もしもカカロットが幻想郷に落ちていたら   作:ねっぷう

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第123話 「恐怖のギニュー特戦隊!」

「来ましたね…待っていましたよギニュー特戦隊…」

 

そして、いよいよ5つの宇宙ポッドがナメック星…フリーザの宇宙船の目の前に着陸した。

ポッドから現れた5人組はジャンプし、宇宙船の屋根の上に飛び乗ると横一列に並んだ。そこへフリーザが現れ、彼らを出迎える。

 

「リクーム!!」

 

地球人にそっくりな外見で、頭頂部からパイナップルのようにオレンジ色の髪を生やしたガタイの良い男が、そう自らの名を叫びながら両腕を左上へ伸ばした。

 

「バータ!!」

 

青いブツブツした肌の大男がリクームと正反対のポーズを取る。

 

「ジース!!」

 

白い髪に赤い肌をした、比較的小柄な男は片膝を立て、両腕を上にあげて手首だけをクイッと曲げる。

 

「グルド!!」

 

4つの目を持つ、緑色の肌をしたずんぐりむっくりした小さな姿をしたメンバーがそう名乗る。

 

「ギニュー!!」

 

そして最後に、紫色の肌で黒い一対の角が伸び、筋が浮き出た頭をした特戦隊の隊長がポーズを取る。後ろを向いて上半身を下げ、股の間から顔を覗かせる。

 

「「みんなそろって!!ギニュー特戦隊!!!」」

 

あたりには冷たい風が吹いた。フリーザですら、彼らが念入りに打ち合わせをし練習をしたであろう振付を見せられて少しだけ顔が赤くなった。

 

「ま、待っていましたよ…」

 

「ありがとうございます、フリーザ様。今回の我々の使命をお教えください」

 

「裏切者のベジータが私の集めたドラゴンボールを奪って逃げました。死なない程度に痛めつけてここに連れてきてください。ドラゴンボールをどこに隠したのか吐かせたいのです」

 

「容易い御用です。我々のスカウターは既にベジータをとらえております。ここからそう遠くない場所を高速移動中のようですが、一緒にいるふたりは何者でしょうか。かなり高い戦闘力を持っているようですが…」

 

「ふたり…あの男女ですか…やはりベジータと手を組んでいたのですね。そのふたりは殺してしまって構いません」

 

「わかりました、じっくりと遊んでやりましょう」

 

「フリーザ様、ご注文のスカウターです」

 

ジースがケースごとスカウターをフリーザに差し出した。

 

「ごくろうさま」

 

「では行ってまいります!」

 

「「ファイト!!オ───ッ!!」」

 

5人は気合の掛け声を叫ぶと、同時に飛び立っていった。

 

 

 

一方、ドラゴンボールの隠し場所へ移動中のベジータ、ピッコロ、美鈴、天龍の4人。

 

(奴らも到着してすぐ動き出しやがった!さすがに速いぞ…クソッタレめ!)

 

ベジータは特戦隊の気を感じて焦りを募らせた。

 

「あそこだ!!」

 

4人はようやくベジータの隠し場所までやってきた。ボールのある岩の窪みの部分に入り込もうとするが、その寸前で特戦隊たちが現れ、その前に立ちふさがった。

 

「ぐっ…!ギニュー特戦隊…!!」

 

「よう、ベジータちゃん」

 

ギニューがベジータを見てからかうようにそう言った。

 

「は、はやい…接近が分からなかった…!」

 

それは気の察知に長けた美鈴ですらも同じだった。

 

「く…クソ野郎ども…もう少しだったのに…!」

 

「おや?もしかするとそいつがドラゴンボールってやつか?」

 

「こっちには5つありますぞ」

 

「だが6個しかないな。ドラゴンボールは7つ集めないといけないんだろ?」

 

「それを今からベジータちゃんをとっ捕まえて聞き出すんでしょうよ」

 

美鈴は特戦隊のあまりの大きな気に圧倒されていた。最長老の手によって強くなったはずの自分や天龍、ましてやベジータやピッコロですらも及ばない程の使い手だ…。

 

(ベジータの言ったことは本当だった…私なんかじゃ勝負にもならない…!揃いも揃ってデタラメなパワーを持っている…。とくにあの隊長は桁違いにすごい…ん?あ…あの小さい方はてんで大したことない!)

 

「どうしたんだ?ベジータ…さっさとそいつをこちらへ渡さないか?まあ大人しく渡したところで大目に見ようって気はないがな…」

 

「へっ…貴様らスカウターで人間を探すことはできてもコイツを探すことはできないだろう…?」

 

しかし、ベジータは持っていたドラゴンボールを見せた。

 

「ん?それがどうしたというんだ…」

 

「こういうことだッ!!」

 

次の瞬間、ベジータはドラゴンボールをはるか遠くへ向かって投げ飛ばした。確かに、スカウターは対象の生命エネルギーを探知する機械…物であるドラゴンボールの居場所を突き止める術はない。

だがしかし…

 

シュッ パシッ

 

「な…!!」

 

特戦隊のひとり、バータは素早く飛び跳ね、ベジータが投げたボールの軌道へ先回りし、そのボールを難なくキャッチして見せた。

バータは元の位置へ戻り、ベジータのボールは奪われてしまった…。

 

「ふははは、遠くへ捨てて揃えさせないようにしたかったらしいが甘かったな!あいにく、このバータのスピードは宇宙一なのだ!」

 

「そ…そんなバカな…!」

 

「さて…もうひとつはどこにあるのかな?」

 

(おいピッコロ!絶対に腹に隠してあるのを悟られるんじゃないぞ…!)

