もしもカカロットが幻想郷に落ちていたら   作:ねっぷう

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第137話 「さぐり合い」

「ここまでやるとはね。正直驚いたよ…ボクに埃を付けたのは親以外ではキミが初めてだ。でも…こんなにワクワクするのは生まれて初めてかもしれないな…」

 

フリーザはにやにやと笑ったまま、体に着いた煤を払った。

 

「少しは効くと思ったんだが…こりゃもっと力出さないとダメか」

 

そう言うカカロットであったが、サイヤ人の血がそうさせるのか、ワクワクしているのは自分も同じだった。

フリーザは崖の上に飛び乗り、カカロットを見据える。

 

「ちょっと脅してやるか」

 

地面に手をかざすと、超能力を使いそこらへんに落ちていた岩を独りでに無数に宙へと浮かばせた。そしてそれを一気にカカロットへ向けて撃ちだした。

 

「その程度当たると思うか!」

 

カカロットは向かってくる全てを岩をパンチや蹴りで破壊し、攻撃を防いだ。が、安心したのもつかの間、その隙に接近していたフリーザに気付かなかった。

 

「かかったね」

 

「な…!?」

 

振り向いた時にはもう遅い、フリーザの右手から放たれた巨大なエネルギーの球はカカロットの全身を包み込んだ。

 

「う、動けん…!!」

 

「今度は死ぬかもね」

 

フリーザはカカロットを包んでいるエネルギー弾を地面へ向けて高速で射出した。それは遠く離れた場所の大地に着弾し、カカロットごと巻き込んでとてつもない大爆発を起こした。

 

 

「カ、カカロット…!」

 

遠くからでもわかるほどの爆発を見て、ウスターがそう声を漏らした。

 

「なんてヤツだ…」

 

「フリーザは遊んでやがる…ヤツはいつでもこの星を消せるほどのパワーを持ってるんだ…!」

 

「カカロットは…!?」

 

ターレスは不敵に笑いながら呟いた。

 

「心配するな…アイツも本気じゃない。後ろを見ろ」

 

ラディッツやウスターたちが後ろを見ると、そこにはカカロットが立っていた。戦闘服のアーマーの右半分が破損し、多少のダメージは負ったようだが、それでもまだ戦う気力は衰えていない。

 

「今のはやばかった…気を付けねぇとな」

 

カカロットはそう言うとフリーザの元へ飛び立つ。

 

 

てっきりカカロットを今の攻撃で殺したものと思っていたフリーザは、突然背後へ現れたカカロットを見て驚いた。

 

「…しつこいヤツだね…さすがにムッときたよ…。ふっふっふ…それじゃ、ウォーミングアップはこれぐらいにしてそろそろその気になろうかな…」

 

「俺もだ…」

 

「では、空中戦と地上戦、どっちがお得意だ?」

 

「どっちかと言えば地上戦かな」

 

それを聞いたフリーザは、離れた場所にある島を発見し、その方向を指で示した。そしてフリーザとカカロットの二人はその島へ向けて飛んでいき、地面に降り立った。

 

「サービスいいな…それとも余裕ってやつか?」

 

「こう見えてもボクは優しいんだ。…そうだ!もうひとつとっておきの大サービスをしてあげようか!今から両手を使わないでおいてやるよ…どうだ?」

 

「両手を…?随分気前がいいな。それじゃあ、こっちからかかってもいいか?」

 

「お好きにどうぞ…」

 

フリーザはそう言うと腕を組み、自らで両腕を封じた。

カカロットはしばらく様子を伺った後、全身に力を込め、赤いオーラを解き放った。

 

「『5倍界王拳』…!!」

 

5倍の界王拳を使用したカカロットは、さらに増したスピードでフリーザに突撃し、殴りかかる。が、フリーザは上へジャンプしてそれを避け、蹴りを繰り出す。

カカロットもそれを顔を逸らしてかわし、連続ハンドスプリングで後ろへ下がるともう一度地面を蹴ってフリーザへ向かっていく。そして両足を同時に使い反撃のキックを放つと、フリーザは少し驚いた表情を浮かべながらも避け、長い尻尾を用いてカカロットを殴った。

後ろへ吹っ飛ぶカカロットだが、逆にフリーザの尻尾を掴むことでそれ以上離れることを防いだ。

 

「でやあああああ!」

 

尻尾を掴んだままフリーザをグルグルと振り回す。そしてパッと手を放し、投げ飛ばすと岩山へ激突させた。岩山は崩壊し、フリーザは下敷きになったがすぐに岩石を吹き飛ばしながら飛び出し、カカロットへ攻撃を仕掛ける。

しかしカカロットは難なくそれを受け止めると、両者は激しい攻防戦を繰り広げる。

 

「ちっ…!」

 

だが、だんだんとその戦局は目に見えて傾き始める。カカロットのパンチがフリーザに当たるようになり、フリーザの攻撃がカカロットに当たらなくなったのだ。

カカロットの蹴りがフリーザの鳩尾にめり込み、唾を吐き出しながらせき込んだ。だがフリーザも負けじと態勢を立て直し、尻尾を伸ばしてカカロットの首へ巻きつけた!

