シロナは魔理沙の家の庭に置かれた椅子に腰かけ、テーブルの上の紅茶を飲んでいた。家の周りに生える木々の間から射す木漏れ日が心地よい。鳥のさえずる声が聞こえ、よそ風に揺られる葉っぱの音がする。
「シロナ、お前の好きな食べ物はなんだ?」
とその時、いつの間にか隣に腰かけていた魔理沙が、同じく紅茶を飲みながらシロナにそう尋ねてきた。
「なんだ、魔理沙いたんだ…」
「好きな…食べ物は?」
「あ…ええっと…アップルパイかな…?」
「そうか」
魔理沙はお茶を飲み終わると席から立ちあがる。
「さぁて、そろそろ出発するかな」
「なによ、どっか行くの?」
「あぁ…お前もいずれ来るところさ。でもな、急がなくていいからゆっくりとおいで。お前の持ち時間は誰かを憎むことに使うんじゃなく、愛することに使いな…そうすりゃ、出発の時が来ても後悔はしないはずだ」
「私もいずれ行くところ?どういうこと?」
「ゆっくりでいいんだ…そうしたら、また美味いアップルパイを焼いてやるからさ」
魔理沙はそう言いながら、木漏れ日の中にうっすらと消えていく。シロナはそれを追いかけるように歩いていくが、彼女の姿は光の中に消えていった…。
「…魔理沙!!」
「うおっ、びっくりしたナ」
シロナはスカーの背中で目を覚ました。既に空はやや青くなっており、夜明けが近いようだ。
だが、シロナには状況がつかめなかった。何故かレミリアとフラン、そして咲夜が気を失ったまま隣にまとめて担がれており、自分の気分が優れない。
「…そうだ、ここはヴァンパイア王国で…私は…」
その時、忘れかけていた記憶が一気に脳内に流れてくる。自分がヴァンパイア王国へ乗り込んだこと、ペペロン女王に倒され一時は生死の境をさまよった事、パチュリーが命を懸けて自分を助けてくれたこと…そして…
「魔理沙は!?」
シロナは振り返って王城の方を見た。すると、なんと王城は崩壊して瓦礫の山となっていて、ところどころ炎上して煙を噴き上げているように見えた。まるで内側で何かが大爆発を起こしたようだ。
「きっト、魔理沙があの爆発を起こしたんだろうナ」
魔理沙はあの時、熱を放射しようとする八卦炉の口をヴァンパイアの体に押し付けて塞ぐことで大爆発を引き起こしたのだ。それにより全ての改造ヴァンパイアは死に絶え、あの瓦礫の中に閉じ込められたことだろう。当然、爆発の中心にいた魔理沙も…
「魔理沙…」
シロナは魔理沙の名前を呟きながら静かに涙を流した。それに気付いたスカーは、そっとシロナに囁いた。
「ごめんナ…もっと、ワタシにも力があればナ…」
「ううん…スカーのせいじゃないよ」
そう言った瞬間、シロナは自分の目を疑った。崩れ去った王城の方向から、何かがとてつもないスピードでオーラを纏いながらこちらにぐんぐんと迫ってくる。いや…まさか…ありえない…!
