もしもカカロットが幻想郷に落ちていたら   作:ねっぷう

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第116話 「最長老のもとへ急げ!」

その頃、天龍と美鈴、そしてダイーズを追っていったはずのドドリアの帰りを待ち続けていたフリーザ、ザーボン、そして生き残った兵士のひとり。しかし、さすがにフリーザもしびれを切らし始め、表情に不機嫌さが浮かんできたのを見計らってザーボンが口を開く。

 

「あまりにも遅すぎますね、ドドリアのやつ…まだあのおかしな連中を追っているのでしょうか…」

 

「もういいです。あんな雑魚どもを捕まえられないようなバカはほうっておきましょう。それより残り2個のドラゴンボールを探してきてください」

 

「はっ、わかりました!残った村を探せばかならずドラゴンボールがあるはずです」

 

「ふたりで探せば村ぐらい何とか見つけられるでしょう」

 

「じゃあ私はこの5個のドラゴンボールを持って宇宙船で待っていますからね」

 

ザーボンと兵士は持っていたドラゴンボールをフリーザのそばへ置いた。

 

「たのみますよ、あと2個で私の願いが叶うんですからね」

 

ふたりは空へ飛びあがる。そしてザーボンは兵士に命令を下す。

 

「お前は向こうを探せ。もし村を見つけたら手を出さず私に知らせろ。お前じゃ強いナメック星人が居た場合手に負えない。とりあえず、3時間後に宇宙船で落ち合おう」

 

「了解しました!」

 

フリーザはふたりが別々の方向へ向かっていったのを確認すると、目から放つ念力によって5個のボールを宙に浮かばせ、自分の周囲に並べる。

 

「もしかすると、すでにベジータが見つけているかもしれませんね…。だとしても私の持つボールを狙って必ずやって来るはず…それもそれで探す手間が省けていいかもしれませんね。ベジータがこの5個を狙って来たら返り討ちにし、残る2個を頂く…そうすれば7個すべてそろう。ほっほっほ…ついにこの私に永遠の命がさずかるわけですか…」

 

フリーザはドラゴンボールを念力で浮かばせたまま、搭乗してるポッドごと空を飛んで自分の宇宙船へと帰還するのだった。

 

 

 

 

 

「村が破壊されるだけで済んだことを感謝するべきか…」

 

ピッコロが訪れた村の長老、ツーノはベジータに壊された建物の残骸を見つめながらそう言った。

ドラゴンボールも奪われてしまったが、危うくベジータに殺されるところを命だけは救われたのだ。

 

「…長老よ、さっきの話の続きだが」

 

「あ、ああ…お主が来た目的を聞くところを邪魔されたのだったな…」

 

「そうだ。実は、私は地球でこの星での微かな記憶を頼りにドラゴンボールを作ったことがあった。しかし、色々あって自らドラゴンボールを破壊してしまった…そこでもう一度作り直したいと思ったのだが、その遠い記憶は風化し、ドラゴンボールを作る術を忘れてしまった…だから故郷のナメック星にてボールの作り方を教えてもらいたいと思ったのだ」

 

「なるほど…そうでしたか。だったら、最長老のところへ行くとよい」

 

「最長老?」

 

「500年前の天変地異をたったひとり生き延びられた、我々の長だ。この星のドラゴンボールは最長老がお造りになられた…最長老ならばドラゴンボールの作り方も教えてくれるだろう」

 

 

 

その頃、壊れた宇宙船の近くの洞穴の中に隠れた美鈴たち。

 

「最長老…?」

 

「そうです…最長老の身が危ないと思うのです…」

 

ムーリは真剣な顔でそう話した。

 

「最長老は500年前の大災害をひとり生き延びられたお方で、私たちみんなを産んでくださり再び活気をもたらしました。そしてその最長老こそドラゴンボールを造られ、創造主である最長老が死ぬとドラゴンボールも消えてしまう…」

 

「それは大変だ…!するともしかして、フリーザが持っていたのが5個…残り2個のうちどっちかを持ってるのが最長老さんか?」

 

「はい…」

 

「いかんな、フリーザはスカウターをなくしてるがあのベジータは気を探る能力を身に付けている…気を探せばそのうち最長老さんに行きついてボールを奪われてしまう!」

 

「は、はやく最長老に知らせてあげないと…!」

 

デンデが焦ったように喚いた。

 

