「ほっほっほ…まさかこの私に戦いを挑もうなどという愚か者がいたとは…」
壁が崩された最長老の家の前…寿命が近い最長老を守るため、自分の前に立ちはだかるネイルに対してフリーザはそう言った。
「まさに身の程知らずも甚だしいというやつですね。すぐにドラゴンボールの願いの叶え方も教える気になるでしょう」
そう言っても、ネイルも最長老も固い表情を崩さない。
「無傷のうちに喋っておけばよかったと後悔しますよ」
「気付いているだろうが最長老様は寿命が近い。ここで戦ってもし巻き添えを喰らわれてはお前にとってもまずかろう…場所を変えるぞ」
「ほっほっほ、そこまでの戦いになるとは思えませんが、まあいいでしょう」
ネイルとフリーザは家の建っている山を離れ、遠くへと飛び去っていく。その様子を見届けた最長老は、老いて何もできない自分に怒りを感じつつ、ネイルに危険な役目を追わせてしまった事を悔やんだ。
両者はすでに数分は飛行している。その時、いつまで移動するのかとしびれを切らしたフリーザが大声でネイルに怒鳴りかかる。
「いい加減にしなさい!これ以上離れる必要はないでしょう!」
そう言われたネイルは、思わず近場の戦いやすそうな場所へ降り立った。フリーザも後から降り、ネイルの前に立つ。
ネイルは着ていた黒いベストを脱ぎ去り、上半身を露わにする。
「どうもこの星の方たちは死にたがりが多いようですね」
そう言うフリーザなどお構いなしに、ネイルは両腕をクロスさせ、それを解いて一気に全身の力を込める。顔や腕に太い血管が浮き出し、凄まじい気がその体を覆う。
「ほう!これは凄い、戦闘力が4万2000まで上がりましたよ」
フリーザはスカウターに表示されたネイルの戦闘力を見て驚いた。
「なるほど、確かにこれまでのナメック星人とは一味も二味も違うようですね。素晴らしい戦闘力です…部下に欲しいくらいですよ。ではご参考までに、これから貴方が戦おうとしているこのフリーザの戦闘力をお教えしておきましょうか…」
次の瞬間、フリーザの口から驚愕の数値が飛び出す事となる。
「私の戦闘力数は…53万です。ですがもちろんその戦闘力で貴方と戦う気はありませんからご心配なく…」
それを聞いたネイルも思わず体から溢れるオーラを止め、冷や汗を流す。
「そうだ!私はこの左手だけで戦って差し上げましょう。少しは楽しめるかもしれませんよ!」
ネイルは舌打ちをすると、右腕を振り上げてフリーザに飛びかかる。
そして手刀を作り、それを思いきりフリーザの首へぶつけた。その時、バギッ…というとてつもない音が響いたが、これはフリーザの首がダメージを受けた音ではない。確かに、ネイルの一撃はフリーザの首をへし折るかの如き威力を秘めていただろう。
だが、フリーザは余裕の笑みを崩さず、まったく痛みすら感じていなかった。
「やはり4万2000ではこの程度でしょうね…」
フリーザはがっかりしたようにそう言うと、ネイルの腕を左手で掴んだ。引き離そうと力を込めるネイルだが、どんなにそうしてもフリーザの力には抗えない。
するとフリーザは腕を掴む力をどんどんと強くし、ネイルはそれによる激痛に思わず叫び声をあげる。
「うが…ッ、うあああああ───ッ!」
そしてフリーザがほんの少しだけ腕を横へ動かすと、いとも簡単にネイルの右腕は肘から先が千切られてしまった。傷口から血が流れだし、ネイルは悶絶する。
そこへさらにフリーザの肘打ちがネイルの腹へめりこみ、思わず倒れ込んでしまう。
「う…ぐぐ…うお…!!」
「おっと、これは失礼いたしました」
だがネイルはゆっくりと立ち上がろうとする。
「おやおや、無理はしない方がいいんじゃないですか?」
「く…はあっ、はあっ…!」
「やはり殺されないうちに喋った方がよろしいかと思いますよ」
その時、ネイルが千切られた右腕に力を込めると、その無くなった肘から先が再び生え、元通りの腕になったのだ。
腕は半透明な黄緑色の粘液を帯びているものの、以前と全く変わりはない。
「こいつは驚きました!再生もできるんですか…。ですが元に戻っても同じことです。それに体力までもは回復できないようですね…さっきよりも戦闘力が落ちていますよ」
そう言われたネイルであるが、ふたたびフリーザに対して格闘の構えを取る。
「まだやるつもりですか?まったく、この星の住民は何を考えているのかさっぱり理解できませんね…」
一方、フリーザの宇宙船の付近で対決中のカカロットとギニュー。最大の戦闘力を開放したカカロットの方がギニューの戦闘力を上回っており、ギニューは劣勢であった。
しかし、ギニューは不敵な笑いを見せていた。
「なにがおかしいんだ?」
「貴様が強いからだ…。このギニュー様よりも強い戦闘力を持っているからだ…」
「…?だったら何故笑う?」
「おい、これは貴様にやる」
ギニューは自分が装着していたスカウターをカカロットへ投げる。カカロットは困惑しながらそれを受け取った。
「くっくっく…ふはははは…!!」
ギニューは笑いながら右手をかざし、カカロットは攻撃を警戒し構える。
ドギュ
…だが次の瞬間、ギニューはその手で自らの右胸を抉ったのだ!
