もしもカカロットが幻想郷に落ちていたら   作:ねっぷう

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第108話 「惑星コーグの侵略者!」

「さて…とりあえず一番近くの文明がありそうな惑星へ不時着したわけだが…」

 

ナメック星へ向かうターレス一行は宇宙船の不調を感じ、近場の惑星に不時着していた。ここは森林のはずれにある草原のようで、宇宙船の足が擦れたわだちの跡が出来上がっている以外はのどかな雰囲気の場所だ。

 

「パラガス様、どうやら下部の装甲を止める金具が外れて内部の配線が少し剥き出しになってしまっているようですじゃ。ここまま航行を続けていればいずれ全ての装甲が剥がれ落ち船が崩壊するところでしたな」

 

パラガスが連れてきたタコ科学者がそう報告した。

 

「そうか…ご苦労だ科学者」

 

「おーい、どうやらだいぶ向こうに街があるようだぜ」

 

偵察に向かっていたラディッツとナッパが全身に白いオーラを纏いながら飛んできてそう言った。

 

「そうか、でかした」

 

ターレスがそう言った。

 

「仕方がない…町で部品を探しに行ってもらうか…」

 

パラガスは周りにいるターレスたちをざっと見渡す。

ナッパとラディッツは…下手な事されたら暴れてトラブルになりそうであるし、ターレスも同じだ。ウスターという戦士も得体が知れないし、とすれば残りは何度か話した限り最も常識を持っていそうなのは…。

 

「カカロット、私とブロリーと一緒に部品の買い出しに来てくれないか?」

 

「俺か?」

 

「そうだ。ターレス氏たちはここで待っていていただけるかな?」

 

「まあいいが…」

 

「では行こうか」

 

パラガスとブロリー、そしてカカロットは宇宙船の部品を探しに街へ出かけるのだった。

1時間ほど高速で空を飛ぶと、ラディッツの言った通り大きな街が現れた。ビルや大きな店が立ち並んでおり、かなり高度な文明を持っている星だったようだ。

3人で街を散策しているとき、カカロットはふとパラガスに尋ねた。

 

「パラガスさんよ…アンタとブロリーは兄貴やナッパ達と違ってその…何て言うか、丁寧なんだな」

 

「…私たち親子は、星を渡り歩いて生きていた…つまり長く生きるためには紳士的にふるまうという事を学習しただけのサイヤ人だよ」

 

「ふーん…」

 

「…少し、話しておく必要がありそうだな…バーダックの息子よ」

 

「アンタも俺のオヤジを知ってたのか?」

 

「もちろんだ。私はバーダックのチームで戦っていたからな。ちょうどブロリーが生まれそうだというので戦線から退いていたがな…バーダックからは息子の誕生に立ち会うサイヤ人の男など変わっていると言われたがね」

 

「オヤジはどんな男だった?」

 

「そうだな…決して”良い奴”とは言えないが、何か強い芯のようなものがあって…そう、ちょうど君のような男だった」

 

「…へぇ。それと、なんでアンタたちはターレスの仲間に?フリーザが嫌いなのか?それとも脅されたのか?」

 

「そのどちらでもない。ベジータ王子に復讐するためだ」

 

「ベジータ王子って…確か俺たちと同じサイヤ人の生き残りの…。一体どうして?」

 

「ふっ…実を言うとこのブロリーは今じゃこうだが、とんでもない戦闘力を持って生まれたのだ…それを危険視したベジータ王は私たち親子の抹殺を計った!ゴミのように捨てられた私とブロリーだったが、ちょうどその時フリーザの惑星破壊攻撃が放たれた。その時だった…ブロリーは驚異的な潜在能力を解放し、私と自らを星の爆発から守ったのだ」

 

「ブロリーがか?」

 

カカロットはチラリとブロリーを見る。

 

「その話は自分でも信じられない。全く記憶にないし、俺自身そんな力を持っていたとは思えない」

 

「…俺もそう思う」

 

「その時から私は、ベジータに復讐するために生きてきたのだからな」

 

「復讐…だと?」

 

「あのターレスはいずれベジータ王子も仲間に引き込むと言っていた。そこを狙おうとしているという訳だ」

 

「ふーん…」

 

「親父…要らないことまで喋るな」

 

