4倍界王拳を発動したカカロットの拳とターレスの蹴りがぶつかり合った。眼下に広がる森が一斉に揺らめくほどの突風と衝撃があたりを襲い、シロナは慌てて霊夢に掴まった。
両者は同時に後ろへ向かって飛び、空中をぐるりと回って再び激突する。両手を掴み合い、ギリギリと力を込めて押し合いを繰り広げる。
「ふん!」
ターレスの頭突きがカカロットに命中し、痛みに顔をしかめる。だがカカロットもターレスの腹に膝蹴りを当て、すると苦しみながらもにやりと笑い、その箇所を押さえた。
さらにカカロットのパンチが顔面にめり込み、そのまま吹っ飛ばされた。
「やるなカカロット!」
追いかけて追撃を喰らわせようとしているカカロットに向かっていき、喉元を蹴りつける。カカロットは激しくせき込み、その隙に腕を掴んで自分に引き寄せ、顔を殴る。
「ぐふ…!」
よろめくカカロットに一発のエネルギー弾を浴びせ、それを皮切りに次々と連続して気弾を放つ。
カカロットは地上へ向けて吹っ飛ばされるが、全身から衝撃波を発して踏みとどまる。
「『5倍』!!」
そして界王拳を5倍にまで高め、さらにアップしたスピードでターレスに向かう。
「まだまだその程度じゃあ俺の相手にはなれないぜ」
ターレスはカカロットの拳を手で受け止め、掴んだまま振り回して投げ飛ばした。しかし、カカロットはまたも空中で界王拳の倍率をさらに6倍にまで高め、その場で両手にエネルギーを溜め始める。
「む?何をするつもりだ…?」
「はあああああ…!!」
カカロットは両手に溜まった七色の気を合体させ、腰の横にまで手を引いてさらに気を大きくしていく。そして一気に両手を前に突き出し、捻じれるように回転する七色の巨大な気功波がターレスに向けて放たれた。
「『超華光玉』!!」
「ふん、馬鹿が…!コイツで終わりだ!『キルドライバー』!!」
だがターレスも両手で一つのエネルギー弾を作り出した。それは黄色く光っているがまわりに赤いオーラを纏っており、禍々しい。それをターレスが撃ちだすと、球状のまま飛んでいき、カカロットの華光玉とぶつかり合う。
「ぐ、ぐぐぐ…!!」
カカロットが力を込めるとキルドライバーは押されていくが、なおもターレスは余裕あり気にすぐに元に戻す。
「う…うわあああああ!!」
その直後にキルドライバーは大きく膨れ上がり、華光玉をぐんぐんと押していく。そしてついに、赤いエネルギーは完全に押し勝ち、カカロットに直撃してしまう。
強烈な衝撃と閃光、そして煙があたりを包み込み、ターレスはその爆心地へと飛び込んだ。中に倒れ込んでいたカカロットの腕を掴んで引っ張り出し、適当な地面に投げて降ろす。
「ハァ…ハァ…!」
「ははははは!これで俺と手を組む気になったか?」
「あ…あぁ…。お前をますますぶっ飛ばさなきゃなんねぇ気にはなったぜ!」
「なに!?」
カカロットはさらに大きな界王拳のオーラを纏い、素早く起き上がるとターレスの顔面を殴りつけた。ターレスは驚きながら吹っ飛ばされていく。
(ぐは…あ…!アレを喰らってまだ反撃する力が残っていたとは…流石はサイヤ人だ…!)
空中で回転し、態勢を立て直しながら無数のエネルギー弾を手の平から撃ちだす。カカロットはそれを一個ずつ殴って打ち消しながら飛行し、さらにスピードを高めてターレスの眼前にまで迫った。
ターレスは呆気にとられたように目を見開き、振り上げられるカカロットの拳を見ていることしかできなかった。
「『10倍』だ─ッ!!」
下ろされた拳がターレスの腹にめり込み、激しい痛みと苦しみに襲われながら前のめりに倒れようとする。だがカカロットはそれを許さず、膝で顔面を蹴って吹っ飛ばし、さらにその先へ移動し一発の気功波をぶつける。
「うわああ──!?」
(まずい…!カカロットのパワーがこれほどだったとは…!いっそ神精樹の種を植えてしまうか?いや…ここではまだ使えない…。ならば…!!)
