もしもカカロットが幻想郷に落ちていたら   作:ねっぷう

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第152話 「ふたり揃って!ギニュー特戦隊!!」

午後1時 幻想郷 無名の丘付近

 

「ふゥ…第二軍とやらももう終わりか…」

 

放たれたフリーザ軍の幻想郷襲撃部隊第二軍は、ザーボンの活躍とあともう1人の力で完全に殲滅された。そのもう1人とは、あの世に住みながら死人ではない、過去の偉人や強者が鍛錬しながら暮らす大界王星から加勢にやって来た…綿月依姫である。

身体に多少生傷が残っているものの、体力的な消耗はほとんどしていない様子。

 

「む…遠くの大きな気がそれぞれ動き出した…」

 

依姫はそう感じ取ると、どこかへと飛び去ってゆく。

 

 

 

 

時間は遡り、正午12時30分 フリーザ軍第一宇宙船 機関室

 

「…チッ」

 

カーボネド四天王が1人、スカッシュはモニターを眺めながら舌打ちをし、イライラと指で肘を叩いた。

 

「ふむ、第二軍の反応がほとんど消えたね。マンダリから始まって他の隊長の戦闘力反応も全員消えた…」

 

ラーゴンが冷静にそう呟いた。

 

「何をすましてやがんだ、このオタク!だからアタイは言ったんだ…最初からアタイらが出向いてやればよかったってな」

 

スカッシュがそう怒鳴った。確かに、早期に幻想郷での戦いを終わらせるならば、他の兵士と比べて絶大な戦闘力を誇る四天王が出向くのが得策であったはずだ。

しかし、コルド大王の命令では四天王は時が来るまで出撃してはいけなかった。ではなぜそんな命令を下したのか…その理由にカーボネドがいち早く気づいた。

 

「なるほど…『選別』か」

 

「あ?選別?」

 

鼻の大きな老人、カーボネドは続ける。

 

「恐らくあのコルド親子は、先のナメック星での戦いとやらで軍の兵士全てに対する信頼を置かなくなったのだろう。色々な惑星を蹂躙することはできても、たった数名ほどの地球に住む戦士たち、そしてサイヤ人には敵わないのだと。だから彼らと闘わせて、要らない兵士たちを”処分”されたのだ」

 

「なるほどな。コルド大王様は興味がねぇらしいが、フリーザ様が念願の不老不死になれば無駄に多い兵士共も必要なくなる。御側で生きることを許されたオレたちは幸いしたって訳か」

 

鋼の身体を持つ巨漢戦士、ダイザーが納得する。

その時、カーボネドが滅多に見せない笑みをうっすらと浮かべているのに気が付いた。

 

「カーボネド、笑ってるのか?」

 

「確か…今まで忘れていたけど、カーボネドは地球の出身だったね」

 

「私が居た頃には、地球には強者と呼べる者は誰もいなかった…しかし、今なら私を満足させることができる使い手がたくさんいると思うと、年甲斐もなくワクワクしてしまってな…」

 

「ということは行くんだね?」

 

「ああ…」

 

カーボネドはそう言うと、歩いて部屋を出て行った。

 

「オレも行くか…」

 

「アタイも行くぜ」

 

それに続いて、ダイザーとスカッシュも部屋を出ていく。しかし、ラーゴンだけは椅子に座ったままそれを見送った。

 

「やれやれ、血の気の多い…。僕は残らせてもらうよ」

 

 

 

 

 

午後12時40分 紅魔館

 

場所と時間は移り変わり、美鈴とバータが話し終えた直後に戻る。美鈴はこちらに向かってくる大きな気を感じ、バータもまた自らのスカウターに戦闘力反応が表示されたのに気付いた。

 

「むっ!?」

 

しかし、あえて旧型のものを支給されていたため、バータのスカウターは爆発して壊れてしまう。

 

「誰か来る…!一体、この気は…!?」

 

その時、まるで流星のように赤く燃える人影が猛スピードで突っ込んできた。地面にぶつかり、燃えた石と土がはじけ飛ぶ。

へこんだ地面の上で立ち上がったのは、カーボネド四天王がひとり、スカッシュであった。

 

「おーおー、どなたがいるのかと思えば、元ギニュー特戦隊のリクームとバータじゃないか。こんなとこで何してんだい?」

 

「スカッシュ…!」

 

バータが苦虫を噛み潰したような顔をしながらそう言った。

 

「あ?言葉遣いがなってないねぇ、様をつけな、様を」

 

スカッシュはバータの背後にいる美鈴に気が付いた。

 

「ふーん、アンタ知ってる。ナメック星に来てた紅美鈴でしょ?ここまで頑張ってたみてぇだけど、もう終わりの時が来たって訳。アタイがトドメを刺してやるよ、オラ、デクノボーは退いてな」

 

スカッシュはバータを腕で突き飛ばし、美鈴に歩み寄っていく。美鈴は既に体力も万全にまで回復しているとはいえ、流石にスカッシュ相手には太刀打ちできないだろう。

 

