もしもカカロットが幻想郷に落ちていたら   作:ねっぷう

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第136話 「最後の変身!勝つのはどっちだ!?」

カカロットとフリーザ…ついに向かい合った両者の間には火花が散っているようで、周囲には乾いた風と共に緊迫した空気が流れる。

 

「テメェがフリーザか…思ってたよりもずっと気味の悪い姿だな」

 

「ふっ、私は変身をして姿と戦闘力を大きく変化させるのです。これは二度目の変身で…」

 

「うるせぇな、聞いてねぇって。それにしてもその妙な頭は不便そうだな…寝るときに邪魔になるだろ?俺がガリガリ削ってやってもいいぜ」

 

そう言われたフリーザはムッとした表情を浮かべ、額に血管を浮かばせた。が、すぐに無理に笑顔を作り、冷静さを保とうとした。

 

「ようやく蹴り合えるぜ」

 

「馬鹿な事を…大人しく寝ていればよかったでしょうに…。このフリーザと対等に何かをできると思わない事です」

 

「俺はテメェを…蹴りてぇなァ」

 

「蹴ってごらんなさい。その瞬間、貴方の足をグズグズに砕いて差し上げます」

 

その時、カカロットは左足を振り上げ、フリーザの顔面へ向けて蹴りを繰り出した。

 

「ああ、ダメだ!向こうは待ち構えてるぞ…!」

 

それを見ていたラディッツが声を上げた。

確かに、フリーザは宣言した通りにカカロットの足を殴って潰そうと既に拳を構えている。

 

「バカめ!」

 

笑いながらそう言うフリーザ。

しかし、突然カカロットの足はピタリと止まった。それに反応を示したフリーザの動きもほんの一瞬のみ止まり、カカロットはそれを見逃さなかった。

フリーザの横面に強烈なパンチを叩きつけたのだ。その威力の衝撃がフリーザを突き抜け、地面に穴を空けるほどの一撃だった。フリーザは揺れる視界の中、次なるカカロットの一撃を避けようとした。

が、またしてもカカロットのパンチは途中で止まり、今度は顎を蹴り上げられた。上空へ吹っ飛ばされるフリーザを追い、カカロットはもう一度攻撃を仕掛ける。だがまたも同様のフェイントを受け、さらに攻撃を頭部へ喰らった。

目玉が飛び出るほどの威力で、その後ろへ伸びた頭部に痛々しいひびが入った。

 

「ギ、ギヤアアア…!!」

 

「なんでああもカカロットの攻撃が入りやがるんだ…!?」

 

「そうか…!最初に『蹴りたい』と言ったのはフリーザを挑発し格闘戦に持ち込ませ、無意識に足の方に注意が行くように…そしてフェイントでパンチ!」

 

「ありゃ戦闘ってより喧嘩だな…当然か、フリーザが相手してきた野郎の中にあれほど喧嘩慣れしてるヤツはいなかったか。つられまいとしても最初にイイのを一発貰ってるからどうしても体が反応しちまうんだ」

 

これはカカロットがまだ幼く旧都で暮らしていたころに学んだ戦い方であった。

 

「ち、チクショオ~!!」

 

ようやくフリーザはカカロットの猛攻を振り払い、飛び蹴りによる反撃に出た。が、カカロットは素早く消え、逆に背後からカカロットのサマーソルトを顔面に受けた。

 

「どうしたフリーザ!!」

 

(このサイヤ人…どこかで見た事がある…!…ハッ、思い出したぞ!惑星ベジータを消滅させたとき、最後まで抵抗してきたあのサイヤ人にそっくりなんだ…!ターレスも似ているが、コイツはもっと似ている…)

 

吹っ飛ぶフリーザは地面の上を滑り、ぐったりと動かない。しかし、カカロットが近寄ると途端に起き上がり、指先から連続でエネルギー光線を発射した。

 

「ふん!」

 

だがカカロットは片腕だけで、そのすべてを弾き飛ばした。驚愕の表情を浮かべるフリーザだが、やがてまたいつもの余裕のある笑みを浮かべた。

 

「やりますね…。ですが、その中途半端な戦闘力の所為でアナタはもっと恐ろしい目に遭う事になる」

 

