もしもカカロットが幻想郷に落ちていたら   作:ねっぷう

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第141話 「この世は舞台なり」

カカロットたちが幻想郷へ帰還してから、実に3か月が経過していた。幸いこれまでは何事もなく、フリーザの襲来する気配は感じられない。

カカロットは特訓の一環として、今まで自分が修行してきた場所や師となった人物たちの場所を周っていた。

 

「おーい!テメェら何で逃げるんだ、昔みたいに相手してくれよー!!」

 

カカロットは命蓮寺の庭でマミゾウや一輪、村紗を追いかけまわしていた。振り上げた腕には気が込められており、並々ならぬ気迫を纏っている。

 

「ばかもーん!わしらに今のお主の相手が務まる訳ないじゃろうがー!!」

 

「まったくよ!!」

 

 

 

一方、永遠亭に診療に来た霊夢と、史奈と遊びに来たシロナ。

部屋の中で座っている霊夢のおなかを見ながらシロナが言った。

 

「ほんとにお母さんのおなかの中に赤ちゃんがいるの?」

 

「ええ、まだ小さいけどね。シロナが生まれる時もそうだったのよ」

 

その様子を遠くから横目で見ていたブロリーは、ゆっくりと永遠亭を後にした。

 

 

 

 

 

「ブロリー…本当にやるのか?」

 

それからさらに1か月ほどの日数が経過していた。

 

「ああ、『この世は舞台なり。誰もがそこでは自分の役を演じねばならない』、だ。俺の役とは全てを終わらせる破壊の悪魔だ。ならば破壊の悪魔らしく、敵の全てを破壊しつくしてやる」

 

カカロットたちは気付いていなかった。この星に来るものはいなかったが、この星から出ていく者はいたのだと。

ブロリーとパラガスは2人乗りの小型宇宙船に乗り、ある場所を目指して飛んでいた。

 

「俺と違い、幸せな家庭を持ったカカロットやその家族をこれ以上戦いに巻き込ませるわけにはいかない…!」

 

カカロットや霊夢、そしてシロナたちの様子を見たブロリーは、フリーザの襲来によりあの幸せを崩壊させまいと考えるようになった。こうして、ブロリーはパラガスと共にフリーザが地球にやって来る前に倒してしまおうと思い立ち、自分らだけで戦うために宇宙へ飛び立っていたのだ。

だが、そうひとりで呟いたブロリーの言葉を聞いて、パラガスは心の中で思った。

 

(馬鹿者…破壊の悪魔がそこまで他者を思いやって行動ができるか…。お前は穏やかだが激情をも備えた、伝説のサイヤ人だ…)

 

パラガスは遠い昔の事を思い返した。

 

 

「やめろブロリー!!」

 

8年近く前、ブロリーがまだ少年であった頃。パラガスは生まれ持った強大な潜在パワーに支配され、成長するにしたがって暴走し宇宙中で破壊の限りを尽くすブロリーに手を焼いていた。

 

「ふはははははは…!!」

 

ブロリーは両手に作り出したエネルギー弾を投げ飛ばし、ある惑星の町並みを崩壊させる。パラガスがどんなに止めようと説得しても聞く耳を持たず、ただ笑いながらその星を壊滅させていった。

 

「いい加減にするんだ!」

 

パラガスがブロリーを背後から拘束しようと飛びかかるが、ブロリーは急に振り返ると、肘を後ろへ突き出しパラガスを攻撃した。

 

「へあァッ!!」

 

「ぐあぁっ…!!」

 

その一撃は運悪くパラガスの右目に命中し、失明させてしまう。パラガスはその日、いつかこのブロリーの力は宇宙を滅びへと導いてしまうと考え、封じ込めなければならないと思うようになった。

その後もブロリーは宇宙中の惑星を破壊しながら移動を繰り返し、とうとう地球の付近にまでやってきていた。ブロリーは地球に目をつけ、ぐんぐんと接近していく。

しかしその瞬間、地球から一筋の眩い強力な光線がこちらへ向かって来た。ブロリーは驚きながらもそれを回避したが、光線は真っすぐに後ろへ飛びていき…地球の衛星のひとつである「月」に命中した。

 

「…!!?」

 

実はこの時、パラガスとブロリーは知る由もない事であったが、地球…幻想郷ではカカロットたちと月夜見王との熾烈な戦闘が繰り広げられていたのである。月夜見王は、大猿に変身し驚異的なパワーを発揮したカカロットをどうにかするため、大猿化の源である満月を破壊しようと、月に向かって攻撃を繰り出したのだ。

その攻撃こそ、今ブロリーがかわした光線である。光線は月に命中し、月夜見王の思惑通り粉々に月を消し去った。がその時、近くにいたブロリーは月の爆発にもろに巻き込まれてしまったのである。

 

「ブロリー…!」

 

パラガスが後から駆け付けた時には、頭を強打し血を流し、気を失ったブロリーが宇宙空間を漂っているだけであった。

なんとかブロリーは一命をとりとめたものの、脳に損傷が与えられてしまったらしい。しかしその影響はパラガスたちにとって都合が良かった。

頭を強打したことにより、ブロリーのその凶暴性が完全にとは言えないが失われたのだ。だが、未だに感情が昂ぶると暴走してしまうというのは変わらなかった。

 

「親父…どうにかして、俺のこのパワーを封じ込めてくれ」

 

「何だとブロリー!お前の凶暴性は失われ、もはや縛る必要など無くなったのだぞ」

 