「ペペロン女王!!」
なんと、ペペロン女王は生きていた。あの大爆発と瓦礫の山をものともせず、シロナやスカーを追ってここまでやって来たのだ。女王は大口を開けて怒りの咆哮を轟かせながら腕を振りかぶって襲い掛かってくる。
「そんな気はしてた…魔理沙は私の怒りを引き出すために、わざとあそこに残ったんじゃないかって…。だったら…」
シロナはスカーの肩の上で立ち上がった。そしてその全身からはぼんやりと赤いオーラが立ち上っており、同時に魔力の混じった気の波動が、波紋状に広がってゆく。今のシロナの赤い髪は魔法使いの才覚に目覚めた証…その髪がさらに静電気を帯びたように逆立ち、瞳が黄色く変化する。
「魔理沙の望んだとおりに、私はこの姿でペペロン女王と決着をつけてやる!!」
「お、おい待てヨ…!」
スカーが止めようとするが、シロナはスカーの背中を蹴って前へ飛び出していった。
ペペロン女王は目の前から叩きつけてきた圧力の波紋を受け、そこで飛行が止められた。その直後、女王が気付いた時には赤いオーラを纏うシロナが目の前にいた。
圧縮された時間の中で、女王は本能的に今のシロナが自分のレベルを大きく踏み越えた領域にいることに気付いた。だがしかし、圧倒的な実力差を感じ取った女王に押し寄せる恐怖が、生き残るための闘争本能をさらに掻き立てる。
女王の鼻の先にまでシロナが迫った瞬間、女王の姿が消えた。振りかざしていたシロナのパンチは空振り、凄まじい突風が吹く。
女王はさらなる加速を発揮し、シロナの背後へ忍び寄っていたのだ。だが、シロナは驚く様子もなく、背後へ裏拳を放って女王の額へ命中させた。
「ガ…!」
シロナの裏拳を受けて、女王はまるで巨大なハンマーで殴られたかのように後ろへ吹っ飛び、そのまま王城の瓦礫の中へ突っ込んだ。だがすぐに女王は顔を出し、口の中にエネルギーを迸らせながら反撃を撃とうと構えた。だが、既に見渡した範囲にはシロナの姿は無かった。
「…!?」
女王は目を疑った。シロナは既に自分の頭上へ移動しており、体の周囲に漂う赤いオーラを取り込んでゆく拳を振り上げていた。
(この状態になって初めて使える、私の魔法使いとしての能力…!それは…肉体の硬質化よ)
シロナが掲げた拳にオーラが集中し、さらにビキビキと音を立てながら、鏡のような光沢を放つ鉱石のように硬化してゆく。そしてその拳を繰り出し、女王の肩を殴りつけた。
メキ バキ…
一撃を受けた女王の右肩は一瞬にして消し飛ばされた。まるで砲弾の着弾を受けたように跡形もなく吹っ飛び、そこだけがぽっかりとなくなってしまっていた。
鉛や鉄などとは比べ物にならないほどの強度へ硬化したシロナの拳は、この世の何にも勝る凶器と化していた。
「これが私の魔法よ」
「キエ…!」
女王は肩を再生しつつ、動かせる方の腕を振るってシロナの首を狙う。その腕からは刃状に変化して突き出した骨が伸びており、これで首を切断しようという考えだろう。
ガキン!
しかし、シロナは瞬時に攻撃を受けるであろう首の箇所に硬質化を集中させ、女王の一撃を防いだ。なんの戸惑いや手心もなく、正真正銘全力で振られた女王の腕は硬質化させた首に当たったとたん、当たり負けして粉々に砕けて消し飛んだ。
女王は悲鳴を上げながら後ろへ後退する。シロナは全身に高質化の膜を張り、防御力を高めていた。これを一点に集中させてより高い攻撃力を発揮することで先ほどのような破壊力を得ていたのだ。
「ギガ…ア…ゲ…」
女王はその場で四つん這いになって倒れ込み、もう一度立ち上がろうともがいている。シロナはゆっくりと歩み寄り、再び拳へ硬質化を集中させる。
(考えれば、いちばん可哀想なのはコイツかもしれないわ…。勝手に悪い医者に改造手術をされて、実の娘たちをも殺して…)
「だけど、アナタはこのまま生きていちゃいけない…さようなら」
シロナは無慈悲に拳を振り下ろし、ペペロン女王の頭部を叩き潰した。ヴァンパイアの弱点である脳を頭部ごと完全に破壊された女王は、これでトドメを刺されただろう。
