天元の花、零の先へ   作:新川翔

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エレチャンキターー!
vrアルトリアって社長興奮Maxですね。


その6

6話

 

俺はデオンちゃんくん(老)のところに被害者の女性を届けた後、俺は魔法陣による転移魔術で自身の装備や魔術礼装を持ってくる。秘密兵器があるかどうかを確認して魔力回復用の宝石を握りしめ魔力をフルチャージする。俺は黒いフード付きのコート(魔術礼装)を羽織って走り出した。

 

しかし全力で走るわけにもいかないので疲れない程度のペースで走る。そんな訳であの狂人について考察する余裕がある。

さて、あの狂人のことだが少なからず明らかに何かしらの魔術をかけられている。その内容だが、起源覚醒か人体改造か。人体改造は時間がかかるし無いとは思うが。もう少し奴の様子を見ていたらわかったかもしれない。そもそも、あの動物的な動きは何なのだろうか。

 

と、思考を巡らしているとキン、と遠くで小さく剣同士が打ち合っている音がした。

 

その音がなる方へ目を向けて見てみると屋根の上に二つの影がある。早速目を魔術で強化する。影を見るに武蔵ちゃんとあの狂人のようだった。ちょうどいい。どうせあちらに行っても足手まといになる可能性が高いからここで観察しておこう。

 

奴から分かることは明らかに動きが人間の域を超えていることだ。どう見ても無理な体勢で避けていてそこから上手く攻撃に転じている。

もし俺の魔眼を用いて、肉体をもう少し鍛えたとしてもこんな動きはできない。こうなると起源覚醒かと思うがソレも違う。

そうなると奴の起源は『回避』みたいなものとなるがそれだと度々攻撃しているところに説明がつかない。

で、少し様子を見て思うことは『体のリミッターが外れている』ことだ。

人間には体を壊さない為のリミッターがある。というのは有名な話だ。もし、全力を出してしまうと肉体・精神がついていけないそうだ。だが、魔術を使えば肉体面ではどうにかできる。俺の非常用の治癒宝石魔術なんてそれの最たる例だ。それに精神面ではクスリを使えば説明がつく。つまり、あれは何かしらの方法でリミッターを破って魔術とクスリでどうにかついてゆかせているという状態であろう。実に危険なやり方だができないわけではない。

 

「納得したが…俺にはどうすることもできんな」

 

クスリの制限時間がどの位か分からないしそれが過ぎたら撤退するだろうしで今すぐどうにかするという事は無理だろう。それで今俺にできることといったら

 

「裏で手を回している奴を探すことくらいか」

 

魔術師の目的は根源への到達。となるとこの騒動はこの事件の黒幕の実験に過ぎない。そして実験には観察が必要だ。今武蔵ちゃんと戦っている奴と視覚を共有しているのなら話は別だがどうしても第三者視点で見る必要があるだろう。

 

何処かに黒幕本人かその使い魔が居るはずだ。

 

そう思いながら右手はコートのポケットの中に突っ込む。一度瞬きをしたら4個の宝石を掴んでそこら辺に投げるとそれらは全身は黒く目だけ赤い犬に変化した。

 

「散れ!!」

 

シェパードに似た四匹の獣は飼い主の号令によって四散する。

俺の家は治療魔術を得意としているがそれだけでは家の研究成果を守ることはできない。その思想によって深山家では使い魔の制作も活発に行っている。そしてその産物の一つがこの宝石を核としたタイプの使い魔だ。宝石に溜め込んだ魔力を放出して動物などに形を象る。宝石に溜め込んだ魔力と強さが比例していて核以外は魔力の塊なので傷を負わないが魔力の塊なので対魔力に弱すぎるのが弱点だ。

 

そして、俺も黒幕の何かしらを探そうと一歩踏み出してしゃがむ。

 

「危ないなぁ」

 

宝石を取り出す時に魔眼を発動させといて本当に良かったと思い振り向きながら立つ。魔術回路を臨戦態勢に切り替えて念話で使い魔達に召集をかける。

 

「いきなり風で不意打ちとか危ないですよ。誰かさん」

 

「貴様があのサーヴァントの主人(マスター)か?」

 

「いや彼女が師匠(マスター)だ」

 

敢えて敵が混乱するように質問に答える。

実際目の前の青いローブのような服を着たいかにも魔術師みたいな老人は屋根の上で顎に手をかけ混乱しているような素振りを見せていた。いつのまにか俺の使い魔達は俺の下に帰還している。

 

「爺さん、アレは人のリミッターを解除したものか?」

 

俺は魔眼で相手の様子を伺うと共にあの狂人の正体を直接聞き出すことにした。

 

