「おーい!連れてきたぞ」
神殿にいたピッコロとターレスの元へカカロットが幻想郷から戻ってくる。その後ろにはシュネックもいて、それを見たピッコロは妙な顔をしてシュネックと目を合わせた。
「…まさかこんな形で再び会えるとは思わなかった…我が弟よ」
シュネックはピッコロに対してそう言った。
「お、弟!?」
「覚えているか?500年も前、ナメック星は天変地異と異常気象に襲われた。そこで、父『カタッツ』はこのわし、シュネックと生まれたばかりでまだ名も決められていない弟を宇宙船へ乗せ、どこか住めそうな惑星へと放った。辿りついたのはこの地球で、わしら兄弟は着陸の際に事故に遭い離れ離れになった…」
それに対し、ピッコロも口を開く。
「私は、気が付いたら一人でそこにいて、いつか来るはずの親をひたすら待っていた」
ピッコロは同化した神の記憶をたどっている。
「だがいくら待っても来なかったのでこの地球を見て回り、やがて神となった。その時に分離した悪の心は大魔王となって人間を苦しめたが、こうして二人はもう一度融合し、ひとりへと戻った」
「まさか記憶を失っていたとは…。しかし、お前が地球の神にまでなっていたとは驚いた。いや…驚きましたぞ」
「バカものが!誰が神か!!」
しかし、ピッコロは突然声を荒げ、口の端を耳まで釣り上げて邪悪な笑みを浮かべる。
「この私はいまや神の知識と超能力を持つ大魔王だ!既に8つの国が滅び、世界の人口は以前の7割にまで減少した…誰も俺を正す事などできないのだ」
『いいや、お前は正しくなれる。何故なら、お前は何が悪であるかをちゃんと理解しておるからだ』
口ではそう言うピッコロだが、融合前に神から言われた言葉が脳裏をよぎる。確かに、ピッコロは地球に襲い来るサイヤ人と戦い、結果的に地球人類を救った。しかし、本人のその本質や力は悪のまま。その矛盾に心のどこかでピッコロは気付いているのかもしれない。
「…つまり、今の私にとってお前が兄であろうがなかろうがどうでもいいという事だ。過去の記憶とやらにもな」
「そ、そうか…まあお主に何があったのかは分からん…本当ならわしとほとんど変わらないはずの歳も、かなり若いしな…」
「話してるところわるいんだけど」
その時、ピッコロとシュネックの間にブルマが割り込んできた。
「アンタ、さっきは戦いの後ドラゴンボールを作り直してやるって言ってたわよね?」
ピッコロはドラゴンボールの神龍に若返らせてくれるよう願った後、後に自分の存在が危ぶまれるような願いを恐れて神龍を殺してボールを使えなくしてしまった。
「む…実はあの時はそう言ったものの…どうしても神の記憶をたどってもドラゴンボールの作り方がわからんのだ」
「はぁ?うそでしょ?」
呆れるブルマ。
「ほう、お前もドラゴンボールを作っていたとはな。ナメック星にあるものと比べると小さいし願いの力も弱いがな」
「だったらシュネックさん…だっけ?あなたがピッコロにドラゴンボールの作り方を教えてやんなさいよ」
「すまないがわしの工法で作ったドラゴンボールは不完全なのじゃ。たまたま完成したのが幻想郷のドラゴンボールで、二度と同じものは作れんじゃろう」
「そんな…」
「ではお前もナメック星へ行き作り方を学んできたらどうじゃ?もうナメック星人は…もしかしたら死滅してしまっているかもしれんが作り方の資料くらいは残っているだろう」
「わ、私がわざわざ出向くのか!?」
「自分が後で作るってやるって言ったんでしょ!!」
ブルマが大声でピッコロにそう言い放つ。
「う、うむ…では仕方ない…おい、ターレスとやら…この私もナメック星へ連れていけ!」
一方その頃、シュネックをターレスやピッコロの元へ連れてきたカカロットは、すぐに神殿内の別の通路へ移動し、実の兄であるラディッツと顔を合わせていた。
「お前、俺の兄貴なんだってな」
「…カカロットか。やはり親父にそっくりだな。俺はお前を仲間に入れたくて地球へやって来たんだがあのピッコロとかいう緑にやられてな…」
「だろうと思ったぜ。ちなみに目的は?」
「当時の次の侵略先がちょいと厳しそうだったんで、昔に地球へ送られたお前を思い出したんだ」
「へへっ、ターレスと同じだったって訳か。ヤツから聞かされただろ?オヤジの最期」
「ああ、聞いたさ。サイヤ人にも意地がある…フリーザの野郎にはその恐ろしさを味わわせてやらんと」
「おい兄貴」
カカロットはラディッツをそう呼ぶと、その直後にラディッツへ向けて拳を放った。突然のパンチに驚くラディッツだが、拳は顔面まであと数ミリのところで静止した。
「挨拶だ」
「ふっ…」