女王は立ち上がろうとしていた体勢のまま後ろへ倒れ、少し痙攣すると全く動かなくなった。
「おいシロナ!」
そこへシロナを追ってきたスカーが到着する。
「じょ、女王はようやく死んだのか…」
さらに王城の瓦礫のそばから治癒しかけの怪我を押さえたサンドラがやって来た。
「女王はたった今倒したわ。もう、安らかに眠ってる…」
シロナは横目でペペロン女王の亡骸を見た。サンドラは復活直後の、まだ普通のヴァンパイアの姿を留めていたペペロン女王を思い出した。そこから真っ白な石のような皮膚を持つ怪物の姿へと変化し、さらにはその皮膚が剥がれ落ちて全身から筋肉と骨が露出したさらなる異形なこの姿。
「これからは、私が新しい女王になる」
と、サンドラが宣言した。
「私は女王の直系の孫にあたるらしい。ゴルゴンたちも死んだ今、女王になれる器を持つのは私だけだろ?」
「うん…私もサンドラさんがふさわしいと思う」
「なら、さっさと幻想郷へ帰ろうヨ。このレミリアとフランドール、メイドが目を覚ます前にヨ」
「そうだね、スカー」
「こいつらに言っといてくれよ、サンドラはヴァンパイア王国に残ったって」
「わかってるって!」
これで、ヴァンパイア王国での事件はすべて終わった。パチュリーや魔理沙、そしてこの国に住んでいたゴルゴンたち吸血鬼…大きな犠牲は払ってしまったが、それでもヴァンパイア王国は新たな女王を迎えることによってふたたび栄えることになるだろう。
…否。
終わってなどいない。
「ハァーイ、もしかしてペペロン女王を殺して安心してるんじゃない?」
突然、どこかからかそう言う声が聞こえてきた。
「…なんだ今の声は?」
「ま、まさか…」
シロナ達は一斉に女王の亡骸へ振り返った。いや、ありえない…ヴァンパイアは脳か心臓を完全に破壊することで初めて生命活動を停止させられるはず。既に頭部丸ごと脳を消し飛ばされたペペロン女王が生きているはずはない。
「残念でした、私はペペロン女王の体内に、生命活動の停止をスイッチにして作動する爆弾を仕掛けていたのでした!」
「ド、ドクターオートの声か…!」
どうやらこの声の主は女王に食い殺されたはずのドクターオート、そして声は女王の体内に埋め込まれたスピーカーのような端末から聞こえてくるようだった。
「一切の証拠も残さないように、このヴァンパイア王国が確実に消えてなくなるほどの規模の大爆発まで、あと20秒」
すると、死んでいるペペロン女王の腹が風船のように膨らみ始めた。それと同時にピッ、ピッと制限時間を刻む音が鳴り始める。
「おい、どうすんだヨこれは…!」
「と、とにかく逃げるしかないな…」
スカーはレミリアとフランを担ぎなおし、咲夜を受け取ったサンドラと共に急いでこの場から離れようとする。
…しかし、シロナだけはその場で立ち尽くしたまま動こうとしない。
「おい何やってんダ、シロナ…はやく逃げないと巻き込まれちまうヨ」
「…いいや、私たちがいくら急いで逃げたってこの広いヴァンパイア王国の外に出ることはできない。この場所は王国の中心地だからね」
「まさか、オマエ…!」
「私が結界を張って、何とか爆発を小規模に押さえる。その間にスカーたちは逃げてちょうだい」
シロナがそう話したとたん、スカーは握りこぶしを固めてシロナの顔面をぶん殴る。だがしかし、今のシロナにとってはスカーの本気の一撃と言えどビクともしない程に効いておらず、直立不動で無表情のままそれを受けきってしまう。
「オマエ…そんなことをすれば、命を捨ててまでオマエを助けた魔理沙の命が無駄になるだロ!パチュリーも…」
「『イノチって何だ?動けるってことか?』」
「ア…!?」
「私と初めて戦った時、スカーはそう言ってた…。そして私は言った…『それがわかるまで、お前を監視する。お前がみんなにとって害のない存在であると判断できたら自由にどこへでも行くがいい』と」
「そ、それがどうしタ…」
「つまり、アンタはもう私が監視する必要は無くなったってワケ。だからもう私はアンタが何をしようがどうでもいい…自由なんだから、機械のアンタも命が惜しければはやく逃げなさい」
