もしもカカロットが幻想郷に落ちていたら   作:ねっぷう

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第170話 「おちおち寝てもいらんねぇ」

「れ、霊夢!?」

 

額を撃ち抜かれた霊夢は後ろへ倒れ込んだまま動かない。傷口から出る煙の所為で顔は全く見えないが、呼吸の気配は感じられなかった。

 

「く…フリーザめ…まだ倒せてなかったのか…!」

 

ブロリーは苦虫を噛み潰したような顔で言った。

 

「ふっふっふ…確かに、この私はそのままあの空間で死ぬまで過ごすはめになっていたでしょう…ですが、私は思い出したんですよ…万が一の時の為に、アレを隠し持っていたことに…」

 

「落ち着きを取り戻して口調が丁寧になってやがる…」

 

フリーザは背後に手を伸ばし、そこから半分になった木の実のような物を取り出して見せつけた。

 

「な、何なのアレ?」

 

ブルマがそう呟き、ブロリーが付け加える。

 

「あれは…ターレスさんたちが持っていた…確か神精樹の実とかいった…」

 

「その通り!ナメック星ではこれを食べたターレスが異常なパワーアップを遂げていました。彼が取り落としたものをこっそり拾って持っていたのですが…まさか気合だけであの不思議な空間を打ち砕いて脱出できるほどのパワーを与えてくれるとは思ってもいませんでしたよ」

 

「くっ…!」

 

「そう…だったの…」

 

その時、足元から声が聞こえた。霊夢の声だ。

 

「確かに、私の力を大きく超えてしまう者には…破られる可能性がある技だった…」

 

霊夢はまだ生きていた。顔中を血で真っ赤に染めながらも、まだ命に別状はない様だった。

 

「ふふ…貫通力を高めるために、光線を細く圧縮したのは失敗だったわね、フリーザ…。貴方の一撃は私の頭の肉と頭蓋骨をちょっと削っただけだったわ」

 

霊夢は起き上がると、もう一度構え直した。

 

「ほう、死んでいなかったんですか。ですが…」

 

しかし、立ち上がったのもつかの間、霊夢はふらつき、危うく倒れそうになる。もはや額から流れた血液は全身を赤く染めている。血を流し過ぎたのだ。

 

「その様子では長くは持ちそうにありませんねぇ」

 

「くっ…」

 

その時、霊夢の前にブルマとブロリーが立ちふさがる。

 

「霊夢が戦えなくとも、俺たちを忘れるなよ」

 

「アタシはただじゃやられないわよ?」

 

「貴方たち…!」

 

「死にぞこない共が…今楽にして差し上げますよ!」

 

「ウラアアッ!!」

 

ブロリーは一瞬で伝説の超サイヤ人に変身し、ブルマも全身から気を放ちながらフリーザへ攻撃を仕掛ける。

しかし、フリーザは立ったままわずかな足の移動だけで全ての攻撃をかわした。そしてブロリーの胸へエネルギー弾を当てながら炸裂させ、ブルマを尻尾で殴り飛ばした。

 

「ぐあああああ!」

 

「きゃっ…!」

 

「口ほどにも無い…さぁ、死になさい!」

 

指先に溜めたエネルギーを二人へ向けて放とうとするフリーザ。

だがその瞬間、フリーザは自分に猛スピードで接近してきた何者かに気付き、繰り出された飛び蹴りを間一髪のところでかわした。

 

「む…!?」

 

「『豹牙螺旋弾』!!」

 

「『華光玉』!!」

 

続いて、掛け声とともに放たれた青い光弾と、虹色の光弾。フリーザは両腕を胸の前で交差し、その直撃を耐える。

 

「何者だ!?」

 

「何者だ、だと?キサマ…この前は魔界最強の戦士たるこの俺に好き勝手してくれたな」

 

「今度こそ仕留めてやるぞ、フリーザ!」

 

「霊夢、大丈夫です?」

 

3人の影がフリーザと対峙する。

 

「ウスター!天龍に美鈴…来てくれたのね!?」

 

霊夢が歓喜の声を上げた。

 

「貴方たちにはナメック星で見覚えがありますねぇ…いいでしょう、あの時散々邪魔してくれた礼をしてあげましょうか!」

 

フリーザは両手の指先を前に向け、そこから何本ものレーザー光線を発射した。それはウスター達3人へ向かって伸びていくが、3人は避けると同時にフリーザとの距離と詰めようとスピードを上げながら突撃する。

フリーザがにやりと笑うと、一度避けたはずのビームが向きを変え、彼女らを追尾し始める。

 

「おわっ!」

 

それに服をかすめられるも何とかかわし、ついにフリーザの目前へと迫ったウスターはオーラで作った腕を使い攻撃を仕掛けた。

が、フリーザは連続で蹴りを繰り出し、そのオーラの腕を両方とも破壊してしまう。続いて飛びかかって来るウスター本人をも、目から放つ衝撃波で吹っ飛ばす。

さらに、その背後で攻撃のチャンスを伺い、今しかないと言った様子で攻撃を構える天龍と美鈴にもすぐに気づき、伸縮する尻尾で殴り飛ばした。

 

