もしもカカロットが幻想郷に落ちていたら   作:ねっぷう

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第21話 「魔族の賢者ガーリック!!」

「全く、山の賢者めどこへ行ったんだ?」

 

妖怪の山の一角で、サンショがそう呟いた。七人の賢者が一つずつ持っているというドラゴンボール、その一個を求めて山に住んでいるという賢者を探しているのだが、中々見つかる気配が無い。

 

「ちょっと喉が渇いたわ、ちょっと新入り、アレを出してちょうだい」

 

ニッキーが隣に居た正邪にそう言った。

 

「は…ニッキー殿」

 

正邪は背負っていたカバンを開き、中から少しイボイボした表面の赤い木の実のような果物を取り出した。それはニッキーの好物であり、外出の際はいつも持ち歩いているのだ。

 

「んもうトロいわねアンタ。何時まで経っても強くならないし、そんなんじゃ一生四人衆になんてなれずに”ガーリック三人衆の小間使い”のままになっちゃうわよ」

 

そう小言を吐きながら果物にかじりついた。黄色い汁がこぼれ、ニッキーは口をハムスターのように膨らませながら夢中で食べている。

 

「チッ、何の気配も感じないな。いないとなればどこにいるというんだ?」

 

「ところで、山の賢者とは誰なのでしょうか…?」

 

正邪がおずおずと言った。

 

「ああ、お前は知らないだろうがな…奴の名は」

 

 

 

いよいよ妙な気配と予感の真意を確かめるべく、神社から出発しようとしていた霊夢。

だが、そこへ一人の来客が訪れた。頭はピンク色の髪にシニョンキャップを被っており、華の飾りがついた前掛けには茨模様が描かれている。

 

「華扇?久しぶりね」

 

「ええ、霊夢…ちょっと今日は伝えたいことがあって」

 

茨木華扇。妖怪の山に屋敷を構え、そこで暮らしている仙人である。仙人と言っても本人曰くまだ未熟で修行中の身であるらしい。

 

「でも悪いわね、今から出かけなくちゃいけないのよ」

 

「それに関係した事よ」

 

「…何か知ってるの?」

 

「ええ…つい最近の事よ。八雲紫が倒されたわ」

 

「紫が倒されたですって?」

 

華扇からそれを聞いた霊夢は思わず驚いた。

 

「それに摩多羅隠岐奈と他二人の賢者も倒され、ドラゴンボールが奪われたのよ」

 

「ドラゴンボールが?確か、幻想郷で最も強い七人の賢者が持ってるんだったわよね…その賢者たちを倒すなんて…何が目的なのかしらソイツ!」

 

「もう誰かなのは分かってるわ。ドラゴンボールを持つ七人の賢者のうちの一人、ガーリックという男よ。奴が幻想郷のドラゴンボールを集めているの。目的は分からないけど、とにかく全てのボールを使ってなにかとてつもなく巨大な事をしようとしているに違いないわ。七つ全て集めた時に顕現する龍神が暴れれば…幻想郷に天変地異が起こってしまうわ…それだけは阻止しないと…」

 

ドラゴンボールは元は一つだった球体を七つに分割することによって強大な龍神の力を弱めているのだ。それがすべて集まってしまえば、呼び出された龍神により幻想郷が滅んでしまっても不思議ではない。

 

「それは大変ね!すぐに行かなきゃ、じゃあね!」

 

「ちょっと待ちなさい、場所を…!」

 

霊夢はそう言うと、急いで飛び立ってしまった。風のように飛んでいった霊夢を見て、華扇はポカーンと口を開けた。

 

「そういえばなんで華扇がドラゴンボールの事を知ってたのかしら?まあいいか」

 

 

 

丁度霊夢が飛び立ったころ、ガーリック三人衆たちは山の賢者探しを諦め、紫の物であった四星球を探し求めていた。そしてついに、それが命蓮寺にあることを突き止めていた!

 

「誰なのですか、アナタたちは」

 

寺へ現れ、門下の妖怪たちを次々となぎ倒したジンジャーたちを見て、聖がそう言い放った。地面の上にはあの村紗や一輪が倒れており、マミゾウでさえも怪我を負い、聖の後ろで休んでいる。

 

「この寺にドラゴンボールがあることは分かっている。それをよこせば痛い目を見せずにおいてやるぞ」

 

「ドラゴンボール…渡してもいいのだけれど乱暴を働いたアナタ方に渡す道理はありませんね」

 

聖は格闘の構えを取った。

それを見た三人衆は一斉に飛びかかった。聖も決して相手の実力を侮るタチではない。ジンジャーたちがとてつもないパワーを持っていると見抜くと、すぐに滅越拳を発動させた。聖自身が紫色に発光して見えるほどのオーラを纏い、二倍に高まった身体能力で応戦する。