「いや、また何がきっかけで俺が暴走するかわからない。そうすれば俺はふたたび全宇宙を脅かす、破壊と殺戮を好む悪魔と化してしまうだろう…そうなる前に、頼む」

 

パラガスは不本意ながらも例の科学者にブロリーのパワーを自在にコントロールできる装置を作らせ、頭に装着させた。

 

 

(悪魔が自分から封印されることを望むか…。お前は悲しみを背負った、俺のかわいそうな息子なのだ…)

 

「いいか親父、もしも俺が暴走しても、今度ばかりはフリーザを完全に倒すまで制御装置は使わないでくれよ」

 

「ああ、分かっている…」

 

ふたりの乗った宇宙船は、現在フリーザ一味が居ると思われる惑星に近づいた。宇宙船内に設置されている大型スカウターがフリーザの戦闘力を捉えているからだ。

 

 

 

逆に、ブロリーとパラガスの戦闘力反応を捉えているのは惑星フリーザの兵士も同じであった。

基地の管制室にいた室員が、モニターに映った反応を発見した。

 

「ん?小型宇宙船が発着場に向かってきているな」

 

「ああ…おそらくソルベ様とその側近だろう。つい先日お出かけになったからな」

 

やがて宇宙船は発着場に着陸した。何人かの兵士が出迎えにやって来るが、乱暴にドアが開け放たれると、そこからブロリーが飛び出して来た。

 

「なんだお前は!?」

 

ブロリーは目の前の兵士を殴り飛ばし、空に飛びあがると基地である城のそばに置かれていた大型宇宙船に目を付けた。片手にエネルギーを圧縮した光弾を作り出し、それを投げつける。

光弾は容易く大型宇宙船を粉々に爆発させて破壊し、大地を激しく揺らした。

 

 

「のう、四天王がひとりラーゴンよ…。このわしのコレクションを見て何か思わんかね?たとえば…」

 

その頃、コルド大王は基地の城内の一室で、カーボネド四天王のひとりであるラーゴンと共に何かを話していた。その部屋には、壁や天井中に槍や剣などの様々な武器が飾られており、そのどれもがピカピカに磨き上げられて煌びやかな光を放っている。

 

「惑星フリーザNo.4における40万年前の地層から出土したこの刀剣…」

 

コルド大王はその中のひとつ、金色の刀の様な剣を手に取って眺めた。

 

「柄の部分は風化によって形状が分かりにくいが、それでも刀身の部分だけは当時の輝きを全く失ってはおらん。まぁわしが丁寧に磨いたのもあるが…それでもあの星の製鉄技術は大したものだった」

 

「ええ…話には聞いておりましたが、わが軍の使う武器の一部はその惑星フリーザNo.4の技術が応用されているのでしたね」

 

メガネをかけた青年、ラーゴンは腕に取り付けられている電子機器を操作しながらそう言った。

 

「その通りだ。わしは武器マニアの一面もあってな…自分なりの美学も持っている。それは美しい得物で生き物を殺さぬことだ。血は刃を錆びらせ、殺された者の魂は武器に乗り移り職人が武器に込めた意志を塗りつぶしてしまうと考えるからだ。わしが他者を殺す際は他人の手を使わせるか…この手でやるかのどちらかだ」

 

ドォン…!

 

「何事だ!?」

 

その時、建物と地面が大きく揺れた。数秒置いて部屋の扉が開き、四天王のリーダーであるカーボネドが姿を現した。

 

「コルド大王様…何者かがこの惑星を襲撃しに来た模様です」

 

「何だとォ…!!」

 

「ええい、部下共を使って止めよ!」

 

「それが既に兵士の大半がやられてしまっております。我々四天王もこれから向かいますが…」

 

ゴゴゴゴ…

 

次の瞬間、壁が勢いよく吹き飛んだ。コルド大王と四天王は思わず衝撃から顔を逸らす。

破壊された壁の外から緑色の気を放つ何者かがゆっくりと歩み寄り、耳をつんざくような咆哮を轟かせた。

 

「ヌウウオオオオオオオオオ!!!」

 

ブロリーの目は既に黄色く変化し、黒髪を逆立てている。床を蹴って破壊するとそのままの勢いでコルド大王に飛びかかった。

 

「何者だキサマ!!」

 

カーボネドとラーゴンはすかさずブロリーの前に立ちふさがり、コルド大王の護衛に入る。

 

「邪魔だァ!」

 

しかし、ブロリーは腕の一振りをふたりにまとめてヒットさせ、同時に突き飛ばした。一撃で吹っ飛ばされたカーボネドとラーゴンは床に両手をついてなんとか踏みとどまる。

 

「ウオオオオオ!!」

 

ブロリーはコルド大王に殴りかかる。コルド大王はその一撃を受け止め、すばやい反撃の蹴りを放つ。ブロリーはもろにそれを腹に受けるが、すぐに態勢を立てなおし右手からエネルギー弾を撃ちだす。

 

「その程度、効かんわ!」

 

それを飛んで避けるコルド大王。ブロリーも同じく飛んで追撃に出るが、その時飛んできた紫色のエネルギー弾を受け、ブロリーは動きを止める。

 

「…お前はナメック星に居たサイヤ人か…!」

 

騒ぎに駆け付けたフリーザがコルド大王に加勢し、ブロリーに攻撃を加えていたのだ。

 

「…フリーザァ!!」

 




ドラゴンボール超劇場版「ブロリー」、楽しみですね
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