天元の花、零の先へ   作:新川翔

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UA10000突破記念で特別に糖分を高くしてみようとしたのですが、これって高いんですかね…。


その8

8話

 

「……むにゃ」

 

私はゆっくり目を覚ます。確か昨日は繰君が目を覚まして戦って……

 

ああ、確かもふもふに飛び込んでそのまま寝ちゃったんだっけ。

 

確かに眠かったとはいえ悪いことをした。あの後大変だったろうなぁ。私は寝てしまった自分に後悔した。

どうやら私は今までソファで座りながら寝ていたらしい。そりゃあ1つしかないベッドには天才騎士君が寝ているだろうし、

自分に毛布がかけられている気付く。本当に繰君は気が利いている。料理勝負の茶番も宿泊費を何処からか調達してくれた事も。きっと彼は今まで無意識に他の誰かに気を使ってばっかなのだろう。料理勝負の後反応。

顔は見えなかったが声から感じられた重さというか気だるさというかそれを感じた時は少し寂しくなった。

 

(それじゃあ可愛い弟子の為にも朝食(うどん)の1つや2つ作ってあげましょう)

 

私は起きるのを決意して今まで頭を預けていた枕に………?

あれ?この枕。

 

目線を右にやると私に肩枕をしながら小さく息をして寝る弟子の姿があった。弟子は毛布もかけず腕を組んでいる。

余りにもの至近距離に体が硬直してしまう。

 

やっぱり男女の関係は苦手だ…

 

ただ距離が近いだけで赤面してしまう。ドクンドクンと心臓は高鳴るし、

あぁ。みっともない。

 

私はゆっくり肩枕から頭を離す。どこか名残惜しさを感じたがそれはそれ。私の毛布をゆっくり起こさないように、繰君にかけて思う。

 

「正直びっくりした。まさかこの私が弟子を取るなんて」

 

いつも自由で奔放な私について来きたい人がいるだなんて思ってもみなかったし私自身教える事に自信がない。なんだか私の剣は直感的という感じがする。こういうのは但馬の爺様が得意そうなことだ。

 

「ありがとう。繰君」

 

私はそう呟きながら弟子の頭をポンポンして厨房に立つ。確か小麦粉は繰君の鞄の中に…

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーやっぱりあの夢を見た。

 

俺はドンドンと床を殴るような音に目を覚まさせられる。

確か昨日はsleepingなお二人を運んで寝かした後に、彼を結構大掛かりな治療して……あぁ、寝落ちしたのか。

 

ーーそれは昨夜の事、

 

「ちっ」

 

俺はホテルの自分の部屋に密かに侵入した。なんだって目立つ着物を着た決闘に乱入した人と行方不明だった天才騎士を密かに運ばなければならなかったからだ。

そんなわけで、人を入れるには狭い窓にから彼らを起こさないように侵入し、まず武蔵ちゃんをソファに座らせる。もし横にして寝かせてしまうと俺が床で寝ることになってしまうからだ。そんで1つしかないベッドに怪我人を寝かせる。………自画自賛になってしまうが、よく頑張ったと思う。

 

重症の怪我人を見て、これは修復して治療してだなと思いため息をつく。

いや手術ほど時間もかからないのだがやはり体力、魔力共に消費が激しすぎるのだ。とっとと終わらせて寝よう。

 

1時間後

 

治療を終わらせて部屋に戻ってくる。するとそこには、すうすう寝ている武蔵ちゃんと警護させていた俺の使い魔がいた。使い魔を宝石に戻してそこらに置いておいた自分のバックの中に入れる。

 

寝ている武蔵ちゃんの顔だが、やっぱり可愛らしい。

思わず撫でたくなるような寝顔だった。そこで思うのはこの出会いの意味である。

意味は本当にある。彼女は良くも悪くも自分勝手だ。長い旅の中、どんな状況でも自分がやりたい事をする彼女はいつも無意識に他人の気を使っている俺にとっては憧れを感じるものだった。

 

