もしもカカロットが幻想郷に落ちていたら   作:ねっぷう

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~前回までのあらすじ~
ついに始まった決勝戦。カカロット対ウスターの勝負は、徐々にウスターが押し始めていた。が、大事な師と恩人を必要以上に痛めつけたウスターに、カカロットは怒りを爆発させ、今まで出会った来た者たちの技を使う。
そして、そのうちの一撃が炸裂したのだった…。


第16話 「決着!優勝は誰の手に!?」

「うわあっ!!」

 

観客席から声が上がった。物凄い音と突風が吹き荒れる。手で顔を覆い、目をつぶっている。

 

「どうなったの?」

 

霊夢がそう呟く。

そして風と衝撃の中に、見えた。なんと、カカロットの放った「気功突き」による拳の一撃が、ウスターの腹にめり込んでいた。

 

「かは…ぐ…!」

 

ウスターの眼が血走り、痛みと苦しみに歪んでいた。開いた口から流れる唾が地面に垂れる。

カカロットはめり込ませた拳に力をこめ、ウスターを後ろへ殴り倒した。

 

「どうだ…!」

 

今まで修行を通じて出会った仲間たちの技の連続。その攻撃はさすがのウスターでさえもひとたまりもなく、かなりのダメージを喰らってしまったようだ。

 

「バカな…こんな事があっていいはずがない。俺は最強の戦士だ…魔界最強の魔人だぞ…!」

 

ウスターはそうぶつぶつと呟きながら、ゆっくりと立ち上がった。

 

「くくく…こうなったら魔人の本領を見せてやる!こんなチンケな大会で見せるのは癪に障るし、ちょっと寿命が縮んでしまうがな…」

 

その瞬間、明らかにウスターの雰囲気が変わったのをカカロットは感じ取った。思わず後ろへ飛び、様子を見る。ウスターは不敵に笑うと、腕を前にして拳を握り気を込める。

 

「はあああぁぁぁ…!!」

 

とてつもない気を感じた。ウスターの全身にエネルギーが迸っていくのが分かる。カカロットの額に冷や汗が流れた。

ウスターの筋肉が大きくなり、雷のようなオーラが纏われる。

 

(まずい!)

 

カカロットはそう思うと、これ以上ウスターが気を高める前に決着を付けようと飛び出し、その鳩尾に肘鉄を放った。本人の言った魔人の本領を発揮するための気を高める動作は、大きな隙だったので一撃を食らわすのは簡単だった。

 

「ぐ…ははは」

 

一瞬だけ苦しそうな声を上げたが、すぐに不気味な笑みを浮かべた。

 

「な…!」

 

驚くカカロットを蹴り飛ばす。武舞台の端へ向けて吹っ飛ぶカカロットを追いかけ、さらに殴りつけた。また吹き飛ぶカカロットの先へ回り、両手を合わせて作った拳を叩きつけて見せる。

絶対に壊れないと紫が言っていたはずの武舞台の床がひび割れ、カカロットがめり込んでいく。

 

「そんな…不味いわね、あの魔人の力は私のレベルをはるかに超えてしまっている…!」

 

戦いを見ていた紫がそう言った。そう、ウスターの本領の力は紫を凌駕し、結果、紫の術で守られている武舞台を破壊しかけるに至ったのだ。

 

「ウハハハハハ!!」

 

ウスターはカカロットの足を掴み、振り回しながら床へ何度も叩きつけた。しかし、カカロットはなんとかそれから脱し、態勢を整えようとした。

しかし、既に目の前まで迫っていたウスターが拳を振りかぶっている。

カカロットは咄嗟に片腕を顔の前にかざし、ウスターの強烈なパンチを受けた。

 

メキ…

 

その時、何かが折れるような音がカカロットの体内に響いた。

 

「うぎゃああああ!」

 

痛みに声を上げるカカロット。ウスターのパンチが当たった箇所が瞬く間に赤く腫れあがっていく。

 

「まさか、折れたんじゃ…!」

 

霊夢がそう言った。

さらにウスターの猛攻がカカロットを襲い、成すすべなく痛めつけられていく。強引に力を解放したウスターのパワーはすさまじかったのだ。

 

「くそ…!」

 

カカロットは後ろへ距離を取る。

 

「はっはァ!!」

 

それを追いかけるように攻撃を仕掛けるウスター。その時、カカロットは剥がれた武舞台の床の表面を見た。

そして割れた表面の破片を拾うと、それを残った腕でウスターに向かって投げ飛ばした。向かい来るウスターの顔面にそれは命中し、わずかに動きを止めた。

 

「しめた!」

 

カカロットは片足に気を込め、その力で前へ飛び出した。ミサイルのように勢いよく飛び出したカカロットの頭突きが、ウスターの顔面に当たった。

 

「むぐ…!?」

 