「へぇ…どんな?」

 

「私の最後の変身をお見せしましょう!滅多に見れるものではありませんからね…よぉくその目に焼き付けておきなさい!」

 

そう言うと、フリーザは姿勢を低くかがめて全身に邪悪な気をみなぎらせる。周囲に土煙が渦のように立ち昇っていく。するとフリーザの全身にひびが入り、そこから淡い紫色の光が漏れている。そのひびは広がり、まるで卵の殻が剥けていくように、あるいは蛹が羽化するように内部にいる何かがその姿を現そうとしていた。

しかしその時、カカロットは上空に舞い上がると、変身途中のフリーザへ向けてエネルギー弾を放ち、命中させた。さらに連続して撃ちこみ、その周囲が爆炎と煙で覆い尽くされる。

 

「知ってるぜ!変身するたびにダメージも回復するんだろ?だから今が一番無防備になる時だ!!」

 

「カ、カカロットのやつ容赦ねぇな…」

 

ナッパたちは衝撃から顔を守りながらそう言った。

やがてフリーザの気がそこから消えた。カカロットは攻撃を止め、煙が晴れるのを待つ。…が、そこには抉れた地面が残されるだけでフリーザの姿は無かった。

 

「…この程度でくたばる訳はねぇ…何処へ消えた?」

 

「さすが…容赦しないんだね」

 

「!?」

 

カカロットは自分のすぐ後ろから声が聞こえて振り返ると同時に距離を取った。フリーザはいつの間にかカカロットの背後へ移動していたのだ。

 

「い、いつの間に…!」

 

「あれがフリーザの真の姿か…!確かに、戦闘力は以前よりもさらに増えやがった!」

 

「まさか変身中に攻撃してくるとは思ってなかった…ちょっと痛かったよ」

 

最後の変身を終えたフリーザは、今までの角や棘、白いごつごつした甲殻がある姿と比べて滑らかでシンプルな造形へと変わっていた。その全身は白を基調とし、頭部や胸、腕に紫色の水晶の様な部位がある。

身体に煤がついているが、大してダメージを受けている様子はなかった。

 

「どうやらそれが真の姿ってやつみたいだな…」

 

「その通り。さ、恐怖のショーを再開しようか」

 

「ああ、テメェにとってのな」

 

「ふっふっふ…冗談キツイね」

 

カカロットは地面を思い切り蹴り、フリーザに突撃した。蹴った地面がめくれ上がる。

そしてパンチを放つが、フリーザは難なくそれを受け止める。フリーザも手を広げたまま突きを繰り出すが、カカロットも顔を横へ動かして躱す。両者はするどい攻撃を出し合うが、お互いにそのすべてを避け続けていた。

カカロットがこれでは埒が明かないと思い上空へ飛んで距離を取ると、フリーザは両目から素早い怪光線を放った。

 

「ふん!」

 

だがカカロットはそれを避け、瞬時にフリーザの背後へ移動し蹴りを放つが、フリーザも残像を残しながらその場から消え、数秒のみ姿を現さなかった。

カカロットが警戒していると、なんとフリーザは眼下の湖から飛び出して来て片腕からバランスボールほどの大きなエネルギー波を放った。

 

「うおっ!!」

 

それを両手で受け止めるカカロットだが、あまりの威力は抑えきれずにどんどんと後ろへ押され、壁に背中がめり込んだ。だが何とかそれを上空へ逸らして防ぐことができた。

 

「いてて…!」

 

痺れる手を摩るカカロットを見て、フリーザは気に入ら無さそうな表情を浮かべた。

 

「ちょっとはやるようだね。驚いたよ…まさかギニュー隊長の上をゆく者がこの世にいるなんて思わなかった。でも、ボクには敵わない…」

 

「それはどうかな?」

 

「すぐにわかるよ」

 

そう言うと、フリーザはカッと目を見開いた。すると目に見えない衝撃波がカカロットを襲うが、カカロットは飛んで難なく避ける。今まで彼が立っていた地面が跡形もなく消し飛んだ。

フリーザの頭上へ移動したカカロットは、おかえしだと言わんばかりに今の攻撃を真似て目から衝撃波を撃った。それを正面から喰らい、湖へ向けて急落下していくが、フリーザはすぐに脱出して見せた。そしてカカロットの背後へ移動し、振り向いた拍子にその顔面を蹴りつけた。

カカロットは湖に落とされ、水面が津波のように激しく揺れた。

 

「はやく上がって来いよ、キミがそれぐらいでくたばる訳はないからね…」

 

 

(い、いででで…!あの野郎とんでもねぇスピードだ…どうするか…)

 

カカロットは水の中で腕を組んで考えた。

 

(ヤツは俺のように気だけで位置を探ることはできないようだ…あくまで目で見て探ってる。よーし、コイツを利用するか!)