「くっ…!」

 

だが、美鈴は跳躍するとスカッシュの首に渾身の飛び蹴りを浴びせた。しかし、その一撃はびくともせず、逆に足を掴まれて地面に叩きつけられた。

 

「効かないよそんなヘナチョコキック!」

 

さらに美鈴の顔面を蹴りつけ、転がした。さらに、うめく美鈴の左胸に向かって膝を叩きつけた。嫌な音が鳴り、美鈴は痛みの悲鳴を上げた。

 

「うわああああああ…!!」

 

「さァて、呆気なかったが終わりにしようかね」

 

スカッシュが美鈴にトドメを刺そうと、その右手に剣のようなオーラを纏い、それを喉元に付きつけた。

しかしその時…背後から近付いてきたバータが、美鈴とスカッシュの間に割り込んで入った。

 

「なんだテメェ、何のつもりだい?」

 

「スカッシュ様、この地球人を殺すというのですか?」

 

「バーカ、あったりまえだろォ?」

 

「そうか…」

 

バータが静かにそう呟くと、広げた手の平をスカッシュの顔の前にかかげた。そして次の瞬間、青いエネルギー弾を作り出し炸裂させた。

 

「どうやら、ここの者を殺すと俺たちがドラゴンボールを手に入れられなくなるらしい」

 

スカッシュは攻撃された顔を押さえ、怒りに震えて声を荒げる。

 

「キッサマァ~!!一般兵士以下のデクノボーの分際で、このアタイに逆らうってのかい!?」

 

「当然だ、そうしなければ、我々は二度とフリーザ様からの信頼をいただけないだろう」

 

「フン、黙りな!アンタなんてアタイが本気を出せば、ちょちょいのちょいで…!」

 

スカッシュがそう言いかけた瞬間、突然迫って来た何者かの膝蹴りを顔面に喰らい、後ろへよろめいた。鼻血が垂れる顔を上げると、そこには美鈴との戦いで気を失ったものの、目を覚ましたリクームが立っていた。

 

「バータ、事情は分かってるぜ。オレたちギニュー特戦隊の栄誉の為に、ここは頑張るほかないでしょうよ」

 

「ああ、フリーザ様に認めていただくため、ここで勝つしかない!」

 

リクームとバータのそんな言葉を聞いていたスカッシュは、これまでとは打って変わって大きな声で笑いだす。

 

「ぷっ…あははははははは!!なにさ、アンタらマジで自分たちが頑張ればもう一度フリーザ様に信用してもらえると思ってんの!?ウケるんだけど!?」

 

「な、なにィ…?」

 

「この際だから教えてあげるわ!アンタらふたりがナメック星で大失敗をしながらも、なぜ処刑も追放もされずにフリーザ軍に置いてもらえてるかわかる?アンタらはフリーザ様は自分らが挽回するのを期待してくれているとか思っちゃってるみたいだけど…フリーザ様はこの前にこう言っていたよ、『あのリクームとバータは真面目に滑稽で面白いから軍に置いてる』だってさァ!!」

 

「そん…な…」

 

「嘘だ…フリーザ様がそんな理由で…!」

 

「そうやってフリーザ様を妄信しているのも、まだ自分らにチャンスがあると思い込んでるのもただものすごーい滑稽で見ていて面白いんだってさァ!」

 

ふたりは何かが崩れたような顔で唖然と上を向いた。

 

「あと…何だっけ?ナントカポーズってやつも、アンタらがどう思ってやってるのか知らないけど、ダサいんだよ!いい加減フリーザ様も毎回あんなの見せられて参ってたって言ってたよォ?」

 

スカッシュは続ける。

 

「あれは一体だれが考えたんかな?もしかして隊長だったギニューってヤツ?だとしたらとんだマヌケだね…」

 

「…おい、聞いたかリクーム?」

 

「ああ、聞こえたぜバータ。アイツ、オレたちのファイティングポーズ魂を馬鹿にしやがった」

 

「さらにその魂を教えてくださった隊長までも…」

 

「「許せねぇよなぁ!!?」」

 

「ふん、だから何だってんだい!アンタらも他の隊員がいるあの世へ送ってやる、そこで仲良くダセェポーズでも続けてな!!」

 

スカッシュは両手を前にかかげ、そこへ強力な気を溜め始める。

リクームは後ろを向き、両腕を右側にビシッと伸ばして顔だけ振り向いた。そして、バータは両手を上にあげて丸を描き、つま先で立ち上がる。

 

「ギニュー特戦隊!『リクーム』!!」

 

「『バータ』!!」

 

「「ふたり揃って!ギニュー特戦隊!!」」

 

「黙りな!鬱陶しいんだよッ!!」

 

スカッシュはふたり目がけて蹴りを放つ。が、リクームとバータはその初撃を見事躱し、カウンターのパンチを放った。

だがスカッシュもそれを避けるが、ふたりはさらに追撃を仕掛けた。

 