 

「はははは、その程度かよ!」

 

サンショの腹へパンチを繰り出す聖だが、その渾身のパンチが効いているような素振りは無い。

少し焦りを見せた聖の脳天を、ニッキーが思い切り蹴りつける。聖は気を失いながら地面へ落下し、やがて動かなくなった。

 

「聖白蓮…魔界に封じられていた僧侶も雑魚だったか」

 

聖でさえもガーリック三人衆には手も足も出ず、敵わなかった。彼らは命蓮寺からかつて願いを叶えた四星球を見つけ出すと、それを回収しどこかへと飛び去っていった。

それとほぼ同時に、この場へ霊夢が到着した。倒れている村紗たち、そして聖を見る。

 

「聖…何があったの!」

 

肩を抱きかかえ、そう尋ねる。

 

「魔族じゃ…とてつもない気を持つ連中がここを襲って、あのドラゴンボールを持っていきおった…」

 

マミゾウが近寄ってきてそう言った。

 

「ドラゴンボールを…くそっ、遅かったのね…。ソイツらがどこへ行ったかわかる?」

 

「上へ行きおったぞ。恐らく天界へ向かったのじゃろう」

 

「天界ね…サンキュー!」

 

 

 

 

「ガーリック様!八雲の四星球を見つけてまいりました!」

 

ジンジャーが進み出た。

 

「なに、何処にあったのだ?」

 

「は、命蓮寺という場所に住む聖白蓮が持っていました」

 

「聖白蓮…武道会に出場したあの女か。何故持っていたのかは知らんがでかしたぞ」

 

ガーリックは四星球を受け取ると、自身の玉座の横にある机にそれを置いた。

その時だった。上空から何者かが着地し、宮殿を大きく揺らした。

 

「何者!?」

 

「お前は確か博麗の巫女だな!」

 

「そうよ」

 

霊夢がようやくここまでたどり着いたのだ。

だが、ガーリックは玉座に座って笑ったまま余裕そうに霊夢を見つめている。

 

「よくも紫や聖を…痛がってたわよ!」

 

霊夢のするどい目がジンジャーたちを睨みつけた。様子からしてかなり頭に来ているようだ。だが、ジンジャーはそれに怯むことなく言い返す。

 

「お前も痛めつけてやろうか!」

 

「何ですって?」

 

その時、頭上から何か光り輝く筋が走って来た。霊夢たちがそちらへ振り向くと、その光の筋は地面へと降り立った。

そこには、あのシュネックが立っていたのだ。

 

「シュネック…!?」

 

そこでようやく、ガーリックが驚きの声を出した。

 

「シュネックさん、余計な事はしないで!」

 

「あ、お、おお、相変わらずだな博麗霊夢よ」

 

強気な口調でそう言ってきて霊夢に対し、シュネックは少し動揺する。

 

「ようこそ、我が友シュネック」

 

「ガーリックよ、このたびはどういうつもりだ。ドラゴンボールを集めておるらしいな、龍神を呼び出したら幻想郷が滅び去ってしまうのかもしれんのだぞ」

 

「知った事か!私は元の世界へ戻るためにドラゴンボールを必要としているのだ、今更こんな世界が消え失せても何の未練もない」

 

「バカな、かつては龍神に認められるため共に修行を積み、賢者を志した仲であっただろう。そのお前がまさか血迷ったというのか」

 

「…ふん、私は300年ほど昔、現世の神になるべく修行をしていた。だがあの神は私を差し置いてお前そっくりなヤツを次の神に選んだのだ!私は力と共に封印され、やがてこの地に流れ着き、お前に助けられた。だが神の封印はあまりに強力で現世へ帰ることはできなかった…全てはこの時のためだったのだ!ドラゴンボールの情報を知り、簡単に集められる地位、それが賢者だったからな」

 

「御託はいいわ、ドラゴンボールをそろえると幻想郷が消えるですって?させるもんですか!」

 

「ふん、うるさい女だ。おい三人衆よ、相手をしてやれ」

 

「は!」

 

ガーリック三人衆は、一斉に霊夢へ殴りかかった。

 

「くっ!」

 

霊夢は三人同時に繰り出された一撃を、腕をクロスさせてガードする。が、あまりの強烈な威力を前に体ごと後ろへ吹っ飛ばされてしまった。それを追うように、三人衆は素早いスピードで跳躍していった。

一方、シュネックとガーリックは、互いににらみ合っているのだった…。

 

 




華扇が実は賢者だった説を採用しています。
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