「いや…アンタら親子は今のところそこまで悪人じゃなさそうだ。もしベジータって奴が気に入らない奴だったら俺も一緒に一発ぶん殴るくらいはやってやるよ」

 

「…そうか、楽しみだ。おや、あそこに売っていそうだな」

 

その時、パラガスはメカのパーツが取り揃えてありそうな売り場を発見した。さっそくそこへ向かい、仕事をしていた店員に話しかける。

 

「ちょっといいかな?宇宙船の装甲に使えそうな金属板なんてあるかね」

 

「ああ、もしかして宇宙旅行者の方ですか?そうでしたらもちろんございますよ。この惑星コーグは機械業で栄えた星ですから」

 

「ほう、この星は惑星コーグというのかね」

 

「ええ、かつて星を支配していたコーグ王に由来するらしいです」

 

「へぇ…。…!?」

 

その時だった。カカロットは頭上に何か丸い物体が飛んでいるのに気が付いた。不思議に思って目を凝らすと、さらに次の瞬間には物体は急に増え、一瞬にして100は越えようかという数にまで達した。

 

「なんだありゃ!」

 

「む?」

 

カカロットの声を聴いたパラガスとブロリーも上を見上げる。

 

「あ…あ…奴らが来た…!」

 

店員が後ずさりながらそう呟いた。

 

「奴ら?」

 

「逃げろぉー!!」

 

街を歩いていた人々が慌てて逃げ惑い、そこらかしこでサイレンのような音が鳴り響く。

すると、頭上を飛行する物体は突然レーザー光線を発射し、それを街に着弾させて大きな爆発を起こした。カカロットたちが見ようとしていた店が消し飛び、足元に焼け焦げた製品が落ちて来る。

 

「くっ…何しやがんだ!」

 

怒ったカカロットは勢いよく空へ飛びあがり、丸い物体に突撃していく。

接近すると、その丸い物体は全体的に紫色をしていて、赤い横状のライトの目を持ち、後部から尻尾のような部位が伸びていることが分かる。まるでロボットのようだ。

丸いロボットはカカロットを確認すると一斉にそちらへ目を向け、内部に格納されていた武装も兼ねた細長い手足を露わにし、無数の弾丸を放った。

 

「当たるか!」

 

カカロットは高速で飛行し弾丸の雨を避ける。そしてロボットに向けてエネルギー弾を命中させ爆発を起こす。

ロボットの数体が粉々に吹っ飛ばされ破片が飛び散ってゆく。

 

「ギギギル…敵ダ!殲滅セヨ!殲滅セヨ!」

 

100体以上ものロボットが両手から弾丸を放ち、カカロットを襲う。

 

「くそ…弾幕が厚すぎる…攻撃できん!」

 

先ほどのようにエネルギー弾を投げてもまるで壁のようにも見える弾丸の前には簡単に弾かれてしまう。

しかしその時、下から飛んできた別の影が現れた。

 

「ヘヤアッ!!」

 

ブロリーだ。ブロリーが全身にバリアーを纏い、弾丸を突っ切ってロボットに体当たりを喰らわせた。さらにブロリーの介入によってできた弾幕の隙間から、パラガスが強力なエネルギー光線を撃ちこんで炸裂させた。

 

「カカロット、コイツらは何だ?」

 

ブロリーがカカロットと背中を合わせながらそう言った。

 

「俺が知るか…!だが、この数じゃあ三人がかりでもやられてしまうぞ」

 

カカロットの言う通り、パラガスとブロリーが加わったとしても既に周囲を取り囲うロボットたちに対して有利に戦うことはできないだろう。

 

「ギギギギル!」

 

ロボットたちが一斉に腕を向け、弾丸を放つ用意をする。

 

「『ドリルナックル』!!」

 

その時だった。今度は聞き覚えのない声が響き、次の瞬間、ロボットたちが次々と爆発を起こしながら破壊されていく。その中心に居るのは、青い肌で金髪をオールバックにした人相の悪い厳つい男だった。その右手に強力な気を纏っており、それはまるでドリルのように螺旋状に渦を巻いて回転している。そのドリルの腕を前にかざしながら空中を自在に飛び回り、どんどんロボットを撃破していく。

 

「テ、撤退!撤退スル!」

 

