もしもカカロットが幻想郷に落ちていたら   作:ねっぷう

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第22話 「まさかのライバル参戦!?」

「ニッキー殿、私も戦いますよ」

 

霊夢を追うニッキーたち三人衆に付いていきながら、鬼人正邪がそう言った。

しかし、ニッキーは振り向くことなく言う。

 

「アンタはどうせ足手まといになるわ、私たちがどう戦うのか、上から見てなさい!」

 

吹っ飛ばされた霊夢はそのまま宮殿の内部へ逃げ込んだ。内部はいくつもの階で分けられており、階段が入り乱れるようにして走っている。

 

「奴らの奪ったドラゴンボールはどこに…?」

 

命蓮寺から奪われた四つ星のドラゴンボールを探そうと再び走り出す。

しかし、その霊夢の目の前に立ちふさがるように、ニッキーとサンショが現れた。

 

「ここから先は行かせないわよ」

 

ふと後ろを見ると、そこにはジンジャーの姿が。

 

「ふふふ…ガーリック三人衆の一人ジンジャー」

 

「同じくニッキー」

 

「同じくサンショ」

 

三人はそう名乗ると、格闘の構えを取り、霊夢へ飛びかかった。打ち破ることが難しい脅威の連携攻撃が襲い掛かる。

宙へ浮かび上がり、全ての攻撃を捌こうとする霊夢。しかし、逆に両手足を掴まれてしまう。ジンジャーは霊夢の両足を掴み、ニッキーとサンショは腕をそれぞれ掴んで固定した。先刻の藍との戦いで見せた、身動きを取れなくしたまま地面へ叩きつける攻撃だ。

 

「くっ…!」

 

だが、霊夢はすぐに腕に力を込めて回転させ、ニッキーとサンショを振りほどき、ジンジャーを頭突きで弾き飛ばした。そして地面へ着地し、連続ハンドスプリングで後ろへ下がる。

 

「くくく…やるな」

 

霊夢は気を抜かず、鋭い目つきで様子を伺っている。

 

「ショウガヤキーッ!!」

 

「ノドアメーッ!!」

 

「ウナジューッ!!」

 

三人衆はそれぞれそう叫ぶと、気合を込めるように構えた。霊夢はそれに警戒し、じりじりと後退する。

すると、敵の体の筋肉がみるみるうちに肥大化していき、身長までもが大きくなる。明らかの気の量が増え、どうやら巨大化しパワーアップしたようだった。

 

「くっくっく…」

 

ジンジャーを筆頭に駆けだした。

先ほどとは段違いなスピードで迫るが、霊夢は極限にまで集中してその動きを捉えようとする。そのおかげでひどくゆっくりに見えたが、それでも避けきれるとは限らない。

 

「けああああ…!!」

 

三人の連続攻撃が始まった。霊夢はジンジャーとニッキーの攻撃を両腕で受けきろうとするが、背後に迫っていたサンショの肘打ちを顔面へ受けて吹き飛び、柱に激突した。

 

「いてて…体が大きくなって、スピードも上がった…」

 

顔に付いた煤をふき取り、ニヤニヤしているジンジャーたちを見た。そして、今度は霊夢から攻撃を仕掛ける。

霊夢のパンチを受けるニッキーだが、少し体勢を崩してしまう。だがサンショが再び霊夢へ襲い掛かり、そこへ他の二人が加わる。三人は霊夢の周りをグルグルと回転しながら、蹴りや突きを無数に繰り出した。

霊夢もこの一年、以前までのようにだらけて過ごしていたわけではない。単独だがその修行により鍛えられた動体視力は、彼らの動きを全て正確に視認していたのだ。

目の前へ来たニッキーの腹に蹴りを入れ、サンショの顔面を思い切り殴り、ジンジャーの足を掴んで地面へ叩きつけた。

 

「ぐああああッ!」

 

三人は地面へ叩き伏せられ、必死に起き上がろうとしている。

 

「ドラゴンボールはどこよ!?」

 

霊夢はジンジャーへそう聞いた。しかし、ニッキーとサンショが起き上がって宙へ浮かび、霊夢へ向けて強力なエネルギー波を放った。

気を取られていた霊夢は反応しきれずに、迫るエネルギー波が命中しそうになる。

 

バシュン バシュン

 

…その時、また別の方向から飛んできたエネルギー弾がその攻撃を打ち消した。

 

「誰だ!?」

 

