もしもカカロットが幻想郷に落ちていたら   作:ねっぷう

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第102話 「語られる激神フリーザ!」

「時はお前が生まれた時にさかのぼる」

 

ターレスはその昔、カカロットが生まれた直後、サイヤ人とフリーザとの間に起きた出来事を語り始める。

 

 

カカロットの父親、バーダックは自らが治療を受けている最中、仲間が一足先に次の侵略先の惑星へ飛び立ったことを知らされて自分も急いでその星へ向かった。

しかし、そこで見た光景は、自分たちを雇って使っていたフリーザの部下たちが仲間を皆殺しにしている光景だった。バーダックはすぐにフリーザの部下たちと戦うが、やがて力尽きてしまう。だが一命だけはとりとめたバーダックはフリーザの真意を確かめるため、急いで惑星ベジータへと帰還するのだった。

 

「ん…?」

 

バーダックの乗る宇宙ポッドが惑星ベジータへと近づいている頃、彼はもう一つのポッドとすれ違う。バーダックは直感的に、それがターレスが言った通り地球という惑星へ送られるカカロットであると気が付いた。

やがて惑星ベジータの着陸場にポッドは降り立ち、バーダックはよろよろと這い出した。全身から血が流れ出ていて、普通ならば死んでもおかしくないダメージを負っていた。

 

「惜しかったな、バーダック!」

 

フリーザの手下である、サイヤ人ではない異星人の兵士がそう話しかけた。

 

「たった今お前の息子が地球へ送られたところだ。その傷が治ったら会いに行ってやったらどうだ?それにしてもお前ほどの戦士がそれだけの傷を負うなんて…確か、ミート星に行ったんじゃ…」

 

その時、バーダックは駆け寄る仲間を振り払って駆けだし、建物の中へ入っていった。

息を切らし、壁に手を突きながら通路を歩いていく。フリーザは本当にこの惑星ベジータごとサイヤ人を滅ぼすつもりだ…。

バーダックは不思議な幻に悩まされており、それが真実だとすれば…!

 

「許せねぇ…ヤツだけは…この俺の手で…!」

 

階段で転び、さらにおびただしい量の血で床を染めながらも、気力で肉体を奮い立たせ、サイヤ人が集まっている酒場へ向かう。

 

「なんだ!?バーダックじゃねえか!どうしたんだ?」

 

血だらけで姿を現したバーダックを見て、サイヤ人たちは驚きの視線を向ける。

 

「おめぇら…俺と一緒に来い…フリーザを倒すんだ…!」

 

「はぁ?何言ってるんだお前?」

 

「俺を信じろ…トーマたちも殺された…フリーザは俺達サイヤ人とこの星を消すつもりだ…」

 

しかし、バーダックに返って来たのは嘲笑の笑いだけだった。

 

「ギャハハハハ!おいおいしっかりしろよバーダック、フリーザ様がそんなことするはずないだろ!」

 

「…もういい!テメェら全員地獄に落ちろォ!!」

 

バーダックはそう吐き捨てると、酒場を飛び出して再び階段を駆け上がる。

すると、いつの間にか周りの景色が見た事もない場所に変わっていた。まただ…またこの幻だ。そう思いながら後ろを振り返ると、そこには髪型や雰囲気が自分そっくりな男が背を向けていた。

 

「カカロット…!」

 

しかし、手を伸ばしてももう届かない。

 

「バーダック…!おいバーダック!!」

 

「は…!」

 

肩を叩かれ、名前を呼ばれているのに気付いたバーダックは我に返る。前に伸ばした手の先には、自分とそっくりなサイヤ人戦士、ターレスが怪訝な表情を浮かべながら立っていた。

 

「よう、随分派手にやられたみたいだな。しかも頭がイカれたか?俺をお前のガキと間違えるとはな」

 

「ターレスか…!お前だけでもいい…急いでこの星から逃げろ!」

 

「あぁ?何を言って…たった今フリーザから帰還命令が来て帰ってきたところなんだぞ」

 

「フリーザはこの惑星ベジータごとサイヤ人を滅ぼすつもりだ!だからまとめて殺すために帰還命令をよこしたんだ」

 

「何だと?」

 

「俺を信じろターレス…!お前はプライドが無いからどんな手を使ってでも生き延びて強くなることができる…だから俺が死んだら代わりにフリーザをぶっ殺せ…!」

 

「言っていることがてんでわからんが…俺は自分の命が一番惜しい…たとえお前の言うことがホラでも俺はマジになって逃げるぜ」

 