そんな彼女の近くにいたら周りにおどおどしている自分をいくらか更生できると思って、あと武蔵ちゃんと旅をしたくてこうやって弟子入りしているわけで。

 

まあ、この旅を続けて彼女と一緒に居たいと思っている訳だが俺はバットエンドだそうから悲しくなってくる。

俺は武蔵ちゃんの頭をポンポンした後隣に座ってゆっくりと目を閉じた。

 

 

 

 

 

と、回想を終了して目線を下に下ろすと自分の体には昨日武蔵ちゃんにかけた毛布がかかっていた。

ダシのいい匂いが漂う。おい、うどんかよ。と内心舌打ちしながら俺は笑っていた。なんだか彼女らしくていい。

 

「よし、起きるか」

 

覚悟を決めて勢い良く飛び起きる。

軽く体を伸ばしてストレッチ。朝の日差しは心地よく俺を覚醒させてくれる。深呼吸をして厨房に向かう。何か手伝える事があったら手伝うべきだ。俺は彼女の弟子なんだし。

 

「おはよう。武蔵ちゃん」

 

「おはよう。繰君」

 

やはり武蔵ちゃんはうどんの準備をしていた。武蔵ちゃんの足元にはうどんの生地らしき球体が置いてある。

 

「何か手伝おうか?」

 

「そうね、でもねぇ。あとは自分一人で出来るし……どうしようかな?」

 

彼女は困ったようにそう答える。確かに聞いた俺が悪い。うどんの作り方は俺でも分かる。

あとはこの生地を寝かせてふんずけて伸ばして重ねてカットして茹でればうどんの完成だ。つゆは彼女の左方向にある鍋の中からいい匂いがするので、最早、深山繰の手伝う余地はない。

 

「いや、いい。もうほぼ終わってるんだろ。こっちは終わるまで待ってるよ」

 

「…………気使ってる?」

 

予想外な返しだった。いや今のは別に気を使っているわけではない。ただ、俺の癖でそう返してしまうだけだろう。

 

「いや使ってない。自分から手伝える事はないと判断しただけだ」

 

意外に武蔵ちゃんは俺の特性を見抜いているらしい。

あんなというのも言い方がおかしいがあんな武蔵ちゃんが人の性質を見抜くとかそんな事が出来るとは思っていなかった。きっと、旅を通して数々の人の反応を見て学んできたのだろう。

俺は邪魔にならないように武蔵ちゃんの隣から離れようとする。

 

「いや待った。師匠命令。繰君、私がうどん作りを教えてあげましょう」

 

呼び止められて思うことは師匠命令って便利だなということだ。というわけで俺は知ってはいるうどん作りの説明を受けることになった。

 

「といってもあとこれを1時間寝かせてふんずけて伸ばして重ねて切るだけなんだけど……」

 

「本読んでていい?」

 

「ダメ!ったくこの簡単な作業の中にいくつかコツがあるの。分からない?」

 

「分からない」

 

ムっと口を曲げていう武蔵ちゃんにキッパリと答える。

どんなにおいしくなるコツがあったとしてもそれは俺にとってそれは寝かせてふんずけて伸ばして重ねてカットするだけだ。

分からないのなら、分からないと言った方がいい。

 

「そうキッパリ言わなくても……」

 

あ、拗ねられた。やってしまったと後悔する。どうやら彼女を上機嫌にさせなければ不条理な師匠命令が飛んでくるらしい。

 

「わからないから教えてくれないか?」

 

その発言に彼女は一瞬驚いていた。

それに、興味がないわけでもない。

 

「いいでしょう!それじゃあまず……」

 

武蔵ちゃんは嬉々とした表情で説明を始めていく。

そんな嬉しそうな彼女を見て、こちらもつい頰が緩んでくる。

材料の説明から入って今、このうどんを寝かせている状態までの説明を受けた。半分ぐらいしかわからなかったが。

 

「んであと少しかな、そしたらまたふんずけて…」

 

「伸ばして重ねてカットするだけだな」

 

「そう!」

 