三人衆がそう声を荒げる。

宮殿の外から射し込む太陽の光に照らされた人影。黒髪のツンツン頭に、灰色の道着。そう、その姿は正しくカカロットであった。

 

「カカロット!!」

 

「ふっ、今の師に教えられてきてやったのだ、有りがたく思え」

 

そう憎まれ口を叩いた。一年前と比べて背が伸びているが、この態度と雰囲気は間違いなくカカロットだ。

ガーリック三人衆は新たな参戦者を見て構えを取った。

 

「アイツは…あの時の!」

 

天井に一番近い階段の影から戦いの様子を眺めていた正邪は、妖怪の山で熊の肉を奪い損ねた事を思い出した。そして目の前に現れているのは、正しくあの時のヤツだ。

正邪は思わず拳を握りしめた。

 

「だけど、確か弾いたのは二つ…」

 

しかし、霊夢は疑問を抱いた。そう、ニッキーとサンショはそれぞれ一発ずつエネルギー波を放ち、それを二つのエネルギー弾が弾いていた。しかもその二つは、明らかに気の質が違っていた。ならばもう一つは…

 

「俺がいることも忘れるなよ」

 

ゆっくりと階段を降りて来る大きな影…腕を組み、白いマントを羽織ったその姿。白っぽい肌に、引き締められた筋肉で覆われた体。するどい目がじっと霊夢を見据えている。

 

「ウスター!?」

 

「なっ、魔人ウスター…生きていたのか!!」

 

霊夢とカカロット、そして三人衆が思わず驚きの声を上げる。

 

「勘違いするなよ。カカロットに博麗霊夢…貴様らを助けに来たわけではない、俺はソイツらに借りが有る」

 

ウスターは三人衆をギロリと睨みつけた。ジンジャーが苦虫を噛み潰したような表情を浮かべる。

 

「これで3対3って訳ね、面白いじゃない!」

 

霊夢はニッキーに向かって飛び出し、攻撃を仕掛けた。霊力を最大まで解放したラッシュは、ニッキーでは抑えきることができなかった。かろうじて攻撃から守ってはいるが、体が後ろへ吹き飛んでしまう。

 

「お前が俺の相手か?こっちは近頃強い奴と闘えなくてよ…だから俺を楽しませてくれよ」

 

カカロットがジンジャーへ向けてエネルギー波を放った。が、ジンジャーは素早い身ごなしでそれを避け、カカロットへと向かって行く。

 

「待ちやがれ!」

 

それを見たサンショがジンジャーへ加勢しようとジャンプした。すると突然床が崩れ、中からウスターの腕が伸びる。腕はサンショの足を掴み、下の階へと引きずりおろした。

 

「お前の相手はこの俺様だ」

 

サンショは瓦礫の中から起き上がる。そして怒りに叫びながら、ウスターへと蹴りを繰り出す。

しかし、ウスターはそれを喰らっても平気な顔をしている。驚くサンショなどお構いなしに、拳によるパンチの連打を腹へと浴びせた。最後の一発でサンショは吹き飛び、柱に当たってよろよろと崩れ落ちた。

 

「どうした。三人がかりの不意打ちでなければ俺とまともに戦えないのか?」

 

「うるせぇーッ!お前なんか、俺っち一人で充分よ!!でりゃあああ!!!」

 

サンショは力を込め、先ほどのように体を巨大化させて見せた。もう一度襲い掛かるが、やはり全ての攻撃をウスターに避けられてしまう。

そのうちの一撃を受け止め、拳を掴んだウスターは、右腕を大きく振りかぶり、気を溜める。そして渾身のパンチをサンショへ向けて叩きつけた。

 

「バ、化け物だァ~~~!!!」

 

響く断末魔の悲鳴。壁に激突し、動けなくなったサンショへ向けて、ウスターはトドメの魔口砲を放った。口から放たれたエネルギー波はサンショに命中し、やがて彼は焦げたように煙を上げて動かなくなった。

 

「ふん、ひとりひとりでは他愛のない雑魚か」

 

 

 

一方その頃、宮殿のテラスでも戦闘が繰り広げられていた。

シュネックとガーリック、幻想郷の賢者同士での対決である。両者とも、まさに幻想郷最強の2人である。かつては共に龍神に認められるため、修行に打ち込んだ身。彼らには誰も勝つことはできないだろう。

 

「ふははは!!」

 

ガーリックは両手から気弾を無数に放つ。が、シュネックはそれをジャンプして避けると同時に、その目から光線を放った。

しかし、ガーリックもその程度ではない。軽く光線を避け、一気にシュネックとの距離を詰める。

 

