天元の花、零の先へ   作:新川翔

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エレシュキガルピックアップ前に気分でガチャったら星5(モーさん)が出たもどかしさ。


その7

7話

 

持っていた刀を宝石だけ取り出して足元に置く。手を背中に回して背中で隠すようにつけてある固定具のロックを解除すると、『これのせいで先程ゴロゴロした時痛みが増してしまったかもしれない』と思えたがそれはしょうがないだろう。

ガチャ、と細めのブラックボックスが現れる。

すると老人は血相を変えて攻撃態勢に移ったがだそんなもの無駄だ。

すぐに箱を開け1メートルほどのの大脇差を取り出す。それの重厚感は長く永い歴史を感じさせる。そんなものを俺は躊躇いもなく抜刀して風に向かって斬りつけた。

 

ーーー烈風はただの風となって心地よく頰を滑る。

 

ただの神秘はそれよりも厚い神秘に切り裂かれた。

俺の秘密兵器。その名は珥加理刀(にっかりとう)

業物にして無代の代物。

この無代という単語の意味は値が付けられないほどの極上品という意味である。

某刀擬人化ゲームで広まった名にして、この刀のあだ名は「にっかり青江」

にっかりと笑う女の幽霊を切って翌朝その場所を確認をしてみると石灯籠が真っ二つになっていたという伝説が由来だ。

造られたのは鎌倉時代から南北朝時代と言われており最低600年以上の神秘を積み重ねてきた代物で上述の通り幽霊を真っ二つにした逸話から霊に対する特攻も持ち合わせている。

そんな国の重要美術品を何故、何処で俺の両親は手に入れたのか俺は知らない……

 

閑話休題

 

烈風を一刀両断した感想と言えばただ清々しい。それだけだ。

 

その高揚感故にーーー

 

次で奴を斬る。

俺は刀を八相、つまり、刀の鍔を口元の高さまで上げて、左足を前に出し、未来の像を映し出す。

 

 

 

 

 

「ハァァァ!」

 

宮本武蔵はこの強敵との打ち合いで相手の特性を理解してきていた。

余りにも早い反応。反射神経の最終形。馬鹿力。これは人間の極限だと。それは深山繰と同じ結論で。

しかし、時間が経つにつれて宮本武蔵が優勢となってゆく。

一度両者は離れ構え合う。

 

「人間の極限…確かに凄い。こんなの初めて。だって攻撃がとんでもない反射神経で全部躱されちゃうんですもの。……でもね」

 

彼女は自然体にただ立っている。薄く笑みをこぼしながら綺麗な星空を見てそう呟く。この強者を倒す方法を思考しながら、その戦いやスリルを楽しんでいる。

ただ普通に歩き始めた。

しかし、その動作には一切の隙がない。それから伝わる重い緊張感は理性が極限状態で飛んでいても否、極限状態だからこそ重く感じているだろう。

ついに相手はそれに耐えられなくなって飛び出した。

 

「剣には限界がない」

 

それに合わせて宮本武蔵は斬撃を繰り出す。その一撃はしなやかで流動的で何処か艶めきがあった。

彼女は急に発射されたライフル弾をいとも簡単に捌いてみせた。

誘い出したのである。

理性を剥き出しにしているからこそ、狂人の行動は直線的で、直感的だ。

だからこそ、駆け引きを知らない。

ここに餌があるぞと言ったら、罠であるかもという思考をせずに突っ込んでしまうのだ。狂人たるスペックであるからこそ、その罠から強引に逃れることが出来るのだが、彼女の前にはそれは通じない。来ることさえ分かって入れば、後は経験さえあれば、簡単に対応が可能だ。

相手の肩の辺りから血が吹き出てる。

それでも、致命傷ではないらしくすぐに振向こうとするがいつに間にか後ろから両足に刀が刺さっている。

 

「ここ最近私は強くそう感じている。デオンさんもそうだったしまだ()はある」

 

相手の両足に刺さっているものを素早く抜いて今度は両腕を刺す。宮本武蔵は確実に仕留められるように相手の四肢の自由を奪った。

 

「だから私はその先を知る。一人の兵として、一人の兵法家として」

 

次に首。と狙いを定めたその時。狂気が消えた。

 

「ka………………………」

 

うっすらと声が聞こえた。

 

「たす…………けて…………」

 

敵意が完全になくなったのを感じて宮本武蔵はその瞬間にいつもの武蔵ちゃんに戻っている。

しかし、彼女は彼の言葉も聞かずに続けて

 

「何が言いたいかって言うと限りある物が限りない物に勝てる筈がないってことなんだけど……気絶しちゃった?」

 

狂人からただの人に戻った天才騎士はその場で崩れるように倒れていった。

 

「おっとっと。これは繰君に任せたほうがいいかもね」

 

武蔵ちゃんは倒れないように服の襟元を掴んで辺りを見回す。

 

(確か繰君はデオンさんのところに行ったはず……というかここ何処!?結構移動しながら戦っちゃったから分かんない。これはヤバイな)

 

と、その時空飛ぶ爺さんを見た。

 

「何アレ?」

 

 

 

 

 

 

恥ずかしい。

そう心で思いながら俺は空飛ぶ爺さんを追っていた。

先程、ーーー奴を次で斬る。 などと抜かしていたが先程の大転倒で足の骨ヒビが入ったようで踏み切ろうとした時に痛みを感じて立ち止まってしまった。真顔で。

相手はそれを見てすぐさま風に乗って逃げてしまったというわけで、どうにかしてあの老人を討ち取るために使い魔達を合体させて大型犬のような風貌にし、それに騎乗して奴を追っている。があの老人はとても速くすぐに何処かに行ってしまった。

 

ーーああ、もうやだ。消えちゃいたい!いなくなっちゃいたい!