「ふん、貴様に教える義理など無い」

 

当たり前の反応だ。初対面の相手にネタをバラす奴がいるはずもない。がその返答によってあの狂人があの爺さんによるものだということは確定した。

 

「たしかにアレで根源に至れるかもしれないからな」

 

人間の本来を出現させる。

根源の渦は事象全ての本来の姿。本来の姿という共通部分から根源に至るという机上の空論だが一考の余地はあるかもしれない。

 

「それがどうした?」

 

「いや、なんでもない。お前が喧嘩吹っかけてきたんだからな」

 

俺は屋根の上の老人に指差して言う。

勝手な事だが俺は深山家がずっと前からやろうとして、中途半端に失敗したたことをやる奴がいてそいつが成功するのが癪に触るだけだ。

 

「行け!」

 

号令と共に俺の使い魔達は黒い閃光へと変貌する。

様々な曲線は屋根の上の老人に襲い掛かるがそれは見えない壁によって阻まれた。

ーーー風の壁。と言ったところか。

次の瞬間には使い魔達は風の刃によって両断されていた。しかし核となる宝石は破壊されていないので囲むように形を成す。

というところで風の弾丸が迫ってきた。俺は魔眼のお陰で難なく避けられるが弾丸はとても見にくく普通の目だとしたら初見はモロに食らってしまうだろう。

 

「やべっ」

 

そう呟きながら抜刀する。恐らくあの調子でこの距離なら誘導弾みたくあの弾を操れるかもしれない。

ならば長期戦は不利だ。体力切れで撃たれてしまったら死亡確定。そんなことにならない為に思いっ切り前に踏み出した。

俺は1つの宝石を取り出して

「set」

と呪文を唱えてそれを刀の特別製の柄の先の窪みにはめて走り出す。

 

「ふん」

 

『手繰る魔眼』はしっかりと俺をナビゲートしてくれて本来目視しにくい風の刃や弾丸の回避ルートを示してくれる。それを頼りに進み使い魔達に指令を送る。

 

「囲め」

 

すると使い魔達には合体し、形を変えて老人を囲むドームとなった。

これで視界は潰した。まずはあの厄介すぎる風の攻撃の手を止めさせる。ところでもし人間が突然視界を塞がれたらどうするだろうか。当然どうにかして見えるようにするはずだ。人間は目から伝えられる情報を最も信頼する。どんなに真実を聞かされても自身の目で見なければ人間は信じない。「百聞は一見に如かず」という言葉があるように。

そしてあの老人が視界全体を開く為に必要なことは囲んでいるドームを一気に壊すこと。つまり全方位攻撃だ。俺はまた全身に強化魔術をかけて壁へと急いで走る。その勢いのままマ○オの壁キックの要領で老人のところまで一直線に飛ぶ。

「spin」

短くそして早く呪文を唱える。何を回転させるか、それはそれは刀にセットした宝石の魔力である。魔力は刀の刀身を中心にまるでチェーンソーのように回転して魔力の刀と化す。武蔵ちゃんが相手の時は宝石をはめる隙あらば斬られる状況だったので使用しなかったが今はしっかり時間があった。

すると、ちょうど俺の目前でドームは壊れてしまった。ドームのお陰で全方位攻撃の威力は極限にまで落ちており老人を仕留める絶好の機会だった。刀を横一文字に薙ぎ払う。しかし飛んだのは老人の首でも胴でもなく腕だった。

 

「くそっ」

 

老人にしては鋭い感で彼は彼自身を風で飛ばすことによって今の斬撃を回避したのだった。俺は舌打ちをしながら屋根に着地した瞬間に次の攻撃を仕掛けようとするが『手繰る魔眼』が危険信号を発した。老人は残った右手を前に突き出していた。次の瞬間、何かしらの風の攻撃が来ると踏んで

「revolve」

すぐに呪文を唱えて刀が纏っている魔力を剣先に集中させて盾を形成する。案の定迫ってきた風の攻撃は俺を石畳の道まで勢いよく飛ばした。体を強く打ち付けゴロゴロと転がる。

 

「折れたか!?それともヒビか!?」

 

全身を強化していたから複雑骨折とかにはなっていないだろうが体の各所がとても痛む。この程度なら緊急用の宝石を使わず傷を癒すことは出来るだろうが敵はそんな隙を与えてくれないだろう。と老人を見ると切った腕から出血が見られない。どうやら義手だったようだ。俺は体に鞭打って立ち上がる。次の一撃で決めなければまたアレを食らって殺させる。そんな恐怖を直感で感じて腰にある秘密兵器に手を伸ばす。

ーーー今、お前の未来を断ち切る。




vr武蔵ちゃんプリーズ
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