「思い昂ぶった愚か者めが!こうなればもう友とは思わん、お前を成敗してくれる!」

 

「誰が友だと!?ウラァ!」

 

ガーリックの一撃がシュネックに命中した。後方へ吹き飛び、柱に激突する。

 

「ムグハハハハハ!!!」

 

高笑いをしながら、ガーリックはさらに追撃を加える。シュネックが叩きつけられた柱が壊れ、次の柱にぶつかり、その柱さえも破壊して尚も引きずるようにしていたぶる。

 

「…カァッ!!」

 

シュネックもやられっぱなしではない。最強の賢者としての意地か、その身体から閃光と共に気を発した。聖なる光に照らされたガーリックは思わず目を背け、顔を手で覆った。

それを待っていたと言わんばかりに、シュネックの渾身のタックルがガーリックを突き飛ばした。

 

「お、おのれ!」

 

シュネックのローキックが足に当たり、思わず体勢が崩れる。

 

「この老いぼれが…」

 

反撃を受けるガーリック。無数のエネルギー弾の連打を浴びせられ、その身体が傷ついていく。服が破け、衝撃で周囲の地面が崩壊していく。

 

「はあ──!!」

 

ガーリックと比べてかなり老いているとはいえ、その力は衰えてない。ましてや己を高めてもいたシュネックが、ガーリックに負けるはずはないのだ。

 

「ぐあああ…!!」

 

シュネックはガーリックを蹴り飛ばし、空中へ叩く放り投げる。成す術もなく宙を舞うガーリックに向かって、一発の特大のエネルギー波が放たれた。

それは命中し、大きな爆発を起こした。

 

「く、くそ…」

 

ボロボロになったガーリックが地面に落下した。口から流れる血を手で拭い、体を震わせながら起き上がろうとする。

 

「もう諦めるのだガーリックよ。お前ではわしには勝てない。さぁ、ドラゴンボールを返し、元のように戻ってくれ」

 

「くくく…はははは!甘いなシュネックよ。今ここで私を殺さない事、後悔するがいい」

 

ガーリックで四つん這いの態勢のまま、顔だけをシュネックに向ける。その顔は笑っており、何か企みがあるのだと伺えた。

すると、服の中からいつの間に忍ばせていたのか、不思議な模様の描かれた壺を取り出した。

 

「これが何だかわかるな?」

 

「それは…まさか!」

 

「そのまさかだ」

 

起き上がるガーリック。

 

「我が魔族に伝わる『アクアミスト』だ!ここは天界…これを下界に撒いてしまえばどんな地獄が幻想郷を襲うのか想像は付くだろう…」

 

「馬鹿な事はやめるのだガーリック!」

 

狼狽し、そう呼びかける。

アクアミスト…それは魔族のみに伝わる、魔族にとっての聖水である。壺に入っている間は液体であるが、いったん外にばら撒かれるとそれは霧のように分散し、止まることなく広がり続けるのだ。そしてそれを生き物が吸ってしまうと魔族としての本能を呼び起こされ、1日もすれば完全に魔族として生まれ変わってしまうのだ。

 

「ぐふふふ…やめてほしければお前はその場から動くな!」

 

そう言われたシュネックは、しぶしぶ上げていた拳を下げた。その瞬間、ガーリックの膝蹴りがシュネックの顎を捉えた。

さらに腹へパンチを喰らわせ、前かがみに倒れたところを踏みつける。

 

「ハッハッハッハ!!幻想郷最強の賢者もこれでは手も足も出せまい!?」

 

ガーリックの高笑いが、天界中に響き渡っていた…。

 

 




ドラゴンボール本編では、封印されたガーリックがシュネックに助けられ幻想郷で暮らし、やがてドラゴンボールを集めて帰ろうと目論むまでは同じです。ですが、本編基準の場合、霊夢ら幻想級の重鎮も倒し、ドラゴンボールをそろえて龍神を復活させまいとするシュネックと刺し違え、ガーリックは完全に死亡し、シュネックの死に伴い龍神も消滅、幻想郷も滅ぶでしょう。
そしてガーリックJr.が元の世界へ帰り、永遠の命を経て本編へ繋がる…となります。

ですがこちらの世界では、カカロットが居て、そしてウスターが来て、霊夢が想定外に強くなっていることが分岐ポイントとなります。さて、こちらではどのような展開をたどるのか、楽しみにしてください。
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