「わ、わかりました、私が行きましょう、案内してください!天龍さんとムーリさんはここで待っていてください、大勢で行ったら意味がない…」

 

「ああ…そうさせてもらう、気を付けてな…」

 

「ベジータに気付かれないように歩いていったらどれぐらいかかりますか?」

 

「あ、歩いていったら30日くらいかかりますけど…」

 

「30日!?それじゃあ間に合わない、ベジータに見つかってしまう…!しょうがない、飛んでいきます…ベジータに見つかったらまた隠れてやり過ごします。それじゃあ!」

 

美鈴とデンデは洞窟を出ると空を飛び、案内のもと最長老の居場所を目指して移動を開始するのだった。そしてそれと同時に、ピッコロも最長老のもとへ飛び立ったことは、お互いに知らないのであった…。

 

 

 

「くそ…多数のパワーが集まっている場所が見つからん…もう村は全滅してしまったのか?」

 

ピッコロが居た村を出たベジータは少し険しい顔をしながら飛んでいた。いくらナメック星人の気を探っても、もう多く集まっている村や集落の様な気配は一向に感じられなかった。

 

「ちっ、このデカいボールも邪魔だな…隠しておくか」

 

ベジータは少し下へ降り、湖のほとりにたつ一本の樹木を目印に、そのすぐ下の水の中にドラゴンボールを静めた。

 

「!」

 

しかしその時、ベジータはすぐ近くに何らかの反応を感じ、立ち止まった。

 

「ふたつのパワーが動いている…妙だな…ひとつはナメック星人だが片方はナメックともフリーザたちとも違う感じだ。気になるな…確かめてみるか!」

 

ベジータは方向を変え、美鈴とデンデがいる場所へ向かう。

 

 

 

「ねぇ、この調子で飛んでいったらあとどれぐらいかかりそうですか?」

 

「あと5時間もあればなんとか…」

 

「わあ~5時間もですか…あの子を抱えてすっ飛ばしてもいいですが今はあんまりエネルギー使いたくないですし…。…!!?」

 

ベジータが美鈴たちの方へ向かい始めた瞬間、美鈴もまたベジータの気配を察知する。

 

「デンデさん、止まってください!やっぱりベジータに見つかってしまいました…物凄いスピードでこっちに来ています、隠れましょう!」

 

美鈴はデンデの手を引き、いそいで近くにあった大きな岩の影に隠れる。ここにいても近くまでこられれば今度こそ見つかる、さっきのようにうまくは行かないだろう…そう考えていると、なんと突然ベジータの反応がまたしても向きを変えた。

 

「ど、どうしたんでしょうか…方向を変えた…?いや、もうひとつの強力な気が…そっちへ向かったんだ!」

 

 

 

「こっちの気は間違いなくザーボンだ!待っていたんだ、単独で動き出すのをな!」

 

すると、目の前にこちらに気付かないまま飛行しているザーボンの姿が見えた。ザーボンがこちらに気付くと、ベジータは立ち止まりその行く手を遮る。

 

「…ベジータ!?」

 

「よう、ずいぶん久しぶりだったなぁ…ザーボンさんよ。ドドリアはオレが片付けさせてもらった…次はお前の番だ」

 

「なに!?貴様がドドリアを片付けただと…!?」

 

「くっくっく、あっさりとな…」

 

「し、信じられんな…」

 

「やってみりゃわかるだろうぜ、俺の強さをな…」

 

「貴様、ベジータ…何故フリーザ様に逆らおうとする?」

 

「簡単な事だ…あのフリーザの事は前から気に入らなかったんだ。誇り高いサイヤ人は人に命令されるのが大きらいでね…。これまではヤツの力にねじ伏せられてやむを得ず言うなりになっていたが、ひょんなことからそれを覆せる事を知った」

 

「ドラゴンボールか…」

 

「フリーザなんかにくれてたまるか…!!永遠の命さえオレの物になればフリーザに勝つチャンスは必ずやって来る!!」

 

「愚かな…!永遠の命だけでフリーザ様に敵うと思うか?」

 

「くっくっく、スカウターが無くて残念だったな。オレはアンタの想像以上に実戦で戦闘力を上げたんだ…」

 

「ふっ、キサマの方こそわかっていない…フリーザ様の実力はそんな次元すら超越しておられるのだ」

 

