もしもカカロットが幻想郷に落ちていたら   作:ねっぷう

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第164話 「何度でも越えてやるさ」

午前11時30分 ツルマイツブリ山

 

戦いの最中、超サイヤ人に覚醒したカカロットに対抗するかのように、フリーザまでもが新たな形態へ進化を遂げた。一時はカカロットが大きくフリーザを越える状況を作り出したが、それも一変…再びフリーザが優勢となってしまった。

 

「ぐ、ぐは…馬鹿な…俺は超サイヤ人になったんだぞ…!」

 

カカロットは膝をつきながらそう声を漏らした。

 

「当然だ、超サイヤ人になったイコールこのフリーザ様に勝てるという訳ではないからな」

 

その目の前に腕を組んだ状態で降り立つフリーザ。

 

「く、クソッ!」

 

立ち上がると同時にフリーザに飛びかかるカカロット。拳を振り上げ、叩き下ろすが既にそこにフリーザはいなかった。驚いて辺りを見渡すカカロットだが、突然頭上に出現したフリーザは肘鉄をその後頭部へ喰らわせた。

カカロットは連続ハンドスプリングで距離を取るが、その行く先へ先回りしていたフリーザのタックルが命中し、反対方向へ吹っ飛ばされる。

 

「もっと戦いを楽しもうじゃないか、カカロット!」

 

それに追いついたフリーザは人差し指を突き出した手を繰り出し、カカロットの脇腹へそれを突き刺した。

 

「ぐはっ…!」

 

血を吐くカカロットの背中を尻尾で殴り、さらに膝で蹴り上げる。そして上空へ飛ばされるカカロットをじっと見据えると、手の人差し指と親指をくっつけて突きを繰り出した。すると小さな衝撃波が飛んでいき、カカロットの腕を撃った。

 

「いっ…!」

 

「ふはははははは!!」

 

フリーザは高笑いを響かせながら同じように突きを連続で放ち、細かな矢のような衝撃波が雨あられのようにカカロットの全身を次々と襲う。カカロットは成す術もないまま攻撃を受け続け、黒いアンダーシャツが焦げて破け素肌が露わになっていく。

 

「クソがァッ!!」

 

しかし、カカロットもその攻撃を見切り、躱しながら猛スピードでフリーザに迫りつつ連続でエネルギー弾を放ち、浴びせる。それを喰らって煙に包まれるフリーザだが、次の瞬間にその中から飛び出し、向かってくるカカロットに頭突きを喰らわせて逆に吹っ飛ばしてしまう。カカロットは額から血を流しながら地面へ背中から倒れ込む。

 

「かは…ち、チクショウ…」

 

起き上がろうともがくカカロットを、フリーザは見下ろした。

 

「良い気味だなカカロット。キサマは一時の感情に流された所為でこのフリーザ様に新たなパワーを与えてしまったのだ。確かに超サイヤ人となったキサマは強い…認めよう。だがお前には、”限界状況”が迫っているように見えるぞ」

 

「限界…状況…?」

 

「そうだ。自分でも科学でも解決できない、絶体絶命の不可避的状況の事を言うんだ。そして人間はその時、自分には無限の力など無い事を思い知るのだそうだ。では、そんな限界状況に陥った時、どうすれば打破できるかと言われればそれは難しい。一説には仲間との交わりを持つことによって心理を見出し、限界状況を解決できるというが…今のキサマにはその仲間すらいない!何故ならキサマはこのフリーザとひとりで戦う事を自らで望み、挑んできたのだからな!!」

 

それを聞いたカカロットは立ち上がろうとすることを辞め、ぼそぼそと何か言葉を発した。

 

「ん?何だって?」

 

フリーザはそれを聞き取ろうと顔を近づける。

 

「限界状況…だと…?そんな事、どうでもいいね…俺は生まれてからずっと、ひとりだったさ!!」

 

次の瞬間、突然起き上がったカカロットは足を振り上げ、蹴りをフリーザの顔面へ命中させた。フリーザは後ろへ背中から倒れ込んだ。

 

(今だ…!追撃を…!)