「ぐあ…!」

 

「ぎゃっ…!」

 

続いて、フリーザは地面を蹴って飛び出してそのまま滑空し、その衝撃で地面を捲り上げながらブロリーに接近し、顎を蹴り上げた。怯むブロリーの後頭部に肘鉄をお見舞いして地面に叩きつけ、その背中を踏みつけて跳躍した。

 

「揃いも揃って雑魚ばかりとは…地球の戦士が聞いてあきれますねぇ。面倒です、全員まとめてチリにして差し上げましょうか」

 

フリーザはそう言うと右腕を上にあげ、その指先を空高く掲げた。そこへ赤と黄色の混じった光弾が作り出され、見る見るうちに巨大化していく。

 

「な…何だと…!?」

 

瓦礫の中から起き上がったウスターは、その光景を見て歯を食いしばる。

その間にも、その光弾の直径がフリーザの身長よりも大きくなり、さらに膨れ上がる。

 

「これくらいあれば地球ごと貴方がたを粉々にするのにもわけはありません」

 

「やばい…アイツマジよ…」

 

ブルマが呟いた。

 

「さようなら…初めて私を追い詰めた地球の皆さん」

 

フリーザはその光弾を地面目がけて投げつけた。

 

「だ、ダメだ…あのフリーザの一撃は誰にも受け止められない…」

 

ブロリーを筆頭に、その場の誰もが絶望に打ちひしがれた。誰があの間に入ろうとも、あの光弾は自分を消し飛ばし、次に地球の大地へ直撃し、爆発…その衝撃は星のコアにまで届き、すぐに地球は消滅するだろう。

 

「終わりだ…」

 

あのウスターでさえも四つん這いになり、頭を垂れた。

黄金に輝く光弾がぐんぐんと迫り、いよいよぶつかる…。

 

 

 

…その時だった。

 

「うおおおおおおお!!」

 

彼らの間を誰かが物凄い勢いで駆け抜けていった。

 

「…おい、誰だ今のはッ!」

 

「まさか…霊夢だ!!」

 

霊夢は一直線に光弾に向かって走っていき、地面にぶつかろうとするそれに体当たりをし、両腕で押さえ込んだ。光弾はそこで動きを止めた。

 

「やらせないわ…地球を破壊するだなんてそんな事…!!」

 

霊夢が渾身のパワーで足を踏み出すと、光弾も後ろへ押し出されていく。

 

「何っ…あの女の何処にこんなパワーが…!?」

 

「ぬぐ…ぐおおおおおお…!!」

 

そして霊夢は走りながら光弾を押し返し始める。

 

「きえええい!!」

 

フリーザもそれに対して、光弾に力を送り込む。すると光弾はさらに大きくなり、霊夢の進撃は止まる。その両足が地面にめり込み出し、最早歩いて押すことはできないだろう。

 

「負けてたまるか…!」

 

しかし、霊夢は光弾に触れている両手から赤いエネルギー波を放出する。額に血管が浮かぶほどに霊力を込めると、フリーザの光弾は少しずつ押されて行き、霊夢も前に進み始める。

 

「おお、すごい…霊夢がまた押し始めた!」

 

天龍が歓声を上げた。

 

「ふーん…よく頑張りますね。ですが…」

 

しかし、それもつかの間、フリーザは今度は左手の指先に同じく黄金の光弾を作り出した。そしてそれを今霊夢と鍔迫り合いを繰り広げている光弾に向かって投げつけると、ふたつは合体してさらに巨大化する。

 

「うそ…!」

 

一気に2倍以上のエネルギー量に膨れ上がった光弾を前に、霊夢のエネルギー波は成す術もなく消し去られ、霊夢自身も黄金の光に包まれた。

 

「れ、霊夢────ッ!!」

 

霊夢の姿に手を伸ばしながら、ウスターは吹き飛ばされた。

それを最後に、宇宙から見てもはっきりとわかるほどの大爆発が地球を襲った。

 

 

 

「きゃあ───!!」

 

「な、なんだぁ!?」

 

何も知らない地球の住民は、突然襲った大地震に見舞われた。

 

 

 

 

爆発が治まった。さっきまで氷の大地であったツルマイツブリ山は今や溶岩と岩山に覆われ、その見る影もなくなっていた。その溶岩地帯のど真ん中に降り立ったフリーザは腕を組みながら辺りを見渡した。

 

「ちょっと出力を抑えすぎましたが…あの霊夢とかいう地球人は己の命を犠牲にして地球を守ったようですねぇ。それでも…どうせ私はあれより大きいのを何発も撃てる体力が残っているのですから、無駄死にでしたね…ほーっほっほっほっほ!」

 

そのフリーザの高笑いで目を覚ましたブロリーがゆっくりと岩の下から這い出てきて、フリーザを見上げる。その腕の中には気絶したブルマがおり、ブロリーはそれを地面に寝かせた。

 

「く…くそ…!」

 

続いてウスターや天龍たちもなんとか爆発から生き長らえており、ボロボロになりながらも顔を出した。その時、今フリーザの光弾が着弾した地点には直径数キロにも及ぶクレーターが出来ているのに気が付き、その範囲には何者の気配も感じなかった。