 

「ぐ…が…!!」

 

そしてギリギリと締め付ける。カカロットは尻尾を掴んで引き離そうとするが、フリーザの力は緩まない。

その時、カカロットは思い切りフリーザの尻尾に噛みついた。

 

「いっ!?」

 

痛みに思わず力が緩んだフリーザに、カカロットが反撃の回し蹴りをヒットさせる。さらに腹を殴りつけると、怒ったフリーザは両腕を解き、カカロットの顔面を殴った。カカロットはズザーッと音を立てて地面を滑り、フリーザはハッとして自分の手を見つめた。

 

「ははは…手は使わないんじゃなかったのか?」

 

「ふふふ…サービス期間は終わったのさ…」

 

「じゃ、そろそろお互いに手加減無しでやり合おうぜ」

 

「…望むところさ」

 

カカロットはもう一度構え直す。フリーザも今度は真面目に構えの姿勢を取った。

 

「界王拳を10倍に引き上げて一気にケリつけてやる!」

 

カカロットが纏う赤いオーラがさらに鋭くなり、その戦闘力が飛躍的にアップした。両者は同時に飛び出し、お互いの拳と拳を衝突させた。

周囲の地面がいびつにめくれ上がり、激しい土煙が舞う。が、次の瞬間、カカロットはフリーザの足を払った。フリーザがバランスを崩し、膝をついてしまったところにカカロットは踵を振り下ろす。

フリーザは尻尾でそれをはじき返し、後ろへ下がる。

 

「逃げるのか!」

 

カカロットはフリーザとの距離を詰め、攻撃を出す。フリーザはまたしても距離を取ろうとするが、カカロットは界王拳特有の急加速を用いて近づく。

 

「コイツ…素早い…!!」

 

「喰らいやがれ!『気功突き』!!」

 

カカロットは右手に白い靄の様なオーラを纏わせ、その拳で殴りかかった。両腕を前にかざして防ごうとするフリーザだが、その腕はバチンと弾かれてしまい、胸に一撃が命中した。

 

「が…!」

 

怯むフリーザを見るとカカロットは跳躍し、空中でその身体を独楽のように高速回転させる。

 

「『豹牙旋風脚』!!」

 

そしてその回転の威力を乗せたまま、フリーザの横面に蹴りを入れた。負けじと目から光線を放つが、カカロットはその場から消え、フリーザの正面に移動するとその腹を殴って突き飛ばした。

それを皮切りに次々と打撃がヒットし、フリーザは成す術ないまま空中へ打ち上げられる。

 

「『超龍撃拳』!!」

 

最後にトドメの一発と言わんばかりの巨大な衝撃波を撃ちだし、フリーザに命中させた。が、その時フリーザはカッと目を見開き、動きを止めた。

 

「…キミは本当に強いな…まさに驚異的と言ってもいいね」

 

今ので相当なダメージを受けたはずのフリーザは、平気で喋る余裕があった。

 

「…そいつはどうも」

 

「でもこの戦いにも飽きてきたからそろそろ終わりにしようと思うんだ。楽しかったけどね…。一応最後に聞いておこう、ボクの下で働いてみる気はないかい?それほどの力を消してしまうのは惜しいんだ…ギニュー隊長なんかよりよほどいい仕事をしてくれそうだからね」

 

「冗談じゃねぇって。誰がそんな申し出受けるかよ」

 

「そう言うと思ったよ…サイヤ人という種族はバカと言っていいほど頑固だからね。でもキミは正真正銘のバカだ…ボクの本当の実力すら見抜くことができない」

 

「…何だと?」

 

次にフリーザから発せられた言葉は、カカロットのこれまでの戦いを覆す程であった。

 

「実は、ボクはキミとの戦いで”マックスパワーの10%”ほどのパワーも出しちゃいないんだ」

 

「は…?いくらなんでもハッタリが過ぎるんじゃないのか?」

 

「ふっふっふ…さてそれはどうかな?ボクが今から試しに10%のパワーを出してみるからかかってきなよ。それで全てが分かる…」

 

 

 

 

「なんだ?あのふたりは何を話してるんだ?」

 

天龍が遠くに見えるふたりのやり取りを見てそう言いながらピッコロの方を見た。ナメック星人であるピッコロならば、ずば抜けた聴力で今の会話を聞き取れていたはずだからだ。

 

「…まずい、皆で今すぐ逃げるぞ…!!」

 

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