もしもカカロットが幻想郷に落ちていたら   作:ねっぷう

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第117話 「ザーボンの真の力解禁!」

「なに!?オレが貴様の長年眠らせてきたパワーを目覚めさせてしまっただと?」

 

「その通りだ…」

 

ザーボンは立ち上がりながら口から垂れる血をぬぐい、ベジータの言葉に応える。

かなり自信があり気な様子だが、ベジータはそれを一笑に伏す。

 

「くっくっく…ハーッハッハッハッハ!!面白い冗談だ!はっはっは…」

 

「笑っていられるのも今のうちだ…。なぜ真の力を使わずに眠らせておいたか教えてやろう。真の力を発揮するには変身しなければならん…だが変身した姿は醜いのだ。美を好む私にとってはそれが耐えられん。だが死を選ぶよりは変身を選ぶ」

 

「変身だと?俺達サイヤ人のようにか?ハッハッハ、人間追いつめられると苦し紛れにつまらんことを言い出すもんだな!」

 

「サイヤ人の猿のように不必要に大きくはならんさ…ただパワーが増すだけだ!圧倒的にな!!」

 

「くっくっく…見せてみろよ」

 

「言われるまでもなく見せてやるわ…」

 

ザーボンがそう言った瞬間、彼の肉体が大きく膨れ上がった。筋肉が膨張し、皮膚はザラザラとしており両生類を思わせ、大きな口は目元まで裂けた。その大口から牙を覗かせ、一瞬でのあまりの変貌に驚いたベジータへ向けて突撃を仕掛ける。

 

「!?」

 

そのベジータの顔面を両手で掴み、強烈な頭突きをかます。攻撃を受けたベジータの額から血が流れ、あまりの痛みに苦痛の声を出す。

さらにザーボンはベジータを空高く投げ上げた。だがベジータもここで終わってたまるかというように空中で態勢を立て直し、オーラを纏いながらザーボンへ突っ込む。しかし、それを見たザーボンはニヤりと笑い、向かってくるベジータを迎え撃った。

 

「うおおおお──ッ!!」

 

お互いは同時にパンチを繰り出し、それをヒットさせた。衝撃によりそれぞれ反対側の方向へ吹っ飛ばされるが、ザーボンは何ともない様子、対するベジータは大ダメージを受け、息を切らしながら焦りを募らせていた。

 

「くっ…!!」

 

ベジータはもう一度ザーボンへと向かい、するどいパンチと蹴りの連打を浴びせようと襲い掛かる。だがザーボンはそれを全てかわし、逆にベジータの腹へ拳をめり込ませた。苦しそうにうめくベジータを蹴り飛ばし、遠くへ吹っ飛ばす。

 

(こ、こんなこと…!ザーボンが…!!)

 

空中で何とか踏みとどまり、ベジータはザーボンを見つめる。

 

「ふふふ…私も変身型の宇宙人だと知って驚きを隠せないようだな…。とんだ誤算だったな、せっかく貴様が腕を上げたのにまた逆転してしまったぞ」

 

本来、変身型の民族は宇宙全体として見れば珍しい。変身、ましてや巨大化を行うサイヤ人の様な民族はさらに極めて珍しい。それ故に、ベジータはザーボンが変身ができるという事を実際に目の当たりにするまで気付くことができなかった。

 

「そうだ!ついでにもうひとつみやげ話をしてやろう。フリーザ様も変身型の宇宙人であると言っておられた…!!」

 

「な、なにっ!?」

 

ベジータが驚きを隠せないのも無理はない。ただでさえ強大なフリーザがまだ力を隠していると知れば怖れて当然と言える。

 

「私に勝てぬ者がフリーザ様に勝てると思うか──ッ!?」

 

ザーボンは強烈な気功波を撃ちだす。ベジータはダメージを負った体を動かし間一髪でそれを避けた。

だがそれはザーボンも予想出来ていた事だった。上へ避けたベジータへ素早く急接近し、後ろから怪力で羽交い絞めにし、逆さまになって猛スピードで地面へ降下する。

 

「ぐおおおお…!!」

 

かなり勢いがついた頃合いでザーボンはベジータから離れる。するとベジータはそのままの勢いで地面へ迫り、湖の中へ激突した。

衝撃で巨大なクレーターが形成され、そこにあった水が全て撥ね飛ばされる。しかし時間が経つと水がクレーターの中に流れ込んできて埋めてしまう。

しばらく上から様子を見ていたザーボンだが、全くベジータの動く気配が無い事を確認する。

 

「姿を見せんな…死んだか?ベジータの事だ、まだ生きているかもしれん。…しかし、これでは身動きの取れないまま水死したようだ」

 

ザーボンは変身を解き、元の姿へ戻る。

 

「万が一生き延びたとしても、あの力の差を見せつけられてはもう逆らおうという気もおきまい…。いちおうフリーザ様にこのことは知らせておくか…」

 

ザーボンがその場を後にして過ぎ去った後、それを見計らっていたベジータは水面から顔を出し、岸へ上がる。

しかしその身体はボロボロで、地面を這いずる事しかできないほどダメージを負っていた。命からがら生き延びたベジータはザーボンの目論んだ通りにはいかず、更なる闘志と野望を燃え上がらせた。

 

「こ…このままでは済まさんぞ…!オ…オ、オレはもっと強くなってやる…!!」

 

 

 

一方、ザーボンと同時に調査に出かけた兵士、アプールはナメック星人の村を発見し、それを近くの崖の上から観察していた。しかし、村はベジータに破壊された後であった。

 

「まだ我々が襲っていない村が破壊されているが、住民は無事…だがあの様子じゃあドラゴンボールはベジータに…!フリーザ様にお知らせせねば」

 