ラディッツも不敵に笑うと、同じようにカカロットへ向けて拳を放つ。が、ラディッツはカカロットの様に寸前で止めることはせず、そのままカカロットの鼻面へ命中させた。
「いってぇ!」
「はははは!兄に対してなめた挨拶をするからだ!」
「へへ…」
神殿の上にターレスとその軍団に加わった全員、そして関わった者が一堂に集まった。まずターレスをはじめ、アモンド、ダイーズ、カカオ、レズンとラカセイ…。カカロット、ウスター、天龍、美鈴…そしてナッパとラディッツ、パラガスとブロリーに、最後にピッコロ大魔王。
ブルマはピッコロから戦力外通告を受け、地球でしぶしぶ待機、シュネックも同様に幻想郷で彼らの帰りを待つだけだ。
「よしよし…お前たちは今から俺のクラッシャー軍団の一員だ。気ままに宇宙を流離って好きな星を荒らしてぶっ壊し、美味い食い物や美味い酒に酔う…こんなたのしい生活は無いぜ。だがそれもそう続けられなくなって来た。帝王フリーザが宇宙に存在する限りな。だから今度はフリーザをぶっ壊すことにした。俺達サイヤ人はよそへ上がりこんで好き勝手暴れていくのは得意なんでな…」
ターレスの演説もあってか、皆の決意は固まった。カカロットたちは初めての宇宙ということもあってか、まだ見ぬ強敵に対して闘争心を湧き上がらせていた。
「では出発…と行きたいところだが、実はこの宇宙船はもう定員オーバーなんだ」
「じゃあどうするんだ?」
「ピッコロから聞いたんだが、どうやら昔地球へやってきた時に乗って来たナメック星人の宇宙船があるらしい。ソイツを持ってきてもらう」
「使える状態ならあたしが整備するわ。まあ最低でも数日はかかるかもしれないけど、そうしないとピッコロがナメック星でドラゴンボールの作り方を聞いて来れないから」
確かに、500年前の宇宙船でその間ずっと放置されているとすればかなり劣化が進んでいる可能性もある。ブルマはメカニックにも強いのでその役を買って出た。
ピッコロは自らの宇宙船を持って運び、ブルマは西の都という場所にあるカプセルコーポレーションという大会社を経営する自宅へ戻り、父親のブリーフ博士や社員の研究員たちとピッコロが乗って来たという宇宙船の改造と整備を始めた。
「外観は…金属でもプラスチックでもない、地球に存在しない物質でできているのかも…」
「入口の扉を開けるときはこう唱えるのだ。『ピッコロ』と」
一緒に見ていたピッコロがそう言うと、四本の足の間、腹部に当たる場所が開いて床が降りてきた。
「す、すごい…」
宇宙船の改造に取り掛かるブルマたちを見ていたカカロットは、横にいたターレスに話しかける。
「なぁ、頼みがあるんだが…アンタの宇宙船も改造させてもらってもいいか?」
「なんだと?何故だ?」
「そのナメック星でフリーザと戦うまでに俺はもっと強くならなくちゃいけねぇ…手っ取り早く修行できる環境として重力を何倍にも増やすんだ。そう言う機能をあの博士たちに頼んで乗せてもらう事ってできるかな?」
「…くっくっく、面白い。いいだろう、頼んでみろ」
─そしていよいよ出発の日…。
「つい先ほど情報屋から連絡が届いた!やはりフリーザは今、ナメック星へ向けて出発の準備をしているそうだ」
「やっぱりか…」
「まずはその改良したナメック星人の宇宙船でお前たちがいく」
ターレスは元からいたクラッシャー軍団のアモンドたち5名を指差した。
「そして紅美鈴と豹牙天龍…だったか?お前たちとピッコロも一緒に行け」
「なに?」
ピッコロが怪訝そうな顔で呟いた。
「まずピッコロが先にナメック星へ行った方が現地の住民は後に来る俺たちを信用するだろう。そして、幻想郷からの二人は比較的戦闘力が低いが、気を感知し気を消す技術を有している。だからアモンド達はナメック星到着までの間に二人からその技術を学ぶんだ。要は、お前たちは気を消しながらナメック星へ潜伏し、ピッコロを介して原住民の信頼を得るんだ」
「お、俺たちがか…」
天龍と美鈴は顔を合わせて不安そうな顔をする。
「そういうことなら任せてくだっせい」
「おいお前ら、俺たちがお前らに物を教わるなど癪な事だが、この際は大人しく聞いてやる。分かりやすいようにしろよな」
「ンダ」
アモンドやダイーズたちも了承した様子を見せる。
「それじゃあさっそく出発しろ。俺たちは後から行く」
第一陣は内部の動力や機構などはそのままに外観と内観だけを広くしたピッコロの宇宙船に乗り込んだ。入り口が閉まり、いよいよ出発の合図を送る。
「出発5秒前、目的地ナメック星へ」
ピッコロがそう言うと、時間通りに宇宙船は突然空高く上昇し、一瞬で見えなくなった。
いよいよ、打倒帝王フリーザのために、サイヤ人、ナメック星人、地球人、妖怪、魔人…様々な種族の入り混じった新たな壊し屋軍団が旅立ったのだった…。