ロボットの集団は多くの仲間を失った事により慌てた様子でどこかへ消え去ろうとする。

 

「させるか!」

 

ドリル男はそう叫ぶと片手の上に巨大なエネルギー弾を作り出し、それを投げる。逃げようとするロボットたちを包み込み、跡形もなく消し去った。

 

「この惑星コーグは貴様らには渡さん」

 

「アンタすげぇんだな」

 

カカロットはドリル男に話しかける。

 

「む…お前たちは旅行者か?だったら今すぐこの星から出ていくことをすすめる。何故ならば、今この惑星コーグは先ほどのような侵略者に狙われているからだ」

 

「さっきのヤツらか…その侵略者とやらも気になるが、お前も相当な強さだったぜ」

 

「…俺はリルド。かつてこの星を治めていたが失脚したコーグ王の子孫だ。今はこの星を密かに守っている」

 

「侵略者と言ってもロボットのようだったが、彼らは一体?」

 

パラガスがリルドと名乗った金髪の男にそう尋ねた。

 

「…奴らは少し前からこの星に襲撃を繰り返しているマシンミュータント…通称M2軍団だ」

 

「マシン…ミュータント?」

 

カカロットは首をかしげる。

 

「機械製であるがまるで生きているかのように思考し、動く。奴らが自らをそう呼んでいた」

 

「いわゆる人工知能、つまりAIのような物だな。しかしそれでもあれほどまでに統率された動きを見せるとは…もしかすれば、あれを作り出している者…つまり奴らの親玉が居るのかもしれないな」

 

パラガスの見解を聞いて、リルドが上を見上げる。

 

「うむ…それは俺も考えていたが、どうにも見つけることができないのだ。もしかしたら、奴らにも母星の様なものが存在しそこから飛来して来ているのかもしれないが」

 

話に加われないブロリーとカカロットが互いに目を合わせた。正直、パラガスとリルドの口から発せられる言葉を聞いていると耳が痛い。

 

「親父…とにかく、そのマシンミュータント共が居てはこの星で宇宙船を材料を調達することもできない。俺たちで協力し侵略者を倒してやらないか」

 

「それ賛成、サイヤ人の血が騒ぐぜ」

 

「本当か?だとしたら…アレにも勝てるかもしれんな」

 

「アレ?」

 

「ああ…さっきの紫色のM2は量産型の戦闘ロボで、それを統率するデカいのがいる。それには俺の実力をもってしても敵わないが、お前たちの力があれば勝てるかもしれんという事だ」

 

リルドがそう言ったその時だった。空で雷鳴のような轟音が響き渡った。カカロットは思わず耳を塞ぎ、リルドが上を見上げて冷や汗をかく。

上空には巨大なマシンミュータントが雲をかき分けて浮かんでおり、カカロットやリルドたちを見下ろしていた。形状は先ほどの量産型M2と同系統だが赤いボディを持ち、カカロットはかつてのドクターウィローを連想したが、腕は人間のそれのように強化されている。

 

「あれが統率するデカいのか?」

 

「ああ…このタイミングでやってくるとは…!」

 

巨大M2は片腕を振るうと、周囲に現れた量産型M2に指示を出す。

 

「戦闘データ、送信完了。行ケ」

 

カカロットは向かってくる量産型M2を殴りつけ、次々と破壊していく。ブロリーとパラガスも一斉に無数の細かいエネルギー弾を撃ちこみ、その装甲を爆発させて倒していく。

しかし、彼らの統率された動きは先ほどとは違い、まるでカカロットたちの動きを完全に理解し、立ち回りを変えて対応しているように見えた。その結果は目に見えて現れ始め、先ほどの戦闘では上手くいった攻撃も通用しにくくなってきている。

 

「おい、どうなってるんだ!」

 

「これだ…これがあるから俺はコイツに勝てない」

 

リルドが悔しそうに歯を食いしばりながらそう言った。

 

「コイツがそばにいる限り、こちらの動きを見て学び、それをデータとして量産型M2へ送信する。つまり過去に行った全ての攻撃や動きが、ヤツが居る限り通用しない。大方、お前たちの反応を感じ取りそのデータを取りにわざわざやってきたのだろうな、親玉はよほどお前たちに興味があるらしい」

 