シロナは真剣なまなざしでスカーの目を見つめる。スカーはゆっくりと瞼を閉じて目を細め、中に宿る紅い瞳でシロナを見つめ返す。機械でできた人形なのに、そんなに細かく表情を変えられるのか、とシロナは心の中で笑った。
「…わかったヨ、だが確認だ…オマエは本当にあの爆発を閉じ込めて耐えられるんだナ?」
「もちろん、今さら爆弾なんかで私を殺せないわよ」
シロナはそう言いながら全身を硬質化して見せる。顔までも鏡のような光沢を持つ装甲を纏うかのように変化させたシロナは、にっこりと笑った。
「…信じるヨ、シロナ」
「元気でやってね」
シロナがそう言った時、スカーは逃走に向かわせようとしていた自分の体の動きを止めた。無事に爆発を受けきることを宣言したシロナの言葉に、不安を感じたからだ。
「おい、行くぞ木偶人形!」
だが、そんなスカーなど構うものかと言うように、サンドラがスカーごとレミリアとフランを一緒くたに担ぎ上げ、猛スピードでその場から離れる。
「───待って」
ペペロン女王の体内で作動した時限爆弾は、一瞬にして風と炎を吹き出した。しかし、それはある程度膨らんだ状態で止まり、まるで球状の膜に覆われてしまったかのようだ。その球体の紅い膜の中で、爆熱と突風が荒れ狂っている。
「…やっば…全身の硬質化じゃあほとんど意味ないか」
なんと、シロナは球状の結界のど真ん中に陣取っていた。それもそのはず、この結界は自分を中心にして作り出す防御壁のような物だ。外からの衝撃に強いのは当然だが、もちろん内側からも同様だ。
この爆発が一瞬にして広がり、過ぎ去るものであればシロナは耐えることができたであろう。しかし、結界に行く手を塞がれ、密閉された空間内で作動した超高威力の爆弾はその狭い中を無茶苦茶に荒れ狂っている。
「い…ぎぎ…!」
シロナは、いよいよ断続的に遅いかかる爆発の衝撃に耐えきれなくなった体の硬質化がボロボロと崩れ出すのを感じ取った。そして、今この場所で自分の命が尽きることも…
(魔理沙…今、行くから…)
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シロナの作った結界の防御壁を内側から突破した爆発だったが、すでに結界内でほとんどの威力を使い切っており、王城の敷地内を焼きつくす程度で収まった。しかし、一夜にして木っ端みじんとなった、王国の象徴たる王城、そして焼け野原となった王の領地。
幸いにも城下町にはまったく被害が及ばなかったが、翌日には王国の民たちが混乱しきっていた。しかし、その混乱を治めたのは、王国を治めるべき新しい女王だった。
「私の名はサンドラ・ツェペシュ。このヴァンパイア王国を導く、新たなる王である」
王冠を被ったサンドラは姓を王家のものであるツェペシュに変え、このままヴァンパイア王国に居座った。きっと、彼女は悪意ある人間に取り入られ疲弊しきったこの王国を元通りに変えることができるだろう。
…だが、その裏ではめでたい気分になれぬ者たちがいた。
「…もう絶対にそこにはいないって」
レミリアは腕を組みながらそう言った。その視線の先にはうなだれるスカーがおり、スカーはちらりとレミリアに目を向けるが、すぐに歩き出し、そこらじゅうの瓦礫を退かして回る。
「もうシロナは死んだんだよ。それも、跡形もなく粉々に吹き飛ばされてね」
「本当に、そうだと思うのかヨ?」
「ええ。シロナはゴルゴンの腕を移植されることで、吸血鬼の力も取り込んでいた。だから生命力だけは上がっているはずだ…あれほどまでにグチャグチャに潰されてもなお生きていたシロナの、ね。それでもここに現れないという事は、やっぱりもう…彼女はいないのよ」
「…そう、かもナ…」
…暴走するペペロン女王を止めることにより、ヴァンパイア王国…いや、世界に再びレッドリボン軍が君臨する事態を防ぐことができた。
