もしもカカロットが幻想郷に落ちていたら   作:ねっぷう

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第162話 「たったひとりの人間は壊せない」

「す、超サイヤ人…だと?わははははは!笑わせてくれる!あんなものはただの伝説に過ぎないんだ!」

 

カカロットの変化を見て、そして台詞を聞いたフリーザはそう言いながら笑った。カカロットはしずかに佇みながらじっとフリーザを睨みつけている。

 

「そうだな…超サイヤ人なんてただの伝説に過ぎないのかもしれねぇ。俺自身、今の俺が超サイヤ人かどうなのかなんてどうでもいいんだ…ただ言えることは、今の俺はテメェにゃ負けねぇってことだよ」

 

カカロットはそう言うと、一瞬にしてフリーザの目の前に移動した。目でとらえきれなかったあまりに素早い動きを目の当たりにしたフリーザは言葉を失っている。

そして、カカロット渾身の前蹴りがフリーザの顔面に命中する。後ろへ仰け反るフリーザの腹へ連続でパンチを食らわせ、もう一度蹴りを喰らわせて上空へ吹っ飛ばす。

 

「ぐ…おお…!」

 

すぐに跳躍し吹っ飛ぶフリーザへ追いつき、脳天へ拳を叩き下ろした。フリーザは猛烈な勢いで下へ向けて降下していき、解けかけの氷山を砕いてその下敷きになった。

が、次の瞬間にフリーザが発した衝撃波で氷山の残骸は四方八方へ飛び散り、粉々になって消えた。

 

「うおおおおお!!生意気な野郎めェ!!」

 

フリーザは飛び出すと同時に、右腕から強力なエネルギー波を放った。巨大に放射状に広がっていくエネルギー波はとてつもない勢いで迫り、一瞬でカカロットを呑みこんだ。フリーザは確かな手ごたえを感じると、さらに攻撃の出力を高めた。

 

「…ふん、口ほどにも無い…。やはり超サイヤ人などただのおとぎ話…存在しないんだ」

 

攻撃がいったん止み、辺りは煙に包まれている。

 

「ひとつ言い忘れた」

 

…しかしその時、煙の中から声が聞こえ、ぼんやりとカカロットのシルエットが浮かび上がる。

 

「テメェに負けねぇのはそうだが…必ずぶっ殺すぜ」

 

「!?」

 

フリーザが気が付いたのと同時に一瞬にして距離を詰めたカカロットは手刀を作った腕を振り下ろす。フリーザは片手でそらを何とか掴み、続いて放たれたもう片腕による攻撃も受け止めた。だがそこからは膠着し、フリーザは力を強めるカカロットの攻撃を押さえる事しかできない。

 

「く…!」

 

フリーザは目を見開き、額に血管を浮かばせながら耐えている。

 

「教えろクズヤロウ…何故テメェは惑星ベジータを消し、サイヤ人を滅ぼしたんだ?」

 

そんな中、カカロットはフリーザにそう質問した。

 

「何を言い出すかと思えば…!簡単な事だ、サイヤ人は何となく気に入らなかったんでね…」

 

フリーザは膝蹴りをカカロットの股間へ喰らわせた。

 

「ぐっ…!俺は…初めはテメェを倒すつもりなど無かった…ただ、サイヤ人が滅びた理由と行く末を知りたかった…その一心でナメック星へ行った。だが!!」

 

カカロットも反撃の蹴りをフリーザの顎へぶつける。

 

「テメェは俺の仲間を殺した…!」

 

「それの何が悪い?」

 

フリーザは言い返す。

 

「貴様らサイヤ人は、罪のない者を殺さなかったとでもいうのか?いいか、このフリーザとサイヤ人の戦いは、いわばならず者同士の抗争なんだ!それに勝利したのが、このフリーザ様だっただけだ」

 

「黙れ!!」

 

カカロットは怒鳴り、フリーザの顔面を殴りつける。フリーザは血を噴き出しながら地面へ落下し、カカロットは追い撃ちのエネルギー弾を浴びせる。

 

「ならば今度は、俺とテメェの抗争に俺が勝つだけだ!!」

 