よろめき、鼻血を流すウスター。後ろへ下がるが、座り込んでしまったカカロットを見て、ウスターは怒りの表情を見せる。

 

「お…おのれ、許さんぞ…小賢しい真似をしやがって!」

 

その直後、ウスターはゆっくりと浮かび上がった。ついにウスターの力は飛行はできないという舞台の設定すらも破ってしまったのだ。

ある程度の高さまで行くと、両腕を前にかかげるポーズを取った。

 

「…!何をする気だ…!」

 

「クックック…もうどうでもよいわ、優勝など…形式にこだわる戦いなど!お前をこの人間の集落ごと粉々に消し飛ばしてやろう!!ドラゴンボールは誰もいなくなった後で拾えばよい!」

 

「な…なんですって!?」

 

それを聞いた霊夢がいち早くそれを辞めさせようと舞台へ飛び出そうとする。

 

「やめろ!」

 

しかし、カカロットの一声を聞いて動きを止める。

 

「これは俺の戦いだ…手を出すな…!それに、俺にはまだ奥義が残されている…」

 

両腕に気を溜め始めるウスター。その髪の毛が逆立つように上へあがり、隠れていた千切れた右耳と潰れた右目が露わになる。歴戦の証というべき古傷であろうか。

 

「へへへ、俺の片腕を残したことを後悔しやがれ…!」

 

すると、カカロットは残された右腕に小さなエネルギー弾を生成した。それをゆっくりと動かし、自身の胸部の前へセットする。

それを見ていた聖が、思わず声を出した。

 

「そんな、まさか…いけません!カカロット!滅越拳を発動した状態でその技は…!」

 

 

…一年ほど前、聖から滅越拳を見せられた後の事。

 

「私の編み出した二つ目の奥義…その名も、『南無三砲(なむさんほう)』、といいます」

 

「なむさんほう?」

 

霊夢とカカロットはそのネーミングと響きに思わず首をかしげる。

 

「この技は大変危険が伴うのだけれど…一応説明しておきましょう。まず、このような気弾を作ります」

 

聖はそう言うと、片手に小さなエネルギー弾を作り出した。

 

「これを胸の前に置きます。胸には肺と心臓がありますね。気は生命ならば誰でも潜在的に持っているもので、それは呼吸によって作られていると私は考えます。さらに、気は血液と共に全身を通っており、すなわち気を生み出す呼吸器官である肺、そして血を送り出す心臓の位置する胸部は、気を集中させたとき最も力を得られる部位であるのです」

 

そのエネルギー弾を聖は胸の前に置いてみる。女性が自身の胸の前に光の弾を置いているのは珍妙な光景ではあるが…。

 

「このように、胸部に集中する気を吸収してこの気弾はとてつもない威力を持つようになります。しかし…同時に必要以上に気を消耗してしまう危険があります。人は完全に呼吸を、あるいは血の流れを止めることができないからです。私はこの技を滅越拳と共に考案しましたが、使いこなせる自信がありません。素の状態ではエネルギーが足りず、滅越拳を使った状態では増えた気をすべて持ってかれてしまうので、生命の危険に陥ってしまうリスクがかかる…といったところね」

 

 

 

「だが、アイツに勝つにはこれしかないだろう!」

 

カカロットが全身に紫色の気を込める。普通の滅越拳を使用した聖でも危ない技…フルパワー滅越拳ではもはやどうなってしまうのかわからない。しかし、それでも勝ちたいというカカロットの執念がそれを押し切っていた。

すると、胸の前のエネルギー弾がどんどんと膨れ上がり、大きくなっている。呼吸で生まれた気を、全身から心臓へ集めて集中させているのだ。

 

「何をしようと無駄だ!!」

 

それと同時に、ウスターもまた限界までエネルギーを腕に込めようとしていた。徐々に黄色い気が溜まり始め、とてつもないエネルギーが迸る。

 

「…喰らいやがれ、『南無三砲』!!」

 

「うおおお!!『魔激烈弾』!!」

 

次の瞬間、両者から巨大なエネルギーの柱が放たれた。カカロットからは紫色の極太の光線が胸から発射され、ウスターの右腕からは全身に極限にまで集中された気が炸裂した。どちらも幻想郷そのものを震撼させるほどだ。

そして、二つのエネルギーがぶつかり合った。

 

「ハハハハハ!!」

 

「ぐ…!」

 

両者は拮抗し合い、互いに押し合っている。

 

「頑張りなさい、カカロット!」

 

その時、観客席からの声がカカロットの耳に届いた。一瞬も気を抜くことはできないので、目を向けることはできないが、確かにその声は霊夢の物であった。

 

「そうだ!ここで負けたら全てお終いだぞ!」

 

続く天龍の声。他にも、美鈴、妹紅、聖…一輪や村紗、マミゾウ、星の声も聞こえる。

片や、ウスターに声をかける者は誰もいない。

 

