もしもカカロットが幻想郷に落ちていたら   作:ねっぷう

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第142話 「俺の目の前で殺してみろよ」

惑星フリーザへ、フリーザを先に倒してしまうために襲撃を仕掛けたブロリーとパラガス。

ブロリーはフリーザ軍の基地でもある城へ殴り込み、コルド大王とフリーザと対峙していた。

 

「ナメック星にいたサイヤ人か…!一体ここへ何しに来たのかな?」

 

「まさか我々を倒しに来たというのではないだろうな…?」

 

フリーザとコルド大王は単身で戦いを挑みに来たブロリーを見てそう言った。

 

「その通りだ。俺はお前らをここで倒す」

 

ブロリーはゆっくりとふたりへ歩み寄る。フリーザはにやりと笑いながら片腕を掲げ、一発のエネルギー弾を撃ちだした。それはブロリーに正面からぶつかり、爆発が起こる。

しかし、ブロリーは何事もなかったかのように煙の中から現れると一瞬でフリーザの目の前にまで跳躍し、拳を振りかざした。

 

「…!?」

 

フリーザは咄嗟に両腕をクロスさせて攻撃を受けるが、予想外の威力を前に勢いよく後ろへ吹っ飛ばされた。部屋の壁を突き破り、基地の外にまで飛ばされる。

 

「デヤアア!!」

 

すかさずブロリーもそれを追い、片腕から一発ずつエネルギー弾を撃つ。がその時、背後から迫っていたコルド大王に足を掴まれ、地面に投げ飛ばされた。

ブロリーは口から気功波を放ち、その反動で再び空中へ舞い上がる。そのまま上昇し、反応できなかったコルド大王の顎に頭突きを食らわせた。

 

「む…が…!!」

 

コルド大王は顎への一撃により脳を揺らされ、気を失いながら下へ落下していった。

 

「パパを倒すとはやるね…!名は何というんだい?」

 

「…ブロリーだ」

 

「そうか、では殺してあげようか」

 

フリーザは全身に紫色のオーラを纏い、ブロリーは緑色のオーラを纏って同時に突撃を仕掛ける。そして両者は拳と拳をぶつけ合い、あたりに凄まじい突風と衝撃波が舞う。

…が、しかし。次の瞬間にはブロリー渾身の蹴りがフリーザの顔面へめり込んでいた。さらに追撃のパンチが腹にヒットし、それを皮切りにブロリーは次々とフリーザに攻撃を命中させていく。

 

「…ウオオオオオオオ!!」

 

 

 

一方そのころ、基地の宇宙船発着場。

 

「ぐえ…!」

 

「ぎゃ…!!」

 

そこでは襲い掛かるフリーザ軍兵士たちと互角以上に戦い、彼らを蹴散らしていくパラガスの姿があった。パラガスは向かってくる兵士を振り回して周囲の兵士にぶつけ、さらに背後から迫っていた敵を後ろ蹴りで吹っ飛ばす。

 

「さぁかかって来い。この私が相手してやろう」

 

「このクソジジイ~~~!!」

 

怒った兵士がパラガスに気功波を撃つが、容易にそれをはじき返す。

だがその瞬間、突然迫って来た何者かの飛び蹴りがパラガスの頭に命中し、パラガスは横へ吹っ飛びズザーッと地面を滑っていく。

 

「ぬ…ぐぐ…何だ…!?」

 

「よォおっさん、今まですきにやってくれたねぇ」

 

「しかしそれもそこまでだ。オレたちカーボネド四天王が現れたからにはな」

 

パラガスの前に立ちふさがったのはカーボネド四天王のメンバーふたりであった。紅一点の女戦士スカッシュ、そして鋼の様な強固な皮膚を持つ巨漢戦士ダイザー。パラガスを蹴り飛ばしたのはスカッシュだろう。

パラガスは咄嗟に不意打ちの気功波を撃つ。それはダイザーの顔面に命中し爆発を起こすが、その肉体全てを覆う鋼鉄の皮膚の前には全く効いていなかった。

 

「くっ…」

 

「効かないな、その程度の攻撃。このオレの鉄壁のボディは何者であろうとも、どんな物であろうとも破ることはできないのだ」

 

ダイザーは肥大し前のめりになっている上半身と巨大かつ太い腕を持ち、防御力と同時に高いパワーまでをも秘めている。その剛腕を振り上げ、パラガスに向かって攻撃を仕掛けた。

パラガスは間一髪飛んで避けるが、その背後へスカッシュが迫り、背中を蹴りつけた。吹っ飛ばされるパラガスはダイザーの元へと向かい、ダイザーは待っていましたとばかりに不気味に目を光らせるともう一度剛腕を振りかぶり、パラガスに殴りかかった。

 

「ぐあァ…ッ!!」

 

今度の一撃はパラガスに命中した。腹へ剛腕がめり込み、パラガスは勢い良く吹っ飛ばされて基地の城の壁を破壊しその中へ放り込まれた。

 

「イエーイ、連携攻撃成功!!」

 

スカッシュはそう叫んだ。

 

 

 

「…オヤジ…!?」

 

その時、パラガスの気が一気に減ったのを感じ取ったブロリーは、フリーザへの攻撃の手を休め、その方向へ顔を向けた。

 

「しめた!!」

 

その隙を見たフリーザはそっぽを向いているブロリーに顔面を尻尾で殴り、右手から強力なエネルギー波を放ってブロリーを攻撃した。

ブロリーは衝撃に晒され、エネルギーに包み込まれてしまう。

 

「…邪魔だァ!!」

 

しかし、全身から激しく燃える炎の様な黄金のオーラを爆発させ、フリーザのエネルギー波を一瞬でかき消した。その変貌ぶりを見て、フリーザは驚いた表情を浮かべる。

 

