もしもカカロットが幻想郷に落ちていたら   作:ねっぷう

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第157話 「私を誰だと思っている」

跳躍したカカロットは、怒りのオーラを滲ませるフリーザに接近し、腕を大きく振り払った。フリーザはそれを尻尾でガードし、反撃の蹴りを放つ。

 

「きえええい!!」

 

「ふん…!」

 

だがカカロットもそれを腕でガードし、足を振り上げつま先でフリーザの顎を蹴りつけた。しかしフリーザも負けじと体勢を立て直すと、腕を振るって強力な衝撃波を放つ。

カカロットは腕をクロスさせて身を固め、攻撃を受ける。地面が三日月型に消し飛んで穴が開き、煙があたりを覆う。

 

「…どうだ…!」

 

フリーザは得意げにそう呟いた。だが、煙が晴れると攻撃を耐えたカカロットの姿があった。それを見たフリーザは額に血管を浮かばせながら怒り、さらに両手から連続の衝撃波を放つ。

 

「ハッ!ハッ!ハッ!!」

 

それが容赦なくカカロットに命中し、空気が揺れるほどの威力であるのが見て取れる。しかし、カカロットは腕を前で交差し防御の構えを取ったままそれを耐え続けている。

そして次の瞬間、攻撃のスキを縫うように飛び出したカカロットはフリーザに接近し、その顔面に拳を振り下ろした。慌てて避けるフリーザ…だが、同時に繰り出していたもう片腕による腹への攻撃を防ぎきれず、もろに喰らった。

 

「ぐば…ッ!」

 

唾を吐き出すフリーザに対し、さらに追撃のパンチを浴びせる。吹っ飛ぶフリーザを追いかけて蹴り上げようと構えるが、フリーザは尻尾をカカロットの足へ巻きつけて絡めとる。

バランスを崩したカカロットは地面に叩きつけられた。すかさずフリーザは踏みつけようと足技を繰り出すが、カカロットは転がるようにして回避し、フリーザが片足だけになったのを見計らって腕で足払いを繰り出す。

それは上手く命中し、不意に倒れ込むフリーザ。カカロットは落ちてくるフリーザの顔面に渾身の拳をめり込ませた。

 

「ぐあああッ!」

 

痛がる様子を見せながら素早く後退するフリーザ。カカロットもあわてて起き上がりながら息を切らす。

 

「ハア…ハア…!!」

 

「フ…フフフ…フハハハハハハ!!」

 

その時、突然大声で笑いだすフリーザ。

 

「流石だな、カカロット!癇に障るが、今の状態ではキサマの方がわずかに上回るらしい…。だが、それがどうした?このオレはまだ半分のパワーしか出していない…」

 

「な、何だと…?」

 

「今こそ見せてやるぞ…このフリーザ様の100%フルパワーの実力をな!!」

 

 

 

 

 

同日 午前7時30分 幻想郷 天界 シュネックの御殿

 

「…はっ!?」

 

ウスターは目を覚ました。自分が寝かされていたベッドから飛び起き、布団をはねとばす。

 

「ここは…?俺は今まで何を…?」

 

ウスターの記憶は、ナメック星での戦いで途絶えていた。フリーザの超能力で吹っ飛ばされて気を失ってから、軍に捕らわれ、我を失い暴走していたころの記憶が一切ないのだ。

 

「気が付いたようじゃな」

 

そこへ様子を見に来たシュネックが現れた。

 

「お前は…シュネック…俺はどうしたんだ?」

 

「ウスターよ、お前はフリーザ軍に捕らわれ意識を無くしたまま暴走し続けていたのだ」

 

「そう、そしてそれを私が鎮めた。それからお前は2日近く眠り続けていた」

 

シュネックの背後に、ヌッと大きな人影が現れる。ガーリックの息子、ガジュニアであった。

驚いたウスターは咄嗟に立ち上がり、両腕を紫色のオーラで形成し警戒して構える。

 

「キ、キサマはガーリックの息子!!何故ここにいる…!」

 

「落ち着くのだウスター。まずはわしが順を追って説明する」

 

ウスターはシュネックから全ての事情の説明を受けた。今がナメック星での戦いから10か月が経過した時である事、そしてフリーザ軍が今幻想郷にやってきていること…そしてなぜガジュニアがこの場に居るのか、ということ。

 

「つまり、ソイツは魔凶星とやらの影響で強くなって戻って来たと…」

 

「その通りだ」

 

「ならばなぜソイツがここで平然としているんだ?何をしでかすかわからないだろ」

 

「ふん、魔人ウスター…それは簡単な事だ。今の状況は話したばかりだ、私がフリーザ軍とやらの残りを片付けてやる代わりにドラゴンボールを貰うと話を付けたのだ」

 

「ほう…キサマがそんな取引を受け入れるとはな」

 

「私とて不本意だがな…あの地獄のデッドゾーンを抜け出した後ならばなんでも良いものに見えてくる」

 

 

 

一方そのころ、コルド大王は自分とフリーザが乗って来たもう一台の宇宙船の中で、大きな椅子に座りながら腕を組み、険しい顔で天井を見つめていた。

 