しかし、それに伴って多大な犠牲を払ってしまった事は大きな問題だ。彼女らの命はこれから先、どうなるのか。それを決めてやるのは今生きている我々だ。死んだ者に意味を与えるのは我々だ。
だからこそ、我々を助けてくれた彼らの命を無駄にしないためには、生き続けるしかないのだ。
To be continued…
☆キャラクター戦闘力紹介☆
参考
一般成人男性 5
一般成人女性 4
子供(10歳) 2
ミスター・サタン 6.66
一般的に超人と呼ばれるレベル 7~8以上
大妖怪クラス 80以上
ピッコロ大魔王 260
ラディッツ 1500
ベジータ 1万8000
フリーザ(第一形態) 53万
赤文字=公式数値
青文字=原作推定数値
紫文字=本作完全推定数値
1.ヴァンパイア王国へ
レミリア・スカーレット 50~100(通常~魔力で攻防力増)
十六夜咲夜 20(通常時)→80(能力使用時)
パチュリー・ノーレッジ 3.5~70(通常~魔力込み最大)
霧雨魔理沙 4(通常時)→23(魔力込み 最大)
時系列としては、前章の第206話時点から1年が経過している。紅魔館のメンバー+魔理沙。突如として襲撃してきたゴルゴン・ツェペシュ一行によって捕まり、ヴァンパイア王国へ連れ去られてしまう。
基本的に戦闘力は以前と変わらず。ただ、咲夜が能力を使用する際には80程度にまで戦闘力が上昇しているだろう。
パチュリーは王国にて瀕死となったシロナを救うため、自分の全魔力をシロナに与えてしまったために衰弱して死亡してしまう。魔理沙はシロナの怒りを引き出すため、わざと囮になって自爆を行い、その生涯を終える。
フランドール・スカーレット 59.4
ゴルゴン襲撃時には地下に閉じこもっており、ようやく紅魔館本館へやって来た時には、既に姉たちは連れていかれた後だった。彷徨っていたところをシロナと遭遇し、彼女をこの事件の犯人かと思って襲い掛かるが、お互いに誤解を解く。そしてフランはシロナと共に、姉を追ってヴァンパイア王国へと向かうのだった。
2.vsゴルゴン一味
ツーナス 140~280(通常~気で攻防力増)
サーモス 30(通常時)→120(能力使用時)
ヴァンパイア王国にてゴルゴンに仕える人間の戦士であり、親子。己の鍛え上げた肉体のみを武器にして戦う執事・ツーナスと、時間を数秒間消し飛ばす能力を駆使して戦うメイド・サーモス。
ツーナスは強靭な肉体を誇り、その戦闘力は140。通常状態の亀仙人は桃白白をやや上回るレベルだ。何か特異な能力などは持たず、パチュリーの全力の攻撃を受け続けてもビクともしない鋼のような肉体と圧倒的な筋力から繰り出される拳圧の衝撃波を持つ。だが、参戦したスカーレット(サンドラ)にはまったく及ばずに彼方へと投げ飛ばされた。
サーモスは時間を数秒間消し飛ばす能力を持ち、咲夜と戦った。互いに時間を操作し互角に戦うが、戦闘力で劣るはずの咲夜の策にはまり、戦闘不能になった。戦闘力は通常時で30と咲夜を上回り、能力使用時にはかつての霊夢を上回る。
ゴルゴン・ツェペシュ 190~380(通常~魔力で攻防力増)
ヴァンパイア王国を治めるペペロン女王の子供たちのひとり。600年前に失踪した兄を除けば一番年上の長女であり、現時点での実質的な王国のトップはゴルゴンだった。
幼いころから母親である女王の背中を見て育ち、いずれ王位を継承する兄と共にヴァンパイア王国をさらなる繁栄へ導くつもりで務めてきた。しかし、兄は駆け落ちして失踪し、それからはゴルゴンが王位の継承権を得た。
そしてある時、新しくやって来た人間の医師団の手によってペペロン女王は操り人形と化し、やむを得ず女王を議事堂へ封印する。証拠が不十分だったのとヴァンパイア王国では人間に対して優遇措置が取られているため、その医師団を追放したり処分することは敵わなかった。
レミリア達を誘拐した時点の年齢は1000歳を超えており、これは一般的なヴァンパイアの寿命に近い年齢である。だが、女王の血を引くゴルゴンやその姉弟たち、はてはサンドラやレミリア、フランがいくら年を経ても幼い姿のままでいる。これはペペロン女王が王国を建国した時の年齢よりも身体が成長できないというある種の呪いによる所為である。女王が建国した時以下のある年齢に達した時に、彼女らは肉体の成長が止まってしまうのだ。