 

「まさか…本当に霊夢まで…」

 

気を読むことに長けた美鈴でさえ、わずかな生命反応を見つけられない。

 

「さぁて…今度こそ、地球を破壊してしまいましょうか」

 

その時、立ち上がったブロリーがわなわなと震えながら拳を握った。

 

「俺の故郷だという惑星ベジータも昔にフリーザに破壊され、もう存在しない…そして今度は、この地球だと…?ふざけるな…ふざけるなああああああああッッ!!!」

 

そして黄金のオーラを吹き出して超サイヤ人へ変身すると、振り返ってウスター達を見た。

 

「お前たちは逃げろ…俺と親父が乗って来た宇宙船が少し飛んだところにある…それに乗って地球から脱出しろ」

 

「ぶ、ブロリーさんは…?」

 

「俺は差し違えてでもフリーザを倒すために戦う…!そしていつか今よりもっと強くなって、フリーザを倒してくれ」

 

ブロリーはそう言い残すと、一直線にフリーザの元へと飛んでいった。

ウスターは汗をかいて眉間にしわを寄せ、飛んでいくブロリーを見ていた。そして何かを決意したように立ち上がると、キッとフリーザを睨みつけた。

 

「カカロットと霊夢の仇を取ってやる…!キサマだけに英雄は気取らせんぞ!!」

 

そして、フリーザ目がけて飛んでいく。その時、ウスターは元魔界の兵士として、美鈴と天龍に向けて敬礼のポーズを取った…。

 

「ウスター…」

 

それを見た天龍と美鈴も互いに顔を見合わせ、飛び立った。

 

 

 

 

一方、その巨大なクレーターとは違う地点にある大きな穴の中に、小さな光が灯っていた。

カカロットだった。ブロリーの攻撃を喰らい、吹き飛ばされ岩の下敷きになったカカロットだが、まだ息はあった。

 

(おちおち寝てもいらんねぇか…なァ、そうだろ?霊夢…)

 

 

 

「…まだ生きていたんですか」

 

背後へ現れたブロリーに気付いたフリーザはそう言った。

 

「ああ…お前の中途半端な攻撃のせいでな。ぬううう…ヘアアアッ!!」

 

ブロリーは伝説の超サイヤ人へと変身し、フリーザへ殴りかかる。しかし、ブロリーの攻撃を軽く避け、鳩尾へ強烈な蹴りを叩きこむ。痛みで動きを止めたブロリーの頭を掴み、そのまま振り回して岩山に叩きつけた。

 

「死んでしまいなさい」

 

そして手に一発のエネルギー弾を作り、それをブロリー目がけて投げ飛ばした。炸裂するエネルギー弾の衝撃を受けて吹っ飛ぶブロリーだが、現れたウスターがそれを抱きかかえるようにして掴んだ。さらに、天龍と美鈴がそこへ降り立ち、フリーザと対峙する。

 

「お、お前たち…」

 

ブロリーはそう呟くと静かに気を失った。

 

「はあああッ!!」

 

ウスターはブロリーを寝かせると先陣を切って飛びかかるが、フリーザは繰り出される連撃を腕を組んだまま少しの動作で避け続け、その後のスキを見て強烈な蹴りで吹っ飛ばした。

その直後に美鈴と天龍が攻撃を仕掛けてくるが、フリーザは跳躍してそれを回避する。そして上空から、右手に作ったエネルギー弾を細かく分離させて無数に増やしながら投げ飛ばした。それは天龍達に連続してヒットし、大きな爆発と共に地面へ叩きつけられる。

 

「もらった!」

 

「むっ!?」

 

だが、さらにフリーザの背後へ移動していたウスターがオーラで作った腕を放ち、フリーザをがっちりと握って拘束した。そして両腕に気を溜め、コルド大王を仕留めた時のように攻撃しようとする。

 

「甘いですよ」

 

しかし、フリーザは背中に聳える棘を伸ばし、その先端でウスターの左肩を貫いた。

 

「ぐああああ…ッ!!」

 

血が棘を滴りフリーザの背中に垂れると、そのままウスターを投げ飛ばす。

ウスターは地面を滑り、先ほどの攻撃でできたクレーターの端にまで追いつめられた。

 

「貴方もあの地球人と同じ墓で眠りなさい」

 

フリーザは手を掲げ、ウスターにトドメの一撃を撃とうと構えた。

 

「く…くく…はははははは…!」

 

しかし、突然笑い始めたウスターを見て手を引っ込める。

 

「ついにイかれましたか…」

 

「くはは…ここで死ぬのは…キサマだぜ…」

 

ウスターはそう言うと、ガクリとこと切れた。

フリーザがもう一度手を掲げ、ウスターへ狙いを定めようとしたその時、フリーザは衝撃を受けた。なんと、あの巨大なクレーターの穴の中から、巨大な青い球を掲げた霊夢とカカロットがゆっくりと舞い上がって来たからだ。

 

「な、なに…!キサマら、生きていたのか…!!」

 




ドラゴンボールGTが一番大好きなのでオマージュしました。

そして、次回!(多分)最終回です!!
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