きっと、彼女ならばどうにかなるかもしれない。

しかし、武蔵ちゃんの位置によっては間に合わないくらい本体の奴らは早いのだ。協力者が得られない限り俺が出るしかないのだが、心に迷いがある今の俺なら確実に死ぬ。

俺はサポートしかできない自分に呆れて溜息を吐いた。

 

数時間も経つと南側にいる敵の数も半分を下回るようになり、本隊が動き出すところである。

俺は武蔵ちゃんにそろそろ戻るよう念話を飛ばす。

 

(武蔵ちゃん、一旦退却してくれ)

 

…………

 

返答がない。それから何度も彼女と念話を試みても返答がなかった。

明らかに邪魔されている。このケースは完全に失念していた。相手側にも魔術師はいる。

しかし、使い魔的な関係を唐突に断ち切れるもしくは妨害する。なんていうことが出来るのだろうか。

先程から『探索者』を通して彼女を確認をしていたし、周りに魔術師らしき人物もいない。

遠隔からそんなことができるのか、と考えている暇もない。現実にその現象が起きてしまっている。今はこれの対策を考えるべきだ。

すると、本隊が動き出すと監視していたもう1匹の『探索者』から報告が入った。

タイミングが悪すぎる。

俺はタイガーアイから1匹の鳥型『探索者』を作り出し、本隊が動き出した事と進むルートを示したメモを持たせて武蔵ちゃんに向けて放つ。

敵本隊を彼女が来るまで1人で食い止めなければならない状況に陥ってしまった。

 

戦うのに中途半端な心境の俺が行ったら確実に殺される事は予測できる。

逃げたい。

そうだ、逃げればいい。勝てない戦などしなければいいのだ。

だが、それを俺は一生後悔する。自分は動ける状態なのだ。役に立つために行くべきだろう。

そもそも、彼女が間に合うのではないのか?そうなれば俺が出る必要もない。

ーー彼女の位置を把握する。

……間に合わない。上手く遠くに誘導されてしまった。

1人で殺し合う恐怖心に足が震える。

 

ーーー無意識に体は飛び出していた。

 

珥加理刀を帯刀し、コートを着て、全身に強化魔術をかけて、魔眼殺しのメガネを外し、体はいつの間にか無意識に飲まれている。

本人の意志に背いて意識は体を進めさせている。またあんな事が起きるのか。

 

いやだ。怖い。恐い。ああ、ああ。

 

残っている意志も最早、風前の灯火。

19歳にもなって自分の制御もできない子供な俺に失望する。

 

すぐに俺は城壁の外に到着し、本隊を待ち構えていた。

 

 

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