そのゴルゴンの戦闘力は通常時で190。レミリアたちを軽く上回り、同様に気で攻防力を増加させることができるが、サンドラには及ばない。最終的には姉弟たちと共にペペロン女王へ特攻をしかけ、その命を散らした。だが、彼女がシロナに託した右腕は彼女の命を繋いでいた。
名前の由来は「ゴルゴンゾーラ」。
ゾーラ・ツェペシュ 140~280(通常~魔力で攻防力増)
カルボ・ツェペシュ 110~220(通常~魔力で攻防力増)
ナーラ・ツェペシュ 100~200(通常~魔力で攻防力増)
ゴルゴンの弟と妹たち。年上順から弟のゾーラとカルボ、妹のナーラ。戦闘力的には一般の吸血鬼よりも高いだろうが、ゴルゴンやサンドラのクラスには及ばないだろう。ゴルゴンと共に、もしも再びペペロン女王が復活した時には、自分の命を捨てて特攻を行う「穿ちの弓矢」を仕掛ける覚悟でいた。
名前の由来はそれぞれ「ゴルゴンゾーラ」と「カルボナーラ」。
3.vsペペロン女王
スカーレット 210~420(通常~魔力で攻防力増)
スカーレット家の長女であり、レミリアやフランの姉にあたる。かつて王国の王位を継ぐはずだったペペロン女王の息子にして長男のヴラドは、スカーレット家の娘と駆け落ちし、王国外で暮らし始める。そうして最初に生まれたのがこのスカーレット、判明する本名をサンドラという。
妹として生まれたレミリアを贔屓する両親に対して子供ながらに憎悪を感じるようになり、ついにレミリアと両親を殺害するために動き出す。しかし、両親が死の間際にかけた呪いによって名前を失い、スカーレット家の者と二度と関われないようにされてしまう。その後は第19話に繋がる。
Dr.オート 7
ヴァンパイア王国に仕える医師団の代表。ヴァンパイア王国には様々な職業につく人間が終身雇用という形で働いており、王国では特に医療が発達しておらず(ヴァンパイア自体が病気にかからず怪我も自分で治せるため)、もしも未知の病や吸血鬼でも対処できない病気にかかってしまった時にはどうしても人間の医者の技術が必要になる。オートはレミリア達の前では吸血鬼にぞんざいな扱いを受ける医者を演じたが…実際にはこのドクターオートこそが全ての元凶であり黒幕である。
かつてオートはあのレッドリボン軍に所属する女研究員だった。しかし、ピッコロ大魔王がレッドリボン軍を壊滅させたことで自分だけが生き残り、軍の再興を目指してヴァンパイア王国に目を付けたのだ。強力な力を持つヴァンパイアを洗脳して思い通りに動かす事が出来れば、王国を拠点にしてレッドリボン軍を復活させるのが目的だったのだ。
オートは眼病を患ったペペロン女王に手術をすると言い、その脳に改造を施して操り人形に変え、さらに機械を埋め込んでさらなるパワーを引き出すことに成功した。女王の封印を解き、邪魔なゴルゴンたちを始末しようとするが、進化したことによってコントロールから外れた女王に食い殺される。
オートはかつてのドクターコーチンのように体の大部分を機械に改造しており、戦闘力的には普通の人間を越えるレベルではあるだろう。
名前の由来は「嘔吐」。
ペペロン女王(第一形態) 480(復活直後)→4800(対シロナ 最大)
ヴァンパイア王国を治めていた最強の吸血鬼。ゴルゴンたちの母親にして、サンドラやレミリア、フランからすれば祖母にあたる存在。強大な魔力と戦闘力を持ち、王国を建国した原初の吸血鬼。
その正体は5000年以上前に地球に接近した魔凶星から、神綺やガーリックと共に移住してきた魔族のひとり。
オートの手によって脳に改造手術を施されており、操り人形の暴君と化したペペロン女王は同時に議事堂内に強力な紫外線照射装置、人間の髪とニンニクの葉を編み込んだ鎖で厳重に封印されていた。