「くだらねぇデラタメを抜かしやがって…!おしゃべりはもうおしまいだ!知ってるんだぜ、フリーザはサイヤ人を怖れていたと!そのサイヤ人パワーを今から見せつけてやる!!」

 

「己惚れやがって…フリーザ様が怖れていたのは徒党を組んだサイヤ人だ!たったひとりで何ができる!?」

 

「さぁどうかな?」

 

次の瞬間、ベジータの姿がフッと消えた。それに驚くザーボンだが、流石と言うべきかすぐに動きを追い、自身の横へ現れたベジータに素早く突きを繰り出した。

だがベジータもそれを読んでいたかのように掴んで受け止め、ギリギリと力を込めた。

 

「ぐ…お…!」

 

そのパワーはザーボンが力を入れても外すことはできなかった。

 

「おりゃああ!!」

 

ベジータはそのままザーボンをはるか遠くへ投げ飛ばす。しかし途中で踏みとどまったザーボン。こちらへ向けて移動を始めたベジータに向けて、ザーボンは片腕をむける。さらにその腕をもう片手で掴み、両手のエネルギーを片手から一気に放出する。

 

「うおおっ!!」

 

向かってくる巨大な気功波を、ベジータは気合の声と共に腕を振り、弾き飛ばす。軌道を逸らされたザーボンの攻撃は遠くの地面へ着弾し、巨大な爆発が巻き起こった。その地点から衝撃によって巻き上げられた岩石が飛んでくるが、ベジータは背を向けたまま難なくかわす。

 

「ち、ちいっ…まさかはじき返すとは…!」

 

 

 

その爆発は美鈴たちが居た場所からもはっきりと確認できた。

 

「す、すごい気と気とのぶつかり合い…!こんな事が…!ベジータと誰かが衝突してる…相手は多分あのフリーザって人のそばにいた片方…どっちも化け物ですか…!」

 

ここからでも感じられるザーボンとベジータの圧倒的な気迫に、気を使う武道家として惹きつけられる美鈴。

 

「いや…私なんかじゃとても太刀打ちできない…奴ら同士で潰れてくれるのを願いましょうか…。よし、今の隙に全力で飛ばしましょう!私が思いっきり飛ばせばうんと速くつくはずです!」

 

美鈴はデンデを抱えると、全身から激しいオーラを噴出させながら全速力で飛んでいく。

 

 

 

ベジータは素早くザーボンへ接近し、その顔面へ肘打ちを喰らわせる。しかしザーボンも負けじとベジータを睨み返すと、素早く連続でケリを放つ。

だがベジータは顔を動かすだけで次々と攻撃を避けてしまう。

 

「ふはははは!どうした!?ザーボンさんともあろうお方が動きが止まって見えるぞ!」

 

ベジータの反撃の蹴りがザーボンに命中し、吹っ飛ばされる。それをベジータが追尾し、ザーボンは地面へ激突しそうになったので慌てて両足と両手をついて受け身を取る。そしてこちらを追っていたはずのベジータの方へ顔を向けた。

…が既にそこにベジータは居らず、なんと既に背後へ移動していた。

 

「はっ!?」

 

背中を蹴り飛ばされ、前方へ吹っ飛びズザーッと地面を滑るザーボン。ザーボンはわなわなと震えながら起き上がろうとし、地面についた自分の血を見つめる。

 

「はっはっは!この程度で手も足も出んとはな!」

 

「ふ、ふふふふふ…驚いたな、確かに素晴らしい進歩だ…」

 

ザーボンは顔を上げ、立ち上がりながら不敵な笑顔でベジータを睨む。

 

「だがそのせいで貴様は長年眠らせていた私の真のパワーを目覚めさせてしまったのだ…!」

 

不敵な言葉が意味する事とは如何に…!?

 

 

 

 

☆キャラクター戦闘力紹介☆

参考

一般成人男性 5

一般成人女性 4

子供(10歳) 2

ミスター・サタン 6.66

一般的に超人と呼ばれるレベル 7~8以上

大妖怪クラス 80以上

ピッコロ大魔王 260

ラディッツ 1500

ベジータ 18000

 

 

ザーボン 2万3000

ベジータ 2万4000

 

フリーザの側近のひとり、ザーボン。美しさを好む美形の戦士。何か彼ならではのこだわりでもあったのか、フリーザの側近という地位にいながら旧型のスカウターを使用していた。

その戦闘力はドドリアを越える2万3000。しかし、今のベジータには押されてしまう。

 

 


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