 

(わかっている…!)

 

だが次の瞬間、ピッコロを見てにやりと笑ったグルドは目を光らせた。すると、ピッコロは自分の腹に違和感を感じて手を置いた。

 

「あ…!」

 

さらに、驚くべきことにグルドはピッコロが飲み込んでいたはずのドラゴンボールをその手に持っていたのである。

 

「クソッタレ…!グルドの超能力だ…透視に物体テレポート…!しかもあの様子だと噂でしか聞いたことのない時間のコントロールによる停止まで駆使したようだな…」

 

「時間…停止…!」

 

時間のコントロールの凄さ、恐ろしさは美鈴が良く知っている。さらに、グルドは透視によりピッコロの体内にボールがあることを見抜き、時間を停止させその間にボールをテレポートさせ奪ったに違いない。

 

「これで7つ頂いた。今度はお前たちを可愛がってやる番だな…」

 

「かわいがると言っても頭をよしよしと撫でたりたかいたかいしてやるんじゃないぞ!痛めつけてやるという事だ」

 

「説明せんでもいい…!」

 

「ベ、ベジータ…戦うしかないのか?」

 

「ピッコロのドラゴンボールすら奪われた以上、全員で戦うしかない…」

 

「オレがナメック星人とやる。あとのベジータと男女はお前らがジャンケンで決めろ」

 

ギニューがそう言うと、他の隊員がぞろぞろと彼に駆け寄る。

 

「そりゃねぇっすよ隊長~!あのナメック星人が一番戦闘力高いってのは俺たちもわかってんすから!」

 

「ずるいっすよ~」

 

「じゃ、じゃあしょうがない…オレはフリーザ様にドラゴンボールを持って行こう。ではジャンケンで勝った順番にベジータ、ナメック星人、赤毛の女、おかっぱの男でどうだ!?俺は優しいだろう!」

 

「「オーッ、最高っすよーッ!!」」

 

その後、特戦隊たちは見ている美鈴たちなど尻目にジャンケン勝負に本気でうちこみ始める。

 

「今の隙に逃げられないものでしょうか…」

 

「う、うむ…」

 

あのピッコロでさえ困惑するありさまだった。

 

「うっし!俺はナメック星人だ!」

 

ピッコロと闘おうとしているのは先ほどの尋常ではないスピードを披露したバータ。

 

「俺が相手だよベジータちゃん!」

 

ベジータと当たったのはリクーム。

 

「ち、俺はおかっぱ頭で…」

 

「俺は女か…」

 

ジースは天龍、グルドは美鈴の相手をすることになったようだ。

 

「これでフリーザ様に不老不死が手に入る。はーっはっはっは!!」

 

そう言うと、ギニューは自分の周囲に7つのドラゴンボールを浮かばせたままどこかへと飛び立っていった。

それに攻撃を加えようとする美鈴だが、ここで攻撃してもどうせ大した効果は得られず、余計なエネルギーを使うだけだと悟り手をひっこめた。

 

「おい…貴様らちょっとこい…」

 

その時、ベジータはピッコロたちにそう言った。

 

「なんだ作戦会議か?へっへっへ…無駄なのによ」

 

「おい…さっき言っていたターレスやカカロットがやってくるとはどういうことだ?」

 

「貴方もサイヤ人ならわかると思いますが…ターレスさんとカカロットは私たちの仲間です。少し遅れて出発したはずですのでもうすぐこちらに着くはずなんですが…」

 

「馬鹿な、地球に送り込まれたカカロットと知り合いだというのは100歩譲って有りえるがターレスは20年も昔に戦死したはずだ」

 

「それも有りえるんですよ…ターレスさんは戦死を装って姿を消し、フリーザへ反逆するチャンスを伺っていたんですから」

 

「だが仮にそうだとしても、下級戦士の代表みたいなふたりじゃないか…戦力になるとは思えん」

 

「いいえ、絶対になるはずです。ふたりとも、貴方にもギニュー特戦隊にも絶対に負けない実力があります。しかも、今も修行をしながら向かってきているはずです」

 

「…信じていいんだな?」

 

「ええ…」

 

「じゃあ早くきやがれ…!」

 

「さあてと、そろそろ始めようぜ」

 

ギニューを除いた4人が指の骨を鳴らしながらゆっくりと歩み寄ってくる。

 

「鬱陶しいな…おいグルド、お前からあの女を潰しちまえよ」

 

「チッ…俺は様子見要員ってか?」

 