フリーザはカカロットの猛攻から脱し、慌てて距離を取る。そして、両手の指先から連続でエネルギー光線を放った。

光線は空中を乱反射するように飛びまわり、そのすべてが確実にカカロットを射抜いた。フリーザはやったぞと言いたげに口元を曲げた。

 

「なっ…!?」

 

しかし、全身に雨のように光線を喰らったはずのカカロットは、その箇所が赤く腫れているものの、ダメージはほとんど受けていなかった。

 

「それが最期の懺悔か?」

 

「チ、チクショウ!!何故このフリーザ様の攻撃が効かないのだ!!」

 

フリーザは全身から紫色のオーラを発し、球状に自らを覆う。カカロットも同じように黄金のオーラを球状に纏い、バリアーを張る。

両者はその状態で互いに衝突し合う。岩と岩がぶつかるような音が響き渡り、そのたびに氷の大地が砕け、地下からマグマが噴き出す。ふたつの球は何度も何度も激しくぶつかりながらそこら中を移動し続ける。

 

「ガッ…」

 

カカロットが全力でぶつかると、一瞬だけフリーザのバリアーが壊れた。その隙を見て、カカロットは自分のバリアーの形状を槍のように尖らせてフリーザに突進を仕掛けた。

すぐに横へ飛んで逃げようとするフリーザは寸前のところでカカロットの攻撃をかわすことに成功した。…が、その尻尾だけが巻き込まれてしまい、真ん中あたりからザックリと切断されてしまった。

 

「ザマぁねぇなフリーザァ!!」

 

カカロットは挑発の言葉を投げかけながらその拳を振るい、フリーザの腹へめり込ませた。吹っ飛ばされるフリーザは噴き出すマグマの柱に突っ込んでしまう。

が、その直後に超能力でマグマの軌道を変えてカカロットに向けて放出させる。

 

「無駄だ、そんなもんに頼るとはテメェもとうとうお終いだな。多くの星を壊せても、たったひとりの人間は壊せないらしい」

 

カカロットは右腕に作り出した気の剣でマグマを切り裂いた。ふたつに分かれたマグマの柱は自分の横を通過していく。

それに隠れるようにして、カカロットはジェットのようなオーラを放ちながら飛び、フリーザの顔面へ頭突きを当てた。

 

「ぶ…が…!」

 

「オラオラどうしたフリーザ!もっと俺を楽しませろ!!」

 

白目を剥き、もはや意識がほとんどない状態のフリーザをひたすらに殴り続けるカカロット。ハァハァと荒く息を切らしているが、これは疲れによるものではない。超サイヤ人への変化が引き起こす興奮状態によるものだ。

それに加えて、フリーザの体の筋肉が目に見えてしぼんできていた。100%フルパワーを引き出した反動によりピークを過ぎ、その戦闘力を徐々に減らしているのだ。

 

「しょせんは超サイヤ人となったこの俺に敵わない…」

 

カカロットは、まるで動けないフリーザを痛めつけるのを楽しんでいるかのように微かに笑った。しばらく殴り続けたカカロットはフリーザの尻尾を脇に挟んで掴み、グルグルと振り回し、投げ飛ばして氷の上に叩きつけた。

 

「はーっはっはっはっは!!テメェが闘う意志を見せなければ、もうトドメを刺すぞ!!」

 

両手を前に突き出し、それを腰の横へ引いていき、その手の中にエネルギーを溜めこむカカロット。すると、そこへ大きな虹色の気弾が作り出されていく。

一方、氷の破片の中に埋もれるフリーザは朦朧とする意識の中、上体を持ち上げた。

 

「あ、あり得ん…このフリーザ様が…サイヤ人ごときに…!」

 

フリーザの血だらけの顔は怒りに歪んでいて、充血した眼を見開いてわなわなと震えている。

 

「お、オレは宇宙の帝王…フリーザなんだ!キサマのような猿風情にやられるか!勝つのはこのフリーザだ──ッ!!」

 

フリーザはそう叫んだ。

 

「ならば…死ねェ────!!」

 

カカロットは渾身の必殺技、「華光玉」をフリーザに向けて発射した。七色のエネルギー波は捻じれながら勢いを増していき、そしてついに…フリーザを呑みこんだ。

 

…この勝負、軍配はどちらへ上がったのか…──!?

 




不穏な雰囲気…
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