「それでいい…。そしてもう一つ頼みがある…」

 

「なんだ?」

 

「もしもお前がフリーザと戦う時が来れば…カカロットも戦わせろ」

 

「カカロットだと?確かもう地球へ飛ばされたはずだが」

 

「地球へ行って連れていくんだ…お前は弱くて嫌いだが、ガキの頃からのよしみとしてだ…」

 

「…わかった」

 

ターレスは階段を上っていくバーダックの背中を見送りながら、適当な白い布をマントのようにして身に纏い姿を隠すと、空いている小型ポッドに乗り込み急いで星から脱出した。

丁度宇宙へ到達した時、すぐ近くに浮かぶフリーザの宇宙船と、たった一人でそこへ向かうバーダックの姿が見えたが…やがて惑星ベジータが消滅する様に総てをかき消された。

 

「フリーザ…!いつか必ずテメェの天下を終わらせてやる…!」

 

 

 

 

 

「俺のオヤジが…」

 

「その後、俺はしばらく生き残ったサイヤ人兵士としてヤツの下についていたがじきに侵略先の星での戦死を装い行方をくらませた。そこで俺はあの子分共を仲間に引き入れたんだ」

 

「他に誰が生きてるんだ?」

 

「フリーザ軍に所属しているのは王の息子のベジータ王子とその側近のナッパ、そしてラディッツという男はお前の兄貴だ」

 

「俺の兄貴だって?」

 

「カカロットにも兄がいたのね…そりゃ当然か」

 

横で話を聞いていた霊夢が驚いた反応を取る。

 

「あとは辺境の惑星に居たのを発見したはぐれサイヤ人の親子か。お前を加えればサイヤ人は7人いることになるが…それでも他に強い仲間が欲しい。最低でもフリーザ軍最下級の兵士共を無数に相手に出来るレベルのヤツだ」

 

「それならここに適任がいるだろう?」

 

ウスターがニヤリと笑いながら自分を指差した。

 

「俺の軍団を倒せるほどの奴だ…十分すぎるレベルだ。他には居ないのか?」

 

カカロットはちらりと霊夢の方を見るが、霊夢はそれに気付くと首を横に振った。

 

「私は遠慮しておくわ。カカロットが宇宙へ行くんだったらシロナの面倒は私が見ないといけないし、私は博麗の巫女だから幻想郷を離れることはできないもの」

 

「他には…天龍と美鈴はどうだ?今でも修行を続けてるはずだろ?」

 

「そうね…話だけでもしてみましょうか」

 

「ところでフリーザってのは具体的にどれぐらい強いんだ?」

 

カカロットはターレスにそう尋ねた。

 

「そうだな…俺の見立てでは恐らく戦闘力にして50万以上は確実にある」

 

「50万…!」

 

カカロットはフリーザの圧倒的な戦闘力を聞いて驚いた。ターレスに言われた通り自分の戦闘力が3万とするならば、あの肉体に負担がかかり過ぎ今でも全身がつったように痛む10倍界王拳を使用してもまだ敵わない。

 

「そうだ…絶対にナメてはかかれない。だがヤツは徒党を組んだ俺たちサイヤ人を怖れていた…!近々、地球へ二人のサイヤ人がやって来る予定だ…なのでソイツらも仲間に引き入れる」

 

本当にあと数名のサイヤ人でそのフリーザを倒せるのだろうかと不安であったが、ヤツ自身が畏れていた徒党を組んだサイヤ人…それが現実となりつつある。ターレスがそう言うくらいなのだから勝算はあるのだろう。

 

「俺の計算では明後日には地球にやって来るはずだ。それまでの間、俺はゆっくりと傷を癒すとするぜ」

 

「…んで、結局のところアンタは行くの?」

 

霊夢はそうカカロットに尋ねた。カカロットは顎に手を当て、少し間を置いてから答えた。

 

「俺ァ、今までこう思ってた…周りに同族や仲間がいない、それはつまり俺はこの世で唯一無二の存在だと。だが実際にはサイヤ人は数多く存在していて、それをフリーザが絶滅させた…。俺は…サイヤ人の行く末を見てみてぇ。見事フリーザを討ち取るのか、それとも返り討ちで本当に死滅か…。だがもちろん負けるつもりはねぇ…ターレスの言う通りいずれこの地球にもフリーザの毒牙がかかるっていうなら、シロナの為にもだ」

 

それを聞いたターレスはにやりと笑う。

 

(見てるかバーダック…!お前の息子は本物だった…!!)

 

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