「あれから、そろそろ2日も経つ…まだフリーザはあのサイヤ人と戦っているのか?それに四天王は一体何をしている…スカッシュとダイザーはやられてしまったようだ…いや、例え生きていたとしてもあのふたりは即刻処刑してやる」

 

コルド大王はそう言うと立ち上がり、自ら操縦席に座った。

 

「まあいい…ラーゴンと合流する。それからこのワシ直々にこの幻想郷とかいう地を消し去ってくれるわ」

 

 

 

「…まずい、今まで感じていた格別大きな気が動き出した」

 

幻想郷の様子を探っていたシュネックは、コルド大王が動き始めたのをそう感じ取った。その顔には嫌な汗が浮かんでいる。

 

「大きな気…?」

 

「ああ、フリーザとやらと一緒に来た者だ…いつ動くのかとずっと気を張っていたが、とうとう大御所がこの幻想郷に降りるようだ」

 

その時、シュネックの後ろに居たガジュニアがズイっと前に出てきて言った。

 

「ならばその大御所の相手、私に任せてもらおう」

 

「ガーリックの息子…お前…」

 

シュネックとウスターは驚いてそう呟いた。

 

「ふん…私はドラゴンボールで亡き父上を蘇らせる。そうしたら、あのフリーザ軍とやらは邪魔だろう?」

 

「だがしかし、お主に勝算はあるのか?」

 

「勝算か…ないわけではない。もし勝てないとしても、奴らに相当な痛手を負わすことはできるかもしれない」

 

ガジュニアはそう言うと歩き出し、シュネックの御殿から出ようとする。

…が、それをウスターが後ろから呼び止める。

 

「待てよ」

 

「…何だ?」

 

「お前が勝手に戦って、勝手に勝つか負けて死ぬのはどうでもいい…だが、お前はあの武道会の時、言ったよな?お前と俺は兄妹だと…そのワケを教えてから行きな」

 

「馬鹿を言え、あの時は私に勝てたら教えてやると言ったはずだ。だが安心するがいい、あとでちゃんと話してやる」

 

「あとでだと?それではダメだ、キサマが死んでは困る。俺も一緒に戦いに行くぞ」

 

「いや、来なくていい。この私を見くびるな…それに、私の戦い方にとってお前は邪魔だからな」

 

「な、何だと…?」

 

「だが、どうしても戦いたいというならこれを飲んでから来るがいい」

 

ガジュニアは、どこからか取り出した禍々しい模様の入った瓶をウスターに手渡した。それを受け取ると、どうやら中には何か液体が入っているようだ。

 

「なんだこれは?」

 

「我が魔凶星の魔族に伝わる”アクアの水”だ。口にした生き物を魔族に変える効果を持つが、既に魔族である者が飲めば苦しみと引き換えに圧倒的なパワーが手に入る。まあ、好きにするがいい」

 

ガジュニアはそう言い残すと、今度こそ御殿から飛び去ろうと身構える。

 

「…死ぬなよ」

 

ウスターが小さな声で後ろからそう言った。

 

「当たり前だ、この私を誰だと思っている?」

 

そして、ガジュニアは幻想郷へ攻撃を仕掛けるコルド大王を倒すべく、単身戦いへ挑むのだった…。

それを見送ったシュネックとウスターは、彼に手渡されたアクアの水の瓶を眺めた。

 

「これを飲めば魔界の人間、つまり魔族である俺に圧倒的なパワーが手に入ると言っていたな」

 

「だが、やや怪しいぞ…あやつの渡したものだ」

 

「まあ試すだけ試してみよう。もし何かあれば吐き出せばいい」

 

ウスターは瓶の中の水を一気に飲んだ。アクアの水は甘く、さらりと喉を流れたが、その直後にじわじわと熱が込み上げ、やがてそれは焼けつくような痛みとなって襲い掛かった。

 

「うぐ…!喉と胃が…熱い…!!」

 

呑んだ水を吐き出そうとするが、水はすぐに食道や胃に浸透し、体を巡り廻っていく。まるで呑んだ水がすぐに血管に取り込まれてしまったかのようだ。

 

「な…!大丈夫か!」

 

ウスターが首を押さえながら膝をつくと、咄嗟にシュネックは両手から傷を治すオーラを出しながらその身体に触れようとする。

 

「やめろ…!余計な事をするな…!」

 

しかし、ウスターがそう言うとシュネックは仕方なく手を引っ込める。

 

 

 

 

「おかえりなさいませ、コルド大王」

 

コルド大王の乗った宇宙船は、カーボネド四天王や兵士たちが乗って来たもう一台の宇宙船に接近し、連結して通路を繋げた。そこをコルド大王が歩いていき、四天王のラーゴンと合流した。

 

「うむ。様子はどうだ?」

 

「ええ…大きな動きはありませんが…カーボネドはちょくちょく動き回っているようですがダイザーとスカッシュは敵に鹵獲された模様。それ以降敵はこちらを攻めてくる気配はありません…ん?いや、お待ちください!正体不明の大きな反応が接近中!」

 

「なに?」

 

ラーゴンがモニターを宇宙船の外部カメラに切り替えると、そこには遠くからこちらへ向かってくるひとつの大きな影があった。そう、ガジュニアが戦いを挑みにやって来たのだ。

 

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