「効かないよ!」

 

スカッシュは全身から小さな衝撃波を放ち、ふたりを吹っ飛ばした。リクームとバータは口から血を流しながら地面に倒れ込んでしまう。が、すぐに起き上がり、もう一度スカッシュに挑みかかっていく。

 

「だ、だめだ…アイツには私たちレベルじゃ敵わない…!」

 

たった少しの戦いのやり取りでかなりのダメージを受けた美鈴は、スカッシュの飛びぬけた戦闘力を実感し、そう呟いて狼狽えた。しかし、リクームとバータは何度スカッシュに殴り飛ばされようが、果敢に立ち向かい続ける。

 

「…あの人達が戦ってるのに…」

 

美鈴は何かを決心すると彼女も立ち上がり、スカッシュに飛びかかった。

 

「あん?」

 

しかし、スカッシュは接近する美鈴の拳を軽く受け止め、反対の腕による肘打ちを鳩尾へ浴びせた。一瞬、グルンと目が回り意識が遠のきそうになるが、グッと足を踏み込んで耐える。

 

「…ぬおおおおお!!」

 

「アンタ、まだやるんだ…スゲェな。でもアタイには勝てないよ!死にな!」

 

スカッシュは手の平にエネルギー弾を生成し、今にも美鈴に向かって放とうと構える。が、リクームとバータが背後から殴りかかって来た事により注意をそちらに向け、軽くふたりを蹴り飛ばす。

 

「チッ、邪魔ものめ…」

 

だがやはりリクームとバータは再びスカッシュに挑みかかる。既にその戦闘ジャケットが大きく割れて破損し、全身に血がにじむ打撲痕が出来ているにも関わらず。本当ならばもう戦闘不能になっているはずのダメージだが、まだ戦いに来るとは、よほどフリーザに見捨てられたことが信じられないらしい。

それだけならまだいい。新たに加わったこの紅美鈴という女。コイツが加わったおかげで敵の鬱陶しさに拍車がかかった。妙な歩法やリズムの所為で、勝てないという事はあり得ないが戦いにくい事この上ない。

そう感じた途端、スカッシュはこれまでの以上の苛立ちが湧き上がり、額に太い血管が浮かび上がった。

 

「うが───ッ、じゃかましい!!こうなったらテメェら全員、吹っ飛ばしてやる!!」

 

スカッシュはそう叫ぶと空中に高く飛び上がる。

 

「ハアアアアアア…!!」

 

そして、自分の胸の前に紫色のスパークを放つ光弾を作る。次の瞬間、スカッシュは腕を振り上げ、渾身のパワーでその光弾を殴りつけた。

光弾は大砲の弾の如く美鈴たち目がけて飛んでいく。

 

(まずい、避け…いや、ダメだ、避けたとしても爆発は広範囲に及ぶだろう、どちらにしろ…ならば!)

 

美鈴は素早く手を顔の前にかかげ、四角形の形を作った。

 

「『気功砲』!!」

 

そこから気功砲をスカッシュの攻撃に向けて放つ。気功砲は空中でどんどんと大きくなりながら、迫るエネルギー弾と衝突した。

その途端に空中で大爆発が起こった。リクームとバータが吹っ飛ばされそうになり、地面の上の草が倒れ、湖の水が激しく波立つ。炎と黒煙が収まると、驚いた顔をしたスカッシュが姿を現した。

 

「…馬鹿な、アタイの『スパイクスパーク』を相殺するとは…良い技だな」

 

美鈴は気功砲の反動により、後ろへしりもちをついてしまう。

 

「その様子じゃ二度目は撃てないだろう?今度こそアタイの勝ちだね」

 

そんな美鈴に対し、スカッシュは既に二回目の「スパイクスパーク」を発射しようと光弾を作り出し終えていた。

リクームとバータがまだ残っているが、先ほどまでのスカッシュとの戦いでのダメージも相まって、流石に防ぐことはできないだろう。

 

「よく頑張ったが、今度こそホントのホントにここでお終いだ。あばよ!!」

 

「くっ…!」

 

スカッシュは再びスパイクスパークを放った。その殴った力は先ほどよりも遥かに強いように見受けられる。

美鈴たちは、負けを覚悟し下を向いた。

 

 

 

ズバン

 

 

 

しかしその瞬間、猛スピードで飛んでくる紫色の光弾が一閃された。横で切断され、上下に分かれ、その間に傾き始めたオレンジ色の太陽が入れ替わるようにして現れる。

 

「だ、誰だ!?」

 

スカッシュはそう言いながら辺りを見渡す。彼女の装着スカウターに、新たな戦闘力反応が表示される。

 

「綿月依姫、月の使者のリーダーにして、今は己を高めるだけの武道家である」

 

依姫は、腕に作り出した長い刀の様なエネルギーを振るい、煙を払いながらそう言い放った。

 

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