アプールはフリーザの元へ飛び去っていった。

 

 

ナメック星のどこかへ着陸させている、巨大な円盤型の宇宙船。その宇宙船の中で、フリーザは真剣な面持ちで窓の外を眺めていた。

 

「フリーザ様、ザーボンですが」

 

「お入りなさい」

 

ベジータとの戦闘を終えたザーボンが戻って来た。入り口のドアが開き、ザーボンが進み出る。

 

「村は見つかりましたか?」

 

「いえ、村は今のところ発見できませんが…ベジータの奴を始末してまいりました」

 

「ほう…そうですか、ということはザーボンさんは久しぶりに変身したという事ですね?…で、ベジータは死んだのですか?」

 

「いえ、死体を確認したわけではありませんが、万が一生きていたとしても相当の重傷を負っているはずです」

 

「どうして確認してこなかったのですか?」

 

「え?そ、その…ベジータは水没してしまったものですから…」

 

「水に潜れば宜しいでしょう。ですがあなたは濡れるのを嫌い確認を怠った…」

 

「は、はい、申し訳ございません!今すぐ確認に…」

 

その時、戻って来たアプールがフリーザに報告をする。

 

「フリーザ様、村を発見いたしました…ですがその村は既に破壊されてボールも奪われておりました!」

 

「なんですって!?」

 

「もしかしてベジータが!?いや、しかしヤツはボールを持っていなかった…く、くそ~ッ、どこかに隠していたか…!!」

 

「ザーボンさん、すぐにベジータをここへ連れてきなさい!今度は生きている方に望みをかけるんですね。それからアプール!あなたは惑星フリーザに連絡をし至急ギニュー特戦隊にここへ来るよう知らせなさい!スカウターをもちろん持ってくるようにと!5日ほどで到着するでしょう」

 

「は、はい!」

 

アプールはその場を後にする。

 

「フリーザ様、お言葉ですが何故特戦隊を…!?あの連中を呼び寄せる必要は全く無いと思うのですが…!」

 

特戦隊という言葉に反応するザーボン。

 

「私には妙な予感がするのです。先ほどから考えていたのですが…どうやら強力なサイヤ人が育ち、やがて敵となる予感です。ベジータのパワーアップもその前兆かもしれません…」

 

「サイヤ人と言えばベジータ以外には地球にいるなんとかというヤツと生死不明のナッパだけ…そいつらはベジータよりかなり戦闘力は低いはずです…」

 

「私の予感が間違っているとでもいうのですか?それよりもはやくベジータを連れてきてほしいですね…」

 

「は、はい!今すぐに!」

 

ザーボンはもう一度宇宙船を後にする。

フリーザはそれを見送った後。手を後ろへ組み、もう一度考えごとに耽る。

 

(サイヤ人というのはやはり底なしの戦闘力を持っているようですね…戦闘を重ねるたびに大きく強くなる。もちろん私に敵う訳はありませんが、芽は早めに抓んでおくべき…”超サイヤ人”になられては厄介ですからね)

 

 

 

 

 

 

「おりゃっ!!」

 

宇宙船の重力室の中で修行を続けるカカロット。同じく重力室には、ナッパとラディッツの姿も見える。

そう、フリーザの考える”徒党を組んだサイヤ人”、”底なしの強さを持つサイヤ人”がその身に迫ろうとしていたのである。

 

 

 

 

 

 

「むにゃ…皆さん…もう食べられない…。…はっ!?」

 

休憩しているうちに呑気に寝てしまっていた美鈴は慌てて目を覚ます。横にはデンデも眠っていて、彼も眠ってしまったようだ。

 

「起きてくださいデンデさん!」

 

美鈴は目覚めたがまだ寝ぼけているデンデを抱え、もう一度最高スピードで移動を開始する。

 

「あれです!あの高い岩の上に!」

 

「あれですね!」

 

すると、遠くに塔のようにそびえる削られて残った岩が姿を現した。確かにそのてっぺんには白い家のような物が建てられている。これは500年前にナメック星を襲ったという天変地異の影響で切り立った地形になっているのだろうか。

 

「遠かったな~…でもこんな目立つところにあったんじゃ遅かったら見つかるのも時間の問題でしたね…」

 

「最長老様はあの家の中に…」

 

ふたりは崖の上に降り立ち、家に近づいていく。すると、家の扉がひとりでに浮いて開き、中から若いナメック星人が姿を現した。

 

「ネイルさん!よかった…無事だったんですね!」

 

「よく来たなデンデ。最長老様はおおよその成り行きを知っておいでだ」

 

このネイルというナメック星人は、本来はとてつもないパワーを誇っており、今は気を抑えているだけであると美鈴は見抜いた。ネイルもまた彼女がそれを見抜いたことを見抜き、にやりと視線を送った。

 

「ふたりとも中へ…最長老様がお待ちだ」

 

「あ、あの…大体の事がお分かりならなぜここを離れなかったのですか…?」

 

「最長老様はもはや高齢で死期が近い事を悟っておいでだ。そっとここへとどまり私がお守りするしかあるまい…」

 

「それほどまでに最長老様は…」

 

「2階へあがれ」

 

ネイルに案内されてふたりは2階へ上がる。そこにゆったりと座っていた人物を見た美鈴は思わず驚いた。

 

「お、大きい…」

 

ナメック星の最長老は大きな椅子へもたれるように座っているというのに、その座高だけで美鈴の倍近くある。その肉体こそ恐ろしく巨体であるが、表情や性質は穏やかそのものであった。

 

「ようこそ…貴方は地球人ですね?まず我が子デンデとムーリを助けていただいた礼を言いたい。ありがとう…」

 

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