復活直後、初めは覚醒前のサンドラやゴルゴン相手に有利に立ち回るが、後に駆け付けたシロナ相手には一方的な攻撃を許してしまう。しかし、それは女王の演技であり、女王は早い段階からシロナの接近を感知し、力を押さえていたのだ。現時点の全力を開放した女王の戦闘力は4800。これでシロナを死ぬ一歩手前まで痛めつけた。また、復活直後は流暢に会話をし、逆に冷静にドクターオートの命令を制止し返すなど自我を保っているようであったが、それも後に消えている。
女王は4メートルを超える長身とヴァンパイアが持つ並外れた身体能力と怪力、そして魔力と再生能力、不死性などは当たり前に備えているが、他に女王固有の能力として「順応」する能力を持つ。これはどのような環境に置かれてもすぐさま肉体の構造を変えて適応してしまう能力で、例えば灼熱の砂漠にいようが、ツンドラの大地にいようが女王はその環境をものともしないように順応してしまうのだ。戦闘面においては、傷ついた箇所を再生すると同時に次の攻撃を確実に防げるように硬化させたりすることも可能。
そして、この順応能力が全身に満遍なく行き渡りピークに達した時、女王は次なる形態へと進化する。
シロナ 40(平常時)→200(霊力開放)→2000(怒り状態)
紅魔館から要石に乗ってヴァンパイア王国へたどり着いたシロナ。1年間の修行を続けることで戦闘力は以前よりもアップしている。
到着するなり怒りをあらわにしたシロナは2000の戦闘力を発揮し女王を圧倒するが、本気を出した女王には全く及ばずに叩きのめされてしまった。
4.覚醒
サンドラ・スカーレット 250~500(通常~魔力で攻防力増)→7500(融合形態)
スカーレットはペペロン女王の血液を、復活する際に千切れた左腕から吸血することによって両親にかけられた呪いを解くことに成功した。それによりサンドラという本名を思い出し、同時に若干のパワーアップを果たす。
それは気分の高揚と相まった不意打ちで女王の足を消し飛ばすほどの力だったが、それでも女王とまともにやりあえば戦いにすらならないだろう。だが、同じ姉妹であるレミリアとフランドールを吸収して融合する事よって、彼女は女王にも勝る絶大なパワーを手に入れた。
その戦闘力は現時点で最高の7500。ペペロン女王を圧倒し、エネルギー波で女王を焼き尽くすことに成功する。だが変身して復活したペペロン女王をもう一度倒そうとするが、その直後に融合が解けてしまい敗北する。
事件が解決してからは、最も王に相応しい器を持つ彼女が新たなるヴァンパイア王国の国王となった。
ペペロン女王(第二形態) 10万
しかし、ペペロン女王はそれだけでは死ななかった。サンドラの一撃で焼け死んだかに思えば女王であったが、この攻撃で全身の順応能力がピークに達し、炭化して崩れた皮膚の下から新たなる姿へ変じた女王が出現したのだ。
毛髪と衣類は焼失し、その全身は大理石のように白く硬い皮膚に覆われ、目は真っ赤に染まり、口からは蛇のような一対の鋭く長い牙が生えるのみとなった。戦闘力は20倍以上の10万にまで達した。命令を下す主であるはずのドクターオートを食い殺し、融合が解けたサンドラを倒し、穿ちの弓矢で女王の心臓を文字通り穿って破壊しようとするゴルゴンたちを殺害した。
この形態の特徴は、卓越した守備の硬さにあるだろう。吸血鬼が死を覚悟して突撃してようやく胸を傷つけられるほどだが、逆に攻撃力は硬い皮膚が動きを邪魔しておりそこまでではないと思われる(だが変身前とは確実に比べ物にならない)。
シロナ 8万(平常時)→40万(霊力解放)
一度は死にかけたが、ゴルゴンの右腕を移植され、魔理沙の血を輸血され、さらにパチュリーの魔力によって蘇生したシロナは以前とは比べ物にならない究極のパワーアップを遂げた。3人の想いを受け継いだシロナは、圧倒的なパワーでペペロン女王を完封する。さらにシロナは魔法使いとしても覚醒し、髪の色は魔法使いにとって「魔法の才覚が現れた証」と言われる赤色に変化した(なお、超サイヤ人ゴッドや界王拳などとは関係ない)。