かれこれ30分近く説明をノンストップで講義した武蔵ちゃんは疲れいる様子もなくふと思いついたように聞く。

 

「そういえば天才騎士君は?」

 

「ああ、彼か。今は麻酔で寝ている。起きるまでにはもうちょいかかるんじゃないのか?」

 

「それは良かった。で容態はどれだけ深刻だったの?」

 

「キツかった。久しぶりに2つを併用したから疲れたのなんの」

 

「………ん?2つ?」

 

あたまに?を浮かべて返す武蔵ちゃん。やはり昨夜の話は聞いていなかった自然とと苦い表情になる。

 

「え、ちょっと待って私悪いことした?」

 

もはやこの始末(界王並感)

俺はこの話題はやめようと

 

「で、時間は大丈夫なのか?」

 

強引に話題を変える。

 

「あ!やば!ふんずけるわよ!」

 

先ほどの慌てがなかったかのように武蔵ちゃんは元気に作業を始める。

 

「えっとふんずける時のコツは………」

 

単純な彼女に苦笑いしながらも『真摯に聞いてあげるぞ』としっかりと覚悟して説明を聞いて半分理解できなかった深山繰だった。

 

 

 

 

 

 

ズルズルズル

 

うどんをすする。別にトッピングも無くただの手打ちうどんにつゆをつけて頂くというなんだか貧相な気がする朝食だった。そんな食事にも関わらず武蔵ちゃんは一生懸命麺をすすっている。がそんな沈黙は突然新たな沈黙となって生まれ変わる。

 

「繰君ってなんで私なんかの弟子になったの?」

 

素朴な疑問かと思って顔を上げると相当に真剣な顔だったので前から考えていたのかと気付いてなんだか黙ってしまう。

理由は朝に自身に対して再確認として言ったたはずなのだが言う相手が違うだけで調子が狂う。

 

「答えて」

 

………その言葉で決める必要のない覚悟を決める。がその前に言うことがある。

 

「まず『なんか』ってのをやめて」

 

「え?」

 

「んじゃ、理由はちと恥ずかしいから二度は言わないぞ」

 

「いやいや、チョ待ち」

 

武蔵ちゃんは豆鉄砲を打たれたような顔で聞いてくる。恐らく『なんか』って言うなと言ったことについてだろう。

 

「武蔵ちゃん。いや師匠。貴方はもっと自信を持つべきだ。確かに貴方より強い人間はいる。でも貴方はの()という極致に至っている。それだけでも褒められるべきだ。確かに己の強さに慢心するのは馬鹿馬鹿しいが己にいつまでも自信を持てないのは愚かだぞ」

 

忠告して(言って)やった。初めて会ったときに彼女から聞いたが彼女の父はトンデモなデタラメな強さらしい。

それが彼女の基準になっているのか知らないがそれでも自信は無くてはならない。それが重要な一歩に繋がるかもしれないからだ。

それに師匠なのだから。もう少し胸を張って欲しかった。

 

「んで、俺が弟子入りした理由だが……」

 

武蔵ちゃんは俯いているが構わず続ける。

 

「師匠の在り方に憧れたからだ。その自由奔放で勝手な……って悪い言いようだが、その生き方に憧れた。俺は他人に合わせなきゃすぐ不安になる陰キャだからな。そんなものに憧れちゃうんだよ」

 

武蔵ちゃんは最初の言葉を聞いてデットヒートしてフルスロットルしていたがやがて落ち着いて、いや今も顔が真っ赤で落ち着けていなさそうだが。

こっちもあんな恥ずかしくらしくないセリフを吐いてしまったので、表情を崩さずともきっと赤面しているだろう。

 

こんな事(言いたかったこと)言うもんじゃないと後悔する。

 

この話題のせいで少なからずこの朝食の時間はなんだか凄まじい沈黙に閉ざされることになった。

 

待て、俺今結構気持ち悪いこと言わなかったか!?




いよいよクリスマスイベさて走ろう。
ところで配布アルテラ可愛すぎるんですが。
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