「ぬうッ!?」

 

ウスターは異変に気付く。自分の放ったフルパワーの「魔激烈弾」が押されている。さらに力を込めようとするウスター。

 

「くははは…どうだ、魔人…俺の方が押しているぞ!」

 

「な、何故だ…!…!?」

 

するとその時、急激にウスターの腕から力が抜けた。不思議に思って確認してみると、自身の膨張した筋肉が元に戻り、高まった気がどんどん減ってきていた。

 

「クソ、こんな時に…」

 

ガス欠だろう。おそらく、本領を発揮してからすぐに魔激烈弾を撃っていれば、カカロットには勝てただろう。しかし、その前にある程度動き、エネルギーを消耗してしまったせいで長くは続かなかったのだ。

 

「うおお…ぐあああああああ!!!」

 

南無三砲のエネルギーがウスターを包み込んだ。気の柱は空高く昇っていき、やがて花火のように炸裂した。

 

「ハァ…ハァ…」

 

全てのエネルギーを消耗したカカロットは、滅越拳の紫色のオーラを解除し、息を切らしながら膝をついた。

 

「…どうなったんだ?」

 

「…わ、分かりません!死んでしまったのなら、この試合は残念ながら無効となりますが…!…ああっ!!」

 

その時、審判が目ざとく空から落ちて来るウスターを発見した。

やがて地面に着地するが、すぐに倒れこんでしまう。明らかに気を失っているようであった。

しかし…さすがの執念というべきか、フラフラとではあるがすぐに目を覚まし、立ち上がる。

 

「俺はまだ…負けてはいない!武道家たるもの、やはり最後は体と体でぶつかり合うものだ。ここからが本当の勝負だ…」

 

そう高らかに宣言するウスター。

 

「へへ…そう来なくてはな…」

 

カカロットも立ち上がる。両者とも、まだ闘志はじゅうぶんといった風だ。

 

「試合続行です!!長時間にわたる大攻防戦でふたりの疲労も限界を越えようとしております!果たして真の勝者は!?頑張れサイヤ人、頑張れ魔人!!」

 

二人は最後の力を振り絞り、互いに攻撃をしかけた!

 

「でりゃあああ!!」

 

カカロットのパンチを受け止め、自慢の蹴りを放つ。蹴りはカカロットの顔面に向かうが、それを間一髪で避けた。さらに、お互いの両手を掴み、押し合いをする。

 

「むぐぐぐ…!」

 

「ぬうううう!」

 

最後まであきらめず、互角に戦う両者に対して観客が声を上げた。カカロットを応戦する声、ウスターを応援する声…どちらも同じくらい聞こえている。

 

(このままではラチがあかない…こうなれば!)

 

ウスターは強引に片腕に力を込めた。そう、それに対するカカロットの腕は痛めた方の腕であり、そちらの方ならば力はこれ以上出せないハズと踏んでの行動である。

 

「ぐぐぐ…貴様…!」

 

「むっ!?」

 

しかし、カカロットは使える方の腕を無理やり離すと、思い切りパンチをしようと振りかぶった。

ウスターも同じく拳を構え、渾身の力で撃ちだした。

 

バキ

 

「ク…クロスカウンター…!!」

 

お互いのパンチが、交差するようにして相手の顔面に命中している。流石に二人とも応えたのか、ほぼ同時に気を失い、後ろへ倒れ込んでしまった。

 

「ダブルノックアウト!ダブルノックアウトです!!」

 

審判がそう宣言する。

 

「起きなさい、カカロットー!!」

 

霊夢が声をかけた。

 

「ウスターも起きてくれー!!」

 

観客席からは、カカロットとウスターを応援する声が五分五分の割合で聞こえてくる。この分ならば、両者ともすぐに声援で目を覚ましてもおかしくはない。

 

「この場合、先に起き上がりにこやかに優勝を宣言した方が勝ちです!!」

 

審判がそう言ったとたん、カカロットが動いた。仰向けで寝ていた体をひっくり返し、何とか起き上がろうとしている。が、痛めた腕と片足…そして今までのダメージの所為でなかなか立ち上がることができない。

 

「ゆ、優勝は…俺…だ…」

 

しかし、カカロットは起き上がれないまま、ついにはもう一度気を失った。

 

「ふ…はははは…」

 

その時、ウスターが震える膝を押さえながら起き上がる。

 

「優勝は俺のものだー!!」

 

ウスターの勝利宣言が、会場に響き渡った。

 

 

 




~次回予告~
よっす、私は霊夢よ。決着がついた決勝戦…本当にすごい試合だったわ。でも、試合を終えて帰り時につこうとする私たちの前に、驚愕の人物が現れたわ!
次回、「幻想郷のドラゴンボール」、絶対見なさいよね!
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