「がはっ…!」
「テメェ、何を…!」
ギニューは胸から手を抜いた。手は血に染まっており、傷口からもおびただしい血が流れだしている。口からも血が流れ、今のギニューが相当のダメージを負っていることは間違いない。
「き、キサマは超サイヤ人では…なかったが…き、気に入ったぞ…その強い体を…!」
「気に入った…だと?」
次の瞬間、ギニューは両腕を広げ、ある言葉を叫ぶ。
「『チェンジ』!!」
すると、ギニューとカカロットの全身が眩く輝きだす。そして「チェンジ」と叫んだあとの開いたギニューの口から何かエネルギーの様なものが飛び出し、同じくカカロットの口から出たエネルギーと入れ替わり、お互いの体内に入り込んでいく。
あたりを覆っていた眩い閃光が収まると、それまでカカロットだった者は怪しげに微笑んだ。
「くくく…交換させてもらったぜ…キサマの身体と!」
一方、それまでギニューだった者は状況がまるで理解できないというように目を見開いて口をパクパクさせている。
「あ…あ…あああ…!一体、何が…?なんで俺がそこにいるんだ…!?」
「さっき言ったはずだ…体を交換したんだとな」
なんと、カカロットの肉体を奪ったギニューは、先ほどまでの自分の身体になってしまったカカロットにそう言った。
さっきカカロットに渡した自分のスカウターを装着し、それまでカカロットが付けていたものは外して地面へ投げ捨てる。
「さ~て、これから戦闘力15万以上のパワーで貴様をひねり殺すとするか…」
「ち、チクショウ…体が動かねぇ…!テメェが自分を傷つけたのはこのためだったのか…!」
カカロットはギニューが抉った胸の傷を押さえながらそう言った。もう飛んでいるのもやっとで、戦う事など満足にできはしないだろう。恐らく、既に戦闘力は大分低下し、もはや先ほどのギニューほどのパワーすら発揮できていないだろう。
「その通りだ。さぁ、死の恐怖を味わいながら俺に八つ裂きにされるがいい」
ギニューは素早くカカロットの目の前に移動し、首を掴んで締め上げる。
「ぐ…あ…!」
そして思い切り地面へ向かって投げ飛ばし、激突して倒れ込んだところを、膝で背中を思いきり踏みつけた。
「ぐぎゃあああ…!!」
シュタッ…
その時だった。ふたりのすぐ近くに3つの影が舞い降りた。オーラを解いたその姿は、美鈴と天龍、そしてターレスであった。3人は戦いの様子を見て、ゆっくりと歩いて近づいてくる。
「カカロット!お前に会えるのをどんなに待っていたか」
「ええ、貴方が来てくれたなら心強いですよ!」
「天龍に美鈴…それに…タ、ターレス…」
ギニューの身体のカカロットはか細い声でそう呟いた。
「カカロットよ…俺の言う通りギニューは貴様の相手ではなかっただろ?」
ターレスはカカロットの身体になったギニューにそう言った。
「ああ、その通りだ!見ろ、コイツはもう虫の息だ…どうだ、お前がトドメを刺してくれないか…?」
「ま、待ってくれ…お、俺は…」
そう言おうとするカカロットだが、ギニューが咄嗟に頭を踏みつけた事で言葉を遮られてしまう。
「ああ…任せろ」
ターレスは前に進み出ると、カカロットへ片手をかざす。ギニューは勝利の笑みを浮かべ、ターレスは無表情でその手に気を溜め始める。
…だが次の瞬間!ターレスはバッと振り返り、ギニューの顎を素早く殴り上げた。身体が上へ持ち上がるギニューの正面へ距離を詰め、その腹をもう片方の手で思い切り殴りつける。
「ぐは…!」
そして一発のエネルギー弾を放ち、吹っ飛ばす。
「な、何をするんだ…!」
天龍がそう驚きながら言った。
「そんな三文芝居で俺を騙せると思ったか?ギニューさんよ…知ってるんだ…お前が相手と体を入れ替えられる特殊な能力を持っているって事はな…」
「え!?」
「な…何だとォ…!まさか…その事は特戦隊のメンバーやフリーザ様以外誰も知らないハズだ…!何故…!!」
「はっはっは…この俺の仲間だったダイーズという男は少年時代に一度お前に体を奪われた事があるんだよ。俺はその話を聞いていたから知っていたんだ」
ギニューは驚愕した表情を浮かべる。
「悪いなカカロット…そのことをうっかり教えるのを忘れていた」
「う、うっかりで済むことか…!」
「ヤツを片付けたら神精樹の実ですぐに治してやるからな」
「ちょっと待て…!それじゃ俺の身体はどうなるんだ…!」
ターレスはギニューに向かっていき、その顔面を容赦のない力を込めた膝で蹴りつけた。
ギニューには、昔にボディチェンジの能力に気付いた時にクラスの金持ちと体を交換して札びら切ってモテたらしいですが、その時のクラスの金持ちというのがダイーズ…という設定で!