ブロリーは量産型M2に殴りかかるが、敵はそれを躱し、数体で突撃しブロリーを押しつぶすかのように圧力をかける。

 

「ぐっ…!」

 

「ブロリー!…ぐわァ!!」

 

それに気を取られたパラガスの背中にビーム光線が命中し、煙を上げながら落ちていく。

さらに司令を出している巨大M2までもが戦闘に加わり、両腕の手の平から高威力のエネルギー弾を飛ばしてリルドとカカロットを狙う。

 

「うおっ!」

 

なんとかそれを避けるが、次の瞬間、巨大M2の腕が胴体から分離しロケットの様に飛んで二人へ向かう。咄嗟の不意打ちに反応できず、二人は巨大な腕に掴まれてしまう。

腕は猛烈なパワーで二人を締め上げ、苦痛に声を上げる。

 

「ぐ…おお…!」

 

「むぐぐ…!なぁオイ、過去に行った全ての攻撃が通用しないって言ったな…?」

 

「ああ…!」

 

「だったら、コイツ等の目に物を見せてやる!」

 

カカロットは不敵ににやりと笑いながら全身に気を込めた。

 

「ぜやァ───ッ!!」

 

その全身に赤いオーラを纏い、絞めつけていた腕を内側から気を放出して木っ端みじんに破壊する。

 

「3倍界王拳!!」

 

そのまま高速で飛び、リルドを拘束しているもう片方の腕にぶつかり、それすらも壊してしまう。カカロットの後ろには赤いオーラが流星のように尾を引いており、そのスピードはリルドですら読むことができなかった。

さらに続けて巨大M2の本体に接近し、そのボディを思いきり殴りつけた。するとその箇所に穴が開き、バチバチと電流が漏れる。その巨体が後ろへ向けて吹っ飛ばされ、カカロットはすぐにその軌道の先へまわり、蹴ってリルドの方へ飛ばしてしまう。

 

「今だ!お前がトドメを刺せ!」

 

「…う、うむ!!」

 

リルドは向かってくる巨大M2を睨みつけると、両腕を上に向け、そこに螺旋状の気を纏わせてドリルを形成する。両手でふたつ作ったドリルが融合し、さらに大きなドリルへと変化する。

 

「『ギガドリルスマッシュ』!!」

 

その切っ先を巨大M2に向けながら飛び立ち、その身体を貫いた!

巨大M2の胸部に巨大な穴が開き、やがて錆びついたように動かなくなり、下の地面へと落ちていった…。

司令塔を失った量産型M2はとたんに動きが乱れる。カカロットは指先から細かいエネルギー弾を放ち、残りのM2を全て撃破した。

 

「やったな」

 

「ああ…俺だけでは絶対に敵わなかった。感謝する」

 

「どうやら終わったようだな」

 

そこでボロボロのブロリーとパラガスがやってくる。

 

 

 

 

「すまんが俺はお前たちと一緒に戦うことはできない」

 

「なんでだ?」

 

リルドから宇宙船の周囲に必要な部品を譲り受けたカカロットたちは、かなりの戦闘力を誇っていたリルドを仲間にならないかと誘ったが、リルドは首を横に振った。

 

「さっきのM2を撃破しても敵は完全に沈黙したわけではない。また新しい軍勢がこの星にやって来るだろう。俺はコーグ王家の末裔として、この星を守らねばならんからな」

 

「まぁ、無理にとはいわねぇがな」

 

「だが…いつか恩を返したいとは思っている。また会おう」

 

リルドはそう言うと、空の向こうへと飛び立ち、消えていった。

丁度その時、ラディッツとナッパがこちらへ飛んできた。

 

「おそいぞ貴様ら!」

 

「そうだぜ、いったいなにをしてやがった?」

 

「悪いな、色々あったもんでよ。なぁ?」

 

カカロットがブロリーに目線を送ると、ブロリーは微笑みながら頷いた。

 

「お前たち、ちょっと目を離したすきに打ち解けたようだな」

 

 

パラガスと科学者の手で宇宙船の修理を終えたターレス一行は、惑星コーグを後にするのだった。

まだまだナメック星への道は長い…!

 

 




お待たせしました…なかなか書く時間が取れなくて…

次回はいよいよピッコロや美鈴サイドがナメック星へ到着します。
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