 

そう真顔で思っていると上から声がする。

 

「おーい。繰君」

 

いやまだ死ねん。

あの屋根からヒョコっと顔を出している奴から、もっと学びたい。もっと旅をしたい。

 

「何?武蔵ちゃん」

 

「負傷者がいるから手当てしてくれる?」

 

「了解だ」

 

俺は使い魔に指示を出して屋根の上まで送ってもらう。

 

「何その業物!?」

 

すぐに武蔵ちゃんは俺が今持っている珥加理刀に反応する。

そりゃ剣士だから刀の方に目が行くのはわかるけど。明らかに痛そうな足の心配はしてくれないんですね。

 

「これは俺の家の家宝d「銘は?誰が作った?」

 

どうやら、彼女は話を聞かない方らしい。少し、イライラしていた。

 

「後で説明する。そんなことより負傷者は?武蔵ちゃんは傷は負ってないようだけど」

 

「うん。治して欲しいのはあの子」

 

そう言って武蔵ちゃんは指を指すのだがその方向には狂った天才騎士がいる。

俯きに倒れて口から血を吐きながら血を吹いている。明らかに重症である。いくら人を殺した殺戮魔と言っても、治せるのなら、治したくなる。

それが治す者の性な気がした。

 

「大丈夫なの?彼」

 

「ええ、なんか狂ったのは解けてるわ」

 

「まず、自分も怪我してるからさ、こっちを先に治していい?」

 

「いいわよ」

 

武蔵ちゃんはokサインを出してくれた。俺は使い魔からゆっくり降りて屋根の上で足を伸ばす。

やっぱり、骨折は痛い。すぐにでも痛覚を遮断する魔術でも編み出さなければならない。

 

ーーstep :Examination

 

まず、状況確認。まずポッキリいった骨折ではなくただのヒビだったので安堵する。ただのヒビという表現もおかしいが。

 

ーーstep:repair

 

そして、治療を開始する。自分の体なら治し慣れているのですぐに終わった。結構な疲れがどっと来る。

深山家の魔術は他の治療魔術と比べて結構燃費は悪い方だ。精度はとても高いし、時間も短い。その分、魔力消費が激しいのだ。

だからこそ、魔力を貯められる宝石を愛用している。

 

「よし。治った」

 

「はやっ!」

 

武蔵ちゃんが目を丸くしてこちらを見ている。

 

「ねえねえ!今のどうやったの!?」

 

こちらの目を凝視しながら言わないでください。恥ずかしくて死んじゃいます。

そりゃこんな近くで聞かれたら言えるものも言えなくなってしまう。だって、コミュ障だもの。

 

「ああ、うん!」

 

俺は無理やり武蔵ちゃんを押しながら立ち上がって天才騎士の方へ向う。

 

「俺の家の治療方法は2つあってな。1つ目が修復、2つ目が治療だ。

1つ目の修復だがこれは本人の遺伝子から新しく物を作って直す方法。

で、2つ目の治療は傷口を繋いだり、回復力を活性化させて治す方法。」

 

ーーstep :Examination

 

説明しながら天才騎士の容態を確認する。

四肢は動かないように筋を貫かれ、内臓もやられていてこいつの体はボドボドだ。

よくこれで死んでいないものだと賞賛を送りたい。いくらなんでも死んでしまっては手の施しようが無い。

 

「前者は時間がかかるけどしっかり治してくれる。後者はすぐ終わるけど傷口が開く危険性があるし治されてる側は更に疲れる。回復力を強引に活性化させているからね。エネルギー消費が激しいんだ。まぁ普通は時間さえあれば治る場合は治療を、切断とか時間で治らなものに修復って……」

 

相槌もないのでおかしいなと思って後ろを向くと、彼女の鼻から小さな提灯が出ていた。

呼吸に応じて大きくなったり、小さくなったりしている。

 

「ふにゃ、ごめん眠てて聴けてない」

 

よーし、どうしてやろうか。

「ふにゃ」が可愛かったからって俺は容赦しない。と思ってみただけで、実際俺が出来るはずがないのだ。

だって、俺だし。

 

「あはは、ごめんごめん」

 

確実に寝ぼけてあがるようだった。

武蔵ちゃんは半分くらい目を閉じて今にも意識が遠のきそうだ。

…俺の説明はそれほどつまらなかったものなのだろうか。

というところで、何もなかったかのように煌めく星空を見上げて当たり前の事に気付く。

 

「ああ、今深夜だった」

 

俺は起きたばっかなので全然ピンピンしているが、武蔵ちゃんはきっと俺を看病してくれていた……のかな?

そうなのだろう。だって起きたら俺の隣にいたのだから。ならば、俺は感謝を伝えなければならないだろう。

俺は目線を下ろして、礼を言おうとするが、時はすでに遅く彼女はもう眠りについていた。

…サーヴァントは睡眠は要らないはずだと思うが、生前からの習慣は崩せるはずも無いだろう。

 

その時既に武蔵ちゃんは俺の使い魔(もふもふ)をベッドにして寝ていた。

 

さて、診察の結果により、このケースには治療が良いのだが、なにせ天才騎士君は満身創痍。最早歩く体力もないだろう。

となると魔力で代行するしかないのだが今の俺は魔力は残っておらず、宝石もないので本拠地に戻るしかなさそうだ。

 

「さて皆さん、一緒に帰りましょー」

 

俺の小言だけが聞こえて町は静まり返る。月明かりは俺を照らしている。

今夜はどうやら、満月みたいだ。

 




クリスマスと言ったらボックスガチャ。回そう回そう
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