その戦闘力は平常時で8万、霊力を開放して40万という価格の数値。この時点であのフリーザ第一形態に肉迫するレベルだ。しかし、シロナはまだ”怒って”いなかった。
5.決着
スカー 1000
こっそりとシロナの後を追って王国までやってきていたスカー。シロナとフランが王城へ向かうのを阻んだ改造吸血鬼たちの相手をし、それを片付けてからは王城内での決戦に参加した。戦闘力は以前と変わらず。
改造ヴァンパイア 各200前後
ドクターオートによって改造を施された一般の吸血鬼たち。基本的にはオートの命令を聞いて自我を持たずに動き続けるが、オートが死亡してからは本来の女王であるペペロン女王の指示を聞いて戦っていた。各々の戦闘力は200前後で、シロナやスカーにとってはまとめて相手取っても十分に勝てるが、レミリアやフランたちでは少々厳しいレベルだ。
最終的には魔理沙の決死の自爆に巻き込まれ、全て死亡した。
ペペロン女王(第三形態) 40万
再び倒れたかと思ったペペロン女王であったが、なんとさらなる変身と共に復活した。シロナの攻撃によって脳に取り付けられていた、力の上限をある一定まで引き上げる装置が破壊されたことにより、上限が振り切れたことが原因と思われる。前の形態での動きの妨げとなっていた硬い皮膚はすべて剥がれ落ちて消失し、全身は筋肉と骨が剥き出したボディとなり、防御力は格段に低下してしまった。が、体の各部位から飛び出した骨が刃状に変質しており、これによって攻撃面に関しては以前よりもアップしている。さらに、剥き出しの筋肉や骨格に与えられるダメージは尋常ではないようだが、その痛みが女王にとってのストレスを与え、それを紛らわすために力いっぱいの攻撃を加えるためさらにパワーに拍車をかけている。同様に改造された他の吸血鬼を叫び声で自在に操る能力を持ち、彼らをけしかけて魔理沙たちを始末しようとした(普通の吸血鬼であるレミリア達には命令は届かなかったが、叫び声に含まれる超音波を感じ取ってはいた)。
この第三形態の戦闘力は、前形態から4倍の40万。これで霊力解放状態のシロナと並び、両者ともに互角の攻防戦を繰り広げたが、スタミナと再生能力の有無の差で有利となった。
しかし、魔理沙の死に対する怒りでパワーアップしたシロナには及ばず、脳ごと頭部を消し飛ばされて完全なトドメを刺され、絶命した。
この章においての最大の被害者は他の誰でもなく、このペペロン女王であっただろう。信頼していたはずの人間に知らずの間に傀儡として改造され、さらに実の子供や孫たちに化け物と罵られ、挙句には死してなお道具として利用されるという悲しい結末を迎えた。
しかし、これにてレッドリボン軍が完全に潰えたと言えるだろう。その遺物を除いては…
シロナ 400万(怒り状態)
ついに、シロナは魔理沙の死を決定打として怒り状態へと変貌することによってその真のパワーを発揮する。その戦闘力は400万、ペペロン女王をも大幅に上回り、現時点での最強の数値だ。パワー・スピード共に10倍に強化された上に、覚醒したシロナ特有の魔法を扱えるようになった。
それは肉体の「硬質化」の魔法。聖白蓮の肉体の「硬化」に似たような魔法だが、あちらは恐らく気によって一時的に肉体を鋼のように鍛え上げている。対してこちらは魔法によって皮膚を硬い性質を持つ別の物質へと変えてしまっているのである。このシロナの硬質化の魔法は、基本的には全身に纏うようにして行う事が出来るが、それを一か所へ集中させることも可能。例えば拳に全硬質化を集中させられれば、その拳はこの世のどんな武器でさえも及ばない質量を持つ凶器へと変わる。また、硬質化を行った箇所はまるでダイヤモンドのような透明感のある結晶で覆われたかのようになる。
一撃でペペロン女王の頭部を吹き飛ばして勝利をおさめるが、ドクターオートが女王の死後発動するように仕掛けていた強力な爆弾を一人で押さえ込もうとし、王国は爆発の被害をほぼ受けなかったものの彼女自身は木っ端みじんに消し飛び、生死不明となってしまう。