 

カカロットはそう思いながら拳を振りかぶるが、フリーザもすぐに立ち上がると距離を取り、その手に気を溜め始める。

 

「今のは油断した!超サイヤ人があまりにも弱々しく喋るのでな!だがもう油断はせん、喰らうがいい!!」

 

その時だった。猛スピードで遠くから突っ込んできた何者かがフリーザの前に立ちはだかり、気を溜めている腕を上へ向けて逸らした。結果、フリーザが放とうとしたエネルギー波は空高くへ打ち上げられ、カカロットに当たる事は無かった。

 

「…キサマは…あの時の…!」

 

フリーザは見覚えのあるその姿を見て声を漏らす。カカロットもそれが誰だか理解すると、驚いたように目を見開いた。

 

「テメェは…ブロリーか!?」

 

「ああ…今までいなくなっててすまなかった。だが俺たちはこうして戻って来たぞ」

 

「俺”たち”…?」

 

カカロットが周囲を探ると、少し離れた氷山の上に同様に見た事のある影が立っていた。

 

「いいぞブロリー!お前のパワーを見せてやるがいい!」

 

「パラガス!アンタまで…」

 

パラガスがそう叫ぶと、ブロリーは何かが切れたようにビクッと揺れた。すると、黒髪がぞわぞわと逆立ち始め、全身の筋肉が膨らんでいくと同時に黄金の気がみなぎっていく。

 

「ウオオオオオオオオオオ!!」

 

ブロリーが雄叫びを上げると、その全身から金色のオーラがはじけ飛んだ。ブロリーの力は装着された制御装置の力を押し破り、カカロットと同様の気を放つ。その瞳は緑色、髪はやや青が混じった金髪へと変わる。

 

「超サイヤ人が…もうひとり!?」

 

それを見たフリーザは思わずそう声を漏らし、この間惑星フリーザへブロリーが襲撃にやってきた時の事を思い出す。思えばあの時のブロリーも金色のオーラに身を包んでいた。

 

「キサマはあの時から超サイヤ人だったというわけか」

 

ブロリーはキッとフリーザを睨みつけると、歯をむき出しにしながら唸り、飛びかかった。フリーザの顔面へパンチを命中させ、フリーザは後方へ吹っ飛ぶ。

しかし、負けじと猛スピードで飛んで戻っていき、今度はブロリーの腹へ蹴りを入れた。同様に吹っ飛んでいくブロリーだが、まるで空中に壁があるかのようにそこを蹴り、フリーザへ接近していく。そして両者は拳をぶつけ合い、周囲に波紋状の衝撃波が発生した。

 

「ググ…グ…オオオオオオオ!!」

 

そしてお互いの激しい攻撃が飛び交い、熾烈な攻防戦を繰り広げる。しかし、その戦いに勝利したのはフリーザだった。一度はブロリーの攻撃の勢いに押されるかに思えたものの、すぐにそのリズムを掴みパワーにおいても上回って見せた。

 

「なかなかやるな…だが、超サイヤ人などではもはやオレを倒せまい!」

 

顔を後ろへ逸らすと、フリーザの目から鋭い怪光線が放たれた。驚くブロリーだが、間一髪でそれを躱す。

だがその隙を見て、フリーザはブロリーの顔面を殴りつけた。ブロリーは勢い良く落下していき、下の地面にめり込む。そこへフリーザがすかさず接近し、足を延ばして空中から蹴りを放とうと構える。

 

「喰らうがいい!」

 

しかし、ブロリーは狼狽えなかった。何故なら…カカロットがフリーザへ不意打ちを喰らわせようと迫っているのに気が付いていたからだ。

 

「な、なにィ…!?」

 

横から接近したカカロットの一撃に寸前のところで気付き、上体を逸らして躱した。フリーザは後ろへ飛び、態勢を整えようと前を見た。だが目の前には、拳を振り上げたカカロットとブロリーが同時に迫ってきていた。

ブロリーとカカロットは一瞬だけ目を合わせて頷くと、フリーザへ同時にパンチを食らわせ、さらに回し蹴り、顎へアッパーを命中させた。

上へ向けて吹っ飛ぶフリーザに対して、カカロットとブロリーは互いに黄金のオーラを噴出しながらそれを追い越して先回りし、両手を合わせた拳を振り下ろして今度は地面へ向けて吹っ飛ばす。

そしてもう一度そこへ先回りし、背中へ蹴りを当てて突き飛ばす。

 

「だが、キサマらには限界状況は越えられん!!」

 

フリーザは全身から気を発してブレーキをかけ、両手から無数の細かいエネルギー弾を発射した。

 

「「何度でも越えてやるさ」」

 

しかし、ふたりは同時に低い声でそう言うと、左右それぞれへ飛んでいく。そして互いに半円を描くように飛び、両サイドからフリーザへ突撃を仕掛ける。

フリーザは咄嗟に防御の姿勢へ切り替わるが、ふたりの勢いは予想以上に強く、衝突された瞬間に絶大な衝撃を送り込まれた。

 

(仲間と交わりを持つことで限界状況を打破できる、か…!キサマらは凄い奴だ、超サイヤ人)

 

巨大な爆発が周囲を照らした。

 

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