「なんだ、アイツの変化は…!?あの金色のオーラは一体…!?」

 

ブロリーは黄金のオーラを纏ったままフリーザを置き去りにして城の方へと戻っていく。

 

 

 

「さぁて、そろそろアタイがトドメ刺してやるよおっさん」

 

スカッシュは倒れるボロボロのパラガスの背中を踏みつけ、拳を構える。そして今にも攻撃を放とうとした途端、その場へ高速で飛んできた一発のエネルギー弾を視界の隅に捉え、それを慌ててかわした。

 

「誰だい!?」

 

「カアアアアア…!」

 

スカッシュがそう言った瞬間に、接近したブロリーは彼女へラリアットを食らわせ、そのまま押し込んで地面へ激突させた。そして背後から走って迫ってきたダイザーへ回し蹴りを当てた。

蹴りはダイザーの鋼のような胸に当たると、ゴイーンと鐘の様な音が周囲に響き渡った。が、次の瞬間、その胸にピシリと亀裂が走り、一部の皮膚が砕けた。

 

「何だと…オレの体が割れた…!?」

 

ブロリーはさらに激しい黄金のオーラを纏い、ダイザーを木っ端みじんにするかの勢いで殴りかかる。

だがその時、ブロリーを追ってやって来たフリーザが両者の間に割って入り、ブロリーの顎を蹴り上げた。

 

「フリーザ様…!」

 

「もう下がっていいよ、コイツはボクが殺すから」

 

「は、はい!」

 

ダイザーとスカッシュはその場を離れていく。

そしてフリーザとブロリーはしばらく向かい合い、互いににらみ合っていた。

 

「ふっふっふ…前にナメック星で戦った、カカロットとかいうサイヤ人よりはずっと強いみたいだけど…ボクが本気になればもう相手にはならないね」

 

フリーザが先に口を開いた。

 

「お前は俺とオヤジにサイヤ人の誇りを思い出させてくれたターレスさんたちを殺した」

 

「ああ殺したね…ボクを倒そうなんて言う馬鹿げたことをしようとしたもんだからさ。まぁそのおかげで良いものが手に入ったけどボクの怒りはまだ収まってないんだ…ここでキミも殺して、地球人ごとカカロットってヤツも地獄へ送ってあげるつもりだ」

 

その言葉を聞いたブロリーは、カカロットたちの事…そしてわずか数か月の間であったが、地球で暮らしていた時の事を思い返した。

 

 

 

「ブロリーさん…って言ったっけ?あなたもサイヤ人なんでしょ?」

 

ブロリーは博麗神社に興味本位で立ち寄った時、霊夢にそう話しかけられた。

 

「そうだが」

 

「あのカカロット…小さい時にはずっとひとりぼっちだったのよ。だからおんなじサイヤ人同士、殺し合うのなんてやめて仲良くしてね」

 

「…ああ」

 

 

「ちょっとちょっと!サイヤ人ってのはどいつもこいつも大喰らいなの!?」

 

命蓮寺にて、カカロットと一緒に夕飯をごちそうになった時、休まずに大量の料理を次々平らげていくカカロットとブロリーを見て村紗が頭を抱えながらそう言った。

 

「カカロットより大人しそうだから食べる量も普通だと思ったのに…!」

 

 

 

「やってみろよ」

 

「あ…?」

 

「俺の仲間を…俺の目の前で殺してみろよォ!!」

 

「言われなくてもやってやるよ!!」

 

フリーザは怒り、ブロリーへ向かって飛びかかった。

だがその時、ブロリーは全身からさらに激しい黄金のオーラを爆発させる。

 

バシュン…

 

「な、なにッ!?」

 

「ウオオオオオオオオオオ…!!!」

 

逆立っていたブロリーの髪の色が変化していく。光の影響か、やや紫がかっていた髪は水色へと変化し、ブロリーの瞳も緑色に変わった。それを見たフリーザは思わず動きを止め、神秘的ともいえるその変貌を眺めた。

以前よりも数段強くなった気を纏い、ブロリーは雄叫びを上げながら動きを止めたフリーザに突進を仕掛けた。肩でのタックルを命中させ、あまりの威力に言葉を失ったフリーザの顎を蹴り上げる。

 

「ヘヤアァッ!!」

 

さらに繰り出されるパンチを慌てて止めるフリーザ。彼の口元から血が流れ、攻撃を受け止めたはずの手が鈍く痛んだ。

ブロリーはそれを見ると、怪我をしたフリーザの手を強く握った。ギリギリと力を込め、フリーザは思わず叫び出したい痛みを受けて顔中に血管を浮き出させた。

 

「うがああッ!!ナメるなよサイヤ人の分際でェッ!!!」

 

手を強引に引き抜き、ブロリーの顔面に強烈なパンチを当てる。ゴシャ、と音を立てて攻撃が頬にめり込むが、ブロリーはにやりと笑う。どうやら何のダメージも受けていないらしい。

 

「な…!!」

 

「ふん!」

 

お返しと言わんばかりにブロリーはフリーザの顔面を鷲掴みにし、地面へ向かって投げつけた。フリーザは成す術なく地面にぶつかり、大きなクレーターの中心に囚われる。

さらに、ブロリーは無数のエネルギー弾を撃ちだし、フリーザごと周囲を焦土に変えるかの如く闇雲に攻撃を繰り出し続ける。

 

「ふ…ははは…はーっはっはっはっはっは!!」

 

ブロリーの瞳孔が小さくなり、その口角が悪魔のようにつりあがる。そしてこの世のものとは思えないほどの狂気じみた高笑いを轟かせた。

 


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