「ゲームのつもりかよ…相変わらずふざけた連中だ…」

 

ベジータが悪態をつく。

 

「これじゃすぐ勝負がついちまうぜ…」

 

そうつまらなそうに悪態をつくグルドと、美鈴が向かい合う。その瞬間、美鈴は構えると同時に気功を練る特殊な息を吐き、全身の気を開放させた。

 

「ほっ!?」

 

それをスカウターを通じて見ていたリクームや他の隊員が驚いた。

 

「驚いたな、あの女の戦闘力が2万近くまで上昇しやがった!」

 

美鈴は一瞬で飛び跳ね、上空から一発の強烈な気功波を放った。突然の攻撃であったが、グルドは驚くことなく、時間を停止させる。

 

「とまれ!!」

 

次の瞬間、グルド以外の全てが止まった。動かなくなった気功波の軌道から急いで脱し、グルドは反撃に出ようと美鈴のいた場所を見上げる。

 

「…いない!どこだ!?」

 

しかしその場所に既に美鈴は居らず、数十メートル離れた位置で美鈴の動きは止まっていた。

 

「一瞬であんなところにまで…!くそっ、これ以上時間は止められん!ぶはあっ!!」

 

グルドは息を止めている間のみ時間を停止させることができる。息が限界に近づいたのでこうして解除したのだ。

すると止まっていた気功波が動き出し、何もない場所に着弾して爆発を起こした。

 

(いなかった…時間を停止して移動したか!)

 

シュン

 

だが時間の停止というものになれていた美鈴は、ひるむことなくすぐに次の行動にうつる。グルドの前から一瞬で姿を消したのだ。

これにはグルドも反応できず、もう一度時間を停止した。

 

「もうこんなところまで!」

 

美鈴が消えてからグルドが時間を止めるそのわずかな間で、既に美鈴はグルドのすぐ近くまで迫っていたのだ。

 

「ちくしょう…時間を止めたままでの攻撃はエネルギーの消耗が激しすぎる!い、岩陰に隠れて戸惑っている隙にやってやる!」

 

グルドはそばの岩陰に隠れ、時間停止を解除した。

動き出した美鈴は、すぐそこにいたはずが消えてしまったグルドを探して辺りを探る。

 

「そこですか!」

 

しかし美鈴はグルドの邪悪な気を感じ取り、そこへ向かって走って急接近していく。

 

「な、なんでわかるんだ!もう時間は止められん…こうなったら…!きえええええッ!!」

 

グルドは両腕を上げ、美鈴に向けた。すると美鈴の動きが止まり、意識はあるもののどんなに力を込めても体が動かなくなってしまった。

 

「か…からだが…動かない…!」

 

「ふう…このグルド様が金縛りの術を使う羽目になるとはな…!それにしても何者なんだコイツは…時間停止にも驚くことなく反撃してくるし、なぜスカウター無しでオレの居場所がわかりやがるんだ?」

 

グルドは美鈴に金縛りをかけたまま近くあった木を念力でへし折り、先端を槍のように尖らせて浮かび上がらせた。

 

「串刺しにしてやる…!くらえ──ッ!!」

 

尖った木を思いきり投げ飛ばし、美鈴にぶつけようとする。見かねたベジータが美鈴を助けようとし動き出すが、次の光景を見てそれが必要ないと気付く。

 

「…『接地拳』!!」

 

美鈴の身体に電気の様な気が迸ると、なんとぶつかってきた木を跳ね返したのだ。跳ね返った木は一直線にグルドへ向かい、間一髪でそれを避ける。

 

「なんだと!?金縛りをかけたままで…なんでそんな事ができる!?」

 

「コオオォォ…」

 

白い息を吐く美鈴。

 

「さぁ、どこからでも攻撃しなさい」

 

「な、舐めやがって!」

 

グルドは地面の中から大岩を浮かび上がらせ、今度はそれを投げた。だがそれも美鈴に当たった瞬間、粉々に砕けると同時にその破片がグルドへ跳ね返される。

 

「うお!?」

 

またもそれを避けるグルドだが、それに気を集中したことで金縛りを解いてしまった事に気付く。

 

「波ッ!!」

 

「し、しまッ──!?」

 

次の瞬間、美鈴の放った気功波が彼の頭を消し飛ばした。

 

「め、美鈴が勝った…!」

 

「ホッとするのはまだ早いぜ…覚悟しろ、幸運はここまでだ…」

 

「おいおいおおい!?グルドのやつやられちまったぜ!」

 

「こ…こまったぞ…」

 

「うむ…ひとり欠けてしまっては我々特戦隊のスペシャルファイティングポーズは美しくない…ギニュー隊長に4人でできる新しいポーズを考えていただかねば…」

 

「それはさておき次は誰か決めねーとな!」

 

「よっしゃいくぜ!」

 

「「じゃんけんぽん!!あいこでしょ!!」」

 

「これからが本当の地獄だ…」

 

ベジータは冷や汗をかきながら、これから残る3人の恐ろしさを想像して震えあがった…。

 

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