 

 

「カ、カカロットのヤツ上がって来ないじゃねぇか…!」

 

少し離れた場所から戦いを見ていたラディッツがそう言った。

 

 

(波…!)

 

カカロットは水中でふたつのエネルギー弾を作り、自分の前に並べた。そして自分だけ遠くに行くと、片方のエネルギー弾を操作し勢いよく水上へ飛ばした。

 

 

「まだかな?すごいのをお見舞いしてやるのに」

 

次なる攻撃の手を構えていたフリーザは、その時水面から飛び出してきた気功波に反応を示した。それをカカロットだと思い攻撃を放とうとするが、寸前で手を止めた。

 

「違う!アイツじゃない!」

 

その気功波を躱し、すぐに飛び出してきた気功波に顔を向けた。

 

「こっちか!」

 

それに向けて構えるが、それも違った。

 

「ちがう!!」

 

「スキあり──ッ!!」

 

その時、気を消して水から上がり接近していたカカロットの強烈な飛び蹴りがフリーザの顔面に命中した。フリーザは吹っ飛ばされ、地面を抉って破壊しながら滑っていき、岩山に激突して止まった。

 

「ざまぁ見やがれ」

 

様子を確認するカカロットだが、フリーザは何ともないような顔を瓦礫を退かして起き上がり、首の骨を鳴らした。

 

「ぜんぜん応えてねぇか…!だが、面白くなって来た…」

 

 

ついに顔を見合わせたカカロットとフリーザ…。果たしてどちらに軍配が上がるのか…!?

 

 

 

 

☆キャラクター戦闘力紹介☆

参考

一般成人男性 5

一般成人女性 4

子供(10歳) 2

ミスター・サタン 6.66

一般的に超人と呼ばれるレベル 7~8以上

大妖怪クラス 80以上

ピッコロ大魔王 260

ラディッツ 1500

ベジータ 18000

フリーザ 53万

 

 

フリーザ(最終形態) 240万(変身直後 2%)

 

あらかじめ宣言しておこう、フリーザ最終形態の100%マックスパワーの戦闘力は1億2000万である。大全集の数値は一桁ミスで本当は1200万だとか、最終形態で53万だとか、フリーザの戦闘力については物議を醸している。しかし、本作では大全集等の数値に乗っ取り、フリーザのマックスパワーを1億2000万と定める。

第三形態から最終形態へ移行したフリーザの戦闘力は、変身直後で240万、マックスパワーの2%の数値だ。ちなみに、それなら原作においてクリリンにわざと半殺しにされデンデに回復してもらいパワーアップしたベジータ(推定250万)が勝機を見出したのも頷ける。

 

 

 

 

【登場人物紹介】

 

名前:シロナ

種族:サイヤ人(地球人とのハーフ)

年齢:4歳(第97話初登場時点)

身長:103cm

二つ名:新しい可能性

能力:満月の夜に大猿に変身できる程度の能力

戦闘力:4(通常時)→20(霊力開放)→200(赤毛の大猿)

【概要】

サイヤ人・カカロットと地球人・博麗霊夢との間に生まれた女の子。サイヤ人特有の尻尾が生えており幻想郷での分類上は妖怪であるため、カカロットと共に地底にある実家で暮らしている。

サイヤ人の血を引くだけあって4歳の時点で成人女性と変わらぬパワーを持っている。さらに霊夢の博麗の巫女としての力も継いでおり、霊力を開放し戦闘力を5倍に増やすこともできる。そしてその状態から大猿に変身すると、通常の大猿とは異なった「赤毛の大猿」となる。

 


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