ターレスは森の中へ落下し、そこを中心に大きな爆発とクレーターが形成された。
「ハァ…ハァ…!!」
カカロットは慣れないまま界王拳を10倍にまで高めた反動で、満足に体を動かせないまま落下し、何とか着地した。そこからクレーターの中を覗き込むと、ボロボロになったターレスがゆっくりと飛び上がって来た。
「少しは効いたぜ…」
本来ならば死んでもおかしくないほどの威力と戦闘力差であったが、カカロットがサイヤ人なら敵もまたサイヤ人。そのタフネスと頑丈さにおいてはターレスの方がカカロットを凌駕していると言っても過言ではない。
「カカロットよ、これが何だかわかるか?」
そう言ったターレスの右手の上には、白い光を放つ不思議なエネルギー弾が浮かんでいた。
「頑なに俺の仲間になることを拒むのは、きっと子供がいるからだろう?」
「…なんだそれは」
「本当は限られたエリート戦士にしか作れないパワーボールさ…炸裂させて星の酸素と混ぜ合わせることで満月の代わりになる。くっくっく…サイヤ人は子育てなどしない。親子同士の愛情もない!お前のガキともどもサイヤ人本来の姿に戻り、殺し合うがいい!」
「何だと?」
「ふん!」
ターレスは白い光の球を空高く投げ上げた。球は空に停滞し、淡い光を放っている。
「はじけてまざれ!!」
次の瞬間、球は眩いばかりの閃光を放つ。周囲を照らし、まるで太陽が二つになったかのようだ。
それを見てしまったカカロットは、すぐにその光が満月の月光と同じ波長を含むものであると気付いた。彼の尻尾が激しく揺れ、心臓の鼓動が大きくなるのがわかる。
「ぐ…ぐぐ…まさか…!!」
一方その頃、霊夢は徐々に気を回復させ、立ち上がって戦えるまでになっていた。が、そこにやって来たのはカカロットに撃退されたクラッシャーターレス軍団の姿だった。
「くっ…!」
霊夢は格闘の構えを取りながら警戒する。シロナはその後ろへ隠れ、ダイーズたちを怖がりながら見つめている。
「ふっふっふ…さっきのカカロットと一緒にいたガキか」
「ふ、ふん…来るなら来なさいよ…!」
「女…オレたちをナメるなよ」
ダイーズ、アモンド、カカオ、レズン、ラカセイはじりじりと霊夢に歩み寄る。
しかし、次の瞬間に彼らの目の前スレスレを一発の気功波がかすめていく。
「誰だ!?」
「久しぶりだな博麗霊夢…」
その間に降り立ったのは、あのウスターだった。
「ウスター!」
ウスターは白いマントを脱ぎ去り、気を放出する。
「おい、隻腕の女だぜ」
「何者か知らねぇが、すぐに沈めてやるぜぇ」
レズンとラカセイがそう言いながらウスターに挑みかかる。ウスターは造作もないような顔で双子のコンビネーションで繰り出される攻撃を次々と避け、二人はヤケになって気弾を放つ。
「喰らえ!『ジェミニショット』!!」
だがウスターはそれをクロスさせた両腕でガードし、煙に紛れて二人に接近するとまずレズンの腹を殴り、次にラカセイの頭を鷲掴みにし地面に叩きつける。
「コイツ…!戦闘力1万8000か…!!」
ダイーズがスカウターに表示されたウスターの戦闘力を見て驚いた。
「次は貴様らだ」
「くっ…!」
ウスターはダイーズに殴りかかり、強烈な気を纏った拳を顔面にヒットさせる。ダイーズは喰らいながらも素早く後ろへ下がるが、ウスターはそれを追う。
その隙に接近していたアモンドとカカオがダイーズに加勢し、三位一体の連携攻撃を仕掛けた。
「片腕では捌き切れまい!?」
「三人がかりで来るか…。だが俺は、腕よりも足が器用なんだ」
ウスターは空中にいるまま両足も加えて攻撃を防いでいく。汗を流し攻撃を激しくするアモンドだが、それによって生じたスキにウスターのつま先が首に当たり、白目を向いて気を失う。
「ヤロォ!」
「ンダ!」
怒るダイーズとカカオは同時にウスターに迫る。が、ヒュンと素早く上空へ回避すると、二人は互いに激突し、顔を真っ赤にはらしながら反発して吹っ飛んでいく。
「はッ!!」
ウスターが片手から二発気功波を放ち、それぞれを別の方向へ飛ばすと、ダイーズとカカオに命中し二人は勢いのままに爆発に巻き込まれた。
「こんなもんか」
「強いわねウスター!」
しかし、霊夢がそう言った瞬間、空から眩い光が射しこんだ。
「なに?この光は…」
それを見てしまったシロナもまた、異変をきたしてしまう…。心臓の鼓動が激しくなり、尻尾の毛が真っ赤に染まる。全身から紅い霊力を放出し、口から牙を覗かせる。
「き…あ…!!」
「シロナ!?どうしたの!?」
普通の大猿化とは違う、シロナに訪れた変化は一体…?
おかげさまで100話まで続けられました。これもお気に入り登録や評価をしてしてくださった皆様のおかげです。
…いや、正直1話の投稿前にプロットを考えた時点で「きっと130話はいくな」と思ってました。
それと、第1話をもう一度見ていただくと、実はターレスは第1話で既に登場しています。そして、名前は伏せられてますが登場したサイヤ人が一名、名前のみ登場のサイヤ人が一名…果たして彼らも再登場するのでしょうか…